森金融庁長官記者会見の概要

(平成14年7月8日(月)17時00分~17時17分)

【質疑応答】

問)

長官の方から何かございますか。

答)

特にございません。

問)

ASEMに出席された塩川財務大臣が、向こうの方で「日本の銀行はオーバーバンキングである」と、「再編が必要だ」と。その再編のためにガイドラインを整備して、それに基づいて公的資金やら税制優遇を予定するような事を仰っているようなのですが、その事についてはどうお感じになっておられるのでしょうか。

また、塩川大臣が言われた事と、今、金融庁の方でまとめておられる地域金融機関の再編促進策とどう関係してくるのか、その辺りをお願いします。

答)

正直申しまして、塩川大臣の記者会見での発言というのは、私は報道で承知いたしましたが、財務省に確認したところ、これはあくまでも塩川大臣の個人的な見解であるということだそうでございまして、私自身、塩川大臣からその意図等につきまして直接お聞きもしてございませんし、コメントは差し控えたいというふうに思っております。

一方におきまして、既に皆様方に金融庁として検討を進めて行くと、言わば予告しております地域金融機関を中心とした合併促進策につきましては、あくまでも金融機関の合併等が収益性の改善だとか、あるいは財務経営基盤の充実、そういったものを通じて金融システムの一層の強化に資すると期待され、またそれが中小企業金融の円滑化にも繋がると、こういう大臣のお考えから、我々はそれの検討を進めているわけでございます。

ただ、合併あるいは統合をするかしないかということは、あくまで個々の金融機関の自主的な経営判断に拠るものでございまして、全国津々浦々、金融機関が700余りある中で、それぞれ置かれている状況は違うわけでございますから、我々金融庁の方から個々の金融機関に対して「統合すべきだ」とか「合併すべきだ」とか、そういうことをコントロールするような事は大臣の頭にも我々の頭にもございません。あくまで統合あるいは合併、そうしたものに進むかどうかは個々の金融機関の自主的な経営判断というものを尊重したいと思います。

そして、ある金融機関がそうする事が自らの体力強化に繋がるのだという判断をしたところがあるならば、そういう統合なり合併なりを促すような環境作り、税制だとか合併手続き面の簡素化だとか、そういう事を通じまして、そういう物を促して行くと、こういうような施策を考えたい、それが我々の真意でございまして、全国津々浦々の地域金融機関についての統合の、何かマップが先にありきという事では全然ございませんので、そこは誤解のないようにしていただきたいというふうに思います。

問)

今仰られた再編促進策なのですが、事務年度が変わるまでにということで、もう時間がなくなってきているのですが、内容的にと言うか大雑把に言って「中間的なもの」という言い方を大臣はされているのですが、どのような形になって、いつ頃見通しがつくのでしょうか。

答)

これはあくまで、再編という言葉をお使いになりましたけれども、合併等ですね、統合とか合併、そうしたものについて、今どういう問題があるのかとか、あるいは取り組むべき施策の広がり、どの程度まで促進策として考えるか、こういったものが分かる物を、まあ最終的な具体案というのは他省庁との協議がございますので、今それを明らかにするのは無理ですけれども、今申し上げたような施策の広がりが分かるような物を中間的な物として今週中には皆様に明らかにしたいというふうに思っております。

問)

同じく事務年度が迫っている中で、金融の中期ビジョンの話ですが、これも今週中というお話なのですが、これも進み具合というか、最終的な形としてどのような物になるとお考えになっていますでしょうか。

答)

「中期ビジョン」と言った場合は、敢えて言えば二つあるわけでございまして、一つは大臣の私的懇話会であります、いわゆる通称「将来ビジョン懇」、ここでの議論のまとめというものが一つあります。もう一つはそれを叩き台にして金融審議会にもかけて、金融庁の中期ビジョンと言える物を作り出さなくてはいけない、それは少し後の段階になろうかと思います。

そして、私的懇話会である「将来ビジョン懇」の座長であられる蝋山氏が皆様方に「12日にはビジョン懇としての最終的な取りまとめを公表したい」と、確か会見で仰られたと思いますけれども、我々としては12日の金曜日にそういうものが蝋山座長から柳澤大臣に提示され、それをそのまま皆様方に発表出来るのではないかと思っておりますし、今そういう形で作業が進んでいるというふうに認識しております。

問)

合併の促進策なんですけれども、あくまでも自主的判断を尊重すると言いながら、インセンティブと言いますか、税制などの優遇措置を用意するというところをもう少し説明いただきたいのですが。と言いますのは、なぜ金融機関に限ってそういう優遇をしてもらえるのか、その辺りは自主的な判断と仰るのであれば「どうぞご自由に」ということですから、インセンティブは要らないのではないのでしょうか。何か別の目的があるからそういう優遇策を用意されるのではないでしょうか。

答)

今仰った記者の方のような考え方もあるかもしれませんが、やはり金融業というのは非常に公益性の大きいものだと思っております。すなわち日本経済の動脈そのものでありまして、その動脈がしっかりしたものでないと日本経済そのものの再生というものが遅れる、それほど金融業についての健全性というものは強く求められているんだというふうに我々は認識しております。そういう考え方に立って、金融業の収益向上、財務基盤の強化、そういうものに貢献するような合併等があるならば、それを促進していきたいということから、それについての促進策をこれから関係省庁と協議していきたいというふうに考えております。

問)

動脈と言うのはどこまでを動脈として見るということでしょうか。毛細血管まで動脈なら動脈として助けると言うことでしょうか。

答)

これは、それぞれ地域地域によって、そこに存在する産業というものの、いわば動脈になっているわけでございまして、その動脈というのは記者の方が言わんとするところを推し量れば、零細企業から中堅企業、大企業それぞれによってそれに対応する動脈たる業態も変わるわけでございまして、それぞれの業態がそれぞれの地域において重要な役割を果たしているという認識の上に立って、その動脈を強化したいというふうに考えております。

問)

関連省庁というのは、財務省、経済産業省でよろしいのでしょうか。

答)

そうですね、その二省は先程ちょっと申し上げた税制面とか合併手続き云々の中で、中企法みたいなものを頭に置けば、そこの省庁は当然入ってくると思いますし、それ以外にも法務省とも相談するようなことがあるのかもしれません。

問)

今日発表されたマネーサプライの定期預金の大幅な減少と、それに対しての普通預金の伸び、これについての評価をお願いします。

答)

4月、5月、6月と、いろいろ預金シフトが起こっているという認識は皆さんと共有しておりますけれども、一方において私も日銀の発表あるいは全銀協の発表を注意深く見守る限り、一方において一服感、あるいは沈静化しつつあるというような皆様の報道にも接しております。我々としては以前から申し上げておりますように、引き続きモニタリングという面で注意深く見守って行きたいというふうに思っております。

問)

先週末なのですが、名古屋市で強盗がありまして、ペイオフに備えて預貯金を解約して自宅の海苔の缶に入れておいた3,000万円が盗まれたという事件がありました。まあ超低金利時代とかペイオフ解禁とか、今の金融情勢を反映しているかのような事件なんですが、長官の方でもしご所見があればお願いします。

答)

いや、これは先週末に限らず私はもっと前の新聞報道で接したと思うのですけれども、やはりそんなに大金ではなくても、家で保管されようとした主婦がひったくりにあったとか、そういう報道等に接し、その度ごとに心を痛めているわけでございますけれども、私はむしろ金融機関側が預金者に不安感を与えないようにしっかりとした信認を獲得するために、さらなる努力が必要なのだなあと、またその努力を求めていきたいというふうに思っております。

問)

12日のビジョン懇の取りまとめを受けて、金融庁がまとめる中期ビジョンなのですが、これはいつ頃を目処とお考えでしょうか。

答)

正直言いまして、できるだけ早くと言うことしか、なかなか申し上げられないのです。すなわち一般的に言って、金融審にはやはりかけたいと思っておりますし、一方金融審の先生方もいろいろご都合がおありでしょうし、また一般的に言えば8月というのは夏休み的なところがございますし、どういう日程が組めるのか、そういうことで我々事務方サイドとしてはできるだけ早くと思っておりますけれども、先生方の都合も勘案しながら今後決めていきたいというふうに思っております。

(以上)

サイトマップ

ページの先頭に戻る