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高木金融庁長官記者会見の概要

(平成14年7月22日(月)17時02分~17時16分)

【質疑応答】

問)

長官の方から何かございますか。

答)

特にございません。

問)

まず、ペイオフの全面解禁についてですが、先週18日に、第二地方銀行協会が全面解禁について慎重な検討と対応をお願いしますという要望書を金融庁の方へ提出されたと思うんですが、それについてどうお考えになっているか、またペイオフ全面解禁についての考え方に変化はあるかどうか、またその要望についての扱いはどうされるのかをお伺いしたいんですが。

答)

そういう要望があったことは承知してますし、それぞれの金融機関がペイオフの全面解禁を控えて、いろいろ一般的に不安があるということは十分理解できます。ただ、現実に具体的な不安が生じているという状況にもありませんから、我々としては、現時点では、ペイオフの実施は原則どおりと考えております。

いずれに致しましても、我々と致しましても、預金者に不安を与えないように、金融システムの安定を確保すべく努力していくことが重要だというふうに考えております。

また、第二地銀におかれても、そういった預金者の信頼を確保するという方向で、一生懸命努力していただきたい、そういう前向きな努力を期待しているということでございます。

問)

次に、株価に関してなんですが、まず米の通信大手ワールドコムが破綻しまして、そのワールドコムの破綻について、まずどう思われているか。

また、ワールドコムに対して、日本の銀行が4行で440億円ぐらい融資しているというようなことも聞いておりますが、それについて邦銀への影響はどうか、ということについていかがでしょうか。

答)

ワールドコムの破綻について、我々は詳しく現地で監督しているわけではございませんが、我々として特に関心を持っておりますのは、日本の金融機関に与える影響なんですけれども、いま仰ったように為替レートが120円で勘算しても、440億円ぐらいと、主要行でですね、日本の金融機関に与える影響は非常に微々たるものだというふうに考えております。

問)

今言ったようなワールドコムの破綻等々が報道されたこともありまして、米国の方で株価が大幅に下落して、今日、日本の方でも一時日経平均で1万円を切るという水準になったんですが、この株価の水準について、長官ご自身どう思われるか。

また、繰り返しになりますが、この株価が金融機関の経営に与える影響についてどうお考えになるのか。

答)

そもそも、まず金融機関に与える影響ですが、前回も申し上げたと思いますけども、保有株価が1割下がったとしてもですね、主要行の自己資本比率(の平均)は14年3月期で10.8%あったわけですけれども、それが10.4%ぐらいになるということで、それほど大きな影響を与えるものではないというふうに考えております。

次に、株価の動向なんですけれども、これはなかなかいろんな要因で決まってきますから、今の水準がどうかというのをなかなかコメントする立場にないんですが、いずれにしても米国の株価が下がりますと、いろんな経路を通じてですね、日本の企業経営なり、株価なりに影響を与えるということで、それはマイナスの影響を与えるということは、当然あり得るわけですね。

一方で、株価の基本はやはり個々の企業のファンダメンタルズを反映するものですから、そういう経営、経済の実体からまた決まってくるという面もあるんですね。ですから今の水準がどうかと言われて、まあ確かにマーケットですから、必ずしも時々刻々と理論値に収まるわけではないんですけれども、いずれにしてもそういった色々な要因で決まっている今の水準があると、その水準についてこれはどうかというコメントはちょっとできないと思っています。

問)

次にですね、先週19日に、在日北朝鮮の信用組合の受け皿問題について、関西の方の3信組が日本人理事長の受け入れを決めて、金融整理管財人と譲渡契約を結んだということですが、これについて長官は、どんな感想を持たれているか、また今後、具体的に公的資金を入れていく際の見通しについてお伺いしたいと思います。

答)

感想と言いましても、今お話のように19日にですね、臨時総代会で新しい役員体制が決まったと、それで同日、金融整理管財人と事業譲渡契約を締結したということですね。我々としては、今後、事業譲渡とか資金援助について審査を行って、最終的に判断することになるということです。いずれにしても定款の方で受け皿3組合それぞれ、経営の独立性、透明性が確保されるということが明記されてますから、そういう観点から問題がないかという点も含めて審査していくことになるというふうに思ってます。

問)

今の朝銀問題で、関東の受け皿の方はまだ交渉が続いているように聞いているのですけれども、この交渉に関しての見通し、これからどういう処理になっていくのかはどういうお考えでしょうか。

答)

見通しは特に持っていないのですけれども、いずれにしてもハナ信組も同じように定款でいろいろな独立性確保のための規定があるわけです。そういうことについてきちっと定款に沿った処理をしていただかないと、我々としては受け皿として最終的に認知して資金援助等を行うことはできないというふうに思っています。

問)

ペイオフの完全実施は、今のスケジュール通りで行ったとして、もともと2001年4月で終わりのはずでしたから2年遅れていると、完全実施という意味では。これがまた遅れるようになった時に、海外から見た時の投資家への悪影響というのは、金融庁としてはどういうふうに見ておられますか。

答)

いずれにしてもペイオフは、前から申し上げていますように、預金者が自己の責任と判断で行動して、金融機関はそういった預金者の信頼を確保するために懸命な努力をするという仕組みですから、現実に海外の方からどういう評価を受けるかというと私も責任を持って申し上げられませんけれども、いずれにしても今の日本の金融機関について、ペイオフ云々はともかくとしてもそういった努力が強く求められているということは、私はそうではないかなと思っております。

具体的にペイオフを延期したらどういう影響が出るかということはちょっと私も俄かに言えませんけれども、いずれにしても今申し上げたように日本の金融機関にはそういった懸命な努力が今は求められているので、そういった努力を欠かすべきではないというふうに思っています。

問)

ワールドコムの経営破綻で、より深刻な影響は株価というよりも企業会計制度に対する不信感だと思うのですけれども、この点について日本に与える影響についてどのように御覧になっていますか。

答)

それはやはりアメリカ、現にそこで問題を起こしている国においてどういう対応がなされるのか。まあ今いろんな議論がなされていますね、上院がどうだとか下院がどうだとか、あるいは大統領がどうだとか。そういった議論については、今注意深くフォローしているということであります。

問)

ワールドコムの件なのですけれども、直接融資で言うと440億円ということなのだと思うのですけれども、例えば発行している債券を日本の金融機関が買い取っているとか、間接的な影響というのは何かないのでしょうか。

答)

今調査中なので細かいことまではちょっと把握していないんです。いずれにしても何か特段今仰ったようなものについて沢山持っていて問題があるとか、そういうような大きな問題があるようならすぐ把握できるはずなんですけれども、現状でそのような特段の問題は把握しておりません。

問)

週末の報道で、預金保険機構の方に、来年度数兆円規模の公的資金枠を設けるという検討がされているということですが。

答)

これはですね、確か検討状況を10日に公表して、それで今まさにその基本的な考え方の下に検討しているわけで、仰られた特別の勘定を設けるとか、それはもうこれからの検討です。いずれにしても幅広く検討したいと思っております。ただ、「数兆円」というのは、その、金額の感覚もまだ必ずしもあるわけではないのですけれども、いずれにしてもある程度金融システムに不安があってそういう状況の下で捉えた制度と、それに対して、こちらは平時と言いますか、ある程度そこが健全化された後、各金融機関の自主的な努力を促していくという新たな仕組みですから、前の制度に囚われず、広く白地で検討したいというふうに思っています。言わんとした趣旨は、いわゆるシステムに不安がある状態での70兆の枠だとか、いろいろな制度があったわけですけれども、そういう感覚とは違うと思うんですね。

(以上)

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