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高木金融庁長官記者会見の概要

(平成15年4月14日(月)17時02分~17時18分)

【質疑応答】

問)

長官から何かございますか。

答)

特にないです。

問)

まず株なのですけれども、終値でバブル後最安値になったわけなのですが、経済3団体の方から、譲渡益課税の非課税ですとか、そういった要望が出ているようですけれども、金融庁としてそういった市場活性化策、あるいは追加の市場規律策のようなものにアクションを起こして行く可能性があるのかどうか、その辺を伺いたいのですが。

答)

株価の話は従来から申し上げていますように、いろんな要因で市場の中で決まってきますから、コメントは差し控えさせていただきたいと思います。

いずれにしても株価は短期的にはともかく、中長期的には将来の企業価値で決まって来るのだと思います。そういうわけですから、政府・日銀が一体となってデフレ克服に向けて取り組んで行くということは大変重要な問題だと思いますし、現在、そういう取組みを一生懸命やっているわけですね。

市場を所管している我々金融庁としてどうかということになりますと、やはりこれは市場の活性化の観点から何か見直すべき点がないかということに尽きるのだと思うのです。そういう観点から、税制改正だとか、あるいは証取法の改正を今国会に提出しておりますし、3月にはそういった点から見直して、必要な6項目の対応策も公表したわけですね。市場活性化のためのそういう努力を引き続き続けて行きたいというふうに思っております。市場の状況とか、あるいは今申し上げたような諸施策の効果等を見ながら、更に市場の活性化の観点から何かないかということについて広く勉強を続けて行きたいというふうに思っております。

3団体のお話がちょっとありましたけれども、証券税制についてはもう抜本的な大幅な軽減、簡素化を決めて、今取り組んでいるわけですね。ですからまずはこれをきちっと着実に実施して行くということが重要だというふうに思います。

問)

サーベラスがあおぞら銀の株買収の事前認可申請をしたとか、するとかという話があるわけなのですけれども、金融庁としてどう対応されるのかということ。政界なんかには外資アレルギーなどというのも根強くあるようなのですけれども、ちょっとご意見を伺いたいのですが。

答)

これは現時点で認可申請は事実として出ておりません。ですから、そのことを申し上げた上で、一般的には申請が出て来れば法律に則って適切に審査したいというふうに思っております。

問)

保有株式の時価評価の選択制なのですけれども、今週ですか、企業会計基準委員会で討議されるということになったわけなのですが、自民党の一部から3月期決算に間に合わないようだったら議員立法というような強気の声もあるようなのですけれども、委員会の審議を飛び越えて議員が結論を出すようなことがあるかもしれないと、そういったことについてどうお考えかということについてちょっと伺いたいのですが。

答)

これは何度もお話申し上げたと思いますし、その通りなのですが、適切な会計処理とか、あるいは適切な財務状況の表示といいますか、そういったことはその企業を巡るいろんな利害関係者の保護のために大変重要だと思うのですね。特に外部監査の対象になっておりますような大会社につきましては、これがまあ300万社ある内の1万社くらいだと思うのですが、そういった大会社につきましては株主と言いますか、多くの投資家がおりますし、また中小の下請け企業を含むいろんな多くの債権者もいらっしゃるわけですね。それから従業員の方々もたくさんいらっしゃるということで、こういった利害関係者の保護の視点と言いますか、そういうことが大変重要だと思うのですね。

こういった会計処理のルールの問題については、そういうことですから、まずは実務的・専門的な議論が大変重要だと思うのです。

我々金融庁としては、3月24日の与党の緊急金融対策を受けまして、財団法人の財務会計基準機構の方に与党のご要請をきっちりお伝えして、ご検討をお願いしているということであります。

問)

各銀行がそろって業績予想の修正などをして、かなり厳しい決算になっているようで、当然、余剰体力も削られて来ている中で、04年度の不良債権問題の終結、半分にするというのはもうほとんど不可能なのではないかというような声も上がっているようなのですが、長官の見方はどうでしょうか。

答)

いずれにしても、どういう状況であれ、不良債権問題を早期に正常化して、強固な金融システムを作り上げて行くというのは金融行政にとって重要な課題でありますから、その方向に向かって最大限の努力をしたいというふうに思っています。

問)

「株価のことは・・・」ということを先程仰いましたが、これまで要因の1つとしてイラク情勢はよく地政学的な不安定要素と言われて来たのですが、それが解決したかのように見える現在においても、これだけ更に下がっているということについて、証券税制についても実施されておりますが、その他のどういった要因が考えられるのでしょうか。

答)

市場でいろいろ言われている要因は、いろんな物をお読みいただければ分かると思います。ただ、それが本当にその要因なのかどうかというのは、必ずしもよく分かりませんけれども。ですから、何が要因かと私に聞かれても、なかなかマーケットで決まって来る話ですから分からないのです。先程も申し上げましたように、政府としてはいわゆるデフレ克服に一体となって取り組む。それから、金融市場を所管している金融庁としては、いわゆる市場の活性化と言いますか、そういった観点からいろいろ出来るだけの対策を講じて行くと言いますか、講じて来たわけです。ですからそういうことを着実に実施して行くということに尽きると思いますけれども。

特に短期的には株価はいろんな要因で変動しますから、その要因をいろいろ分析するというのはなかなか難しいと思います。

問)

逆に言えばこの今の株価の推移というのは、ファンダメンタルズを表すものではなく、短期的な株価の動きだというふうに言ってらっしゃるのでしょうか。

答)

別にそういうふうに申し上げているわけではなくて、要因はよく分からないということを申し上げているのですけれども。ただ、いずれにしても中長期的にと言いますか、冷静に株価の動向については見て行く必要があると思いますね。

問)

最初の質問についてなのですが、これで2005年3月まであと2年間しかないわけですけれども、これまでの1年間は非常にマイナス方向の処理というのが比較的多かったような気がするのですけれども、これからの2年間で競争力を付けて、収益力を高めて行って、不良債権を半分にするというのは、出来る、出来ないということでいくと、そういう希望は各行当然あると思うのですけれども、見通しというのを楽観的に見て良いのか、それとも更にこれ以上の努力をしなければいけないのか、何かその辺の感覚というのは、長官はどうお持ちなのでしょうか。

答)

将来の経済の状況・動向いろいろあると思うのですが、経済の状況と全く切り離して議論することは適切ではないと思います。ただ経済については先程から申し上げていますように、政府・日銀一体となってデフレ克服に一生懸命取り組んでいるわけですね。

金融の分野について言えば、昨年の10月30日に発表した「金融再生プログラム」というものがあるわけです。あの中にはいろいろな措置が書いてありますから、あれをしっかり実施して行くことによって金融の健全化を図って行きたいというふうに思っております。

問)

会計の問題で、先程仰った与党の金融対策で書かれたことを受けて財団法人の方に要請していると、その手続きは確かにその通りだと思うのですが、その後に議員立法で出て来るというのはまたちょっと別の動きでして、与党が議員立法をしようと、これはしかし、ある意味自由が確保されているとは思うのですけれども、この与党が議員立法をしようとすることについて金融庁としてどういうふうに対応なさるか、その点に絞ってお聞きしたいのですが。

答)

会計ルールというのは先程申し上げたような性格の問題ですから、まずは財務会計基準機構の実務的・専門的な検討をよく見守っていただきたいというふうに思います。

問)

これは与党に対しても「基準機構の検討を見守って欲しい」というふうに仰っているわけでしょうか。

答)

それはそういうふうにお話していると思います。

問)

今日、経済3団体が出した提案なのですけれども、相続税でいろいろ2分の1にして欲しいとかですね、「今後幅広く勉強を続けたい」と仰ったのですけれども、もう少し個別にコメントなり何なりを伺えないかと思うのですけれども、ちょっと早すぎますか、提案するのは。

答)

税の問題は、実は私も事細かくはまだ読んでいないのですが、いずれにしても税は毎年度税制改正が議論されて決められてくるわけですね。今年の1月1日からは先程申し上げたような税制の抜本的な軽減なり簡素化が実施されているわけです。ですから今はそれを着実に実施すべきだというふうに思います。

いろいろな議論があることは、それはそれで否定すべきではないと思いますけれども、それはあくまでも16年度税制改正に向けた議論であって、新しい税制を実施した直後に、議論があることは良いと思いますけれども、いろんな新しい税というのはやはり投資家に混乱と言いますか、マイナスの面もあると思うのですね。ですからいろいろな議論があることは良いのですが、そういう点にも配慮しながら、16年度の税制改正に向けて議論がなされて行くということは、それはそれで良いことだと思いますけれども。

問)

ですが日本経団連と言えば、諮問会議のメンバーの人も入っているところが出して来ているわけですよね。

答)

それは、そういう場でもいろいろ議論がなされても良いと思いますけれども。より良い税制を目指していろいろな議論がなされることを否定するものではありませんから。ただ、今、新しい税制が実施されたところですから、まずはそれがきちっと定着して、それなりの期待された効果が発揮されるかどうかを良く見極めて行く必要があるということだと思います。その議論に当たっては投資家に混乱を招く面もありますから、そういう点にも十分配慮しながら建設的な議論がなされることは、それはそれで良いと思いますけれども。

問)

今、「改正の効果を見極める」と仰ったのですけれども、どれ位が見極めのタイミングになるのでしょうか。

答)

現実には今の税制の下で、実態として非常に配当利回りが高い銘柄などがありますよね。そういう銘柄についてはそれなりの効果が生じていると思いますけれども、いずれにしても税制ですから常識的には16年度の税制改正に向けて、その分析なり勉強して行くということに尽きると思います。

問)

せっかく見直した制度が、十分PRされていないのではないかという声があるようですけれども、これについてはどうお考えですか。

答)

そういう点についてはPR等最大限の努力をして、投資家、国民の皆さんに良く税制が理解されるように全力で努力したいというふうに思っております。

(以上)

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