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高木金融庁長官記者会見の概要

(平成15年5月26日(月)17時07分~17時29分)

【質疑応答】

問)

長官から何かございますか。

答)

特にないです。

問)

今日、大手銀行の決算発表がまだ続いておりますが、全て終ったわけではないのですけれども、業績修正がかなり出ていますけれども、みんな赤字になってしまうということですけれども、今回の決算をどのような傾向と見てとってらっしゃるのか。金融庁と業界が進めて来ている金融システム安定化に向けた取組みの成果、これはどのような形で現れて来ているのでしょうか。

答)

今お話がありましたように、主要行の決算については現在、各行からまだ発表が続いているという状況にありますので、現時点で具体的なコメントは難しいと思います。いずれにしても決算発表が終了した後、速やかに内容を取りまとめて、不良債権処理の進捗状況等も含めて取りまとめて、皆さんの方にお届け出来るようにしたいなというふうに思っています。

問)

先週末に発表になりました北海道銀行と北陸銀行の経営統合ですけれども、遠隔地ということもあって統合の効果がどれ程あるのか疑問視する声が多いようですが、長官はどのように見ていらっしゃるのか。また、今後、2004年度中ということですけれども、監督して行く上での留意点があればお願いします。

答)

北陸銀行は北海道地区に24店舗、北陸銀行の支店の13%くらいなのですが、北海道地区に保有しているということなのです。しかも北海道銀行と店舗が相当重複しているという状況にありますから、1つは北海道地区の統合・再編による経営の効率化ということがあると思います。それから更に、統合後と言いますか、あわせて見ると北海道地区で貸出金のシェアが2割を超えるということもありますし、預金を全国ベースで合計しますと8兆円ということで、横浜銀行に次ぐ地銀第2位の規模になるということもあります。こういう経営基盤を基にして、経営の強化と言いますか一層の健全化と言いますか、そういうことを期待したいというふうに思っております。

金融庁としては申請が出て来たところで、法律に則って適切に審査・対応をしたいというふうに考えております。

問)

東京都の新銀行計画ですけれども、金融の分野は市場原理で動いて来ているわけですけれども、公的なセクターが株の過半数を持つような銀行が計画されているということについてどのように評価なさるのか。今後、それを審査、免許付与するに当たっての留意点をお願いします。

答)

東京都はこれから具体的な検討を進めるというお話ですから、具体的なお話を聞くまでには至っていない状況であります。そういうことで、現時点で具体的なコメントは難しいということをまずご理解いただきたいと思います。

一般論としては、我が国の金融業界を活性化するような新規参入については歓迎するというのが我々の基本的な考え方であります。今後、具体的に免許の申請があれば、法律に則って厳正・適切に審査・対応したいというふうに考えております。

問)

りそなグループの話で、過去に公的資金の注入を既に受けていたわけですけれども、今回新たに10%を超えるまで公的資金を受けなければならないということですが、一体これはなんでこういう事態になってしまったのかと。そもそも過去に公的資金が入った時に、金融庁、当時は金融監督庁ですが、経営監視は強めていたはずなのですけれども、銀行の経営のどこがまずかったのかと、あるいは経済環境がまずかったのでしょうか、あるいは当局に責任はないのでしょうか、これを伺います。

答)

まず当局のこれまでの対応でございますが、金融庁としては公的資本増強行でありますから、こういった銀行に対しましては経営健全化計画のフォローアップを通じて、計画の履行状況等をチェックして来たということであります。また、昨年10月の金融再生プログラムに基づいて、不良債権問題の解決、更には銀行の財務の健全性の確保ということで適切な監督に努めて来たということであります。

今回のりそな銀行につきましては、何度もご説明しておりますが、不良債権処理損の増大、また監査法人の監査の過程における繰延税金資産計上の厳格化等によりまして、自己資本比率が4%を切るに至ったということだと思います。

これまでに資本増強した金融機関が、再度公的資本を必要になる事態になったということにつきましては大変遺憾に思っておりますが、今般のりそな銀行に対する必要性の認定につきましては、これはもう現状、システミックリスクを起こさないよう、未然に防止するために必要な措置だったというふうに考えております。

いずれにしてもりそな銀行については、今回の資本注入を機に、今後、経営健全化計画も提出されると思いますし、新しい経営陣の下で徹底的な経営改革がなされるというふうに思います。そういう努力によってシステミックリスクを未然に予防して、我が国の金融システムが一層安定するように努力して参りたいというふうに考えております。

問)

システミックリスクを万が一にも引き起こさないという理由とはいえ、10%を超えるところまで公的資金で自己資本を強化すると。一方で、その後のりそなと競合する銀行の中には、特に地銀なんかには自力で増資をして、それでも6%、7%でヒーヒー言っているところもあるわけですけれども。何故に10%かという、先週も同じ様な質問が出ましたけれども、銀行間の競争自体を、こういったことが歪めてしまう面というのはないのでしょうか。

答)

繰り返しになって恐縮なのですが、今回の措置はシステミックリスクを未然に予防するということから実施したものであり、そういう観点から必要な措置だったというふうに認識をしております。

りそな銀行については今後、資本注入を機に、新しい経営陣による経営の健全化に向けた徹底した経営改革等が行われると思うのですね。それは当然ですけれども、国の信用に頼らないと言いますか、早期に健全化と言いますか、そういう国の信用に頼らない経営を早期に実現して行くということですから、そういう経営改革を前提に考えますと、銀行間の競争を歪めるといった懸念も私は小さいのではないかというふうに考えております。

問)

「早期」というのはいつぐらいなのですか。

答)

これはまだ新しい経営陣も決まっておりませんから、そこで新しいビジネスモデルと言いますか、それを徹底的に検討いただいて、また経営健全化計画をきちっとお作りいただくと。そういう中で、抽象的で恐縮ですけれども、早期に健全化、安定化を図っていただくと、そういう抜本的な経営改革を期待しているということでございます。

問)

生保の予定利率ですけれども、その対象は保険業の継続が困難となる蓋然性がある場合ということですけれども、この定義は一体どういう状態を指すのでしょうか。どこまで経営が悪化すればこの定義に当てはまるのかお願いします。

答)

これは明確に定義することは、むしろ風評等の問題もあり適切でもないし難しい面もあると思います。ただ、抽象的で恐縮なのですが、いずれにしても保険業の継続が困難となる蓋然性がある場合というのは、前から申し上げています破綻の要件でございます保険業の継続が困難な状態には至っていないけれども、将来を見通して契約条件の変更をしない場合には、保険業の継続が困難となることが合理的に予測できる場合ということなのです。

そういう申し出に当たっては、当該保険会社自身がそういう申し出の理由について合理的に説明できるということはもちろん必要ですし、当局としても承認に当たりましてそういう観点からしっかり審査をしたいというふうに考えております。

問)

りそなのこういう事態に至った原因のところで、不良債権処理の増大と繰延税金資産の厳格化というのがありましたけれども、これは当局としては予想外のことだったわけですね。しかもそれはりそなだけについてだったということですね。

答)

別に予想外と言いますか、監査は不良債権処理を厳格に進めると、それから監査については監査法人が監査法人の立場で独立して厳格に監査をするということに尽きると思います。

問)

そうすると、今のお答えですと、金融庁はずっとウォッチして来られたと思うのですけれども、特に金融庁の金融行政には問題はなかったというご見解ですね。

答)

先程申し上げましたように、過去に資本注入した金融機関が再度資本注入に至ったということは、大変遺憾だと思います。ただ、これを契機に、この際システミックリスクは未然に予防する必要があるということで102条に基づいて1号措置を講ずるということであります。それで今後については、新経営陣の下、徹底した経営改革によって、りそな銀行の、りそなの経営の安定化に向けた努力を期待したいというふうに思います。

問)

こういう銀行はもう出ないというふうなご認識なのでしょうか。あるいはまだ出て来る可能性はあるのでしょうか。

答)

15年3月期決算について申し上げれば、そういう金融機関はないと思います。

問)

先程、りそなの決算発表があったのですね。それで、繰延税金資産の問題で、いろいろ質問が出たのですけれども、結論から言うとよく分からなかったのですね、説明が。要するに、いろいろ言われている5年分の課税所得に見合った繰延税金資産をりそな銀行さんが出したところ、公認会計士の人がもうちょっと厳しく見てくれということで、3年分なんですかというふうに質問したところ、3年分ではないような、5年が3年になったのではないのか。ところが、5年分とも仰らないのです。これは長官にお伺いするのはあれかもしれませんけれども、やはり国民の血税を使うわけですから、そういう基本的な疑問というのは払拭していただきたいと思いまして、金融庁としては、りそな側からこれは一体何年分なんだというふうに説明を受けているのか伺いたいのですが。

答)

私が承知している限りでは、監査法人が将来の収益性を厳格に見て、繰延税金資産を厳格に監査したと、その結果今回の決算発表の数字になったというふうに聞いております。

問)

それは5年分のやつを厳格にしたところ5年分であれだけなのか、5年分は二期連続の課税所得の赤字だそうなんですが、税務上でも赤字だそうなんですが、そうなってくると3年分ということにしてこういう金額にまでなったのか、その辺はどういうふうに受け止めていらっしゃいますか。

答)

私が聞いている話は今申し上げた話に尽きるのですが、将来の収益見通しを踏まえながら、監査法人が厳格に監査し、りそなと監査法人で議論する中で厳格な計上になったと。その結果、今回発表のような数字になったというふうに聞いております。

問)

それ以上の詳しい報告は来ていないと。

答)

はい。

問)

先程、国の信用に頼らない経営を早期に実現して行く、これは良いことだと思うのですけれども、公的資金が入っている間というのは、国の信用に頼っていることなのかですね、主観的に経営者の人が信用に頼っていないと思うことがあれなのか、その辺はどうなのでしょうか。

答)

いずれにしても危機を未然に防止するという観点から資本増強をしているわけですから、現状、国の信用を背景にシステミックリスクを未然に防止しようとしているということは事実だと思うのです。私が申し上げたのは、他の金融機関との関係というお話がありましたから、それについてお答えしたのであります。それは、当然ですが新しい経営陣は国の信用に頼らない、当然のことながらりそなとして、経営が将来に向けて安定して行くように抜本的な経営改革を講ずるということですから、つまりその仕事の業務運営と言いますか、経営そのものが公的信用を頼りにしない経営に取り組んで行くということは当然だと思うのですね。そういうことを私は申し上げたのですが。

問)

先程の質問のやり取りの中で、銀行間競争を歪めるのではないかという質問があったのですが、それに対する長官のお答えの結論としては、銀行間競争を歪める可能性は小さいのではないかと、新しい経営陣で健全化されるからだという論理のようなのですが。これはそういう理屈で行きますと、資本的に弱いところはどんどん公的資金で面倒を見てもらうと良いという理屈にもなりかねないのですが、その辺はどうなんでしょうか。

答)

それは今申し上げたことに尽きると思うのですが、別に公的資金で健全化するということを申し上げているのではなくて、そういう信用に頼らない経営を目指して新しい経営陣が抜本的な経営改革をして行くということですから、将来に向けてそういう恐れはないとは申しませんけれども、小さいのではないかということを申し上げたわけです。

問)

今回りそなは、こういう形で公的資金が入ることによって初めてそういうことが実現できたわけですよね。

答)

ですからそれは今申し上げたように、当初資本注入するということで不安を未然に払拭するということでは確かにそうだと思うのですね。それは先程のご質問に答えた通りであります。その後の経営をどうするかということについては、今申し上げたように独り立ちを前提とした経営改革を抜本的に進めるということだから、そういう恐れは小さいのではないか、ないとは申し上げませんけれども、そういう方向での経営改革ではない、抜本的な経営改革がなされるのではないかというふうに申し上げたわけです。

問)

経営の安定するまでの期間、長官はできるだけ早くと仰られましたが、イメージとしては何年ぐらいなのでしょうか。3年とか、5年とか、あるいは数十年とかですね。

答)

それも先程申し上げたようにですね、新しい経営陣が決まって、新しいビジネスモデルを徹底的にお考えになって、それに基づく厳しい経営健全化計画をお作りになると思うのですね。そういう中で、どういうふうになってくるか、それをよく見て考える必要があると思いますが、とにかく考え方として、当然できるだけ早く一層の経営の安定化、あるいは健全化を目指して努力されることになるということを申し上げているので、そう厳密に何年ということを申し上げているわけではない。それはなかなか現時点でお答えするのは難しいと思います。

問)

それに関連して、今回の措置の出口と言いますか、株、何がしか伝えられる2兆円規模で買えば相当の量の株を持つことになるのですけれども、それを例えば少しずつ売却するとかですね、市場で売却するとかですね、あるいはどこか第三者の引受手を探すとかですね、出口についてはどういうイメージをお持ちなのですか。

答)

それは今、現時点ではいろいろな出口があるだろうということを、どういう選択肢も排除するわけでもないし、特段具体的なイメージがあるわけでもないのです。一日も早く経営の安定が図られる中で、そういった点についても議論を詰めて行きたいというふうに思いますが、現時点で具体的な出口を想定しているわけではないです。

(以上)

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