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高木金融庁長官記者会見の概要

(平成15年6月2日(月)17時03分~17時19分)

【質疑応答】

問)

長官から何かございますか。

答)

特にないです。

問)

先週の金曜日にりそなグループへの公的資金注入の申請がりそな側から行われましたが、銀行側からの申請額は1兆9,600億円ということで、言われている通りほぼ2兆円ということなのですけれども、改めてこの2兆円という金額の根拠についてお尋ねしたいのですが。

答)

今仰ったように、りそな銀行からは1兆9,600億円の資本増強の申請が出されております。これは金融危機対応会議の答申でご承知のように、預金者、取引先、市場の不安を払拭する観点から、10%を十分に上回る自己資本比率の確保が必要だという意見が出されているわけであります。りそなはこのような対応会議の答申を踏まえて、いわゆる地域銀行の自己資本比率の高い銀行並みの水準となるように1兆9,600億円を申請して来たというふうに承知いたしております。

金融庁としては今後、審査を進めて決定するわけでございますから、金融庁として現段階でこれについて確たることを申し上げるということは控えさせていただきたいと思います。繰り返しになりますけれども、りそなは対応会議の答申を踏まえて、こういう金額の申請をして来たということだと理解いたしております。

問)

注入額については、その過程において繰延税金資産については、ある監査法人がゼロ査定だったとか、ないしはりそなの決算を巡ってりそなと金融庁幹部のお話が国会でも出ましたけれども、監査法人に対してある程度の圧力的なものがあったのではないかというようなことも言われております。

一般の国民の中には税金を投入するのであるから、あまりにも巨額過ぎるのではないかと、無駄使いではないかというような指摘もあるようなのですが、りそなの資産の再査定についての必要性についてどのようにお考えなのでしょうか。仮に必要ないというのであれば、その理由もお尋ねしたいのですけれども。

答)

今いろいろお話がございましたけれども、監査法人は厳正に監査をしたのだというふうに理解しております。それから、金融庁が監査法人に何か圧力をかけたということは一切ないというふうに思っております。

今ご指摘の話ですが、これはもう大臣も国会で何度もご答弁されておりますが、その通りだというふうに思っております。そもそも預金保険法102条は金融危機を回避するための制度でございます。従いましてその運用に当たりましては、その時点で得られる最も確実性の高い情報に基づいて迅速に対応して行くということが求められているわけであります。

他方で、本件りそなにつきましては、ご承知のように通年・専担検査の枠組みの下で毎年検査が行われております。また、特別検査も実施されております。それからDCFによる引当の厳格化と言いますか、そういうことも行われているわけで、こういった施策が15年3月期に反映されていると、まず理解をしております。

それから今も申し上げましたけれども、監査法人が監査ルールに則って厳正にそれを監査もしているということであります。また金融庁としては、罰則で担保されております銀行法24条で報告を徴求して、内容を確認もしているということで、102条の発動については今申し上げたようなことで判断したということであります。

ただ、資産査定というのは大変重要でございますから、今コンプライアンスを中心とした検査にも入っておりますし、また通年・専担検査で今後も引き続き検査をやって行くわけでございますから、そういう中でしっかり検査をし、資産の内容についてもしっかり見て行きたいというふうに考えております。

問)

ということは、再査定を行う考えについてはあるというふうに理解してよろしいのでしょうか。

答)

102条の発動について言えば、今申し上げたようなことですね。それでその後、資産の内容についてはもちろん大切ですから、これは大臣が国会でも何度も答弁しておりますように、今申し上げた検査の枠組みの中でしっかり検査はして行きたいということであります。

問)

これも先週の金曜日ですが、生命保険各社が3月期決算を発表いたしました。その中で予定利率の引下げに関しては、主要生保全社が「うちは必要ない」と、「うちはやらない」というようなことで全面否定されたわけですけれども、こうした中でも予定利率引下げの法案を国会に提出するというのはどういうことなのでしょうか。改めて長官のご見解をお願いします。

答)

生保につきましては、ご承知のように保有契約高の減少だとか、株価の大幅な下落という状況に加えて、超低金利が継続して大幅な逆ざやを抱えているということで、厳しい経営環境にあるわけであります。今回の法案でございますが、こういう厳しい状況への対応として、対応の選択肢の一つとして制度を整備するというものであります。この制度が利用されるかどうかということは、生保及び保険契約者の方々の自主的な判断によるということであります。そういう意味で、制度整備をする。保険契約者の方々等が適切にその制度を利用するかどうかは今後、将来に向けて判断されて行くというものだというふうに理解しております。

問)

生保の決算では各社とも制度の必要性については、契約者の利益に資するものであれば、その制度そのものの存在は否定しないということだったのですけれども、金融庁も制度導入においては、つまり破綻してしまうよりも契約者にとっては引下げの方が、平たく言えばましなのだということだと思うのですけれども、本当に引下げの方が破綻よりもましなのでしょうか。これは全契約者にとってそういうふうに言えるのでしょうか。その辺についてお願いします。

答)

その時々の、かつ個々の保険会社の中身によっていろいろ違って来ると思うのですね。要はこの制度と言いますのは、そういう状況について保険契約者の方々にきちっとご理解をいただいた上で、そういう方々がどちらが良いかご判断されるという制度ですから、そういう意味で制度を利用される時には、そういう的確な、適正なご判断の下に利用がなされるというふうに理解しております。

問)

りそなへの公的資金注入や生保の予定利率引下げというのは、今、金融の議論が絶えないわけですけれども、こうした現状を踏まえて長官は現在の我が国の金融システムの現状について、改めてどういうふうにお考えなのでしょうか。竹中大臣はかつて、厳しい病の中にあるというようなことも仰ったようですけれども、現状の金融システムについてのお考えをお願いします。

答)

これも恐縮なのですが、大臣が最近も国会でご答弁されている通りだと思っております。今の金融というのは資金調達だとか預金の払い戻しが今すぐ困難になるとか、そういった危機的な状況にあるという認識はないわけですけれども、他方で決して健康体ではないと。そういうことで「金融再生プログラム」を始めとして、いろいろ金融システムの改善に取り組んで来ていると、あるいは制度整備に努めているということであります。ですから、今仰った保険の予定利率の問題にしてもそういった制度整備の一環だというふうに思います。

またその金融システムそのものについて申し上げますと、一番大きな課題は不良債権処理でありますけれども、それにつきましても「金融再生プログラム」に沿って改善に取り組んでいるということで、この15年3月期決算では不良債権比率は7.2%という水準ですから、下半期で0.9%低下をいたしております。ご承知のような、16年度末までに不良債権比率を半分程度にするという目標に沿って、順調に成果が現れつつあるというふうに思っております。そういうことで、今の金融システムの状況に対して引き続き最大限の健全化に向けた努力をして行きたいというふうに思っております。

問)

確認なのですが、資産の再査定は長官の話を総括すると、特別に新しいことをあるいは特別なことをしないということですか。ですから通常の検査で良いということでしょうか。

答)

特別支援について言えば、通常と言いますかコンプライアンス検査にも入っておりますし、それから経営監視チームもあるわけですね。そこには検査官も入っておりますけれども、そういう意味で特別支援金融機関の経営監視という意味でしっかりやって行きたいと思いますし、徹底的な検査という意味では通年・専担検査の下でしっかり検査をしたいということであります。

問)

金融庁から圧力は一切ないと仰ったのですけれども、いくつかの報道で出ていますけれども、その報道について何か措置、あるいは訂正を求めるおつもりでしょうか。

答)

今、私自身が申し上げたことに尽きると思いますけれども。

問)

特に報道が間違っていることについて何か抗議とか・・・。

答)

これは抗議と言いますか、事実関係についてご説明を申し上げた新聞社もあります。いずれにしてもそういう誤解がないようにきちっとご説明をして行きたいというふうに思っています。

問)

監査法人が1つ、繰延税金資産をゼロ査定されたという報道がありますけれども、これについて何か報告などは受けていらっしゃるのですか。

答)

監査について、いろいろ個別の事案についての経緯等については、私共としてコメントする立場にはないというふうに思います。いずれにしてもりそなの監査法人である、ご承知の監査法人がきちっと監査をして監査証明を出されているということだと思います。

問)

監査法人というと、単数ですか。複数形ではないですよね。

答)

いずれにしても監査契約を結んで監査証明を出している監査法人が、きちっと監査をしているということです。

問)

前は2つありましたが。

答)

いずれにしてもそれは経緯等は必ずしも詳細に把握はしておりませんし、またその個々の監査の中身について金融庁がコメントすることは望ましくないと思いますから、コメントは差し控えさせていただきたいというふうに思います。いずれにしても監査契約を結んでいる監査法人がきちっと監査をされて結論を出されたというふうに理解をしております。

問)

郵便局で投信を販売するということなのですが、これに対して民間金融機関は民業圧迫だと反発しているようですけれども、この販売の方針について長官のお考えをお聞かせ下さい。

答)

郵政公社の業務の範囲と言いますのは、民業の補完とかいろいろ観点があるのだと思いますけれども、そういう点を踏まえて、いわゆる日本郵政公社法で限定列挙されているわけですね。その業務の拡大については、ちょっと日付は忘れましたけれども、関係閣僚等会議でも議論がなされたわけであります。確か民間との役割分担も踏まえながら総合的に検討して行く必要があるということだったというふうに思います。ですから本件問題については、そういう関係閣僚等会議、会合のそういう結論に従って検討がなされるべきものだというふうに思います。

(以上)

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