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高木金融庁長官記者会見の概要

(平成15年12月22日(月)17時31分~17時46分)

【質疑応答】

問)

来年度予算につきまして、110人の人員増強が決まりましたけれども、これについてのご所見をまずお願いします。

答)

私ども金融庁の機構・定員につきましては、ご承知だと思いますが、より強固な金融システムの構築、それから証券市場の構造改革の推進といった「経済財政運営と構造改革に関する基本方針2003」に盛り込まれた内容を実現するために必要な体制整備をお願いしてきたわけです。それにつきまして、財政当局等のご理解が得られて110名の増員が認められたというふうに受け止めております。これが実現すれば、我々はその強化された体制の下で金融行政にしっかり取り組んでいきたいというふうに思っております。

問)

一部報道で、銀行での保険窓販について来年以降全面解禁に踏み切るという判断が固まっているというような報道がありますが、それについてご所見をお願いします。

答)

保険商品の銀行窓販の更なる拡大ということにつきましては、総合規制改革会議の規制改革推進3カ年計画で15年度中に結論を得て措置するというふうにされているわけであります。そういうことで、これまで事務局レベルで、各方面からいろいろご意見を聞いてきております。今その議論を整理しているという状況にございます。最終的には、金融審の第二部会の下に設置されております、保険の基本問題に関するワーキンググループで、年明けにもご検討をいただくことを予定しております。そういう状況ですから、今の時点で何か具体的な方針を決めているというわけではなくて、これから年度末にかけてしっかり議論していきたいというふうに思っております。

問)

繰延税金資産の3点セット、税制大綱への盛り込みが見送られましたが、今後の対処について長官のご所見をお願いします。

答)

与党の税制改正大綱で、いわゆる3点セットにつきましては、引続き検討すると、検討事項とされたわけです。繰延税金資産と言いますか、不良債権処理に関する税制について、その必要性というのは、我々は強く意識しておりますので、税制改正大綱も踏まえながら、引続き検討していきたいというふうに思っております。

問)

足利銀行の残りの経営陣、役員と言うか、取締役の選任の進行状況について、あるいはその選任の目処についてお聞かせください。

答)

前から申し上げていますように、地元経済に明るい方とか、それから法律に詳しい方とか、という切り口で今いろいろ検討しております。できるだけ早く選任したいというふうに思っておりますが、今時点で具体的な日程とか人選を申し上げられる段階にはまだ至っていないという状況であります。

問)

目標としては年内ということで。

答)

できるだけ早くというふうに思っております。

問)

非常に細かい関連なのですが、役所は御用納めが26日ですけれども、銀行の営業は30日まで行われるのですが、26日以降30日の間も、こと足利銀行の人事については、決まれば即発表ということでしょうか。

答)

今申し上げましたように、年内かあるいは年を越えるのか、とにかくできるだけ早くというふうに思っております。それで決まれば、それは新しい経営陣でできるだけ早くしっかりした経営をしていただいたほうがいいわけですから、とにかくできるだけ早く選任して公表したいというふうに思っております。

問)

実務的には26日を過ぎても、いつでも可能ということでよろしいのでしょうか。

答)

当然ですけれども、何か26日を過ぎたら選任できないというふうな問題は、私はないではないかと思いますけれども、そういう具体的な日程を今、念頭にあるわけでもなくて、とにかくできるだけ早く適切な人選をしたいというふうに今考えているところです。

問)

本日、今年最後の会見ということで、ちょっとこの1年を振り返っていただいて、いろいろな事、りそなや足利などいろいろな事があったと思うのですけれども、どういった1年だったというように思われているのか。もしくは、そうやって今まで処理されてきた案件の中でご印象に残られたような点があれば、ご紹介いただけますでしょうか。

答)

一言で申し上げますと、昨年の金融再生プログラムを受けて、その具体的な施策をしっかり実施してきた1年だったというふうに思います。再生プログラムに則って、不良債権問題をはじめ着実に金融行政、金融が良くなってきていると言いますか、諸施策の着実な実施ができた1年だったのではないかというふうに思っております。

問)

先程、中小企業向け融資の検査マニュアル別冊の改訂が発表になったのですけれども、相手の実態に応じてきめ細かく判断するという内容だったと思うのですが、非常に根本的なことなのですけれども、相手の中身をこれまで注意深く見てこれなかったのは金融機関側なのかそれとも検査側が良く把握できなかったのか、それとも両方そういう面があったのか。なぜそういう検査マニュアルをやらなければいけないのか、そもそも論になるのですけれどもこの点についてお伺いしたいのですが。

答)

ちょっと難しいご質問でありますけれども、検査はですね、中小零細企業を含めてできるだけのチェックはしていると思うのですが、逐一細かくチェックするというよりはむしろそういうことの銀行内の管理体制と言いますか、そういうものがいかにしっかりしているか、そういうものの検査が重要だと思うのですね。そういう意味で今回の改訂版は銀行の債務者に対する取り組みと言いますか、指導と言いますか、サポートと言いますか、そういう体制等を踏まえ、そういう体制等をチェックしてより実態に即した債務者区分がなされているかということがチェックできるような仕組みを、より一層導入したのだと思います。これによって債務者の実態に即した適切な債務者区分が一層なされるようになるのだというふうに理解しております。

問)

ということはこれまでよりも債務者区分の適正性で、金融機関によって差がつくというか取り組みの度合いによる大きさと言うか、取り組みの度合いの熱心さがどうかということとかが問われてくるというふうに考えてよろしいのでしょうか。

答)

いずれにしても今、特に地域金融機関ですが、アクションプログラムに則って地域金融の健全化に今一生懸命取り組んでいるわけですが、そういう取り組みを一層促すと同時にそういう真剣な取り組みを踏まえた適切な検査をしていくというふうに一層進化して来ているのではないかというふうに思います。

問)

すみません確認なのですけれども、先程出ました保険の関係なのですけれども、これから金融審議会で議論されていくということなのですが、やはり原則自由というか解禁といったことも今後の選択肢の一つとして緩和論を考えていくことになるのでしょうか。

答)

何が選択肢であって何が選択肢でないというふうに、今の時点で限定しているわけではなくて、広く先程申し上げたような場で、あるいはいろいろなご意見を伺いながら広く検討していきたいというふうに思っております。

問)

一方で証券取引法の第65条も、これは証券分野、非常に難しい所なのですけれども、証券仲介業を金融機関に認可制で解禁していくという、そういった方向性も非常に色濃く見えてきたのですけれども、これはやはり大手銀行等、不良債権問題も先程仰られたように金融再生プログラムのおかげでようやく峠を越えつつあると。将来的にはグローバル競争も近づいてくるわけですけれども、それに備えて銀行のビジネスのフィールドを欧米諸国とも互角にできるように整備しなければいけないと、そういう問題意識はございますでしょうか。

答)

例えば今お話のあった証券仲介業ということになりますと、銀行を中心に考えているということではなくて、証券市場の構造改革と言いますか、貯蓄から投資へ向けて広く個人投資家を含めいろいろな投資家に参入していただくという観点から、どういう施策を講ずる必要があるかということを中心に検討しているということであります。ですから保険ももちろん、やはり同様の観点が主眼だと思います。反射的にそれを扱うことによる利益というのはあるかもわかりませんけれども、あくまで銀行への対応は銀行への対応として金融再生プログラムで、主として銀行を対象とした施策はそれはそれでそういう観点から再生プログラムでいろいろ取りまとめているわけですね。今申し上げたような証券仲介業とか、そういったことはまた別の観点が中心に議論されていて、その関係で弊害防止とか何かの問題がないかとかいうことだと思います。

問)

証券についてはすごく良く分かったのですが、保険についてはですね、これまでの業際問題よりも個人投資家を市場に呼び込んで活性化するのが大事だというのが証券改革の主眼だと思うのですけれども、保険の方は業際問題のように優位性のある規制緩和の問題設定というのは何があるのでしょうか。

答)

業際と言いますか、そういうことではなくて、保険についても保険契約者の利便もあると思いますね。それからいろいろな方が競争することによって、今申し上げた保険契約者の利便も上がりますし、あるいは保険商品についても結局はより良い商品が提供されていくことがあるという観点を踏まえながら検討しているのだというふうに思います。

問)

業際問題というのは長い間ずっと日本の金融制度改革に付いてきた問題なのですけれども、もう今年、そして来年にかけてですね、かなりのスピードで最後、最後ではありませんけれども業際のくびきというのが取り払われていく動きが出ているように思うのですけれども、これは何故なのでしょうか。

答)

業際と言いますか、私の理解で今までの議論は、例えばある人が保険商品を扱う、例えば銀行が扱う場合にですね、それによるいろいろ弊害があるのではないかということで議論がなされてきたのだと思います。表現が良いか悪いかはともかく、その融資先に金融機関が、ちょっと会見で申し上げる単語としてどうかとは思いますけれども、いわゆる圧力販売とか言われているようですけれども、そういったいろいろな問題があるのではないかというご意見があって、そういう弊害等も踏まえながら今までも検討がなされてきたのだと思います。

ですから先程申し上げたようなメリットもあるし、そういうデメリットもあるかも分かりません。あるいはそれを防ぐための何か方策があるかとか、そういった点も含めて広く検討して結論を出していくべき話だというふうに思います。

(以上)

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