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高木金融庁長官記者会見の概要

(平成16年3月8日(月)17時01分~17時14分)

【質疑応答】

問)

長官の方から何かございますでしょうか。

答)

特にございません。

問)

先週末に法案が出されました証券取引法の改正案についてなのですけれども、この法案のポイントをまずお聞かせください。それと、それに関係して銀行の証券仲介業参入について登録制が導入されましたけれども、これについては証券業界から一部反発するような意見もあるようですけれども、この辺りについての所感をお聞かせください。

答)

まず一点目の証取法改正法案のポイントでございますが、御承知のように我が国証券市場につきましては、間接金融から直接金融に向けて個人投資家の市場参加を促進するといった証券市場の構造改革が喫緊の課題となっております。こうした観点から、昨年金融審で色々御議論をいただいたわけでございます。それでその結果として、12月に報告書をいただいております。今回の法案はその報告書を踏まえて作成したというものでございます。ポイントと言いますか、主な内容としては、銀行等による証券仲介業務の解禁だとか、市場監視機能・体制の強化、例えば課徴金制度の導入だとか、監視委員会の検査範囲の拡大等がこれに含まれております。それから投資事業有限責任組合といった組合型のファンドへの、投資家の保護範囲をそういったものに拡大していくとか、証券会社が顧客から注文を受けた場合にその執行につきまして最良執行義務を義務付けるとか、そういったものを内容としております。

この法案につきましては、機会を改めて、事務局の方からよく御説明を申し上げる機会を設けたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

それから銀行の証券仲介業への参入についてでございますが、これにつきましては昨年の金融審の報告では、弊害防止の観点から認可制とするというお話をいただいております。これを受けまして法案化を検討する中で、当局として色々検討したわけでございますけれども、最近の規制緩和の流れだとかあるいは事前チェック型から事後チェック型にという行政手法の転換等の流れを色々考慮いたしまして、最終的には登録制にしたというものでございます。その際、弊害防止措置につきましては法令に禁止行為をしっかり規定し、それを基に行政当局としてきちっと対応していくという仕組みを導入いたしております。従いまして、事前チェックか事後チェックかという違いはございますけれども、弊害防止という観点から、大枠その金融審の報告に沿った内容になっているというふうに考えております。

問)

公的資金の注入を受けた銀行の一部ですが、返済をするような動きが見られますが、これについてどう受け止めていらっしゃるのかをお聞かせください。

答)

個別の金融機関について今御指摘のお話が幾つか報道されているようでございますけれども、個別の金融機関につきましては大変恐縮ですけれどもコメントを差し控えさせていただきたいと思います。

ただ、一般論として申し上げますと、公的資金の返済はまずは経営判断の問題として当該金融機関がしっかり考える話だというふうに思います。当局といたしましては、自己資本だとかあるいは国民負担とか、そういった面で問題がなく、そういう公的資金の一部を返済したいということであれば、それは健全化の進展であるという見方もできるわけで、基本的には評価できる動きではないかというふうに考えております。

問)

郵政公社の投信の窓口販売に関する法案なのですけれども、法律の提出が難しくなったというふうに報じられているのですが、これに関して金融庁が難色を示しているというような報道もあるのですけれども、この法案整備について長官のお考えを伺いたいと思います。

答)

郵政公社の問題につきましては、御承知のように、その民営化について今経済財政諮問会議で議論がなされております。それで春には中間報告が確かあって、秋頃には基本方針を取りまとめるということで幅広い議論がなされているというふうに思います。郵政公社の業務範囲につきましては、公社化する時に、公的な信用を背景にしている等々色々な事情を勘案したのだと思いますが、その業務範囲について法律で法定をされております。この法律を変えて業務範囲を拡大するということであれば、それは今、経済財政諮問会議でまさに民営化について議論がなされているわけですから、「金融庁としての考え方は」と問われますと、やはりそこでの議論を踏まえて投信の窓販も考える必要があるのではないかというのが我々の考え方でございます。そういうことで事務レベルでも今総務省と色々議論をしているという状況にございます。

問)

郵政の民営化を巡る議論の中で、郵便局のネットワークを活用して新たな収益源を構築できないかと、例えば行政のサービスであるとか物販をやるとかそういう議論もありますけれども、これは民間の既存の金融機関とのイコール・フッティングの観点から、こういった議論について長官はどのように見ていらっしゃいますでしょうか。

答)

私は経済財政諮問会議のその場にいるわけでもありませんので、そこの議論はよく承知していないわけであります。ですから今お話のような点も含めて、経済財政諮問会議で幅広く議論がなされていくのだと思います。金融庁としてはそういう議論をよく注視していきたいというふうに思っております。

問)

証券取引所のですね、亡くなられた土田さんの後任についての人事で、要するに民間の人とか、生え抜きの人が選ばれて、旧大蔵省の人ではないという報道がなされてますけれども、現段階での長官のお考えを。

答)

取引所の役員人事につきましては、取引所の組織としてと言いますか、株主を含めてですね、関係者でお決めになることだと思います。そういうことで、当庁としてコメントは差し控えさせていただきたいと思います。

東証の方からもお話を聞いているようでございますけれども、そのお話によると、東証の方の指名・報酬委員会ですか、そういうところで色々意見交換をしている状況だと聞いております。

問)

最初に証券仲介業のお話があって、事後チェック型の行政の転換ということから、認可制と言われていたのが登録制になったという話ですけれども、この一つの判断というのは、今後、保険の窓販と言いますか、販売ですね、銀行での販売の解禁を巡る弊害防止措置、こちらの議論には何らかの影響を与えるでしょうか。

答)

基本的な流れと言いますか、考え方として、規制緩和とか、あるいは事後チェック型への転換というのは基本的な考え方だと思います。しかし、どういう弊害があるのか、それがどういうふうに防止できるのか、そういった実質面で色々議論してですね、個々の問題につきましては、そういった議論を経た上でどうするかというのが決まってくるのだと思います。ですから、一般論として申し上げることは難しいと思います。個々の問題について、色々議論した上でどういう仕組みとするかという具体的に考えていく必要があると思います。

問)

自民党は、今回の証取法関係だけではなくて、認可制というのはバッサバッサと登録制に切り替えていくようなですね、そういう流れがあるようですけれども、別に保険で認可制やるという議論もそもそもないわけですけれども、なかなか事前チェック型というのは導入しづらい空気になっているということはないですか。

答)

やはり今申し上げましたように、個々の問題にもよると思います。いずれにしても保険の問題につきましては、今、保険WGの方で幅広くご検討いただいている状況ですから、その議論をよく踏まえて考えていきたいと思っています。

問)

その関連で、銀行に対してワンストップ・ショッピングをさせんがために優遇しているのではないかという声がくすぶっていますけれども、証券業界とか、あるいは保険業界。これについて長官の御見解を改めてお聞かせ下さい。

答)

その利便性の観点からワンストップ・サービスと言いますか、それは一つの考え方だと思います。

しかしこれは、銀行に限っての議論ではないと思います。一般論として、広くそういうサービスの提供の仕方というのは、一つの議論の視点だと思います。ですから、それを銀行についてだけ議論をするという性格のものではないと思います。

問)

カネボウの件ですが、産業再生機構の支援を含む経営再建策が近々まとまるような報道もなされてます。資金調達に関してですね、かなりメインバンク以外、地域金融機関を含めて幅広く調達しているようでけれども、金融機関の経営に対する影響みたいなものは、今どのように考えていらっしゃいますか。

答)

これは、再生機構を活用した再生と言いますか、検討につきましては、再生機構の方で検討がなされております。

我々の方は必ずしも承知もしておりませんし、コメントするのも適当ではないと思います。

問)

先程の保険の窓販の件ですが、証券仲介を法案審議の過程であのようになったわけですけれども、保険の方は現時点で法改正による対応が必要だとお考えになっておられるのでしょうか、それともそこまでは必要ないとお考えになっておられるのでしょうか。

答)

これもですね、その形式論の議論の前に、中身の議論だと思うのですね。その中身によって形式論は結果として決まってくるのだと思います。

今、実質的にどうすべきかということについて、保険WGで色々御議論されているわけですし、行政としても幅広く、そういう議論を踏まえながら検討していきたいと考えています。

(以上)

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