高木金融庁長官記者会見の概要

(平成16年5月10日(月)17時01分~17時15分)

【質疑応答】

問)

大口与信管理態勢検査について、改めてになりますけれども、狙いはどういうところにあるのか、それから、通常検査、特別検査との違いについて教えてください。それと、これに関連する部分があるかと思いますので、改めて伺いますが、事後チェック型の行政手法ということを掲げているのに逆行する過剰検査ではないかとの批判が一部に出ているように聞きますけれども、こういった批判に対してどのような見解をお持ちか教えてください。

答)

まず、最初のほうの狙いということでございますが、これは既に御説明していると思うのですが、特別検査の結果だとか、それに併せて行われました再建計画の検証結果、また、その結果を受けて銀行法24条に基づく報告徴求をやっているわけですが、それに対するヒアリング等を通じて、大口与信管理態勢が十分でないと認識されるに至った金融機関について、そういう大口与信管理態勢にポイントを絞った検査を行うということであります。したがいまして、通常検査、特別検査との違いということですが、まさにそういう大口与信管理態勢にポイントを絞ってタイミングよく検証を行うということが違うというふうに思います。

それから、事後チェック型の行政手法に反するのではないかというお話でございますけれども、今、その事後チェック型、それから、自己査定を重視していくと言いますか、事後チェック、自己査定中心と言いますか、そういう基本的な枠組みの中で、本件の検査と言いますのは、いわば大口与信管理態勢、そういう態勢についてチェックするということですから、むしろ、自己査定、事後チェックの行政に則した検査だというふうに思います。

もう一回御説明すると、自己査定、事後チェック型行政というのはいわば計数的には事後的にチェックするわけです。ただ、そういう枠組みの中で態勢面についてはその時々にきちっとチェックしていくということが検査においては大変重要になってくるということであります。この本件検査はまさにそういう大口与信管理態勢についてチェックするということでありますから、事後チェック、自己査定ですか、そういった枠組みに沿った検査手法であるというふうに理解しております。

問)

もう一点も同じこの検査のことで伺いますが、検査対象の金融機関はどこか、非公開になるということなのですけれども、検査マニュアルがないというお話がありました。そうしますと実施要領等についてでも公表すべきではないかという意見もありますけれども、これについてのお考えはいかがでしょうか。

答)

これも繰り返しになって恐縮なのですけれども、大口与信管理態勢検査はあくまでも与信管理態勢に関する検証を行うというものであります。そのためにどういう検査・検証項目等があるかということにつきましては、今ある検査マニュアルで色々検証項目が明示されているということでありますから、新たな検査マニュアル等が必要ということではないというふうに思います。

問)

事後チェック、自己査定に沿ったものというのは分かりましたけれども、それはそうかもしれませんが、いずれにしても通検、特検それから大口与信管理態勢検査という今の検査の状況は普通ではないと思うのですが、これは要するに集中調整期間の最終年度で、この年度末にかけてに限った異例の措置という整理でよろしいのでしょうか。

答)

この年度に限った異例の措置ということまで今、決めているわけではないのです。いずれにしても通常検査が入っているときであれば、それと並行して同時に大口与信管理態勢検査もなされるということになると思うのです。タイミングがずれている場合に、まさに今、仰ったように特別検査等があって、それで管理態勢が必ずしも十分でないというものについて、それで今、集中調整期間ということで、金融システムの安定化が急がれる状況の中で、タイミングよく大口与信管理態勢について検証していくということであります。

問)

通年専担検査というものが一つあって、その他にも与信管理の項目があって、それから大口与信の管理は大事と当局の人も思ってたし、だから、特別検査も、もう3回もやっているわけですよね。ですから、通常の検査の専担検査の時も、特に大口与信管理態勢の中でも、特に大口先を注意深く見てこられたのではないかと思うのですけれども、その上で改めて今回、別途、こういうラインナップを揃えて、検査をやると仰られたのは、それ相応のマンパワーを増やすためにそういう整理の形をしたのか、あるいは、これまでの通年専担検査では、何らかの不足感があったということなのでしょうか。その辺をちょっと教えていただきたいのですが。

答)

通年専担検査という、そういう枠組みで今検査を行っているわけですけれども、例えば、今主要行について言えば、色々グループを形成しているわけですね。それぞれを検査していて、通年的に検査は行っていますけれども、特定のそのグループの中の特定の金融機関に一年間ずっと張り付いているわけではないのですね、グループ全体を一年を通じて検査していっているということなのですね。別途、特別検査を行ってですね、大口与信管理態勢が十分でないという認識を持つに至った金融機関があった場合にはですね、次の通年通常検査が入るというまで待つのではなくて、そこにポイントを絞った検査をタイミングよく、大口与信管理態勢にポイントを絞った検査をタイムリーに実施していくということですから、言わば今までの検査体制を更に補完していくという検査だというふうに理解しておりますけれども。

問)

同じような切り口の大口与信の管理態勢のチェックというのは、過去一年、あるいはその前の、これまでの通年専担検査の一部には入っていたのでしょうか、その部分。

答)

通年専担検査、通常検査の中であっても、先程も申し上げたと思いますけれども、与信管理態勢のチェックというのは大変重要な検証項目でありますから、通常検査でもその辺は検査マニュアルに従ってしっかり検証がなされているということであります。ただし、その後、例えば特別検査があって、色々検証した結果、大口与信管理態勢が十分でないのではないかという認識があれば、それはそれでその態勢にポイントを絞って、タイムリーに、効率的にチェックをしていくという検査を新たに導入したということであります。

問)

今までも通年専担検査とかその一環で、色々指摘はしてきたのだけれども、口酸っぱく言ってきたけれども、今回特別検査行ってみたら、やっぱりズボズボが直っていないということでやっぱり行おうと、こういう流れでよろしいですか。今までも言ってきて指摘はしてるのだけれども、直っていないと。

答)

検査ですから、例えば通常検査も一回行えば良いと、それで完全に直ってしまうと言いますか、その都度しっかり検査・監督両局がしっかり是正するように努力はしているわけですけれども、いろいろ債務者の状況なり、何なり色々変わってくる中で、管理についても更に変わっていかなければいけない面もあると思うのですね、例えば申し上げますと。そういったことを債務者区分について特別検査で検証する中で、管理態勢に問題があって、適切な対応が現状ではなされていない恐れがあるという部分について、そこにポイントを絞って、タイムリーに検証していくということだと思うのです。やはり、簡単に言いますと、金融環境も色々、債務者を取り巻く状況も随分刻々と変わっていますから、それに応じて管理態勢もより適切なものになっていかなければいけないと思うのですね。そういうものにしっかりきちっとした対応がなされているかどうか、そこに問題があるとすれば、それをしっかりタイムリーにチェックしていく必要があるということだと思うのです。

問)

重ね重ね恐縮ですが、去年もその8月に一部メガは通常検査が始まっているわけでした。だから、今回も8月に始まるのですが、8月では遅くて、タイムリーと長官仰るのは、8月では遅い、今始めることに意味がある、こういうことですか。

答)

御承知のような金融の状況の中で、「金融再生プログラム」を作り、集中的に16年度までの間、金融の健全化に一生懸命取組んでいると、そういう中で、やはり問題点を把握すれば、行政としてタイムリーに適切に対応していくということが必要だと思うのですね。そういう観点から、今回、大口与信管理態勢検査を導入すると、これはあくまでも繰り返しになりますけれども、現在の状況の中での大口与信管理態勢にポイントを絞ってチェックしていくというものであります。

問)

何もこれまでの特別検査で問題がなければ、そういう発想になりにくい話だと思うのですけれども、個別にどこということではないにしろ、この間の特別検査で色々問題が散見された、あるいは対処できない問題が見つかったということの認識を背景にしているという理解でよろしいのでしょうか。

答)

もちろん特別検査で債務者区分が変ったりしていることは事実なのですね、それはもう毎回そうなのですけれども、そういう状況を踏まえて、こういうワンポイントチェック検査のような、焦点を絞った検査ももっと早く導入した方が良かったのかも分かりません。ただいずれにしても、集中調整期間、17年の3月末に不良債権比率を半減するという目標に向かって今集中的に取組んでいるわけですから、そういう状況の中でそれをしっかりやり遂げるという観点から、新しいこういう検査制度を導入して、行政として更にしっかり取組んでいこうということであります。

(以上)

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