五味金融庁長官記者会見の概要

(平成16年8月2日(月)17時03分~17時16分)

【質疑応答】

問)

UFJの経営統合についてなのですけれども、三菱東京に続いて三井住友も名乗りを上げている形になっておりまして、司法判断によっては決着に時間がかかりそうな雰囲気もあるのですけれども、こういう状況について懸念ありやなしや等、御所見をお伺いしたいと思います。

答)

何度も同じことで恐縮ですが、個別の銀行間でのお話し合いに関わる、経営判断に関わることでございますからコメントは差し控える必要があると思います。また、司法判断に関わるそういう係争中のお話もあるということであればなおのことコメントは控える必要があると思います。そうした司法上の手続も含めて当事者同士で解決されるべき問題でありますので私どもとしては今後の推移について注意して見守るという立場でございます。

問)

郵政民営化についてお伺いします。先週の諮問会議で民間議員の方から「郵貯、簡保についてはユニバーサルサービスについて義務付けない」というような御提案がありましたけれども、民間金融機関とのイコールフッティングの観点からして、この案についてどのように思われているか御所見をお願いします。

答)

郵政民営化に関しては、経済財政諮問会議で具体的なビジネスモデルや組織のあり方などを検討して今年の秋頃に基本方針が取りまとめられるということだと承知をしています。金融庁では民間金融機関との競争条件、或いは金融資本市場への影響、こういった金融行政上の観点も踏まえながら幅広く検討が行われることが必要だというふうに考えております。今後とも諮問会議における議論を注視をするということ、同時に秋頃に取りまとめられると言われております民営化の基本方針を踏まえた適切な対応をするということでございます。

問)

今話の出た三井住友の件の前に、先週UFJの改善計画の提出と銀行側の公表というのがありましたが、この改善計画についての評価。それと検査忌避に関する改善計画については告発の判断と関係があるのかないのかということについてお話ください。

答)

改善計画についてその内容を当局としてコメントをするというのは控えたほうがよろしいいと思います。UFJにおかれてはその改善計画に関して発表をしておられます。それは今回の業務改善命令を真摯に受け止める。そして提出した業務改善計画の着実な履行を行うことで、信用リスク管理を始めとする内部管理態勢等、ガバナンス体制の再構築、これを早期に実施していくというふうにされております。金融庁ではその内容のコメントということよりも、そこに掲げられました施策というのを早期且つ着実に履行していただく、そして行内の意識改革といったものも含めた経営改革の実を挙げていただくということが重要であるというふうに考えております。計画では私どもが求めておりましたことに応じて徹底した原因の究明、そしてその原因を踏まえた再発防止に向けた改善対応策、そしてその施策の実効性の確保、或いは着実な履行ということについて述べられているわけで、我々もこれは極めて重要なことだというふうに考えております。こうした改善計画によってガバナンスの改善ということについての第一歩を踏み出すためのそれなりの枠組みというのは整えられたはずでございますので、我々としては今後この改善計画にUFJ銀行が掲げた施策というのが早期且つ着実に実行される、そしてガバナンス改善の実績を上げていく、これが何より重要なことであると考えております。従って実施状況について適切なフォローアップをしていきたいと、こう考えています。

それから告発に関連しては、以前にも申し上げましたけれども幾つかの要素を総合的に勘案して検討する必要がございますが、この改善計画の提出も含めて、個別の具体的な事実がこの検討に及ぼす影響ということをコメントをいたしますと不要な憶測を招く恐れもありますので、この点のコメントは差し控えさせていただきます。いずれにせよ法令に則った対応をしてまいります。

問)

重ねてで恐縮なのですけれど、UFJの再編の件はそもそも再編の話が裁判で争いになっているということ、それからメガ同士の再編に別のメガが割って入るような格好になっているということで、非常に異例の事態であることは間違いないと思うのですけれども、この異例な事態の解決に当たって当局として仲裁も含めて一切これに関わるつもりはないという理解でよろしいのでしょうか。

答)

こうしたお話し合いは当事者同士でやっていただくのが基本であります。もしその過程において、金融システムに不安が起こるというようなおそれが生じた場合には、それを防止するために何らかの策をとらなければならなくなるということはあり得るかもしれません。しかしそうでない限りは、当局がお話し合いの方向性などについて口を挟むべきものではないと考えています。大臣も確かコメントしておられたと思いますが、時間が早くできればどんな内容でも良いというものでもないし、内容さえ良ければいくら時間がかかっても良いというものでもないと、その程度までしかコメントはできないと思います。

問)

金融機能強化法が昨日施行されました。現時点で、金融機関の間で申請に向けた動きがありやなしや。長官が感触を得ているかどうかということをお伺いしたいというのが一点と、もう一点、先週発表されました金融機能強化法のガイドラインの中に、抜本的な組織再編成の場合も業務改善命令が検討されるというようなところがありまして、3割ルールと言いますか、収益目標の3割以上下回った場合などに業務改善命令が検討されるということなのですけれど、法の趣旨を考えますと、抜本的な組織再編成の場合は結果責任は問わないということでインセンティブが働いているわけですけれども、このインセンティブが阻害されるような御懸念はないのでしょうか。

答)

まず対象となる案件について、その有無についての感触というようなお話の点ですが、これは確か前回の会見でも申し上げたと思いますが、この申請に関わる協議ということの有無ということの言及をいたしますと、いたずらに金融機関を風評リスクに晒すおそれがあるということから、これは控えさせていただく必要があるというふうに考えます。ただ、具体的にどの金融機関がということは置きましても、資本の自力調達というのが必ずしも容易ではないというような環境の下で、しかし地域金融機関としての本来の機能を持続的に果たしていくということのために、自助努力に加え公的なサポートがあった方が良いというような、こうした仕組みについては、これは地域金融機関側に潜在的なニーズはあるというふうに私は考えております。それぞれの金融機関が、自分のケースに応じた形で状況を適切に判断して、国に資本参加を求めてくるということはあり得るというふうに考えています。なお、具体的にどの金融機関から申請があったのかということは、実際に公的な資本投入を決定した段階で、その経営の強化計画を公表するという形で公表をしていくということになるというふうに考えております。

それから、組織再編を行ったケースでありましても、もちろん結果責任を求めないというのは、経営陣の退任等のこうした結果責任についてのお話でございますけれども、経営の強化計画というものをお出しになって、株主の一人である国もその計画が履行されることによる収益力の向上や金融機能の向上ということを期待しているわけでございますから、それについて十分な実績が上がらないというようなことであるならば、その原因などについて関心を持ってフォローアップしていくことは、国民に対する責務であるというふうに思います。また、結果的に改革の実績を大幅に下回るというようなことで計画を終わる場合を含めて、そういったことになった原因と程度に応じて改善を求め、国の公的なサポートの対する回収の懸念というものを払拭していただくということは必要であろうと思います。これは業務改善命令と言いますか、行政上の措置であろうとなかろうと、株主としてのガバナンスというものは当然効く話ですが、それが公的な資金によるサポートであるということとした場合、金融行政上の要請ということに応じて自ら手を挙げてきた皆様であるということを踏まえれば、こうした形での行政上の経営改善を求める行為というのは、当然行っておかなければ国民の皆様に対する御説明ができないというふうに思います。

(以上)

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