五味金融庁長官記者会見の概要

(平成17年1月24日(月)17時01分~17時22分 場所:金融庁会見室)

【質疑応答】

問)

先週発表いただいた全国銀行ベースの不良債権の残高の調査結果ですが、主要行では不良債権比率が4.7%と順調に低下しているようですが、改めまして今年3月末の政府目標の達成の見通しについて長官のお考えをお願いいたします。

答)

お話がありましたように16年9月期の不良債権比率、或いは不良債権額というのは非常に大きな低下を見せております。主要行、或いは全国銀行共に金融再生法開示債権の公表を開始いたしました11年3月期から見まして最低の水準というのを更に更新をしたという、こういう不良債権比率の状況になっています。

主要行の不良債権比率4.7%ですが、「金融再生プログラム」における目標に向けて順調な低下を示しています。全体として見ると、17年3月期における目標達成が視野に入ってきていると考えています。

地域銀行ですが、全体で見るとリレーションシップバンキングへの取組みが着実な進展を見せております。その結果として不良債権比率も全体として低下トレンドに入っているという認識でおります。今後ともこうした取組みを着実に成果が上がるよう続けるということが非常に大事だというふうに考えています。

問)

これも先週の金曜日ですが、自動車損害賠償責任保険の保険料が春から値上げになるという審議会の判断がありましたけれども、値上げ幅が圧縮されたとは言え、契約者の負担増は引続き続くわけなのですけれども、制度の問題ということもありますが、この負担増が続くということに関して長官からお話いただきたいのですが。

答)

負担増が続くということについての私の所感のようなことを申し上げるとすると、やはり制度についての経過を申し上げた上でないと分りづらいと思いますので、ちょっとお時間をいただきますが、自動車損害賠償責任保険の基準料率というのは政府の再保険制度、これが平成13年度末に廃止をされた。その廃止をされた時点までは、過去の累積運用益とか将来の運用益を先取りするとかという形で基準料率が設定されていました。要するに赤字料率になっていたということです。従って、これでは制度としての持続可能性がないという状況にあったわけです。そこで平成13年度に制度改正が行われまして、収支が均衡するように料率を設定するというやり方に変えたわけです。そうしますといきなり料率が上がりますので、そこで激変緩和措置というものをその時用意したわけです。これはその13年度の制度改正の時点でなお存在しておりました政府分の累積運用益等、これを保険料等充当交付金という形で契約者に還元できるようにするという措置を取ったわけです。どういうやり方を取ったかと言いますと、制度改正の初年度、平成14年度から16年度まで、今年度までの3ヵ年は従来の契約者の負担額の水準が変らないように、料率変更をしてもそんなに変らないようにこの保険料等充当交付金を厚めに還元をすると。この3年が経ちました後の17年度、来年度以降3年間でこの交付金額を減らしていくというやり方をとると、これによって収支均衡の料率に向けて契約者負担額を引き上げていくという激変緩和措置、6年がかりの激変緩和措置というのがこの制度改正で導入されたわけです。従いまして、このちょうど中間の3年が経ったところですので、来年度の政府予算案では交付金の減額ということが決定をされました。その結果として契約者負担額というのは来年度から増加するわけですが、これは他の条件が一定であれば11.7%という上昇幅になるというわけでございます。

ところで、自賠責保険審議会の方では基準料率をどう設定するかということについて御審議が行われているわけで、これは1月20日、21日と開かれましたが、この結果として損害率が良好に推移しているということから、保険会社の累積運用益等が当初見込みを上回っているという状況が確認をされました。従って、基準料率については、今後トータルとして緩やかな契約者負担額の上昇ということにしようという観点で、この保険会社の累積運用益等を来年度、17年度から4年間で契約者に更に還元するという形で、これは即ち基準料率の引下げが行われるということで、基準料率の引下げを行うことが適当だという答申になったわけです。そうしますと、これによって基準料率が今回6.3%引下げられる、他方で交付金の減額による上昇が11.7%ということで契約者負担額の上昇率は5.4%という幅に止めることができました。これは緩やかな契約者負担額の上昇ということになりますから、仰るようにこれから上がっていくわけですけれども、この負担額が、今申し上げたような一連の措置の経過を見ていただければ分るように、公の関与というものをなくして、しかしそうした中で自賠責保険というものが永続できる、サステナビリティの十分ある制度として運営されるように、機能するよう、そういう手法をとって、その中で契約者に一時に過大な負担がかかるというようなことがないような方策を考えたという仕組みになっているわけです。言わば、官に頼ることなく契約者の皆さんには安心を永続的に届けることができ、また不幸にして交通事故に遭われた被害者になられた方にはその補償についてこれを確保するための必要な措置が、これも永続的に取り得るようにということで、そうした本来の姿に戻っていく、その経過としてこういうことが起こっているのであって、そのことを契約者の皆さんも十分御理解をいただけたらというふうに思います。

問)

りそなグループについてなのですけれども、初めて危機対応会議を開いて公的資金注入を決めた銀行ですが、一部、少ない額らしいですが公的資金の前倒し返済をするということですが、これについて長官の御評価をいただきたいのですが。

答)

その件については、今日の朝、りそなホールディングスがプレスリリースをなさっています。内容の概略は、「りそな信託の完全子会社化に際して、一部株主については株式交換により当社株式をもって対価とさせていただく予定となっていますが、詳細については決定した事実はございません。」こういうような趣旨のプレスリリースでございました。このリリースの範囲内で私ももちろん承知をしておりますけれども、これは特定の非常に重要な経営戦略に関わるお話でございますから、私の方からその評価をコメントするというのは控えるのが適当だと考えます。

問)

それに関連してなのですけれども、金融庁が昨年末まとめた「金融改革プログラム」の中で、公的資金制度について検討対象ということで挙がっていましたけれども、これについては具体的にはどういうことを御検討されているのでしょうか。

答)

「金融改革プログラム」の中で公的資金、優先株等の公的資金の処分についての考え方の整理という項目を挙げてあります。これは公的資本増強行の優先株式等について銀行の財務の健全性の維持、或いは市場への悪影響の回避、こういったことを前提としつつも、納税者の利益という立場から、この立場により重きを置いて国民負担を回避するという、こういう観点から処分についての考え方の整理を行おうというものです。この考え方の整理に当たりましては、従来から預金保険機構の公的資金の返済、この申し出があった場合のいわゆる3原則というのがございます。市場の混乱を起こさない、銀行の健全性に悪影響をもたらさない、新たな国民負担を生じさせないといったような、概略を申しますとそういう3原則があります。これは当然考慮をするとした上で、更に金融システムを巡る状況ですとか、或いは公的資金の返済状況ですとか、こういったようなものを念頭に置いて、納税者の利益という立場により重きを置いて国民負担を回避すると、こういう視点から処分についての考え方を整理しようというもので、具体的に「工程表」の中でどんなタイミングでこういった考え方を整理していくかというようなことは明らかにしていきたいと考えています。

問)

保険商品の銀行窓口販売についてですが、一部報道で7月にも解禁するというような話しもあり、あと去年の3月末の金融審議会の答申では一年後を目途にということで、我々は4月に解禁なのかなと思っていたのですが、現状どのような見通しになっていて、今後どういうふうな形でスケジュールが動いていくとお考えでしょうか。

答)

現在その件については金融審議会の報告内容を踏まえまして、関係業界との間で具体的な内容の調整を鋭意行っております。現時点で具体的な案を申し上げられる段階にはありません。ただ主な論点となっておりますのは、例えばこの銀行窓販の弊害として指摘をされています圧力販売、これにつながるような融資先というのはどういう範囲のものなのかというようなこと、或いは先行解禁の対象となる商品はどういう範囲のものにするのかといったようなこと、こういったような点が主な論点でございます。こうした論点を中心に今後更に検討、調整を進めます。できるだけ早く結論を得たいと思います。

スケジュール感というお話では、4月というのは金融審議会の報告書では4月からということを決め打ちしているわけではなくて、例えば一年後から段階的にというような言い方でございました。4月という話しですと、これは現時点で考えますと、手続き上全く不可能というわけではないと思いますけれども、これは銀行の皆様が準備をする必要がありますから、この時点になりますと4月に先行解禁というのはちょっと難しくなってきているという認識は持っております。ただいずれにしてもできるだけ早く結論を得て、利用者の皆様の利便の問題ではありますが、同時に利用者の皆様が不測の損害を被らないようなきちんとした検討も必要だということですから、そうした点をよく睨み合わせてできるだけ早く結論を得ようと思っています。

問)

カードの偽造の件で改めて伺いたいのですけれども、捜査当局の摘発もあったことも踏まえまして、一つは予防策であり、もう一つは実際被害にあった時の救済策と言うのでしょうか、大きくこういう二本立てということだと思うのですが、それぞれについて金融庁としてどのようなことを求めていきたいのか、またどんなことが考えられるのか、今の長官の考えを伺いたいのですが。

答)

個人的な考えを述べるというよりは、こういうのはきちんと検討した上での方が良いと思います。これまでにやってきたということでは御承知の通りですけれども、防止策としては例えばATM利用限度額の引き下げ、或いはカードをICカード化する等、こういったような対応を金融機関に要請をしてきています。被害発生後の対応ということも、例えば被害届の提出から始まって適切な対応をしていただくようにということでお願いをしてきました。今後はまず防止策については銀行にも御協力いただいて偽造キャッシュカードによる被害の実態調査というのをしております。この結果を現在分析中でありますから、この結果を踏まえてより実効性のある防止策というのを速やかに検討していただけるように金融機関に要請をすることにしたい、この要請は2月中を目途に要請したいということです。具体的な要請項目というのは現在検討中ですから、ちょっとそれは待っていただきたいと思います。いずれにしても実効性のあるものでなければいけないと思っています。

それから被害発生後の損失分担については、被害発生後、例えば届出や何かについてこれまで要請はしてきていますけれども、犯罪技術の巧妙化等、事態が変化してきているということがございますから、それに的確に対応するように、そういう意味で実効性が確保できるような適切な対応策、これは重ねて銀行にも御要請をしていくということを考えています。

問)

被害対策の方ですけれども、法制化ということも言われていますけれども、現在の約款の運用の仕方次第によっても十分対応は可能だとお考えでしょうか。

答)

これは一つ一つの事案について個性がある話ですし、またそれぞれ預金者の方と銀行との契約の問題でもありますので、どうすればということを一律に当局側から中々申し上げにくいです。事案に応じて契約内容の趣旨に沿った解決を図っていただくと、こういうことしかないのだろうと思います。ただ先程触れましたけれども、この約款というのも昨日今日できたものではないわけですが、他方で偽造キャッシュカードによる被害の発生を見てみると、犯罪技術が非常に巧妙化してきている。要するに敵方は非常に進歩しているわけです。そうした中で銀行と預金者との契約の内容といったようなもの、或いは運用といったようなものが本当に実効性を確保できるようなものになっているのかどうかということは、これはきちんと実効性のあるものになるように銀行の方でも御検討いただきたいと思います。

問)

信用組合の中央組織が傘下の組合に対して資本注入のスキームを変えるということなのですけれども、民間の話しですからそれはそれで良いのですけれども、一つ気になるのは自己資本比率0%から4%までの所謂グレーゾーンと言われる組合の安易な延命につながると、これは巡り巡って我が国の金融システムの効率化というのにはマッチしないのではないかとも思われますし、そういった観点からこういうスキームをどう評価されるかというのをお聞きしたいのですが。

答)

この信用組合の中央機関であります全国信用協同組合連合会、俗に全信組連と言っておりますけれども、ここが仰るように昨年の12月に資本増強支援制度規定というのを改訂なされました。それまで単体支援を行う場合の支援対象組合を自己資本比率4%以上6%未満としておりましたのを改正後は0%以上6%未満という形になりました。この改正の趣旨というものを伺ってみますと、それは今年4月からのペイオフ解禁拡大、これを控えて傘下信用組合の経営基盤強化というものを意図するというそういうものであると伺っています。従ってこの制度というのは延命をするというようなお話しよりはそうではなくて、経営基盤を強化するというそういう実態のある内容の御判断に沿って改正もされ運用も行われるということであろうと承知をしています。経営環境がペイオフ解禁拡大等で変化をしていきますから、そうした中で経営基盤強化をしようということであろうと思います。この単位組合間の相互扶助の仲立ちとか、或いは単位組合の機能補完という意味で中央機関の果たす役割は非常に大きいわけですので、そこが単なる延命というような発想ではなくて、しかしこれからこの信用組合等の協同組織金融機関の存在意義というものも踏まえながらその機能強化をしていこうというお話しでございますから、そういった趣旨に沿って取組強化というのをなさっていただければと、その際には当然経営相談とか経営指導とかそういった健全性を高める、体力を高めるための指導というのも当然併せて全信組連において行われるということです。そうした運用の宜しきを得るようにやっていただければと思います。

(以上)

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