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五味金融庁長官記者会見の概要

(平成17年2月14日(月) 17時01分~17時13分 場所:金融庁会見室)

【質疑応答】

問)

先週一斉に報道が出た三井住友フィナンシャルグループと大和証券との経営統合の交渉の報道なのですが、昨年末に金融庁が発表された「金融改革プログラム」では金融コングロマリット化の流れを予測して、それに対応した行政のあり方等を検討されるという方針がその中に含まれておりました。今回の報道に関連した話になりますけれども、こうした動きが仮に事実とすれば、金融庁としてどのように対応していくお考えなのか、できれば評価も併せて長官のお考えをお聞かせください。

答)

一番最後の所から申し上げると、個別金融機関のお話でございますからコメントは控えるべきだと思います。殊に本件の場合は報道を受けて、両者から経営統合に向けて本格交渉に入るという事実なり予定なりはないという発表をなされておりますので、ここは申し訳ありませんがコメントは控えさせていただきます。

御質問の前半の方との関連で申し上げますと、金融機関が統合という経営形態を選ぶのか、経営形態と言いますかコングロマリット化というような経営形態を選ぶのか、これは百貨店みたいなものでしょうか。或いは身近なサービスだけを便利に提供するというようなコンビニエンス・ストアーのようなこういうサービスを提供する、例えば代理店の仕組みとか、そういったようなものを活用しながらそういう身近なサービスということで品揃え等をしていくのか。或いは専門店というようなことで非常に高度なサービスですけれども、そう色々な物を揃えているわけではないというふうにしていくのか、これは全て経営判断の問題だろうと思います。ポイントは私共行政としては利用者の皆様ができるだけ高い満足を得られるようなサービスが提供されやすい、そういう環境を整備するということが基本であります。

従って金融機関の皆様の経営の方針の中で利用者の方のニーズがどこにあるのかということ、それから自らの金融機関としての特性、得意技はどこなのかということとを良くお考え合わせになって最適な経営形態なり、或いは組織形態というものを御選択になって質の高いサービスを提供していただくということが大事だと、私共はそう思っています。そのための環境を作る必要があるということです。同時にその際、これは利用者の利便という話ですが、それに加え利用者を守るという関係当局の立場からすれば、どういう経営形態を選ぼうともその経営形態に応じたリスクというものがあるわけですから、このリスク管理というものをきちんとやっていただくように当局として監視・監督していくというこの二つが大事だろうと思います。

従いましてコングロマリットというような形態をお選びになる、そういう経営者の方がおられるのであれば、できるだけそれが選びやすいように様々な制度というものを考えておく必要がありますし、業態を越えたサービス提供をもう少し簡易な方法で、代理店ですとかそういった方向でやりたいということであれば、できるだけそれがやりやすいような仕組みを用意いたしますし、ブティックでやりたいと、専門店でやりたいということであれば高度な金融商品の開発の妨げとなるような規制がないかどうかを見直していく必要があると、こういう考え方でおります。

以上申しましたようなことでそれぞれどの形態を選ぶかによって当然のことながらそれぞれ異なったリスクに身を晒すわけですから、例えば専門店であればモノカルチャーによるリスクがございましょうし、コンビニエンス・ストアーであればちょっとした立地の違いですとか、サービス内容にそう質的な違いがないとすれば、それ以外のところでリスクに晒されるということがあるでしょうし、コングロマリットであればそれは組織やサービスの複雑化に伴うリスクコントロールの難しさというものは当然出てきますし、それに応じたリスク管理を我々はやっていきたい。総じて言いますとこういうことで、コングロマリット化を是非進めて欲しいというようなことを私共は言うつもりもありませんし、逆にそうあってはならないということも言うつもりはありません。肝心なのは利用者の皆様ができるだけ高い満足度を得られるような金融サービスが提供される環境を我々は用意することと、その際利用者を守るという視点からリスク管理について厳格な監視・監督を行っていくということであると考えています。

問)

偽造キャッシュカード対策なのですけれども、重ねての質問で恐縮なのですが、2月中に金融庁が金融機関に要請をすると大臣も表明されておられますが、2月も半ばに入りました。そろそろお考えがまとまってきた頃かと思いますが現在の状況を教えてください。

答)

現状まだ実態調査の結果とそれに基づく要請内容の取りまとめ作業中というところでございます。現段階でまだお話しできることがございません。内容が固まりましたら速やかに要請し、公表も行いたいと考えています。

問)

公表していただくということでよろしいのでしょうか。

答)

はい、公表いたします。

問)

先程のコングロマリット化についての行政対応のところなのですけれども、様々な制度のあり方というか、金融庁としての対応を考えていく必要があると仰いましたけれども、そこは具体的にもう少し言っていただくとどういうことをする必要が、今の行政の対応から比べるとどういうことをしなければならないのでしょうか。

答)

コングロマリット化に関連してというお話ですと、これは金融コングロマリットというものが出てきた場合にリスク管理上の難しさ、先程ちょっと申し上げましたけれども、組織や業務の形態の複雑化に伴う新たなリスクというようなものもございます。それ以外にも勿論ございます。例えば、コンプライアンス上の難しさも出てまいります。異なる商品を扱いますので、例えば抱き合わせ販売ですとか、それまで単一商品を扱っていたらかからなかった規制が別途かかってくる等です。そのようなことが色々ございまして、国際的にもジョイントフォーラムなどで、こういったリスク管理にふさわしい監督のあり方というのはどうなのかということは議論されております。同時に経営形態を取るということですと、例えば持株会社という形態でコングロマリット化を進めようとする場合、業法体系毎に持株会社とか主要株主とかいったものについての規制の内容が現状異なっておりますが、これが行政に対する予見可能性のようなものを妨げることがあってはなりませんので、整理するところがあるのかどうかを、これは実務的に十分検討する必要があるということで、国際的な議論の趨勢ですとか、或いは現状の業法体系の中で定められているコングロマリット規制のあり方というものがそのままでいいのかどうかという点を検討してみる必要があると、こんな意味でございます。

問)

コングロマリット化なのですけれども、おそらく一般の利用者は、例えばコングロマリット化が経営判断としてあった場合、利用者としてどういう利点があるのか中々見えていない部分で、実際動かないと見えない可能性はあると思うのですが、先程選択肢の中に経営判断としてコングロマリットを選ぶということも今後のあり方としてあるのだと仰られたのですが、例えばコングロマリット化を選ぶことによって、利用者がどういうメリットを受ける可能性がその中にあると見ていらっしゃいますか。

答)

それはどういう形態のコングロマリットであるのかと思いますので、それは一概に言えないと思います。ごく単純に最も起こりやすい利便性の向上ということから言えば、一つの会社にアクセスすることで様々な種類の金融商品の紹介というものを同時に受けられるというようなことはあります。コングロマリット形態を取らなくてもそういうことは部分的には可能でありましょうけれども、高度に専門化された各種金融商品取扱会社が、例えば持株会社の下に兄弟会社として顔を揃えているというような場合には、非常に高度な金融サービスについて、非常に便利な形でそのサービスへのアクセスが可能になるということは、一つの大きな利点だろうと思います。

(以上)

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