五味金融庁長官記者会見の概要

(平成17年6月13日(月)17 時02分~17時14分 場所:金融庁会見室)

【質疑応答】

問)

東京証券取引所が、先程から金融庁が徴求した報告書について、記者会見で説明されたようですけれども、この内容について長官のお考えをお聞かせください。

答)

今日午後、東京証券取引所から報告書が提出されました。内容についてはこれから精査するところです。報告書の概要は第一点、情報管理態勢。これに関しましては、ヒアリング等各種調査の結果、漏洩等の事実は把握できなかったものの、社内規則の運用状況の点検、再徹底の実施等を行ったということが報告されています。

第二点、上場廃止基準に関しましては、経営権の移動が再生のために行われている場合、一定の条件に該当すれば早期再上場が可能な措置の導入を検討するということが述べられています。

第三点、自主規制機能に関しましては、この機能が市場運営と密接不可分な市場開設者としての機能の根幹であるとした上で、自主規制機能の強化のために、一つは上場関係規則の改廃を自主規制委員会の諮問事項に追加し、この委員会の答申等に対する取締役会の尊重義務の強化等を図る。もう一つ、考査業務・売買審査業務を統括する最高規制責任者、CROと呼んでおられますが、これについてその業務範囲の上場部門の行う業務への拡大、及び独立性の強化等を図る等の措置を検討するということを述べておられます。更に取締役会の諮問機関として新たに有識者で構成する特別委員会を設置して、望ましい組織体制についての議論を行うということも報告されております。

金融庁といたしましては、今回の報告徴求におきまして何かこういう措置を取るようにという指示をしたわけではございません。あくまで東京証券取引所に対して各項目に関する考え方を求めたところでございますので、今回の報告書の提出によって、報告を求めました事柄についての議論がスタートできる状態になったと考えております。金融審議会の第一部会の審議内容等も踏まえ、これらの課題について今後東京証券取引所等、市場開設者との間で議論を深めていくということにしたいと考えております。

問)

保険商品の銀行窓販について内閣府令の改正案が発表されました。これについて何点かお聞きしたいのですけれども、まず金融庁が当初表明していた「遅くとも2007年4月には全面解禁する」という基本方針が変更されることになったことについてどのように受け止めておられるかということと、それから先行解禁商品の中にいわゆる第三分野等の主力商品が含まれておりません。その上新たに厳しい弊害防止措置が課せられることもあって、これで販売の実績が本当に上がるのか、言い換えると弊害防止措置の実効性について、十分で適切なモニタリングができるのかどうかやや疑問がありますので、これについてどうお考えになるか。それから全面解禁の時期について、見直し規定が盛り込まれているわけですけれども、そうすると2007年にかけて当局と各業界との間で再度調整が難航する惧れがないのかどうか、言い換えますと本当に実現できるのかどうか、以上について長官の見解をお聞かせください。

答)

第一点、スケジュールの関係でございますが、先週公表いたしました規制見直し案では6ヶ月程度の準備期間、2年程度のモニタリング期間としております。従って金融審議会報告が想定しておりましたスケジュールよりも遅くなっている、これは事実でございます。しかしながら、多数の利害関係者の理解を得るべく調整に時間を要した結果であるということでもございますので、これは止むを得ないと考えております。

第二点、販売実績、或いは更にそれでモニタリングが十分できるかという点でございますが、今回の規制の見直し案で先行解禁というものを実施することにしましたのは、全面解禁への準備として新たな弊害防止措置の実効性等を確認するということのために行うわけです。具体的な商品選定に当たりましては、こうした先行解禁の意義、すなわち準備としてモニタリングを行うということの意義を十分に踏まえまして、そうした視点から商品を提供します保険業界、或いは販売のチャネルを提供します金融業界、双方の御要望や主張を良くお聞きし整理した上で反映させたということでございます。従いまして、当局としては、厳しい弊害防止措置がございますけれども、その下でもモニタリングが実効性を持つだけの一定の販売が行われることを期待しておるところでございます。主力商品が含まれていないというお話がございますが、こうした準備期間におけるモニタリングという事柄の性格からすれば当然のことですが、主力商品で実験をするということは普通はいたしません。皆様御承知のように、例えばアンテナショップというようなものを設ける時に、それは主力の販売地域に大量投入することで実験するのではなくて、そういうことをして大丈夫かどうかを確認するために、例えば地方のアンテナショップ等を活用してその反応を見るということが行われております。主力商品が含まれていないということをもってモニタリングができない、或いは販売実績が上がらないということは一義的に言えるものではないと思いますし、そういった点も十分考慮しながら各業界と意見交換を行った上で決定したものでございます。

第三点、2007年にもう一度調整が難航する惧れはないのかというお話ですけれども、今申しましたように、今回は一部の商品を先行解禁して、新たに設けました弊害防止措置の実効性というものを確認した上で全面解禁に移行するというものでございますから、全面解禁を予定している時期に新たな弊害防止措置が有効に機能していないというようなこと等、そのままでは保険契約者の皆様の保護に欠ける惧れが強いということがもしありますれば、それは弊害防止措置等を見直していく必要がその時点で生じてまいります。これはこういう仕組みになっているわけです。いずれにしても、金融庁としては、全面解禁をしました場合にも、保険契約者の皆様の保護に問題が生じないように、銀行等による保険募集の実施状況、或いは弊害防止措置の実効性、こういうものについて継続的に慎重なモニタリングを続けていきたいと、当面はそこに全力を投入するということで行ってまいりたいと思います。

問)

東京証券取引所の件ですけれども、改めて金融庁としての自主規制機能分離についての考え方をお伺いしたいのですが。金融庁としては分離するのが望ましいと考えているのかどうか、或いは分離しないのであればどういうことが必要なのか、そこについてのお考えをお願いします。

答)

これからそういった点について、報告を踏まえて議論をしていかなければならないということでございます。金融審議会の検討の場におきましては、新しい投資サービス法を議論していく中で、そのエンフォースメントのあり方について色々な議論が行われております。当局と自主規制機関との分担の問題、或いは自主規制機関自身のあり方の問題、これらについても議論されております。また、外国の例におきましては、アメリカ、イギリスそれぞれにおいて取引所が株式会社化され、或いは上場されるということに伴い自主規制機能が分離されたケースもあり、或いは分離を検討しておられるケースもあります。その分離の形態は様々ですし、分離していないところも勿論あるということでございますので、これはこれから東京証券取引所などの市場開設者の皆さんとの間で十分議論しますし、金融審議会でも更に議論を深めていただけたらと思っているところです。

問)

今後の市場開設者との議論のやり方について、金融審議会で市場開設者に来ていただいて議論するやり方を取るのか、或いは公の場で改めてそのような場を作るのかについて教えてください。

答)

現在、特にそのためだけに新しい検討の場を設ける予定があるわけではありません。それぞれの市場開設者と金融庁との間でよく議論を深めることが基本になると考えています。金融審議会におきましては、先程申しましたように、投資サービス法の検討の中でエンフォースメントのあり方ということで様々な論点がございますし、皆さん出ておられて分かりますように、エンフォースメント以外の部分でも、まだ論点が幾つもあるわけです。従って基本的考え方をまとめていく過程、そして更にそれを踏まえた今後の金融審議会における来事務年度以降の議論の中で、こうした問題は必要があれば議題になってくるであろうと思います。

問)

「それぞれの市場開設者」と仰ったのは、金融庁と市場開設者がバイでですか。それとも金融庁と市場開設者が一堂に会して、そのテーマについて話し合うのですか。

答)

そういう場が必要であればしても良いと思いますが、まずはこの点について報告をお出しになっている東京証券取引所・大阪証券取引所それぞれございますから、そういった方達とは、報告に至る考え方などをよく議論させていただくということで、皆さんを一堂に会する必要が直ちにあるということではないと思います。勿論他にも市場開設者がいらっしゃいますから、色々御意見を伺ってみる必要があるということです。

(以上)

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