五味金融庁長官記者会見の概要

(平成17年6月20日(月) 17時03分~17時14分 場所:金融庁会見室)

【質疑応答】

問)

アメリカで発覚したクレジットカードの顧客情報流出が国内にも波及してきましたが、金融庁としては経済産業省等の連携を含めてどの様な対応をお考えか教えてください。

答)

お尋ねの件につきましては現在、経済産業省からの情報提供としては、マスターカード・インターナショナルの東京支社から、米国のデータ処理会社のコンピュータが外部からの不正アクセスを受け、マスターカードの会員約1,390万人のデータが流出した可能性があるとの報告があったと、こうした情報提供を経済産業省から受けております。これを受けまして、金融庁では事実関係等について必要なヒアリング等を現在行っております。

権限関係を御説明しておきますと、クレジットカード会社と申しますのは割賦販売業、クレジットを営むことから、割賦販売法に基づいて経済産業省が監督しております。ただクレジットカードには、一般的にクレジット機能に加えてキャッシング機能が付与されておりまして、このキャッシング機能の部分については、貸金業規正法に基づいて金融庁の所管ということになります。現在、日本の各カード発行会社において、流出した惧れのある顧客のカード番号情報を基に、会員の特定作業を行っておられると承知しております。会員の特定ができ次第、各社におかれては当該会員に対する状況説明、或いは会員のカードの不正利用防止のためのモニタリングの強化、或いはカードの差替え等の措置が講じられると聞いております。

それから、既に本件事案について、カード発行会社のホームページ上で情報提供を行ったり、顧客対応窓口を設置して、顧客からの問合せ相談等に応じておられると承知しております。更に、各クレジットカード発行会社からは、基本的には不正利用の被害にあった会員については請求を行わず、当該会員の経済的負担は生じさせないようにする方針であると伺っております。

金融庁といたしましては、引続き日本のカード発行会社等から情報収集を行うとともに、経済産業省と連携を取りまして、不正利用による被害の防止等の観点から、必要に応じてカード会社に対して適切な措置を講じるように指導してまいります。

問)

金融庁は、東京証券取引所の社外取締役の独立性を疑問視しているようですけれども、各市場開設者との今後の話し合いの中で、こうした点も論点として取り上げていくお考えがあるのでしょうか。

答)

まず今お尋ねの前半の部分で、「社外取締役の独立性を金融庁は疑問視している」かどうかという点ですが、この御質問はおそらく今月17日の自民党の企業会計小委員会と商法小委員会との合同会議において御質問がありまして、その御質問の内容が「ニューヨーク証券取引所の独立取締役基準を、現在の東京証券取引所等の社外取締役に当てはめた場合、どの様になるのか」というこの御質問に応えまして、金融庁から提出した資料についてのお話であろうと考えますが、この資料は党からの御質問に応じて、金融庁におきまして、東京証券取引所並びに大阪証券取引所とも協議をいたしました上で、ニューヨーク証券取引所の基準の当てはめということを、東京証券取引所、或いは大阪証券取引所について行ってみたという性格のものでございまして、金融庁として東京証券取引所や大阪証券取引所の個々の社外取締役の方について、そのガバナンス上の独立性を判定したり、或いは問題視したりということを行った性格の資料ではないということでございます。ニューヨーク証券取引所の基準の当てはめをすればどういう当てはめになるかという、そういう資料だということでございます。

それから「今後の話し合いの中でこうした点を取上げるかどうか」という点ですが、日本では御承知のように、証券取引所の規則では社外取締役に対する規制というのはないわけです。その結果、上場企業一般について社外取締役の独立性、或いはその機能といったようなことが論点になることもまた事実でございます。更にまた今般、東京証券取引所や大阪証券取引所から報告を求めましたように、証券取引所が利益相反をいかに防止していくかといった自主規制機関としてのガバナンスのあり方について、社外取締役の関与のあり方も含めて、引続き検討していく必要もあると考えております。これらの議論につきましては現在、金融審議会第一部会において、投資サービス法を巡る論点の一つとして議論が行われております。提出されました資料にもこの点が記載されているわけでございます。金融庁では東京証券取引所等からの報告書、或いはこの金融審議会第一部会における審議、こういったようなものを踏まえながら引続き証券取引所を含む関係者間で議論を深めていきたいと考えております。

問)

カード情報で、事実関係についてヒアリングをされるという話があったと思うのですけれど、経済産業省からの情報提供を受けてやっているのか、それとも金融庁は金融庁で独自に何か事実関係を把握することになるのか。

答)

両方です。経済産業省からの様々な情報提供をしていただいております。本源的に割賦販売業ということで、そちらの方ではかなりの部分を経済産業省が業者のカバーができますので、それはいたします。それから同時に、キャッシング機能を付与しているカードを発行していれば、我々の監督下にもありますので、我々なりにそういったところからは、様々なヒアリングを今行っているということです。ただし各社ともトラブルの起こった元がアメリカであるということで、しかもそれがカード事務処理会社ということで、そこからの情報の入り方との関係で、なかなか調査にも当面限界のある部分もあるようで、まず私共としては事実関係を各社がしっかり把握して、こちらへ報告を入れてくれるようにということをお願いしているところです。

問)

事実関係というのは情報が流出しているかどうかということなのか、それともアメリカ側から何かきちんと打ち返しがきているかどうか・・・。

答)

事実関係というのは顧客保護を図るために必要な事実関係です。どのような規模で、どういう方の情報が流出したのか、或いは流出した情報の内容というのは何だったのかというようなことを中心に、そこら辺が固まりませんと顧客対応がなかなか万全にはいきませんので、そういったところを中心にヒアリングなり指導なりをしています。

問)

その関連で、銀行本体でのカード発行はつい最近始まったばかりですが、ニコスにしろUFJカードにしろ一応メガバンクのグループ企業ということも踏まえて、銀行監督という観点から今回のこの件について、金融庁として何かアプローチしているようなことがあるのかないのか。

答)

現状、特に銀行行政の観点からということで、銀行という会社を相手に、この問題で具体的なアクションをとっているということは別にございません。

問)

キャッシングに関連して、日本のカード発行会社が今対象になるのがどれくらいあるか把握されているのかというのが一点と、もう一つは指導されているというのは、それは顧客保護に関しての指導というものを申されているのか、その指導というのは具体的にはどういった形で今要請されているのでしょうか。

答)

現在要請しているのは、事実関係の把握と適切な顧客対応ということで指導している。更に実態が明らかになってきて色々申し上げなければいけないことがあれば、その時点で更に申し上げます。

それから申し訳ありません。数字を確認しておりませんが、粗方の皆さんに名前の知られているような大きなクレジットカード会社は、ほとんどがキャッシング機能を付与されていますが、非常に小規模であったり、文字通り割賦の方の話だけのためにやっているような会社も多いようです。ちょっと数字は現在手元にありません。ただし皆さんが普通にお耳になさるような大手のカードは大抵キャッシング機能を付与しているようです。

問)

今回の事案でどれくらいの対象になるカード会社があるかという点については。

答)

それはまだここで申し上げられるだけの十分な調査が、私共でも進んでいませんし、当のカード会社自身でもまだ確認しきれていないということです。

問)

先週、ドイツのシュレーダー首相がヘッジファンドの規制強化が必要としまして、来月のG8のサミットで国際最低基準、その統一された基準を求めるというふうに言っていますが、日本の御所見をお伺いできますでしょうか。

答)

ヘッジファンド関連につきましては、新しい「金融改革プログラム」でその規制のあり方等も含めて研究を始めようということで考えております。まだ現在何か具体的な方針を金融庁として固めたというようなことはございません。

(以上)

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