五味金融庁長官記者会見の概要

(平成17年7月11日(月) 17時03分~17時15分 場所:金融庁会見室)

【質疑応答】

問)

明治安田生命の保険金未払い問題を巡っては、生保各社に自主点検の動きが出ているようなのですが、伊藤大臣も先週金曜日の会見では、各社に自主的な点検を促す発言をなさっておりました。明治安田生命については、先週金曜日に立入検査が終了したと認識しております。改めて、生保業界の違法契約と保険金未払い問題に対する金融庁の認識についてと、あと、生命保険協会の会長人事が今週金曜日に発令されるということになっておりますが、どのような形になるにせよ、新しい会長に対する金融庁として望まれることをお聞かせいただければと思います。

答)

前半のお話ですけれども、一般論として適切な保険金の支払いですとか、或いは保険募集を行っていくというのは、保険会社としては基本的な役割でありまして、こうした基本的な役割を果たしていくと、そして健全な生命保険事業を運営していく上では、これらのことは非常に重要な問題だと思っています。今、生保業界というお話がありましたけれども、生命保険に限って申し上げてみますと、適時適切に保険金などの支払いを行うことが、保険会社の基本的かつ最も重要な責務だということを十分認識していただいて、まずもって自ら適切な保険金などの支払い管理態勢の構築に向けて十分な努力をしていただきたい。これまでもしておられるでしょうけれども、こうした事例があったという事実も踏まえて、万全の努力をしていただきたいと考えています。個々の会社がどのような対応をしているかということについて、ここでコメントするのは控えた方がよろしいと思います。

それから、生命保険協会の会長人事のお話がございました。人事そのものは協会の責任において手続きを経た上で決定されるべきものということで、その選出についてのコメントは控えさせていただきますが、生命保険協会という組織が日本における生命保険業の健全な発展、或いは生命保険に対する信頼性の維持を図る、これを目的として事業活動を行うということで組織され、そして運営されているものです。金融庁としては、こうした生命保険協会がその任務に沿って、円滑で健全な運営に支障がないように、人事の場面においても、或いは、日々の運営の場面においても適切な対応をしていただくということを期待しております。

問)

TOBルールについてですが、金融審議会が7日、株式公開買付に関するワーキンググループを設置しました。この日は、自民党の企業統治に関する委員会も公正なM&Aルールに関する提言をまとめていまして、TOBルールのあり方に対する議論が高まっております。所管する金融庁として今後の改正の方向性について、所見をお伺いします。

答)

今お話がございましたように、7月7日に金融審議会第一部会の下に「公開買付制度等ワーキンググループ」、座長は岩原紳作東京大学教授にお願いしていますが、これが設置されました。目的は、現在金融審議会で投資サービス法制、そしてこれに関連する企業開示のあり方について検討を進めておりますけれども、この内、公開買付制度や、或いは大量保有報告制度などのあり方について、専門的な検討を行うものでございます。またお話がございましたように、同じ7月7日、自民党の企業統治委員会が提言を取りまとめておられます。公開買付制度や大量保有報告制度のあり方等が、その内容に含まれているところでございます。

今後の開催の方向性という話でございますけれども、まずワーキンググループにおいて、公開買付制度や大量保有報告制度などのあり方を巡る論点について、幅広く審議を行っていただく、まずはそういうことになります。その際、自民党の企業統治委員会からの提言も踏まえた多面的な検討が必要であると考えています。例えば、証券取引に係る透明性、或いは公正性の確保といった観点、或いは企業価値、ひいては株主利益の最大化という観点、更には、企業の事業再編等取引の円滑の確保、こういったような観点からの多面的な検討を行っていただきたいと考えております。

問)

金融機関の個人情報の紛失問題が相次いだ関係で、金融庁においても取りまとめを進めておられると思いますが、その後の状況等に変化がございましたら教えてください。

答)

状況の変化と申しますと、先週ここでお話を申し上げましたのは、一斉点検の結果、紛失等が明らかになったということを公表している金融機関数ということがございましたが、これは7月8日の時点、つまり先週の金曜日の時点で184機関となっております。具体的な紛失件数は、これは先週御説明した通りでございまして、公表を行いました金融機関においても、その集計方法に違いが見られるというようなことがございますので精査が必要です。従って現時点で件数の合計数を申し上げるのは控えた方がよろしいかと思っております。こうした形で公表が順次行われておりますのと、それから集計というのがきちんと精査した上で行わないといけないということもありますので、一斉点検の結果がいつまとまるかということについては、申し訳ございませんが先週と同様、現時点では申し上げられる段階にないということでございます。ただいずれにいたしましても、この一斉点検の結果につきましてはできるだけ早く取りまとめをいたしまして、そして公表させていただくという方針でございます。

問)

スパイウェアについてお聞きしたいのですが、スパイウェアを悪用した預金の不正引出事件というのが幾つか発覚したのですけれども、それに関連して二点お聞きしたいのですが、最近や過去も含めてどれくらいの被害を把握されているかということと、金融庁としては今後どのように対応されるのかという二点について教えてください。

答)

インターネットバンキングにおいて、いわゆるスパイウェアを用いて顧客の入力したパスワードを盗み取って、その上で預金を不正に引き出す。こういう被害が発生しているという事実がございまして、現在金融機関からのヒアリング等を通じましてその被害実態、或いは金融機関によるセキュリティ対策等の把握に努めているという状況でございます。この被害の件数というお話ですけれども、そうした被害があったということを発表になっておられる銀行が3行あるということでございますが、その具体的内容は発表されておりませんので、当方から御説明するのは控えさせていただきます。

今後の対応につきましては実際に被害が起きたということで、各金融機関におかれては現在対策を検討、或いは既に実施しておられます。それから全国銀行協会等でも対策を検討しておられると承知しております。一般に金融機関といいますのは、犯罪技術の巧妙化に対応してセキュリティレベルの向上というのを絶えず行っていく責務がございます。従って本件につきましても、まずは各金融機関、或いは金融関係団体において主体的な対応をしていただくことが必要であると考えています。もちろん我々も今被害実態把握等のためのヒアリングを行っていると申しましたが、金融庁としてもそうした実態把握等を行うことも含め、必要な監督上の対応は行ってまいります。当面はこの実態の把握が最優先課題であろうと思っております。

問)

ヒアリングの対象というのは、生損保や証券会社等も含めるのか、或いは預金取扱金融機関だけということなのか教えてください。

答)

現在具体的にヒアリングをしておりますのは、被害があったということが判明している金融機関、或いは金融機関の団体でございます。そういったところから実態でありますとか、これまでの対応でございますとか、更には今後検討し得る対応策は何かといったようなことをヒアリングしております。

問)

被害があったと判明しているというのは、発表している3行ということですか。

答)

発表しておられる3行それぞれから事情を聞いております。

(以上)

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