五味金融庁長官記者会見の概要

(平成17年8月29日(月) 17時01分~17時08分 場所:金融庁会見室)

【質疑応答】

問)

公的資金の返済ルールについてですが、みずほフィナンシャルグループが23日に公的資金の一部、6千億円余りを29日付で返済すると発表しました。2006年度上期中に全額返済する方針も示しています。他行でも返済に前向きの姿勢を示す金融機関が増えております。公的資金注入行の返済姿勢について、金融庁としての見解と、あと9月目途に示される予定の新たな公的資金の返済ルールについての考え方もお聞かせください。

答)

公的資金注入行の返済姿勢についての見解ですが、この点、公的資金の返済等については、各行から具体的な申出があった場合には、預金保険機構の公的資金の処分に関するいわゆる三原則、この考え方に沿って検討するということにしております。各行においてはこの三原則に従って銀行経営の健全性の維持、或いは市場への悪影響の回避等を前提として、国民負担を回避する形で返済に取組むということが期待されております。公的資本増強行に関わる公的資金の返済等については、平成10年から14年にかけて行われた資本増強額が約10.4兆円。これに対して現時点における累積返済額が今回のみずほフィナンシャルグループによる返済を含めまして約4兆円となっております。現在資本増強行においては金融システムの安定等を背景にして、主要行を中心に経営の健全性を維持しながら公的資金の返済に取組むという状況になっていると認識しています。金融庁といたしましては資本増強行におかれて今後より一層企業価値を向上させていただいて、自らの資本政策というものを固めた上で、預金保険機構の三原則を満たす形での公的資金の返済、これに引続き取組まれることが望ましいと考えております。

次に新たな公的資金の返済ルールに関してですが、この点については「金融改革プログラム」において今申し上げましたような状況も踏まえて、公的資本増強行の優先株等について銀行の財務の健全性の維持や、市場への悪影響の回避を前提として納税者の利益の立場、これにより重きを置いて国民負担を回避する、こういう観点からこの「金融改革プログラム」では17年度上期、今年の9月ですがこれを目途に処分についての考え方の整理を行うということにしております。検討にあたっては金融システムの状況ですとか、或いは公的資金の返済の状況、更には今申し上げましたような預金保険機構のいわゆる三原則、こういったようなものを念頭に置いております。具体的な内容は現在検討中でございますので、その内容や或いは公表時期についても具体的に申し上げられる段階にはございませんけれども、いずれにしても「金融改革プログラム」にございますように、今年度上期、9月を目途に考え方の整理を行いまして、適宜のタイミングで公表を考えていきたいと考えております。

問)

ジャスダック市場についてですが、今日の午前中、システムトラブルで取引の中断があったようですが、今年3回目のトラブルということでジャスダック市場に対する監督方針等についてお聞かせください。

答)

ジャスダック証券取引所のシステムトラブルに関しましては、簡単に御紹介しておきますと、本日売買システムの稼動に支障が発生しまして、全銘柄の売買を9時から12時30分の間停止いたしました。その後システムが復旧して12時30分から売買を開始いたしまして、それ以降の売買は順調に行われました。この原因については現在調査中であると、取引所から報告を受けております。金融庁といたしましてはシステム障害により全銘柄の売買を停止するような事態、これが発生したということは、取引所有価証券市場の円滑な運営の観点からは重大な問題であると考えております。本日午前中に関東財務局の取引所副監理官を直ちに派遣して、状況把握等に努めているところでございます。今後金融庁としては今回の障害の発生原因、そして再発防止のために講じる措置等をよく確認をいたしまして、その状況をよくフォローアップしていきたいと考えています。

問)

ジャスダックの件ですが、原因の究明とそれから再発防止策について、いつまでに報告を求めるということになるのでしょうか。

答)

今回の事態を踏まえまして、ジャスダック証券取引所に対しまして、証券取引法第151条の規定に基づく報告命令を本日付で発出しております。その中で今回の障害の発生原因、それから再発防止のために講じた措置等を報告するように求めております。報告期限は9月30日でございます。

(以上)

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