五味金融庁長官記者会見の概要

(平成17年10月3日(月)17時01分~17時13分 場所:金融庁会見室)

【質疑応答】

問)

今日お昼頃、中央青山監査法人の公認会計士の方々が起訴されるということがございまして、カネボウの粉飾決算事件について捜査段階の事実認定に一応区切りがついたのかと思いますが、この件について改めて長官の御所見と、求められる信頼回復策といったことについてお伺いしたいと思います。

それから起訴事実を前提としますと、虚偽証明といったことで重い処分も従前の懲戒処分の考え方によれば想定されると思いますが、その辺のお考えをお聞かせいただければと思います。

答)

まず所見というお話でございますが、企業財務情報の信頼性の確保ということについて、重大な役割を担うべき公認会計士が起訴をされるという事態になったということですので、これは誠に遺憾なことであると考えております。

公認会計士法上の処分に関連するお話もございましたけれども、金融庁としましては、今後の公判の状況等を注視していきたいと思っております。そして法令に基づいて厳正に対処してまいりたいと考えております。

信頼回復策というお話がございました。ディスクロージャーの信頼性の確保というのが極めて重要であるということ、この認識を再確認させていただいております。特に我が国の経済が複雑化、多様化、国際化してきているという中での監査証明業務の信頼性という問題でございますから、監査法人による組織的監査の重要性というものがこれまで以上に高まっていると考えております。これまでも申し上げてきていましたけれども、金融庁として監査の充実・強化を図る観点から幾つかの施策を実行し、或いは検討しております。例えば、平成15年に公認会計士法を改正いたしまして、監査に関与する社員等のローテーションルール、或いは公認会計士協会が行います品質管理レビューの行政によるモニタリング、こういったようなものを導入するというような措置を講じてまいりました。また現在、企業会計審議会の監査部会で、監査法人等における監査の品質管理基準等の整備作業といったものも進めております。

金融庁といたしましては、今後ともこれらの施策を強力に推進してまいります。また今後明らかになる事実等も踏まえまして、公認会計士監査の充実・強化に向けた取組みというものを更に推進していきたいと、これによってディスクロージャー制度の信頼性の確保ということにしっかり取り組みたいと、このように考えております。

問)

9月末で、生命保険各社に出していた保険金不払いの関係についての報告徴求が期限だったかと思いますが、現在精査中の段階かと思いますが、全体的な件数ですとか、状況等を分かる範囲で教えていただきたいということと、この中で明治安田生命の問題も従前あったかと思いますが、明治安田が非常に突出しているというイメージなのか、それとも各社に共通するような問題があるとお見受けなのか、その辺の感触といったことについてもお願いします。

答)

全ての生命保険会社に対する保険金等支払管理態勢再点検、及び不払い事案にかかる再検証、これについての結果は9月30日に全社から報告書の提出を受けました。お話のとおり、現在各社から提出された報告書について精査を行っております。「感触というようなものを」というお話がございましたけれども、これは報告をいただいた時点で、不払い事案の内容というものの全容が確定するわけではございません。この報告書を我々が精査していく過程で追加的に確認をさせていただいたり、或いは調査を更に依頼するといったようなこともあり得るわけでございます。こうした過程を経る必要がございますので、現在の報告書をいただいたという時点で、何かお話のような感触について申し上げるというのは、これは控えた方がよろしいかと思います。いずれ全体的に整理いたしまして、何らかの方法でこの内容についての公表を検討するという姿勢でおりますので、その際にまた御説明を申し上げたいと思います。

問)

10月1日付で三菱グループとUFJグループの経営統合が行われまして、今朝から営業開始ということになったと思うのですが、この件について改めて御期待、或いは注文ということもあるかと思いますが、お話をいただければと思います。

答)

これは一般的にどのような金融機関の経営統合の場合でも共通だと思うのですけれども、経営統合することで事業戦略や財務戦略の選択の幅が拡大する。そうした中で新たな戦略を選択していただいて、経営の効率化、或いは企業統治や顧客利便といったものを向上させる。こういったことに役立てていっていただくということが大事だと考えています。今般合併の両行がそうした効果を今後十分に発揮され、統合したことの効果としてそうした良い方向への流れを作っていただくということを期待しております。

問)

先程の生命保険会社への報告徴求の件で、いずれ内容について公表する姿勢であるというお話ですけれども、そのいずれというのは、およその見当では今月の半ば、或いは今月の下旬とか、どのような感じなのでしょうか。

答)

申し上げられればベストなのですけれども、いただいたばかりですし、これから内容を十分精査していきますので、はっきりとは申し上げかねます。とにかく急いで精査をしますが、仮に更なる調査のようなものが必要なケースとか出てきますと、それは作業の物理的な時間もかかりますし、きちんと確認をしたうえで、でも、できるだけ早く、先送りする必要も全くない話でございますし、利用者の皆さんもそうした話はお知りになりたい話ですし、そこのところはできるだけ早く精査をして、どんな形で公表できるかをまとめていきたいと考えています。

問)

先週の金曜日に、損保各社に対して同じような保険金の支払い漏れについての報告状況をまとめるようにということをされたかと思いますが、大臣も狙いを仰ったのですけれども、改めて長官としてどのような狙いで、今回の報告を求めたのかお願いできますか。

答)

基本認識ですけれども、適切な保険金の支払いというのは、保険会社にとって、事業運営上必要不可欠なものだと考えています。にもかかわらず、損保会社において、付随的な保険金などについて、追加支払いを要する事案が多数判明している。これは損害保険事業の信頼を損なう事象でございますし、また、保険契約者保護上も問題があるわけでして、これは誠に遺憾であるということが基本認識でございます。

この件については、各損害保険会社がそれぞれに調査をしておられますけれども、今般特に報告徴求という形を取ったのは、各社において、自主的な点検が相当程度進んだという状況を踏まえまして、すべての損保会社における追加的支払いを要するに至った保険金などの件数や対応状況について、当局として統一的な形で把握をする。そして、発生原因の分析、或いは再発防止に向けた取組みをそうした把握の中から確実にならしめていくということ、これが今回、法令に基づく報告徴求とした意図でございます。

問)

中央青山監査法人に関しまして、先程、中央青山自身が再発防止策といったものを発表されまして、理事長以外の全理事10人の方が辞任されるといったことや、報酬を半減させるといったことですとか、外部委員会を設置されるといったことなのですが、それについて、御感想なり評価といったことについて、お聞かせいただければと思いますが。

答)

中央青山監査法人が対応策を発表なさったということ、或いはその内容については存じておりますけれども、今般の事件を受けた法人としての対応策となりますと、これは中央青山監査法人が自らの御判断でお決めになることでございまして、当庁として、その内容についてコメントすることは控えさせていただきたいと存じます。

(以上)

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