五味金融庁長官記者会見の概要

(平成17年11月7日(月)17時02分~17時12分 場所:金融庁会見室)

【質疑応答】

問)

先週、東京証券取引所及び名古屋証券取引所でシステム障害による取引停止という事態が相次いで発生したわけですけれども、資本市場の中核をなす証券取引所でこうした事態が相次いだということについて、長官はどのようにお考えかということと、この責任のあり方についてどのようにお考えか、よろしくお願いします。

答)

いずれにしても、証券取引所でシステム障害があって売買を停止する、そのような事態が発生しているということは、取引所や有価証券市場の円滑な運営という視点から、極めて遺憾です。投資家の皆さんが投資行動をなさるについて、今、御質問の中にもございました資本市場の中核と言いますか、証券取引所は、投資家の資産運用の中で極めて重要な役割を果たしているわけですから、そこでこうしたトラブルが相次いだことは、投資家保護を任務とする金融庁としても大変残念な事態であると考えております。

現状、対応としては、既に御報告していますが、東証、名証の両取引所に対して、証券取引法に基づく報告命令を発出いたしました。また、すべての証券取引所に対して、システムに関する一斉点検の実施、そしてその結果の報告、これを求める報告命令、これも発出をしたところでございます。これをフォローアップしていく必要があると考えています。

責任のあり方というお尋ねがございましたけれども、今申し上げましたが、両取引所に対しては、東証に対しては今月15日期限、名証に対しては18日期限の報告命令が発出されております。その中で、原因は勿論のこと責任の所在、或いは今後の対応などについても報告をいただけるものと考えております。またその中で、当局として報告をいただいたうえで、分析をしていきたいと考えております。

問)

これも先週末の話ですけれども、金融庁から行政処分を受けた明治安田生命が、経営陣の刷新を発表しました。金融庁は業務改善命令の中で、経営責任の明確化と計画を着実に実施するための経営態勢の構築というものを求めているわけですけれども、こうした観点から、今回の明治安田生命の人事の刷新についてどう思うのか、その評価も併せてお願いします。

答)

監督下にあるとはいえ、特定の会社の役員人事でございますから、その人事そのものは、経営判断事項ということで、当局がこれを評価、コメントすることは控えさせていただきます。ただ私、2週間ほど前でしたか、記者会見の場で申し上げたと思いますけれども、明治安田生命にとって非常に大事なことは、適切な経営管理ができる経営陣を選任して、経営の態勢を確立していただくことだと、こう申し上げたと記憶しております。明治安田生命におかれましては、選任された新しい経営陣の下で、保険金などの支払い管理態勢を始めとする内部管理態勢の改善整備が図られる、これが強く期待されるところです。このことは、保険契約者の保護という視点、特に明治安田生命に契約しておられる保険契約者の皆さんの保護という点からは、極めて重大なことでございます。また更に、国民の皆さん全体のこの事態を受けての生命保険に対する信認の低下、これを回復する意味でも、新経営陣の方は、極めて重大な任務を負っておられると私は考えています。是非、その任務を適切に果たしていただけるように期待したいと考えます。

問)

先程、東京証券取引所、名古屋証券取引所のトラブルの話があったのですが、8月もJASDAQがありまして、今年に入って随分大規模なシステム障害が相次いでおりますが、背景としてどういったものが考えられるのか、御所見がありましたらお聞かせください。

答)

今回のシステムトラブルに関しては報告命令が出ておりますので、その内容をチェックしていくということで明らかになっていくと存じますが、聞いておりますところでは、東京証券取引所の方からは事務的に御連絡が先程来たようでございまして、やはり障害発生原因というのは10月に実施した注文処理能力の増強対応、この時のプログラムについてミスがあったことが原因のようだということの様でございます。いずれ東京証券取引所の方からきちんとした御説明が公にされると思いますが、JASDAQも急激な取引高の膨張があったということが原因になったケースもあったわけです。特定の銘柄についてのこともございましたし、全体として増えたということもありました。ですから一概にこれが原因と決めつけることはできないと思いますが、取引高が急速に増えているということは、システム対応というものの重要性というものを一層強く求められる環境を作り出しているということは間違いないと思います。何が原因であると私はここでは断じませんが、やはり取引高の急膨張というのは、取引所としての対応を強く迫っている事情ではあると思います。

問)

新大臣が就任されましたけれども、大臣の就任会見の際に銀行の数が多すぎるという認識を示されましたが、現段階で金融庁として銀行の数が多すぎるという認識をお持ちなのでしょうか。

答)

新大臣のお話でも多すぎると断言なさいましたかどうかは、私あまり記憶にございませんが、オーバーバンキングという言葉が出ましたけれども、「日本の経済の規模に合ったものが金融機関の数に多分なるのだろうと思いますが、これはそれぞれの金融機関がこうした方が良いということで、御自分で決める話でして、金融庁が権力的にやめろとか、小さくなれとかいう話ではないと私は思っています」と、多いか少ないかということというのは、これまでも申し上げておりますが、大臣も一概に多すぎるとか、少なくすべきということは特に仰ってはいません。それは経営の判断でどうなるか、どうするかということは各金融機関が決めていく話で、結果としてその数というものが、経済の規模なり、経済のあり方に合ったものになっていくであろうという趣旨のことで仰っている様に私には読めましたが、金融庁の考え方というのは、まさに大臣が仰ったように、金融庁が多すぎるから少なくとか、多すぎるから小さくとか、そういうことを指導する立場にあるわけではないと、この点は大臣の仰る通りでございます。むしろ金融機関を利用する側の人達の利便ですとか、或いはその人達の選択の幅をできるだけ広くするとか、そうした環境整備を金融庁が行っていく中で、利用者が銀行の数を決めていく、或いは利用者が支店の数を決めていく、或いは代理店の数を決めていく、こういうことであろうと思います。結果として決まってくる話であると思います。数の数え方というものもそういう意味では一概には中々言えないかもしれません。銀行の数で数えればいいとか、支店の数で数えればいいというような単純な環境ではなくなってきておりますので。

(以上)

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