五味金融庁長官記者会見の概要

(平成17年11月21日(月)17時01分~17時08分 場所:金融庁会見室)

【質疑応答】

問)

今日から、大手行の中間決算の発表が始まりました。業績の見通しでは、かなりの好決算になりそうなのですが、大手行の財務内容や収益力についての認識を改めて伺わせてください。

答)

御指摘のような主要行の好決算が見込まれているとのことでございますが、その背景には、主要行の不良債権問題の正常化が果たされた後も、各行の資産の健全化が着実に図られていることが背景にあると思われます。すなわち、不良債権処分損の改善がその後も続いているということです。勿論それ以外に分析御解説すべき部分もあると思いますけれども、まだ始まったばかりですので、各行の決算発表が出揃うまで、その辺の詳しい評価については、控えさせていただけたらと思います。

問)

今日、栃木県の福田知事が、足利銀行の受け皿問題について、政府に対して要望を行っております。一時国有化から2年が経過したこの足利銀行の受け皿問題についての考え方について、お聞かせください。

答)

足利銀行は、企業価値の向上を目指すということで抜本的な経営改革、或いは中小企業の再生などに向けた様々な施策を進めています。こうした足利銀行の取組みについて、その効果が着実に現れていると考えていますけれども、これが具体的な成果として結実する段階に至るまでには、なお、しばらくの時間が必要だと思います。そこで金融庁としましては、引き続き足利銀行の取組みを適切にフォローアップしていく、これが現段階では重要だと考えています。従って現時点において受け皿の選定について、具体的な検討を行う段階にはありません。従って、受け皿の選定の時期や方法等について確たることを申し上げるのは、現時点では困難であるということでございます。

ただ今後、足利銀行の受け皿について検討を行うに当たっては、既にご説明したこともございますが、3つの点が重要だと考えています。第一点は、金融機関としての持続可能性、すなわち適切な経営管理を確立して、財務の健全性、それを維持する収益性、これを確保すること。これによって、金融仲介機能を持続可能な形で発揮できること。第二点は、地域における金融仲介機能の発揮でございます。栃木県を中心とする地域において利用者の皆さんの信頼を確立する、そして、中小企業金融の円滑化に積極的に取組み、これらを通じて、地域の再生、活性化に貢献できるようになること。第三点が、公的負担の極小化であります。足利銀行は17年の3月期で5,000億円を超える大幅な債務超過の状態にあるわけですから、受け皿に引き継がれる際には、多額の公的資金、金銭贈与という形での公的資金が必要となる見込みであります。従って、足利銀行が特別危機管理の下で企業価値を高めて、国民負担をできる限り少なくできることが大切であります。足利銀行については、以上の三つの点を達成できる確たる見通しがたった段階で、受け皿に引き継がれることが大事だと考えています。

問)

発表はまだかと思うのですけれども、東京証券取引所が上場基準に絡んで、黄金株を導入する企業の原則禁止というようなことをまとめたと認識しているのですけれども、金融審議会の作業とも若干絡むところがあるかと思いまして、内容は経済産業省の企業価値研究会の話とちょっとニュアンスが異なるような印象も受けているのですが、長官はどのような評価をされておられますか。

答)

まだ何か発表があったという段階ではないのですけれども、東京証券取引所からは段取りとしてこういうことを聞いております。

買収防衛策の導入に係る上場制度の整備、これに向けて今年4月に買収防衛策に関する留意事項を発表しましたけれども、これを踏まえて近く制度要綱の試案、これを公表するということ、そして各方面にこれについて幅広く意見を求めると、こういうことをすると聞いております。その機会に金融審議会や、或いは今お話が出ました経済産業省の企業価値研究会等の場でも御議論をいただいて、その上で年内にも制度要綱という形で作成し公表したいと、こう考えているということでございました。

更にその制度要綱を公表いたしました後、パブリックコメント手続を経た上で規則改正の認可申請を行うという意向だと、こういうことだそうでございます。従って、今お話のありました所謂黄金株の話を巡っても、まだ引続き議論が継続していく、そういう過程にあると理解しております。

金融庁としては今後、東京証券取引所からそうした様々な議論の結果として、本件に係る上場関係規則の認可申請というものがありました際には、制度整備に向けての東京証券取引所の考え方も良くヒアリングをさせていただくとともに、各方面での議論の状況というものも当然参考にさせていただいて、その段階で適切に対応していきたいと考えています。

問)

補足ですが、今仰った認可申請の時期というのは、明確に見通しがあるのでしょうか。

答)

はっきりと聞いてはいませんが、来年にはという感じでお考えのようです。

(以上)

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