五味金融庁長官記者会見の概要
(平成17年12月12日(月)17時02分~17時17分 場所:金融庁会見室)
【質疑応答】
- 問)
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みずほ証券の株式誤発注問題ですけれども、東証が昨日、誤発注の取消しを受け付けなかったのは東証のシステムの不具合が原因であるという発表をしました。取引所のシステムそのものが、事態をここまで混乱させたという格好ですけれども、このことについて、長官の御所見と金融庁としてどのように対応するのか、それと東証の責任問題についてお願いします。
- 答)
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今回の事態のきっかけ、原因と言いますのは、一つは証券会社における誤発注、入力ミスです。そしてもうひとつは取引所、東京証券取引所におけるシステムの不具合と大きくこの二つが原因です。つまり、市場の中核をなすべき証券会社と市場開設者・取引所という二つの機関において、ミスが起こった結果としてこうした事態になったということでありますから、これは市場の持つ可能性を最大限に利用者に享受させるべしという行政の大原則から言っても大変遺憾なことであります。
この結果、迷惑を被ったのは投資家であり、新規上場している企業であり、或いはその他の関係者であるということですので、大変遺憾なことであると思います。
金融庁としては、特に取引所のシステムを巡って今回のような事態が発生したということは、取引市場の円滑な運営の観点から極めて遺憾であると考えておりますので、東京証券取引所に対しましては、プログラムミスがあった可能性があるという第一報がありました10日のうちに発生経緯や原因などについての状況を確認するための報告命令を発出いたしました。本日、その報告書が提出されたということになっております。東証においては、11月にもシステム障害を発生させております。従って、今回の事態は極めて重大な問題であると考えています。
私共としては、改めて取引所市場の万全な運営に向けて一層の取組みを取引所としてやっていただきたいし、我々も努力をしたいと考えています。
- 問)
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今のところで、東証の経営責任はどのようにお考えでしょうか。
- 答)
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経営上の責任は、経営者が自ら判断なさることだと考えております。
- 問)
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関連して、先週末になるのですけれども小泉総理も、この問題を非常に重く受け止めて、その再発防止に向け工夫をしてくれということを仰っているわけですけれども、金融庁として業界全体でこういう問題が起きないようにするためには、どういう対応をこれから取っていかれるおつもりでしょうか。
- 答)
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業界と言うのは証券業界ということでしょうか。市場開設者としての東京証券取引所では、従来から取引参加者である証券会社に対して注文の発注・管理の徹底というのを要請しておりましたし、各社の端末で発注数量のチェック機能の活用等も要請していたわけですが、結果としてこうした措置は今回機能しなかったということでございます。従って、私共としては証券会社のみならず、証券取引所においてもこの双方において誤発注防止策の強化というものを促していきたい、そのための適切な対応を取っていきたいと考えています。
特に、東証において今回起こった問題というのは、新規上場銘柄に特有の事態であったということがございます。東証はとりあえず、現状の新規上場銘柄の売買についての管理強化を行うということと、更に今後はこうしたケースを含め、あらゆるケースを想定した十分な精査を行うという報告をいただいております。
また、東証としては参加者に対しては注文発注管理の徹底を改めて指示するということでございますから、私共この点は十分フォローしていきたいと思います。
併せて、金融庁としてはこの新規上場銘柄に係る特異な状況というのが、他の取引所で起こらないように、新規上場銘柄に対する管理の強化を東証以外の取引所に対して昨日指示をいたしました。これにしても、特にシステムに関連する話というのは大臣も仰っておりますように取引所の機能そのものでございますから、その点については安全の検証をこれから求めていくということにしたいと思います。
- 問)
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差金決済が決まりましたけれども、差金決済を決めたのが東京証券取引所の子会社である日本証券クリアリング機構であるということで、この場合東京証券取引所のシステムに不具合があったということで、損失の負担がみずほだけではなく東京証券取引所に求められる可能性がある中で、東京証券取引所の子会社が差金決済の金額を決めたということについて、利益相反になるのではないかという指摘もありますが、このことについて長官はどのようにお考えでしょうか。
- 答)
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今回の差金決済措置、特別決済値段による決済というのは、日本証券クリアリング機構の業務方法書の規定に基づくものであるわけです。これに基づいて、取締役会の決議によって決済の条件を改めて定めるという条項を使ったわけでございますが、利害関係人たる東証の関係者について、私ちょっと詳細には存じませんが、これまで伺っているところでは、取締役会の決議に参加をしていないのではないかと私は聞いておりますけれども、ちょっと確認をしておりません。ただ、これまでそう聞いております。いずれにしても、子会社であってもなくてもここが決済を行う話でありますから、業務方法書に従って適正に定めたということをきちんと対外的に納得のいく説明をしていただく、それは手続きの面においても、それから金額の絶対水準という意味においても、つまり特別決済値段の水準の考え方という意味においても、納得のいく説明を十分に関係者にしていただくということで解決していただくことだろうと思います。
- 問)
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先程仰っていた「他の証券取引所での新規上場銘柄の管理についての指示」というところですけれども、これは日本中の全部の取引所に新規上場した場合、どのようなトラブルが起きそうかというのをもう一度再点検しろということでしょうか。具体的にどういうことなのかもう少し詳しく教えていただけますか。
- 答)
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今回あったようなシステム上のトラブルと言うか不具合、こうした不具合が無いかどうかということは、実例が一つ出たわけですから、その点をまずチェックしていただくことと、それは直ちにできる話だろうと思います。それから今後はこうしたケースも含めて、あらゆるケースを想定したチェックをしていただきたいと、こういうことになるわけでございます。これはまだ東京証券取引所のシステムの不具合が原因であるということが、まだ最終確認できていない10日の段階で伝達をはじめて、日曜日にこの伝達を終了しているわけですので、あまり詳しくこういう点をという所までまだできておりませんので、ここは今後新規上場銘柄というのが逐次日程に従って上がってくるわけですから、それに間に合うように点検していただきます。
- 問)
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この結果については何日までにという形での報告か何か…
- 答)
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いえ、そういう形ではございません。要請という形で言っているということで、法令上の命令を発したわけではありません。
- 問)
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誤発注ですが、61万件を入力ミスで出したみずほ証券が、当日「間違えたのはうちです」と発表したのが、場が引けてからということだったのですけれども、その間、市場は一体どこが間違えたのだ、ということで色々な憶測が飛び交い混乱したわけですけれども、この発表の仕方について遅れたのではないかという指摘もありますが、このことについてはどのようにお考えでしょうか。
- 答)
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金融庁としては、みずほ証券から誤発注が確認された後、適宜報告を受けておりました。その際、これは金融庁が命令できる話とは違いますので、取引所の関係者と相談して、早めに開示を行うようにということ、そしてまた問題の解決に向けた適切な対応ということを促してはいたのですが、これは会社と取引所等の関係者、この人達が、何が適時開示として必要かということを一義的に決める人達になるわけですが、その方たちの御相談の結果がああした結果になったのであろうと思います。
- 問)
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遅かったとか、適切だったとかそういう所でのお考えはどうでしょうか。
- 答)
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これは会社のほうも色々仰っているので、私共は直接の権限行使の対象にならない部分についてどこまで言えるかというのは中々難しいところです。おそらく市場開設者として心配しなければいけないこと、それから当該会社としてやらなければいけないこと、色々ある中での御判断だったのだろうと思います。
- 問)
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それに関連したことですが、東京証券取引所の方もこの誤発注を更に拡大させた原因として、システムの不具合があるかもしれないということを金融庁に報告したのも少し遅かったように、可能性があるのと、新たに会見して情報開示をするまでに時間があったかと思うのですけれども、それについては、長官御自身は公表のタイミングが適切だったのかどうか、どのようにお考えでしょうか
- 答)
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東京証券取引所の不具合についてでしょうか。
- 問)
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はい昨日の夜の会見についてですが…。
- 答)
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これは、発表が昨日になったというのは理解のできるところであります。きちんと事実関係を取引所として確認し、また私共からも報告命令を受けているわけですから、その報告内容と整合するものをきちんと発表しなければいけないということでありますから、そこが確認できた段階での発表、しかもそれは分かり易く説明できるように準備をした上での発表ということでしょうから、私はその点で東京証券取引所のシステム上の問題があったという公表のタイミングというのは不適当であったとは思いません。10日に第一報を受けたときには、あくまでその前に記者会見で東京証券取引所側が表明したこととどうも違うかもしれない可能性が出てきたということで、第一報が出ただけですので、その段階で不確かな情報を開示するということはかえって混乱を増すことになったのだろうと思います。
- 問)
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直接、監督や検査の行政では無いかもしれませんが、市場のモラルということでお伺いしたいのですが、今回、流動株式数を相当上回るものが市場で売買されて、その売買をした主体が証券会社だったりしたということが、大量保有報告書で明らかになっていたのですが、その出ているもの以上のものを売買する会社が自ら買って利益を上げていたということに、ハプニングで起きたことを更に拡大させてしまったのではというモラル等もあるように思えるのですけれども、その辺りについては何か、直接お答えになれることではないかもしれませんが、御所見等ありましたらお願いしたいと思います。
- 答)
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これは実際どういう意図でそういった会社が、今仰ったような行動を取ったかというのは、私は分かりませんし、仰るようにそこに法令違反のようなことが無い限りにおいては、証券取引上は当局の強権というのは及ばない部分であるということです。そういった事柄がもし、市場関係者のモラルという面から問題があるとするならば、市場関係者の集まりである自主規制団体等において十分に議論していただくことだろうと思います。
(以上)