五味金融庁長官記者会見の概要

(平成18年2月13日(月)17時02分~17時10分 場所:金融庁会見室)

【質疑応答】

問)

先週末に証券取引等監視委員会がライブドアと堀江氏ら四人を告発しまして、それを受けて今日東京地検が起訴したわけですけれども、この問題について長官の御所見を改めてお伺いしたいと思います。

答)

お話がありましたように、ライブドア事件については証券取引等監視委員会が10日に証券取引法違反、これは風説の流布と偽計ですが、これで堀江前社長ら四名と法人二社を東京地検に告発、これを受けて本日東京地検がこれらの者について起訴をしたと承知しています。証券取引等監視委員会が風説の流布など証券取引の公正を害する悪質な行為に対して、これを告発して刑事訴追を求めるという形で厳正に対処するというのは、証券市場の健全な発展に資するものであると考えています。

所見というお話ですので一般論で申し上げますと、証券市場というのは経済活動の重要な基盤であります。従って、これは公正透明で信頼されるものであることが必要であると考えております。市場というものが本当にその機能を発揮するためには、或いはそこで投資活動を行う投資家の皆様が自らの投資判断の結果を自らの責任として引き受けることができるためには、いかなる場合でありましても正しい情報の開示、それから公正な取引というものが前提となっているというのが不可欠でございます。こうした観点から、市場におけるルール違反に対しましては厳正に対応をしていかなければならないと考えております。これまでも課徴金制度の導入ですとか、或いは監視委員会の体制強化ですとか、連年にわたりこうした観点からの改革を進めて参りました。また、今国会でも幅広い金融商品や金融サービスに関する横断的な法規制の枠組みを整備することにしております。こうした中で、今後とも不正行為の防止ということには、厳正に且つしっかりと取り組んで行きたいと考えております。

問)

その問題とも絡んでくるかと思うのですが、ライブドアに関しては本体の決算の粉飾も捜査の視野に入っていると認識しております。有価証券報告書の虚偽記載については、ライブドア以前にも西武鉄道やカネボウや幾つかこれまでもあったわけですけれども、それらを踏まえて今後の開示行政のあり方とか、或いは現在ある課題についてお聞かせいただければと思います。

答)

ライブドア事件の内容につきましては捜査中ですから、今虚偽記載というようなお話についてもコメントは控えます。

一般論で申し上げますと、先ほど申し上げました適正な開示と公正な取引という市場の車の両輪、この観点から言いまして、どんな案件であっても、仮に粉飾といった法令違反の事実があれば、これは法律に基づいて厳正に対処されるべきであると考えております。

課題というお話がございましたけれども、そうしたディスクロージャーというものが市場の基本になるという観点から、これまで例えば開示義務違反に対して課徴金制度というものを導入する。或いは課徴金調査、或いは有価証券報告書等検査を行うための検査室というものを設置するという形で、監視委員会の体制整備をしてきたということで、ディスクロージャーの適正化に向けた取組みについて、随時進めてきております。それから先ほど触れました今国会に提出予定の証券取引法の一部改正法案ですが、この中では開示に関連しましては、例えば、財務報告に係る内部統制の強化策、或いは適正開示に係る経営者の確認制度の導入などの措置を盛り込む方向で検討を進めております。更に開示義務違反を含めまして、証券取引法違反行為に対する刑事罰の水準の見直し、これについても関係省庁と御相談しながら、検討を進めております。

当局としましては、今回の事件の捜査状況を注視しながら、引き続き適正な開示の確保に向けて、全力をあげて、様々なやり方で取り組んでいきたいと考えております。

問)

今回の起訴を受けて、ライブドアを東証が上場廃止にするかどうかが一つの焦点になってきたと思います。この点について、勿論一義的には東証が判断されることだとは思いますけれども、東証の監督官庁として一般的にどういう場合であれば上場廃止に当たるとお考えでしょうか。

答)

一般的というお話ですが、東京証券取引所の考え方、どの証券取引所でもそうですが、考え方としては、監理ポストにある銘柄を割り当てた場合は、その割り当て後の状況などを踏まえて、その取引所の上場廃止基準にてらして、上場廃止についての判断を行っていくと考えております。個別銘柄に関するお話はできないわけですが、1月23日に東証がライブドアなど2銘柄について監理ポストに割り当てましたのは、マザーズの上場廃止基準2条の2、このうちの公益または投資家保護のため、当取引所が当該銘柄の上場廃止を適当と認めた場合、というこの要件に該当する恐れがあるということで監理ポストに割り当てたという経緯がございます。これは、発表されていることでございます。この他にも上場廃止基準2条の2には、いくつもの上場廃止基準が述べられております。今後の推移を見ながら、取引所において、この監理ポストに当てはめました条項も含めて、上場廃止が必要かどうかの判断をなさっていくものと考えております。

(以上)

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