五味金融庁長官記者会見の概要

(平成18年2月20日(月) 17時01分~17時12分 場所:金融庁会見室)

【質疑応答】

問)

ライブドア事件を受けてですけれども、17日に自民党の金融調査会で市場制度の改革の提言がとりまとめられました。また、同日、国会の予算委員会で与謝野金融大臣が情報開示を充実するという発言をされたかと思うのですが、これを受けての金融庁としての対応についてお聞かせいただけますか。

答)

自民党の金融調査会では17日の朝に議論が取りまとめられて、それから前日には公明党の金融問題調査委員会から与謝野大臣に証券市場改革に関連する申し入れが行われております。いずれも大変大事な論点を網羅なさったものだと考えています。自民党の御提言では、罰則・課徴金の強化ですとか、或いはファンドに関する取扱いですとか、10項目からなる御提言をいただきました。私どもとしては証券市場というのは経済活動の重要な基盤でございますし、従って市場の公正性や透明性を高めていくということは大変重要だと考えております。総理からも証券市場の信頼向上に取組むようにという御指示を16日にいただいております。御提言に対しましては、私どもも真摯に受け止めました上で、今国会に証券取引法等の一部を改正する法律案を提出いたしまして、この中で御提言に対するお答えになるものは準備をしていきたい。また、必ずしもこの法律でという内容ではない御提言もございます。例えば関係団体に要請が出ているようなものもございますので、こうしたものにつきましては、関係する諸団体に対して私どもから要請をするなり、或いはその検討についてのフォローアップを行うなりというような形で、十分な対応をしていきたいと考えています。

与謝野大臣からの株式交換の話がございます。これは内閣府令で対応するという形で、法律ではございませんが、できる限り早くこれは対応したいと思っております。幾つか代表的な例では、例えば罰則の引上げに関しましては今回の御提言も踏まえて検討していくつもりでございまして、現在法務省などの関係省庁と御相談させていただいています。先程申し上げました証券取引法等の一部を改正する法律案を今国会に提出する予定でございますので、この法律案の中で所要の措置を講ずるということを視野に入れて見直しをしていきたい、このようなことを考えております。また、ファンドに関する投資家保護のための規制もこの法律の中で規定をしていきたい。

代表例を申しますとそんなことでございますが、いずれにしましても証券市場の公正性、透明性の確保のために御要請を真摯に受け止めた対応をしていきたいと考えております。

問)

東証のシステム問題の関連ですけれども、与謝野金融大臣の懇談会が近く中間取りまとめを公表されると伺っておりますけれども、足元でのスケジュール或いはどんな形で公表されるのかという点、それから長官としてどんな点を期待されているか教えていただけますでしょうか。

答)

これまで2月6日、17日と2回懇談会を開かせていただきました。第一次論点整理という形でこの2回の会合で提示されました論点を整理して、公表をしていくというのが当座の懇談会で合意をされました点でございます。発表のタイミングは現在決まっておりませんが、既に議論されたことの整理ですから、近々発表できるという見通しでおります。

それから私というお話でございますけれども、私の感触、所感ということになりますと、懇談会では非常に大事な点がこれまで2回だけでもずいぶん論点として提示されています。特にシステム問題は取引所経営の中心的課題として位置付けられるべしといった論点、また、取引所が備えておくべき処理能力という点では、海外取引所と比較して遜色ない水準にまでこれを高める必要があるといった点、更には、次世代システムの導入、これにあたっては極力簡素なシステム構成とすることを方向性として目指すべきであって、そのためには現行の取引ルールや慣行についても見直すべき点がないかを早急に検討する必要があるといったような点が私にとっては大変タイムリーな論点であると考えております。

円滑な市場運営を確保するという意味で、東京証券取引所におかれては、システム整備をはじめとした諸般の対応を早急に行っていただく必要がありますが、こうした懇談会で示されました御議論、論点というのが東証改革の後押しになることを私は強く期待をしております。

問)

オリジン弁当とドン・キホーテの件ですけれども、ドン・キホーテが市場内で株式を買い進めたことについて、一連の取引に当たるのではないかとか、或いは、対抗的なTOBをすべきではないかと問題視する見方も出ていると思うのですが、それに対して長官の御所見をお願いいたします。

答)

特定の事案についてのお話ですから、具体的な言及は控えなければいけません。一般論で現行制度の御説明を申し上げますと、公開買付規制というのは、取引所、有価証券市場外における株券等の買付、これを対象としているということで、取引所有価証券市場内の買付は対象とされていないわけですけれども、ただ、取引所市場内外の買付を組み合わせて3分の1超を所有するということになりますならば、その対応によっては、公開買付規制の適用があると解釈される余地があると、これが一般的な現行の決まりの御説明でございます。ただこうした点については、それぞれ個別の取引の事情によって判断されていくべきものでございますから、今お話のあった特定の案件についての御説明や考え方は、当局側からお示しするのは避けたいと思います。

問)

ACCJ、在日米国商工会議所が、大量保有報告の特例の見直しを予定されていることに対して、現状維持するようにとの意見書を発表しておりますが、それに対する長官の御所見をお願いします。

答)

大量保有報告に関連いたしましては、色々な投資家の皆さんから色々な御要望が出てきておりますけれども、基本的には特例報告というものを定めている趣旨と、それから投資家に正しい情報が適時に伝わるということとのバランスで物事を考えていかなければならないと、こういう考え方を持っております。従って現状におきましては、従来の大量保有報告の特例といったもので認められておりました期間というのは、大幅に短縮する方向で検討しておりますし、これが例えば、金融審議会での御議論などをみておりましても正しい方向であるように思っております。現状では、この大量保有報告の特例の場合は、現行の3ヶ月後と15日以内といった報告を、例えば2週間後と5営業日以内の報告というように改めるというような大幅な短縮を検討しております。投資家の保護ということ、或いは市場が投資家の信頼を得られるということが重要でございまして、現在の日本の証券市場がおかれている状況に対する対応という意味で、こうした考え方は取らざるを得ないと考えております。

(以上)

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