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日本IFIARネットワーク第9回総会議事次第・議事要旨
日時:令和7年5月29日(木曜)16時00分~18時00分
開催方法:対面会議(金融庁内会議室、一部オンライン会議)
1.開会
2.報告
- ・最近の企業開示・監査を巡る動向(金融庁)
- ・監査監督に関する内外の動向(金融庁/公認会計士・監査審査会事務局)
- ・IFIARからの最近の活動報告(IFIAR事務局)
- ・ネットワーク会員からの報告
3.ディスカッション
4.閉会
議事要旨
3.ディスカッションに関し、今回取り上げた各共通テーマに関する参加者の主な発言は以下のとおり。
テーマI.監査を巡る実務
(1)監査法人とその他ステークホルダー(投資家等)とのコミュニケーション
- 監査法人とその他ステークホルダーとのコミュニケーションによって、監査品質の向上に資する効果が得られることが重要。大手・準大手監査法人は、監査法人のガバナンス・コードの原則5-4に従い、資本市場関係者と対話を行っているが、対話の内容や効果を透明性報告書等で開示する例は少ない。各監査法人が開示内容を充実させ、対話の効果が確認できるようになると良いのではないか。特に、中小監査法人は、顧客企業や監査役以外のステークホルダーとの接触機会が少なく、後押ししていくことが重要と考えている。
- 投資家の目線で監査について議論する場合、運用担当レベルの知見が重要であり、業界団体経由の経営幹部レベルの意見交換には馴染まない印象。また、投資判断に関わる論点は各社のノウハウであり、複数社が集まる場での議論に馴染みにくい。監査法人と投資家等とのコミュニケーションは有用かもしれないが、方法については検討が必要。
- KAM(監査上の主要な検討事項)の導入により、間接的には監査法人と証券アナリストや監査役等とのコミュニケーションが促進されるようになり、監査品質の向上に繋がっているのではないか。
- 投資家の監査への関心は、企業のリスクやガバナンス面に懸念がある場合に高くなる。また、サステナビリティ情報の開示などトピックに応じて関心度合いが異なるため、テーマを絞り対話を行う等の工夫が必要。
- 社外取締役と投資家との対話は徐々に増えているところ、社外監査役と投資家との対話が更に進めば、その中で監査法人との対話へのニーズが出てくることも考えられる。
- 今後、監査・保証の担い手が、経営者の考えるリスク等を含め、企業を理解する必要性が高まる中、監査人が企業や投資家等のステークホルダーとコミュニケーションを図ることは、質の高い監査に繋がるのではないか。会計監査人が、監査があるからこそ安心して投資ができる、と監査による便益を享受し得るステークホルダーに対する意識を持つことで、会計監査人に対する信頼性も高まり、充実した対話が可能となる。
(2)テクノロジーの利活用
- 監査法人におけるDX化は、業務効率化、働く環境の改善に繋がるため、特に大手監査法人ではテクノロジーの利活用が日々進展している。
- IFIARが本年3月に公表した、「監査におけるテクノロジーの利活用に関するレポート(注)」でも言及されていたように、特に生成AIの利活用については、職業的懐疑心の低下や回答のバイアスの発生、データの機密性の喪失等、利活用に伴うリスクも懸念され、そうしたリスクの低減を図る方針やモニタリング等のガバナンスの構築、監査チームメンバーの強固なトレーニングが重要である。
- のれんの非償却の議論においても、企業の減損判定はAIが担うため、償却から非償却とすることの負担は大きくないのではないかという論調も聞かれるが、財務諸表作成プロセスにおけるAIの利活用については、関係者がしっかりと仕組み等を理解することが重要。
- 財務報告エコシステムにおけるAIの利活用については、金融資本市場の関係者において、非公表の重要事実や営業秘密等が分析の基礎に用いられる、意図しない相場操縦に関与してしまう、適合性原則や顧客の最善の利益に沿わない金融商品が提供される懸念などのリスクも想定され、監査分野以外の論点にも波及し得ることから、幅広い視点で捉えるべき。
テーマⅡ.IFIARの役割
- 日本IFIARネットワークを通じた、財務報告エコシステムを構成するステークホルダー間の連携は、引き続き重要。今後、サステナビリティ情報の保証やのれん償却等の論点についても、日本IFIARネットワークを活用し、財務報告エコシステムの幅広い関係者で、忌憚のない意見交換ができれば有益。
- 関係者の方々におかれては、議長任期満了後も引き続き、日本に事務局があるIFIARへの貢献を通じて、日本のプレゼンスの発揮に取り組んでいただきたい。
- 会計・監査等、資本市場に係る論点については、海外における問題意識や発想を理解した上で、国内の議論を発展させることが重要であり、今後もその観点から、IFIARにおける大きな問題意識や議論の背景も含め共有いただければ幸い。
- 各業界団体の研修等を通じて、当局から、財務報告エコシステムの幅広い関係者に向けて監査分野に係るメッセージを発信することができると思う。是非、各関係者へのチャネルを有効に活用して貰いたい。
以上
- お問い合わせ先
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金融庁 Tel 03-3506-6000(代表)
総合政策局IFIAR戦略企画本部IFIAR戦略企画室(内線2480)