参議院財政金融委員会における伊藤金融担当大臣の「破綻金融機関の処理のために講じた措置の内容等に関する報告」概要説明
(はじめに)
本年六月十一日、「金融機能の再生のための緊急措置に関する法律」第五条に基づき、平成十五年十月一日以降十六年三月三十一日までを報告対象期間として、その間における破綻金融機関の処理のために講じた措置の内容等に関する報告書を国会に提出申し上げました。
本日、本報告に対する御審議をいただくに先立ちまして、簡単ではございますが、本報告の概要について御説明申し上げます。
(足利銀行に係る特別危機管理)
はじめに、足利銀行に係る特別危機管理について申し上げます。
足利銀行については、昨年十一月二十九日、金融危機対応会議の議を経て、預金保険法第百二条第一項第三号に定める措置を講ずる必要がある旨の認定、及び特別危機管理開始決定がなされております。その後、同年十二月十六日及び二十五日には、預金保険法第百十四条第一項に基づき、足利銀行の取締役、監査役の指名及び選任が行われ、本年二月六日には、新経営陣の下、経営に関する計画が提出されております。
(破綻金融機関の処理のために講じた措置の内容)
次に、破綻金融機関の処理のために講じた措置の内容について申し上げます。
金融整理管財人による業務及び財産の管理を命ずる処分は、報告対象期間中には行われておりません。
(瑕疵担保条項に基づく債権の買取り)
続いて、新生銀行及びあおぞら銀行からの預金保険機構による瑕疵担保条項に基づく債権買取の状況について申し上げます。報告対象期間中に、預金保険機構が引き取った案件は、新生銀行については六件で、債権額二百八十五億円、支払額二百七十六億円であり、あおぞら銀行については十三件で、債権額百六十六億円、支払額百四十五億円となっております。
(預金保険機構による資金援助等の実施状況等)
続いて、預金保険機構による主な資金援助等の実施状況及び公的資金の使用状況について申し上げます。
破綻金融機関の救済金融機関への営業譲渡等に際し、預金保険機構から救済金融機関に交付される金銭の贈与に係る資金援助は、報告対象期間中にはなく、これまでの累計で十八兆六千百六十二億円となっております。
また、預金保険機構による破綻金融機関からの資産買取は、報告対象期間中にはなく、これまでの累計で六兆三千六百六十三億円となっております。
これらの預金保険機構による資金援助等について、本年三月三十一日現在における公的資金の使用状況について申し上げます。
一般勘定、金融再生勘定、金融機能早期健全化勘定、危機対応勘定及び金融機関等経営基盤強化勘定における政府保証付借入等の残高は、各勘定合計で十九兆八千七百九十一億円となっております。
(公的資本増強行に対する取組み)
最後に、参考として報告しております公的資本増強行に対する取組みのうち主なものについて申し上げます。
りそな銀行においては、昨年六月十日に経営健全化計画が公表されましたが、新経営陣の下で改めて策定した数値目標等を含む新しい経営健全化計画が、昨年十一月十四日、提出・公表されました。
(おわりに)
只今概要を御説明申し上げましたとおり、破綻金融機関の処理等に関しては、これまでも適時・適切に所要の措置を講じることに努めてきたところであります。金融庁といたしましては、今後とも、我が国の金融システムの一層の安定の確保に向けて、万全を期してまいる所存でございます。
御審議の程、宜しくお願い申し上げます。
以上