平成18年11月24日
金融庁

大同火災海上保険株式会社に対する行政処分について

  • 1.  大同火災海上保険株式会社(以下「当社」という。)においては、当社からの不祥事件届出及び保険業法第128条第1項に基づく当社からの報告により、以下のような事実が確認された。

    • (1)平成17年9月期中間決算について、経営陣は内容に誤りがあることを認識していながら、影響額が不明であること及び提出期限を優先したことから、当庁に対して誤りの事実を報告せず、不適切な内容のまま法令等に基づく報告書を提出していた。

      なお、平成18年3月期決算においては、中間決算での誤りを修正したうえで、決算処理を行なっている。

    • (2)中間業務報告書等の提出後の常務会及び取締役会において、「法令等に基づく報告書について、内容に誤りがあることを認識したが、影響額が判明した時点で修正報告することとし、不適切な内容のまま当庁へ提出した」事実が報告されたが、取締役、監査役は法令等遵守の観点による必要な措置を講じなかった。

    • (3)当社から社外へ提出した報告書等におけるデータの総点検を行なった結果、複数(平成14年度~平成17年度で122件)の不適切な処理が判明した。これらの殆どは、入力・転記ミス等による人的ミスであり、多くは担当者間の相互チェック未実施等によるものであった。

  • 2.  こうした事例が発生した要因として、当社においては、以下のとおり法令等遵守態勢、経営管理態勢及び業務運営態勢等に欠陥があることが認められた。

    • (1)法令等に基づく報告書等の提出に際し、報告担当部署はコンプライアンス部門と連携を図っておらず、また、経営陣は報告書の内容に誤りがあると認識していながら、法令に則した検討を行なわず誤った判断を行なう等、当社の法令等遵守に対する認識と取組みは不十分となっていること。

    • (2)取締役の法令等遵守態勢、監査役の監査機能が欠如していること。

    • (3)データ相互チェック体制、管理職による業務監督、部署間の連携等が不十分であり、また、必要な社内規程等が未整備であるなど、業務運営態勢が不十分となっていること。

    • (4)業務運営態勢が不十分であることを経営陣が把握できておらず、必要な改善措置が図られてこなかったなど経営管理態勢が不十分となっていること。

  • 3.  以上を理由として、本日、当社に対し、保険業法第132条第1項の規定に基づき、下記の内容の業務改善命令を発出した。

  • (1)法令等遵守態勢、経営管理態勢及び監査役の機能発揮にかかる改善・強化

    • 取締役の法令等遵守態勢を確立するとともに、監査役による牽制機能が実効性あるものとなるよう改善を図ること。

    • 各種社内規程の整備を行うなど、適切な業務運営態勢が確保されるよう経営管理(ガバナンス)態勢の強化を図ること。

  • (2)業務運営態勢等の整備・改善

    • データ管理をはじめ全ての業務について、相互チェック態勢、関連部署間の連携、社内規程の整備状況等が適切なものとなっているか早期に点検を行い、問題があるものについては直ちに是正するとともに、各部署における管理職等職員の資質の向上を図り、適切な業務運営態勢を確立すること。

    • 内部監査態勢及び法令等遵守態勢について、継続的に実効性あるものとなるよう、整備・改善を図ること。

  • (3)上記の業務改善命令に至るようになった問題等の原因となった役職員の責任を明確化すること。

  • (4)上記(1)から(3)について、具体策及び実施時期を明記した業務改善計画を平成18年12月25日(月)までに提出すること。この改善計画の策定に当たっては、全社統一的な視点での検討を踏まえるとともに、計画実施のための明確な体制及び責任分担を併せて記載すること。

  • (5)業務改善計画の実施終了までの間、計画の進捗・実施及び改善状況を取りまとめ、改善計画提出後6ヶ月が経過するまでについては3ヶ月毎に、それ以降については6ヶ月毎に報告すること。

お問い合わせ先

金融庁 Tel:03-3506-6000(代表)
監督局保険課(内線3339、3773)

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