政策評価に関する有識者会議議事要旨
1.日時:
平成18年6月20日(火)13時30分~15時00分
2.場所:
中央合同庁舎第4号館2階 共用第3特別会議室
3.出席者:
片田哲也 (株)小松製作所顧問
翁 百合 (株)日本総合研究所主席研究員
関 哲夫 新日本製鐵(株)常任監査役
田辺国昭 東京大学大学院法学政治学研究科教授
富田俊基 中央大学法学部教授
吉野直行 慶應大学経済学部教授
(金融庁側出席者)五味長官、三國谷総務企画局長、中江総務企画局総括審議官、妹尾総務企画局参事官、岳野総務企画局総務課長、八田総務企画局企画課長、河野総務企画局総務課管理室長(政策評価担当)、西原検査局長、坂本検査局総務課長、佐藤監督局長、桑原監督局総務課長、長尾証券取引等監視委員会事務局長、居戸証券取引等監視委員会事務局総務検査課長、細溝公認会計士・監査審査会事務局長、古谷公認会計士・監査審査会事務局総務試験室長
4.議事
(1)平成18年度金融庁政策評価実施計画(案)について
(2)意見交換
5.会議においてメンバーから出された主な意見等
○18年度計画における目標設定のウエイトはどのように置かれているのか。
○「市場の公正」や「監査法人制度等のあり方の見直し」にウエイトがかかっていることを形に表すことはできないか。
○「金融機能の安定」が十分に達成されたことの総合的な評価があってもよいのではないか。金融商品取引法が成立し、法令遵守や取引の公正確保で年間150件以上の業務改善命令を発出して、金融行政の信頼度を大いに高めていることについて、マクロの政策評価があってもよいのではないか。重点施策が細分化されて、かえって重点が分りにくくなっている。
○金融行政には、(1)金融庁自らが推進する施策、(2)金融庁がサポートする施策、(3)金融庁が仕組みを作りモニタリング(事後監視)する施策の3タイプがある。(1)から規制緩和と事後処分の(3)へという流れにあるが、金融庁自らがきちっと検査するという(1)への揺り戻しが起っているように思うので、考え方を確立しておくことが重要である。
○費用対効果の観点からは、金融機関等のプレーヤーにコンプライアンスや内部規律を徹底させて、金融庁自身のコストを小さくしながら市場の公正を確保することが重要である。参考指標になっている告発や処分件数が増えることは必ずしもいいことではなく、日本において公正さを大事にする市場ができることが最終的な目標だと思う。
○政策単位で評価基準により良し悪しをみることが的確なのか。むしろ、基本目標や重点目標で達成度を見て、もう少し取り組むべきところはどこだったのかが事後的に見えるようにした方がよいのではないか。
○評価の判断基準は4段階評価、端的な結論は3段階評価となっており、対応がうまくいっていないのではないか。
○規制の事前評価について、取組方針の共通了解を持っておいた方が良いのではないか。規制の効果が負担に見合ったものであるのか、負担をどのように明らかにしていくのか。本格実施に向けて、事前評価のプロセスと、何を結果として出していくのかを固めておくべき。
○例えば、「監査法人制度等のあり方の見直し」の参考指標が「金融審議会での検討状況」となっているが、想定どおりの状況となったかを事後評価するためには、どう想定したということを事業年度が始まる前に持っておく必要がある。
○市場とその参加者の行動をどう見るかということがないと、規制の事前評価ができないので、そうした観点から、現在行っている金融ビッグバンの総合評価ができないか。
○投資事業組合、特定目的会社について、その実態把握に注力し、合わせて、その開示のあり方、会計上の処理、改正SPC法の政省令を議論していただきたい。
○消費者金融全般の信頼回復が求められており、個人情報信用機関の整備拡充と情報交換の推進、正規の業者が正常に営業できる仕組み作り、ヤミ金融の排除徹底などの行政課題に指導力を発揮していただきたい。
○信託業法について、新しい類型の信託を創出する点に意義があるので、早期成立を目指していただきたい。
○東証の改革について、その自主性を尊重するのは当然だが、監督官庁として適切に指導していただきたい。
○参入は自由で中で見るという登録制や、参入は厳しく中は自由という免許制といったいろいろな段階でのやり方があるが、時代とともにやり方も変わってくるので、それに合った行政、法律が必要ではないか。フレキシブルに変えられるシステムを是非考えていただきたい。
○サービサーについて、その質がきちんと確保されているかをしっかり見ることが重要ではないか。
○地域金融について、リレーションシップバンキングと、リスクマネーを提供できる異なるチャネルを考えていただきたい。
○国際的に競争でき、稼げる金融業というのを一つの視点として据えていただきたい。
○金融庁は、言われ無き批判で、処分ばかり頻発していると捉えられがちであるが、市場規律、内部規律について見通しのようなものを示すことにより、やろうとしている方向が明確になるのではないか。
○中小企業金融の円滑化について、今までのものをなぞって「貸し渋り・貸し剥がしに関する情報の活用状況」と記載されているが、金融機関が再生・活性化する方向にエクイティを入れるなど、少し新たな段階に入ったことを踏まえた政策が理想ではないか。
○マネーローンダリングについて、取り纏めが金融庁から警察庁に移るが、警察庁にはノウハウがないのでサポートをきちっとすることを書いた方が良いのではないか。
○企業内容の開示について、上場企業には四半期報告書の作成や、内部統制システムの整備、内部統制報告書の作成が2008年度から義務付けられ、それ相応の負荷も生じるので、具体的な指針である財務会計基準、内部統制に係る実施基準の取り纏めに当たっては、できるだけ企業サイドと意見交換を行い、内容の良いものに作り上げていただきたい。
○会計のコンバージェンスについて、現状は国際会計基準と英国会計基準のコンバージェンスが先行し、日本の会計基準が取り残される危惧を抱いているので、欧米の当局に対して早急に働きかけを行い、相互承認に向けて対話を開始することが大切である。
以上
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