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平成19年11月16日
金融庁

アリコジャパンに対する行政処分について

  • 1.  アリコジャパン(アメリカン・ライフ・インシュアランス・カンパニー(以下「同支店」という。))においては、平成19年10月19日、公正取引委員会が、同支店に対し、景品表示法に基づく排除命令を行った内容及び当庁がこの命令に際して行った保険業法第200条第1項に基づく同支店からの報告により、以下のような事実が確認された。

    • (1)公正取引委員会による排除命令に関するもの

      同支店は、平成18年12月ころから平成19年1月ころまでの間、一般日刊紙に掲載した「元気によくばり保険」の広告等において、あたかも、当該保険に加入すれば、被保険者が上皮内新生物にり患していると診断された場合には一時金が支払われるかのような表示をしていた。しかし、実際には、当該一時金は、被保険者が上皮内新生物にり患していると診断され、かつ、その治療を目的とした入院中に所定の手術をしたときに支払われるものであり、上皮内新生物にり患していると診断されただけでは支払われないものであった。このような優良誤認表示による保険募集は、保険業法第300条第1項第9号に基づく同法施行規則第234条第1項第4号に規定する禁止行為に該当すると認められること。

    • (2)上記(1)以外に関するもの

      • 同支店における募集用の資料、特に同支店が募集チャネルの中心としている通信販売において重要な役割を果たすパンフレットに関して、本来、保障対象とはならない「加入前のけがの再発・悪化」や「高度障害保険金」等を保障対象として表示したもの、誤った「引受制限年齢」や「給付金額」を表示する等の誤表示を行なったもの等が多数発生していることが認められたこと。

      • パンフレットの内容にかかる誤表示は、過去5年間において31件発生し、この誤表示に基づいて28,353契約が行なわれ、このうち、27件26,588契約については、次のとおり保険業法に規定する禁止行為に該当すると認められること。

        • イ. 保険契約者等に対して虚偽のことを告げる行為

          (保険業法第300条第1項第1号) 23件 23,651契約
        • ロ. 保険契約者等に誤解させるおそれのあることを表示する行為

          (保険業法第300条第1項第9号,
            同法施行規則第234条第1項第4号)
           4件   2,937契約
      • 同支店は、上記の誤表示のあるパンフレットにより募集した契約者に対して、例えば、以下のような不適切な取り扱いを行っていること。

        • イ. 本来、保障対象とならない「加入前のけがの再発・悪化」を保障対象として誤表示したパンフレットに基いて契約した契約者に対して、「「加入前のけがの再発・悪化」は給付金の支払対象外であることを確認いたしました。」とする確認書の提出を事後的に求めている。

        • ロ. 上記誤表示に関し、実際に加入前のけがにより入院した契約者からの入院給付金請求に対して、「約款により支払対象外である」として、何ら給付を行うことなく当該契約を取り消している。

      • また、同支店は、このようなパンフレットの誤表示による上記の法令違反を認識せず、保険業法第209条第1項第9号に基づく当局に対する不祥事件届出も行っておらず、同条に違反していたものと認められたこと。

  • 2.  通信販売においては、顧客は、保険会社から送付されたパンフレットに基づき、保険の加入を検討し、申込を行うことから、パンフレットの正確性は極めて重要である。同支店は、通信販売を募集チャネルの中心としているにもかかわらず、次のような原因から、パンフレットの誤表示を繰り返したうえ、法令違反及び契約者保護の認識を欠く不適切な対応を行っているなど同支店の経営管理態勢及び業務運営態勢は不適切であると認められた。

    • (1)同支店経営陣は、従前からパンフレット等募集用の資料の誤表示の報告を受け、これを認識していたにもかかわらず、その重大性を認識せず何ら抜本的な改善策を指示していないこと。また、募集用の資料に関する有効な内部監査も行っていなかったこと。

    • (2)募集用の資料の誤表示の事実を支払部門等に通知する仕組みが無いこと。

    • (3)誤表示のある募集用の資料によって契約した顧客に対する適切な対応が検討されていなかったこと。

  • 3.  以上を理由として、本日、同支店に対し、保険業法第204条第1項の規定に基づき、下記の内容の業務改善命令を発出した。

    • (1)募集用の資料(広告・パンフレット等)の作成・審査態勢と業務運営態勢の抜本的な改善

      • 募集用の資料について、通信販売の特性に応じた顧客にわかりやすい適正な表示を確保するために作成・審査態勢を抜本的に改善すること。

      • 顧客保護に資する業務運営態勢の構築を図ること(誤表示の募集用の資料に基づき契約した既契約者への対応を含む)。

    • (2)法令等遵守態勢、経営管理態勢及び内部監査態勢の機能発揮にかかる改善・強化

      • 実効性のある法令等遵守態勢の構築を図ること。

      • 適切な業務運営態勢が確保されるよう経営管理態勢の改善・強化を図ること。

      • 実効性のある内部監査態勢の構築を図ること。

    • (3)上記の業務改善命令に至るようになった問題等の原因となった役職員の責任を明確化すること。

    • (4)上記(1)から(3)について、具体策及び実施時期を明記した業務改善計画を平成19年12月17日(月)までに提出すること。この改善計画の策定に当たっては、全社統一的な視点での検討を踏まえるとともに、計画実施のための明確な体制及び責任分担を併せて記載すること。

    • (5)業務改善計画の実施終了までの間、計画の進捗・実施及び改善状況を取りまとめ、改善計画提出後6ヶ月が経過するまでについては3ヶ月毎に、それ以降については6ヶ月毎に報告すること。

お問い合わせ先

金融庁 Tel:03-3506-6000(代表)
監督局保険課(内線3740、3343)

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