平成19年12月14日
金融庁

日本証券金融株式会社に対する行政処分について

日本証券金融株式会社に対する証券取引等監視委員会による検査の結果、当該証券金融会社の業務の運営の状況に関し、公益又は投資者保護の観点から改善に必要な措置を取るべき状況が認められたとして、行政処分を求める勧告が行われた(平成19年11月27日)。

  • 品貸入札における不公正な調整について

    日本証券金融株式会社は、貸借取引における貸株超過銘柄については、当該銘柄を保有する証券会社及び生命保険会社、損害保険会社等を参加者とする入札(以下、「品貸入札」という。)により、貸付料率(以下、「品貸料」という。)を決定し、株券を調達することとしている。

    しかしながら、同社においては、一部の銘柄に係る品貸入札において、特定の入札参加者に対し、料率及び株数といった入札条件の変更などを要請し、不公正な入札調整を行うことにより、品貸料を引き上げていた事実が認められた。なお、当該入札調整は、遅くとも平成10年6月頃から行われていたものと認められる。

    当該証券金融会社の上記のような業務の運営の状況は、金融商品取引法第156条の33の規定により、業務の運営の状況の改善に必要な措置をとるべきことを命ずることができる場合の要件となる「業務の運営(中略)の状況に関し、公益又は投資者保護のため必要かつ適当であると認めるとき」に該当するものと認められる。

    このような事案が発生することとなった背景として以下の問題点が挙げられる。

    • (1)歴代の品貸担当者において、株券を調達できない事態を発生させないためには入札の調整も辞さないといった考え方に問題があったこと。

    • (2)貸借取引部(品貸入札の担当部門)の管理者が、現行の業務態勢を実際に確認しておらず、監督責任を果たしていなかったこと。

    • (3)採用するコンプライアンス態勢において、コンプライアンスを推進する役割を担うために配置されていたコンプライアンス担当者の認識の欠如から、規則に基づく品貸入札の適切性の遵守状況についての確認を行っておらず、その制度が有効に機能していなかったこと。

    • (4)監査部は、貸借取引部に対する内部監査を毎年実施し、適切であった旨の報告を行っているものの、書面の審査が中心であり、規則に基づく品貸入札の適切性を検証するまでの必要性を認識しておらず、長期にわたり不公正な入札調整を看過しており、監査が有効に機能していなかったこと。

    • (5)品貸入札業務に関する取引の記録の範囲及び内容が不十分であり、事後的に当該業務の適切性を検証することが困難な状況にあること。

    上記の問題点について、同社は、コンプライアンス態勢及び内部管理態勢の充実・強化を図る必要がある。

以上のことから、本日、同社に対し、以下の行政処分を行った。

  • 業務改善命令

    • 1.  今般の証券取引等監視委員会の指摘内容を踏まえ、根本的な原因を究明し、問題の所在を総括した上で、以下の観点からコンプライアンス態勢及び内部管理態勢を充実・強化すること。

      • (1)内部管理態勢及びコンプライアンス態勢のあり方について検証するとともに、責任の所在の明確化を図ること。

      • (2)役職員の投資者保護の意識を高め、当社が定める各種規定を遵守し、公正かつ適切に業務運営がなされるよう必要な研修及び周知徹底すること。

      • (3)内部監査部門の抜本的な改善・強化により監査機能の実効性を確保すること。

      • (4)当社の関連規程及び業務運営について、公正性及び適切性を確保するための改善の余地を検証すること。

      • (5)品貸入札業務に係る取引記録について、事後的に検証できるよう必要な整備を行うこと。

      • (6)上記を踏まえ、再発防止策を策定し、実施すること。

      • (7)改善を行った取り組みについて公表すること。

    • 2.  上記1について、その対応状況を平成20年2月13日までに書面で報告すること。以降、実施及び改善状況について、2ヶ月毎に報告すること。

お問い合わせ先

金融庁 Tel:03-3506-6000(代表)
監督局証券課(内線2666、3488)

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