平成20年10月3日
金融庁

中小企業の自己資本充実策の支援に向けた「金融検査マニュアル」等の一部改定について

金融庁では、「安心実現のための緊急総合対策」(平成20年8月29日)において、「中小企業の自己資本充実策の支援」が盛り込まれたことを踏まえ、企業の借入金を「十分な資本的性質が認められる借入金」へと条件変更した場合には、金融検査において当該借入金を資本とみなして資産査定を行うことができる旨明確化するため、本日付で「金融検査マニュアル」、「保険検査マニュアル」及び「金融検査マニュアル別冊〔中小企業融資編〕」を改定・発出しましたので、公表します。

1. 改定の経緯

金融庁では、本年3月、十分な資本的性質が認められる借入金は資産査定において資本とみなすことができる旨検査マニュアルの改定を行いました。

当該借入金は、新規融資、既存融資からの条件変更(DDS)のいずれであっても資本とみなすことができますが、金融機関等の間で新規融資のみを対象としているとの受け止めが見られたことから、検査マニュアルにおいて、既存融資からの条件変更であっても資本とみなせる旨、明確に記載するものです。

2. 改定の目的

財務内容が悪化し、経営難の状態にある中小企業等の経営改善を図るにあたっては、「十分な資本的性質が認められる借入金」を資本とみなすことにより、財務内容を改善させた上で、業況の改善に取り組むことが効果的と考えられます。また、これにより当該中小企業の経営改善可能性が高まる(債務者区分がランクアップする)ことは、金融機関等による追加的な資金供給を容易にすると考えられます。

一方で、経営難の状態にある中小企業に対して「十分な資本的性質が認められる借入金」を新規に融資することは、貸し手にとってリスクが大きい(回収可能性が低い)ため、容易には貸し手が見つからないという問題があります。

その点、既存融資からの条件変更については、貸し手が新たな資金を供給する必要はなく、また条件変更により経営改善の可能性が高まれば、経営難の状態を放置するよりもむしろリスクは小さくなる(回収可能性は高まる)とも考えられます。

したがって、既存融資を「十分な資本的性質が認められる借入金」へと条件変更した場合、当該借入金を資本とみなすことを明確化することを通して、金融機関における対応を促し、もって中小企業等の自己資本充実を通じた経営改善を支援する観点から、今般検査マニュアルを改定することにしたものです。

※  本改定については、上記の通り検査マニュアルの解釈を明確化するものであり、実質的な内容の変更はないため、パブリックコメントは実施していません。

また、中小企業再生支援協議会において、十分な資本的性質が認められる借入金を用いた再生支援手法が導入されること等を踏まえ、「金融検査マニュアルに関するよくあるご質問(FAQ)」の質問・回答を別紙4のとおり修正・追加しました。

中小企業庁HPアドレス:http://www.chusho.meti.go.jp/新しいウィンドウで開きます

  • (参考)「安心実現のための緊急総合対策」(平成20年8月29日 「安心実現のための緊急総合対策」に関する政府・与党会議、経済対策閣僚会議合同会議)(抄)

    第2章 具体的施策

    • 7. 中小企業等活力向上対策

      (1) 中小・零細企業等への支援

      ○資金繰り対策の拡充

      • 中小・零細企業金融の円滑化(中小・零細企業金融のきめ細かい実態把握と監視の強化、金融機関への要請、中小・零細企業の自己資本充実策や事業再生の支援、金融仲介機能の発揮促進に向けた検査対応の一層の改善等)

お問い合わせ先

金融庁 Tel 03-3506-6000(代表)
検査局総務課(内線2517,2595)


(別紙1-a) 金融検査マニュアル
  資産査定管理態勢の確認検査用チェックリスト
  PDF自己査定(別表1)(新旧対照表)(PDF:110KB)
(別紙1-b) 金融検査マニュアル
  資産査定管理態勢の確認検査用チェックリスト
  PDF償却・引当(別表2)(新旧対照表)(PDF:152KB)
(別紙2-a) 保険検査マニュアル
  信用リスク検査用マニュアル
  PDF自己査定に関する検査について(新旧対照表)(PDF:110KB)
(別紙2-b) 保険検査マニュアル
  信用リスク検査用マニュアル
  PDF償却・引当に関する検査について(新旧対照表)(PDF:114KB)
(別紙3) PDF金融検査マニュアル別冊〔中小企業融資編〕」(新旧対照表)(PDF:243KB)
(別紙4) PDF金融検査マニュアルに関するよくあるご質問(FAQ)(PDF:205KB)

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