平成20年12月19日
金融庁
トラステックスホールディングス株式会社に係る有価証券報告書等の虚偽記載に対する課徴金納付命令の決定について
金融庁は、証券取引等監視委員会から、トラステックスホールディングス(株)に係る有価証券報告書等の虚偽記載の調査結果に基づく課徴金納付命令の勧告を受け、平成20年11月21日に審判手続開始の決定(平成20事務年度(判)第12号金融商品取引法違反審判事件)を行ったところ、被審人から課徴金に係る平成20年法律第65号による改正前の金融商品取引法(以下「旧法」といいます。)第178条第1項第1号及び第2号に掲げる事実及び納付すべき課徴金の額を認める旨の答弁書の提出があり、これを受けた審判官から金融商品取引法(以下「法」といいます。)第185条の6の規定に基づき、課徴金の納付を命ずる旨の決定案が提出されたことから、本日、下記のとおり決定を行いました。
記
1 決定の内容
納付すべき課徴金の額及び納付期限
金2億2424万円 平成21年2月20日
2 事実及び理由
(1)課徴金に係る法第178条第1項第2号及び第4号に掲げる事実
被審人トラステックスホールディングス(株)は、
(a)有価証券報告書等について
イ平成17年12月27日、近畿財務局長に対し、売上の過大計上、貸倒損失の過少計上、長期未収入金及び破産・更生債権等(以下、「長期未収入金等」という。)並びに劣後信託受益権の過大計上等により、連結経常損益が994百万円(百万円未満切捨て。以下、連結経常損益額、連結当期純損益額、連結中間純損益額及び連結純資産額について同じ。)の損失であったにもかかわらず、これを1,083百万円の利益と、連結中間純損益が1,170百万円の損失であったにもかかわらず、これを578百万円の利益と記載するなどした中間連結損益計算書、及び連結純資産額が2,623百万円の債務超過であったにもかかわらず、連結純資産額に相当する「資本合計」欄に7,697百万円と記載するなどした中間連結貸借対照表を掲載した平成17年9月中間期半期報告書を提出し、
ロ平成18年6月30日、近畿財務局長に対し、売上の過大計上、貸倒損失の過少計上、長期未収入金等及び劣後信託受益権の過大計上等により、連結経常損益が528百万円の損失であったにもかかわらず、これを1,885百万円の利益と、連結当期純損益が955百万円の損失であったにもかかわらず、これを1,314百万円の利益と記載するなどした連結損益計算書、及び連結純資産額が1,796百万円の債務超過であったにもかかわらず、連結純資産額に相当する「資本合計」欄に9,052百万円と記載するなどした連結貸借対照表を掲載した平成18年3月期有価証券報告書を提出し、
ハ平成19年1月16日、関東財務局長に対し、売上の過大計上、貸倒損失の過少計上、長期未収入金等及び劣後信託受益権の過大計上等により、連結経常損益が313百万円の損失であったにもかかわらず、これを319百万円の利益と記載するなどした中間連結損益計算書、及び連結純資産額が605百万円の債務超過であったにもかかわらず、連結純資産額に相当する「純資産合計」欄に1,586百万円と記載するなどした中間連結貸借対照表を掲載した平成18年9月中間期半期報告書を提出し、
二平成19年6月29日、近畿財務局長に対し、長期未収入金等の過大計上等により、連結純資産額が1,643百万円の債務超過であったにもかかわらず、連結純資産額に相当する「純資産合計」欄に918百万円の債務超過と記載するなどした連結貸借対照表を掲載した平成19年3月期有価証券報告書を提出し、
ホ平成19年12月28日、近畿財務局長に対し、長期未収入金等の過大計上等により、連結純資産額が134百万円であったにもかかわらず、連結純資産額に相当する「純資産合計」欄に849百万円と記載するなどした中間連結貸借対照表を掲載した平成19年9月中間期半期報告書を提出し、
へ平成20年6月30日、近畿財務局長に対し、貸倒損失の過少計上、長期未収入金の過大計上等により、連結経常損益が411百万円の損失であったにもかかわらず、これを248百万円の損失と記載するなどした連結損益計算書、及び連結純資産額が298百万円であったにもかかわらず、連結純資産額に相当する「純資産合計」欄に786百万円と記載するなどした連結貸借対照表を掲載した平成20年3月期有価証券報告書を提出した。
被審人が行った上記の各行為は、旧法第172条の2第1項又は第2項に規定する「重要な事項につき虚偽の記載がある」有価証券報告書等を提出した行為に該当すると認められる。
(b)有価証券届出書について
イ平成17年11月25日、近畿財務局長に対し、売上の過大計上、貸倒損失の過少計上、長期未収入金等及び劣後信託受益権の過大計上等により、連結経常損益が207百万円の損失であったにもかかわらず、これを656百万円の利益と記載するなどした連結損益計算書、及び連結純資産額が1,366百万円の債務超過であったにもかかわらず、連結純資産額に相当する「資本合計」欄に7,247百万円と記載するなどした連結貸借対照表を掲載した平成17年3月期有価証券報告書を参照書類とする有価証券届出書を提出し、同有価証券届出書に基づく募集により、平成17年12月12日、新株予約権付社債券を5,000,000,000円で取得させ、
ロ平成19年1月16日、関東財務局長に対し、売上の過大計上、貸倒損失の過少計上、長期未収入金等及び劣後信託受益権の過大計上等により、連結経常損益が528百万円の損失であったにもかかわらず、これを1,885百万円の利益と、連結当期純損益が955百万円の損失であったにもかかわらず、これを1,314百万円の利益と記載するなどした平成18年3月期の連結損益計算書、及び連結純資産額が1,796百万円の債務超過であったにもかかわらず、連結純資産額に相当する「資本合計」欄に9,052百万円と記載するなどした平成18年3月期の連結貸借対照表、並びに売上の過大計上、貸倒損失の過少計上、長期未収入金等及び劣後信託受益権の過大計上等により、連結経常損益が313百万円の損失であったにもかかわらず、これを319百万円の利益と記載するなどした平成18年9月中間期の中間連結損益計算書、及び連結純資産額が605百万円の債務超過であったにもかかわらず、連結純資産額に相当する「純資産合計」欄に1,586百万円と記載するなどした平成18年9月中間期の中間連結貸借対照表をそれぞれ掲載した有価証券届出書を提出し、同有価証券届出書に基づく募集により、同年2月5日、新株予約権付社債券を300,000,000円で取得させ、
ハ平成19年2月22日、関東財務局長に対し、前記(1)の(b)のロと同様の内容を記載した平成18年3月期の連結損益計算書及び連結貸借対照表並びに平成18年9月中間期の中間連結損益計算書及び中間連結貸借対照表をそれぞれ掲載した有価証券届出書を提出し、同有価証券届出書に基づく募集により、同年3月12日、新株予約権付社債券を260,000,000円で取得させ、
二平成19年3月2日、関東財務局長に対し、前記(1)の(b)のロと同様の内容を記載した平成18年3月期の連結損益計算書及び連結貸借対照表並びに平成18年9月中間期の中間連結損益計算書及び中間連結貸借対照表をそれぞれ掲載した有価証券届出書を提出し、同有価証券届出書に基づく募集により、同月19日、新株予約権付社債券を100,000,000円で取得させ、
ホ平成19年4月27日、関東財務局長に対し、前記(1)の(b)のロと同様の内容を記載した平成18年3月期の連結損益計算書及び連結貸借対照表並びに平成18年9月中間期の中間連結損益計算書及び中間連結貸借対照表をそれぞれ掲載した有価証券届出書を提出し、同有価証券届出書に基づく募集により、同年5月17日、60,023,540株の株券を5,102,000,900円で取得させた。
被審人が行った上記の各行為は、旧法第172条第1項第1号に規定する「重要な事項につき虚偽の記載がある」発行開示書類に基づく募集により有価証券を取得させた行為に該当すると認められる。
(2)課徴金の計算の基礎
(a)旧法第172条の2第1項又は第2項の規定により、平成17年9月中間期半期報告書及び平成18年3月期有価証券報告書に係る課徴金の額について、個別決定ごとの算出額は、
イ被審人が発行する算定基準有価証券の市場価額の総額に10万分の3を乗じて得た額(476,482円)
が
ロ3,000,000円
を超えないことから、
同半期報告書については、3,000,000円の2分の1に相当する額である1,500,000円
同有価証券報告書については、3,000,000円
となる。
ここで、法第185条の7第6項の規定により、同一の事業年度に係る2以上の虚偽の継続開示書類が提出されたときは、課徴金の額を調整することとなるため、次のとおり300万円を個別決定ごとの算出額に基づき按分した金額が課徴金の額となる。
平成17年9月中間期半期報告書に係る課徴金の額は
3,000,000×1,500,000/(1,500,000+3,000,000)=1,000,000円
平成18年3月期有価証券報告書に係る課徴金の額は
3,000,000×3,000,000/(1,500,000+3,000,000)=2,000,000円
(b)旧法第172条の2第1項又は第2項の規定により、平成18年9月中間期半期報告書及び平成19年3月期有価証券報告書に係る課徴金の額について、個別決定ごとの算出額は、
イ被審人が発行する算定基準有価証券の市場価額の総額に10万分の3を乗じて得た額(288,987円)
が
ロ3,000,000円
を超えないことから、
同半期報告書については、3,000,000円の2分の1に相当する額である1,500,000円
同有価証券報告書については、3,000,000円
となる。
ここで、法第185条の7第6項の規定により、同一の事業年度に係る2以上の虚偽の継続開示書類が提出されたときは、課徴金の額を調整することとなるため、次のとおり300万円を個別決定ごとの算出額に基づき按分した金額が課徴金の額となる。
平成18年9月中間期半期報告書に係る課徴金の額は
3,000,000×1,500,000/(1,500,000+3,000,000)=1,000,000円
平成19年3月期有価証券報告書に係る課徴金の額は
3,000,000×3,000,000/(1,500,000+3,000,000)=2,000,000円
(c)旧法第172条の2第1項又は第2項の規定により、平成19年9月中間期半期報告書及び平成20年3月期有価証券報告書に係る課徴金の額について、個別決定ごとの算出額は、
イ被審人が発行する算定基準有価証券の市場価額の総額に10万分の3を乗じて得た額(133,900円)
が
ロ3,000,000円
を超えないことから、
同半期報告書については、3,000,000円の2分の1に相当する額である1,500,000円
同有価証券報告書については、3,000,000円
となる。
ここで、法第185条の7第6項の規定により、同一の事業年度に係る2以上の虚偽の継続開示書類が提出されたときは、課徴金の額を調整することとなるため、次のとおり300万円を個別決定ごとの算出額に基づき按分した金額が課徴金の額となる。
平成19年9月中間期半期報告書に係る課徴金の額は
3,000,000×1,500,000/(1,500,000+3,000,000)=1,000,000円
平成20年3月期有価証券報告書に係る課徴金の額は
3,000,000×3,000,000/(1,500,000+3,000,000)=2,000,000円
(d)旧法第172条第1項第1号の規定により、重要な事項につき虚偽の記載がある発行開示書類に基づく募集により取得させた株券等の発行価額の総額の100分の2に相当する額が課徴金の額となることから、
平成17年11月25日提出の有価証券届出書に係る課徴金の額は、
5,000,000,000円×2/100=100,000,000円
平成19年1月16日提出の有価証券届出書に係る課徴金の額は、
300,000,000円×2/100=6,000,000円
平成19年2月22日提出の有価証券届出書に係る課徴金の額は、
260,000,000円×2/100=5,200,000円
平成19年3月2日提出の有価証券届出書に係る課徴金の額は、
100,000,000円×2/100=2,000,000円
平成19年4月27日提出の有価証券届出書に係る課徴金の額は、
5,102,000,900円×2/100=102,040,018円
について、法第176条第2項の規定により1万円未満を切り捨てて、102,040,000円
となる。
以上より、課徴金の額は次のとおりである。
1,000,000円+2,000,000円+1,000,000円+2,000,000円
+1,000,000円+2,000,000円+100,000,000円+6,000,000円
+5,200,000円+2,000,000円+102,040,000円
=224,240,000円
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金融庁 Tel 03-3506-6000(代表)
総務企画局総務課審判手続室(内線2398、2404)