平成21年1月20日
金融庁
個人投資家によるトリニティ工業株式会社株券に係る相場操縦に対する課徴金納付命令の決定について
金融庁は、証券取引等監視委員会から、個人投資家によるトリニティ工業(株)株券に係る相場操縦の検査結果に基づく課徴金納付命令の勧告を受け、平成20年12月19日に審判手続開始の決定(平成20事務年度(判)第14号金融商品取引法違反審判事件)を行ったところ、被審人から課徴金に係る金融商品取引法(以下「法」といいます。)第178条第1項第14号に掲げる事実及び納付すべき課徴金の額を認める旨の答弁書の提出があり、これを受けた審判官から法第185条の6の規定に基づき、課徴金の納付を命ずる旨の決定案が提出されたことから、本日、下記のとおり決定を行いました。
記
1 決定の内容
納付すべき課徴金の額及び納付期限
金745万円 平成21年3月23日
2 事実及び理由
(1)課徴金に係る法第178条第1項第14号に掲げる事実
被審人は、トリニティ工業(株)の株券につき、その株価の高値形成を図り、同株券の売買を誘引する目的をもって、平成18年1月5日から同月6日までの間、直前約定値より高値で買い注文と売り注文を同時期に発注して対当させ株価を引き上げるなどの方法により、同株券合計17万株を買い付ける一方、同株券合計17万4000株を売り付け、同株券の株価を1,680円から1,790円まで高騰させるなどし、同株券の相場を変動させるべき一連の売買をしたものである。
(2)課徴金の計算の基礎
・証券取引法(平成20年法律第65号及び平成18年法律第65号による改正前のもの。以下同じ。)第174条第1項に基づき、課徴金の額は、
イ売買対当数量(注1)に係るものについて、
(有価証券の売付価額)-(有価証券の買付価額)
と、
ロ当該違反行為に係る有価証券の買付数量が売付数量を超える場合には、買付け等対当数量(注2)に係るものについて、
(当該違反行為が終了した日から1月以内に行われた有価証券の売付価額)-(有価証券の買付価額)
(注1)当該違反行為に係る有価証券の買付数量が売付数量を超える場合には、買付け等対当数量(注2)に係るものについて、売買対当数量:当該違反行為に係る有価証券の売付数量と買付数量のうち、いずれか少ない数量をいう。
(注2)買付け等対当数量:当該違反行為に係る有価証券の買付数量が売付数量を超える場合における当該超える数量と、当該違反行為が終了した日から1月以内に行われた当該違反行為に係る売付数量のうちいずれか少ない数量をいう。
・本件における課徴金の額は、次の(a)及び(b)によりそれぞれ算定される額の合計である、7,456,000円となり、課徴金の額は1万円未満を切り捨てるため、745万円となる。
(a)当該違反行為に係る売買対当数量は、
イ当該違反行為に係る有価証券の売付数量は174,000株であり、
ロ当該違反行為に係る有価証券の買付数量は、実際の買付け等の数量170,000株に、同条第9項により、違反行為開始時にその時の価格(1,699円)で買付け等をしたものとみなされる当該違反行為の開始時に所有している当該有価証券の数量228,000株を加えた398,000株である
ことから、174,000株となる。
当該売買対当数量に係るものについて、
(1,670円× 1,000株+1,680円× 2,000株+1,681円× 1,000株
+1,685円× 1,000株+1,690円× 4,000株+1,699円× 1,000株
+1,700円×40,000株+1,704円×10,000株+1,706円×10,000株
+1,708円×10,000株+1,709円×10,000株+1,720円× 9,000株
+1,722円×10,000株+1,729円×1,000株+1,732円×1,000株
+1,737円×10,000株+1,738円×1,000株+1,740円×1,000株
+1,747円×1,000株+1,748円×10,000株+1,785円×29,000株
+1,786円×1,000株+1,788円×10,000株)
-(1,699円×174,000株)=5,166,000円
(注3)買付価額の算定においては、金融商品取引法施行令(平成20年政令第369号及び平成18年政令222号による改正前のもの。以下同じ。)第33条の14第5項の規定により、当該違反行為に係る有価証券の買付けのうち最も早い時期に行われたものから順次当該売買対当数量に達するまで割り当てることとなる。
本件においては、違反行為の開始時点において所有しており、証券取引法第174条第9項の規定により、違反行為の開始時点にその時における価格(1,699円)で買い付けたものとみなされるもの(みなし買付け)から、順次割り当てている。
(b)上記(a)のとおり、当該違反行為に係る有価証券の買付数量が、売付数量を超えることから、当該違反行為に係る買付け等対当数量は、
買付数量が売付数量を超える数量224,000株(398,000-174,000)
と、
当該違反行為が終了した日から1月以内に行われた売付数量35,000株とを比較して少ない数量である、35,000株となる。
当該買付け等対当数量に係るものについて、
(1,724円×11,000株+1,740円×2,000株+1,750円×3,000株
+1,769円× 1,000株+1,770円×1,000株+1,773円×1,000株
+1,790円×5,000株+1,799円× 1,000株+1,800円×10,000株)
-(1,699円×35,000株)=2,290,000円
(注4)買付価額の算定においては、金融商品取引法施行令第33条の14第7項の規定により、同条第5項の規定により割り当てられなかった有価証券の買付けのうち最も早い時期に行われたものから順次当該買付け対当数量に達するまで割り当てることとなる。
本件においては、(注3)と同様にみなし買付けから順次割り当てている。
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