金融・資本市場に係る制度整備に関する意見交換会(第一部)

日時:平成21年12月24日(木)16時30分~18時43分

場所:中央合同庁舎第7号館13階共用第1特別会議室

○岳野審議官

それでは、ほぼ定刻になり、皆様おそろいでございますので、これから金融・資本市場に係る制度整備に関する意見交換会を開催させて頂きます。

皆様方におかれましては、年末のお忙しい中、急なお願いにもかかわらず多数ご参加を頂きまして、ありがとうございました。

この意見交換会につきましては、金融担当副大臣の大塚副大臣、それから金融担当の大臣政務官であられます田村政務官、この2人のリーダーシップのもとに運営をさせて頂く会でございます。

ただ、便宜、会の進行の補助役といたしまして、金融庁の事務方が補佐をさせて頂くということを考えておりまして、具体的には私、総務企画局の市場担当審議官の岳野でございますが、便宜、進行の補佐役を務めさせて頂きたいと思います。

皆様のご協力を頂きまして、充実した意見交換になりますよう心がけてまいりますので、よろしくお願い申し上げます。

マイクの調子が悪いので、大変恐縮でございます。それでは冒頭、開会に当たりまして、大塚副大臣と田村大臣政務官よりごあいさつを頂きたいと存じます。よろしくお願いします。

○大塚副大臣

改めまして、皆さん、こんにちは。ご紹介を頂きました副大臣を仰せつかっております大塚耕平でございます。今日は金融・資本市場に係る制度整備に関する意見交換会ということで、本当にお忙しいところ、皆様方にお集まりを頂きまして、心から御礼を申し上げたいと思います。

来年の通常国会に向けて、どのような市場整備に関する法案を出し、そして制度設計をしていくかということについての骨子案を発表させて頂きましたので、今日はその内容について皆さんから忌憚のないご意見を拝聴して、今後の検討の材料にさせて頂きたいなと思っておりますので、どうぞ短い時間ではございますが、ご教示を賜りたいと思います。よろしくお願い申し上げます。

○岳野審議官

ありがとうございました。

それでは、田村大臣政務官からお願いいたします。

○田村大臣政務官

金融担当政務官の田村謙治でございます。本日はお忙しいところお集まりを頂きまして、本当にどうもありがとうございます。

もうご案内のことと思いますけれども、従来、金商法改正に向けて金融審議会へ回して、そこで審議をして報告書を出してという手続を踏んでいたわけでありますけれども、この新政権において、一旦金融審議会は、凍結というのはメディアが書いた言葉でありますけれども、金融審議会で審議をするということをせずに、事務方でまずヒアリングを各方面からして、その上で骨子案を発表して、パブリックコメントに付すとともに、こうやって皆様にお集まりを頂いて、さらにご意見を伺って、しっかりと日本の金融経済の発展のためになるような政策をつくっていきたいという思いでこの場を設けさせて頂きましたので、限られた時間ではございますけれども、どうぞよろしくお願いいたします。

○岳野審議官

それでは、会に入りたいと思いますので、カメラさんはここで退席ということでよろしくお願いいたします。

それでは、会の冒頭、机上に置かせて頂いております資料が多数ございますので、念のため配付資料につきまして寺田市場課長から簡単に確認をさせて頂きたいと思います。

○寺田市場課長

市場課長の寺田でございます。

配付資料一覧をご覧ください。資料1-1は骨子案のポイントでございます。資料1-2が骨子案本体でございます。本日ご議論頂く本体でございます。それから資料1-3は骨子案について絵で解説しているものでございます。それから1-4は、先ほど副大臣、政務官からお話がございました11月13日現在のご指示でございまして、現在1-4の4.のところで再度意見を聴取した上でという段階に入っているわけでございます。それから、1-4の紙にも金融審議会・基本問題懇談会の審議等の内容を参考にしつつというご指示がございましたので、参考として資料1-5として、金融審議会金融分科会基本問題懇談会の報告書を添付させて頂いております。

以下、本席ご出席の方々の提出資料を添付させて頂いております。資料はご発言順でございます。順序はそういう順序でございまして、決して何らの意図はございません。資料2は日本証券業協会様提出資料、資料3は東京証券取引所様提出資料、資料4は東京金融取引所様提出資料、資料5は国際スワップ・デリバティブ協会様提出資料、資料6は神田秀樹東京大学大学院教授様提出資料、資料7は信託協会様提出資料、資料8は投資信託協会様提出資料、資料9は上柳敏郎弁護士様提出資料、資料10はFoster Forum良質な金融商品を育てる会、永沢裕美子様提出資料でございます。

もし、資料に欠けている点がございましたら、ご挙手頂ければすぐにお届けいたしますが、ございますでしょうか。よろしゅうございますか。ありがとうございます。

○岳野審議官

それでは、意見交換に入らせて頂きたいと存じますが、本日は6時半ぐらいまで、約2時間のお時間をちょうだいいたしております。多数の皆様からご意見を頂くことになっておりますので、便宜、恐縮でございますが、ご出席の皆様を3つのグループに分けさせて頂きまして、最初のグループのご意見表明が終わったところで一旦質疑、あるいはご参加者同士の討議といったような時間を挟ませて頂きまして、3回そういったセッションを回させて頂ければと存じます。大変恐縮でございますが、ご発言の皆様には全体の時間の進行を考えまして、最大でも3分程度で最初のプレゼンテーションをできればと存じます。

それでは、最初のグループといたしまして、日本証券業協会、安東会長、東京証券取引所、斉藤社長、日本証券クリアリング機構、飛山社長、東京金融取引所、太田社長、全国銀行協会、鈴木市場国際委員長、国際スワップ・デリバティブ協会、森田東京事務所長、それから神田秀樹東京大学大学院教授、岩原紳作東京大学大学院教授からご意見を頂きたいと存じます。

ご意見は、私ども金融庁が発表いたしました骨子案の各項目について頂きたいと存じますが、この中でも冒頭の論点でございます店頭デリバティブに関する清算機関の扱いが議論の中心になっているようでございます。

それでは、日本証券業協会、安東会長からご説明をお願い申し上げます。

○安東俊夫氏

それでは、手短にお話しさせて頂きます。

初めに、今年の我が国市場と世界の現状についてですが、東京市場は直近の時価総額や売買代金で見ても、金融危機の舞台となったニューヨークにも大差をつけられ、今や上海、香港、深センを合わせた中国にも実質的に追い抜かれております。

したがって、個人投資家を含む国内、海外の投資家に我が国市場に参加して頂くためにも、より一層信頼される市場の構築が喫緊の課題であります。そのためには、市場の流動性、効率性を阻害し、国際競争力が弱まることのないよう、市場に対する慎重な配慮が必要であり、あわせて前広かつ積極的な経済対策、市場振興策が打ち出される必要があると考えておりますので、このような点を念頭に置かれてさらにご検討を深めて頂きたく、よろしくお願い申し上げます。

今回お示し頂きました骨子案は、先般の金融危機を踏まえた国際的な重要課題としての合意を背景として、我が国市場の安定性・透明性の向上と投資家保護といった観点から整理されており、例えば国債取引の決済リスクの削減や我が国の清算機関の体制のあり方などの方策を初めとして、大変意義深いものと理解しております。

しかしながら、気になる点が3点ほどありますので、意見を申し述べます。

初めに、店頭デリバティブ取引の清算集中についてであります。

店頭デリバティブ取引の清算集中については、法令による一律かつ過剰な規制には極めて慎重であるべきであり、その検討に当たっては、デリバティブ取引の役割、現物市場との関連性にかんがみ、我が国の金融・資本市場の国際競争力を確保し、市場の空洞化を招くことがないよう、新たな規制の導入による効果とコストとのバランスに留意して頂きたいと思います。特に利用する清算機関については、市場の健全な運営が確保される限り、国内、海外にかかわらず利用者の選択を認めるべきと考えております。

次に、デリバティブ取引一般に対する不招請勧誘の禁止についてであります。

すべてのデリバティブの取引を一律に不招請勧誘の禁止規制の対象とすることは、投資家にとって必要な投資情報、投資機会を著しく狭め、市場の自律的発展を大きく阻害するおそれがあり、賛同しかねます。今後は、法令による規制の是非を検討する前に、柔軟かつ機動的な自主規制による対応をも含めて検討されることが適当であると考えます。

最後に、空売り規制についてであります。

現在、我が国の空売り規制は、各国の規制が組み合わさったものとなっており、他の主要先進国にはない非常に厳しい規制になっております。こうした中、空売りポジションの報告等の措置が恒久化されますと、市場の流動性が低下し、内外投資家の多くが我が国市場から離散するなど、我が国市場の国際競争力の低下を招くことが強く懸念されます。よって、現状の空売り規制が見直されることなく恒久化されることには反対いたします。

なお、一言つけ加えさせて頂きます。我が国金融・資本市場の公正性と透明性を高めて、流動性・効率性の高い規模を構築することが、我が国経済を再生し、活性化する上で極めて重要であると考えております。そのためには、今回の骨子案の検討に際しても、繰り返しとなりますが、例えば一律かつ単純な規制をかけるという考え方は実務にはなじまないと考えます。

また、このほか地方公共団体のプロ制度の見直しも、本来は地方公共団体が投資判断を適正に行える態勢をいかに構築するかが重要であると思います。加えて、アジア市場の台頭が著しい中、アジアと我が国との諸規制の相違などについても比較検討が必要ではないかと考えておりますので、あわせてご検討頂きたいと存じます。

なお、28日までに別途、正式に意見提出を行う予定です。何とぞよろしくお取り計らいくださるようお願い申し上げます。

若干、時間オーバーいたしましたけれども、以上で私の意見陳述を終わらせて頂きます。ありがとうございました。

○岳野審議官

ありがとうございました。

続きまして、東京証券取引所、斉藤社長、よろしくお願いいたします。

○斉藤惇氏

斉藤でございます。こういう機会を頂きまして、大変ありがとうございます。

まず、市場の構造と規制のあり方の考え方についてお話ししたいと思いますけれども、先生方ご存知のとおり、市場は今、現物市場とデリバティブ市場ということで構成されております。現物市場というのは、投資家と企業を結ぶリスクマネーの供給メカニズムの中心に位置しまして、我が国経済の発展と国際競争力の強化に直接的に結びつく、ここが非常にキーになっていると思います。デリバティブというのは、あくまでも派生でありまして、現物市場を取り囲むような状態で位置づけられていると思います。効率的な資金配分という金融・資本市場に本来求められています社会的意義に照らしますと、デリバティブ取引が行き過ぎた単なるマネーゲーム的な手段としていたずらに拡大するということは望ましい姿とは思えません。適切に規制されるべきであると思っております。

現物市場、デリバティブ市場、それぞれの商品の特性に応じた規制というものが必要ですが、共通する課題としては、取引の透明性の確保と、海外とのまさしく競争力の担保が必要であるというふうに思っております。透明性につきましては言う必要もありませんけれども、あくまでも監督当局や外部の投資者が把握できるような状態にあるということが必要だと思います。相対取引、いわゆるOTCというのは取引者同士の問題であるように見えますけれども、その取引に一旦決済不履行が発生しますと、金融システムに全体に影響しているのは、現在の金融クライシスを見ればはっきりしております。

また、透明性を確保する観点からは、できる限り多くの取引が取引所に集まるということが一番望ましいと思いますし、このことが価格形成の面からも肯定し得るものだというふうに思います。

海外との競争力については、やはり日本から取引の海外流出というのは、できるだけ我々は求めたくないという意味では、やはりレベル・プレイング・フィールドというものを求めたいと思います。規制の方向性は秩序のある自由、これが大事であるというふうに思っております。

店頭デリバティブにつきましては、取引所市場と同じく清算機関を利用するということによりまして、リスクを適切に管理することができれば、金融システムの安定性を確保することは可能ではないかと、こういうふうに思っております。

そして、清算集中のあり方でありますけれども、自分の国の金融システムはだれが守るのかという視点から考える必要があるというふうに思います。今回の世界的な金融危機からわかったことは、自国の金融機関が破綻すると、結局その負担はその金融機関の母国が負うということであります。いかに自分たちはグローバルプレーヤーであるとか、いろいろ言ったとしましても、結果的には全部母国の納税者のところへ戻っていっているという、この現実を把握する必要があると思います。これを踏まえますと、我が国金融機関が参加する清算機関というのは、骨子案にありますとおり、国内清算機関への集中が望ましいというふうに考えるわけであります。

また、これを実現するために、私どもインフラ機関のみならず、その利用者である金融機関とともに、基盤整備に向け市場関係者が一丸となって努力するということが重要であろうかと思っております。こうしたことを踏まえますと、外国清算機関というのが我が国において国内清算機関と同じ規制監督下に置かれるのでなければ参入を認めるべきではないというふうに思っております。

また、外国清算機関の参入を認めるのであれば、市場間競争という観点から、国内清算機関と外国清算機関とのレベル・プレイング・フィールドが確保されることが重要であります。清算機関は、市場インフラの中でも特に規模の経済が働くということから、常に国際的な競争にさらされるものであります。早晩アジアにおいても競争は激化すると考えられます。このような環境を考慮して、取扱可能商品の範囲など、法制・規制の違いが国内外の競争条件に格差をもたらさないようにして頂きたいと強く希望いたします。

現実によく調べてみますと、それぞれ世界の清算機関は全部、各国独自の監督下に置いておられます。フランスなどもよく調べてみますと、一見イギリスをベースとするグローバルな組織の下にあるようですけれども、監督規制等は全部フランスのガバメントの下にはっきり位置づけられております。

続いて、国債の決済等についてお話しさせて頂きたいと思います。

海外においては、その国を代表する清算機関が存在しますけれども、我が国においては、必ずしもそういう単一的な清算機関というものができ上がっておりません。世界から我が国に投資を引きつけるための重要な課題であって、今後激化が予想されますポストトレード分野での国際的な競争に勝ち残っていく手段ではないかと思います。

私の立場で言わせてもらえば、あえて言いますが、日本証券クリアリング機構を日本を代表する清算機関とすべく取り組むということが、我が国金融・資本市場の競争力向上のために必要不可欠であるというふうに思っております。具体的なアクションとして、我々は昨年9月以来、店頭デリバティブ取引の清算業務の開始に向けて幅広い市場関係者の皆様方といろいろ努力、検討を続けてまいりました。

この骨子案において国債取引の決済リスク削減が取り上げられておりますけれども、日本国債清算機関さんとの間では、現在でも既に日本証券クリアリング機構が参加者のモニタリングなどの業務を受託しておりまして、また同じ建物に入っているというようなこともありますので、そういう関係を生かして協力する用意があるということであります。

ヘッジ・ファンド等の規制につきましては、いろいろ言われておりますけれども、アメリカで必ずしも報道されるような法律の動きにはなっていないということで、あまり現在の制度から変更することについて結論を急ぐべきではないのではないかなと、欧米の規制とのバランスのとれた対応を図っていくべきではないかというふうに思っております。

最後に、空売り報告制度の整備についてでありますが、ご案内のとおり、我が国はアップティックルールという価格規制、それから報告という二重の規制がかかっている世界まれな市場であります。もし報告を恒久化するということであれば、既存の恒久処置であります価格規制、これを変更して頂かないと、世界的に大変劣後した動きにくい市場になってしまうということでありまして、あくまでもこういうときには世界と共通のルールにして頂きたいと、かように思います。

以上でございます。

○岳野審議官

ありがとうございました。

次に、日本証券クリアリング機構の飛山社長、よろしくお願いいたします。補足ということでよろしくお願いします。

○飛山康雄氏

日本証券クリアリング機構の飛山でございます。

私ども日本証券クリアリング機構は我が国で初めて清算機関の免許を受けまして、全国の証券取引所におきます株券の取引の清算を集中的に行うとともに、東京証券取引所におきます株価指数とか日本国債の先物取引、オプション取引といったデリバティブの清算を行っております。清算機関が持っておりますカウンターパーティー・リスクを大きく削減する機能がマーケットにとりましては非常に有効であり、かつ必要であるということについては、今次の金融危機において世界的に認識されているところでありまして、弊社での長年にわたる清算業務の中で蓄えた経験をそうしたことに生かしたいというふうに考えています。

まず、骨子案 I の店頭デリバティブ取引の決済の安定性・透明性の向上についてですが、これは金融機関の破綻が金融危機となるのを食いとめるため、規模の拡大が著しい店頭デリバティブ取引について、清算機関の機能を活用すべく、清算集中を行うということに賛成いたします。

この点についてですが、金融取引がグローバル化した今日、ある国で発生した危機が他の国に伝播するというリスクが高まっておりまして、こうした中では、日本における危機の発生を防ぐためにも規制やインフラの整備が行われるべきであるというふうに考えております。仮に各国と同等の規制が行われなければ、規制の裁定を誘発しまして、日本にリスクの高い取引が集中するというようなことも招きかねないおそれがあるわけであります。

それから、清算集中の対象とする取引につきましては、清算機関においてリスク管理が適切にできるということが重要でありまして、そのためには、時価が適切に評価でき、また万が一破綻が起きた場合でも未決済の残高を円滑に処理できるものでなければならないわけです。この観点から、骨子案で示されましたプレーン・バニラ型の金利スワップ、CDSの指標取引は、この条件に合っているものというふうに考えております。

次に、清算を集中すべき清算機関についてですが、日本の金融機関の行う取引につきましては、基本的に国内の清算機関を利用すべきと考えます。しかし、骨子案にございますように、金利スワップのうち、国内の金融機関が海外の金融機関と行うものにつきましては、海外における外国清算機関の利用が進んでいるという実態に配慮しまして、国内清算機関と外国清算機関とのリンクも選択肢として用意する必要があるというふうに考えております。

骨子案におきましては、外国清算機関への決済集中も選択肢として触れられておりますけれども、外国清算機関の我が国への直接参入につきましては、国内清算機関と同等のリスク管理体制を初めとした国内における業務執行体制が十分に整備され、イコールフッティングが確保されていなければ、これを認めるべきではないというふうに考えております。

CDS取引につきましては、骨子案のとおり、国内の清算機関に集中すべきであるというふうに考えています。

弊社では昨年9月以降、東京証券取引所と共同で店頭デリバティブ取引の清算業務について検討を行っておりまして、今後、制度の詳細に加え、採算面も含めたビジネスフィージビリティについても検討を進め、できるだけ早期に実現できるように取り組んでいきたいというふうに考えております。

続きまして、骨子案 II の証券決済・清算態勢の強化の中の貸株取引の清算態勢でございますけれども、弊社では東京証券取引所及び証券保管振替機構と共同で、貸株取引の清算業務の提供について市場参加者と意見交換を行っているところでありまして、引き続き鋭意検討を進めていきたいと考えております。

最後に、我が国の清算機関の体制のあり方について意見を述べさせて頂きます。

昨今の金融危機を踏まえますと、我が国の金融・資本市場の競争力を高めるためには、リスク管理などの質的な面でも、事業としての規模的な面でも、グローバルな認知度のある清算機関が我が国にも存在することが必要であるというふうに思われます。

冒頭申し上げましたとおり、私どもでは清算業務を専業とする独立清算機関として長年にわたって現物取引からデリバティブ取引まで幅広い取引を扱っており、また、あわせて弊社の清算機能は証券会社から銀行まで多数の参加者に幅広くご利用頂いております。現在は、店頭デリバティブ取引について清算業務を行うべく検討を進めているところでございます。

今後も弊社は我が国における中核的な清算機関として提供する清算機能の範囲をより拡大し、各金融商品に対する清算体制の整備に主体的に関与していくということによりまして、市場全体の安全性と効率性の向上に寄与し、我が国金融・資本市場の競争力強化に貢献していきたいと考えております。

以上でございます。

○岳野審議官

それでは、続きまして、東京金融取引所、太田社長、お願いします。

大変恐縮でございますが、制限時間と言っては恐縮でございますけれども、ポイントだけよろしくお願い申し上げます。

○太田省三氏

金融取引所の太田でございます。私は2点申し上げたいと思います。

1点目は、店頭デリバティブ取引の清算集中、清算機関制度。

2点目は、デリバティブ取引の勧誘規制の問題でございます。

まず1点目の店頭デリバティブの清算問題でございますけれども、私どもの取引所は、昨年の金融危機が発生する前から、店頭デリバティブの清算問題は非常に重要だということで、いろいろ研究しておりました。昨年秋に主要な店頭デリバティブの参加者とともに検討会を立ち上げて、この清算制度をどうするかということを検討してきております。ただ、規制当局の姿勢がいまひとつ明確でないということで、少しサスペンドしている状況でございます。

前提として、世界の店頭デリバティブの中で大半、7割を占めますのは金利スワップでございます。それから、日本市場のプレーヤーのほとんどは外資系の金融機関でございます。さらに、店頭デリバティブ取引の太宗を占める金利スワップにつきましては、既に英国のLCHクリアネットという会社のスワップクリアが、インターバンクの取引のうち大体6割を清算集中しています。また、スワップクリアの清算参加者26社のうち、本邦系は野村證券の海外子会社のみでございます。

そのような状況を踏まえて意見を述べさせて頂きたいと思います。骨子案では、CDSについては国内清算機関へ清算集中すべきだというご意見ですが、金利スワップについてはいろいろな選択肢を設けておられます。しかし、私は、原則として日本国内の清算機関に清算を集中すべきであると考えています。日本の金融インフラとして、国内にしっかりした清算機関を構築しておりませんと、まさに東京の金融マーケットの空洞化につながると、大変危惧をしております。一旦清算が海外の清算機関で行われますと、決済も海外に流れてしまいます。さらに、日本の規制当局はいろいろな取引情報を海外の清算機関から取らざるを得なくなるわけですが、そのようなことでよろしいのかと。

例えば、日本の金融機関が破綻のおそれがありまして、何らかの救済支援が必要な場合に、当該日本の金融機関のポジションとか、証拠金がどうなっているかということを日本の規制当局が十分に把握しておらず、海外の清算機関に問い合わせしなければならないというような状態は、いかがなものかと思います。

リンク方式につきましては、先ほど申し上げましたように、大半は外資系のプレーヤーが関係しているものですから、もし認めますと、大半の清算が海外の清算機関に流れることは明らかでございます。なお、LCHクリアネットは、現実的なビジネスの観点から、リンクに対して消極的と伺っております。

CDSについては、骨子案では、日本の清算機関に清算集中すべきだということで、大変結構だと思うのですが、実はCDSの取引規模は、日本では欧米と比べて大変小さい。したがってCDSの清算だけでは、清算機関のビジネスとして成り立たず、参加者の清算コストが大変大きくなってしまうということで、金利スワップとCDSの双方で国内の清算機関を構築すべきであるということでございます。

したがって、原則として国内の清算機関の利用を義務づけるべきではないかと。それが本邦の金融機関にとっても利便性が高く、また、日本の国益を考えれば、日本の金融インフラとして、しっかりした国内の清算機関を作っておくべきではないか。いずれ中国において清算機関が構築されるのは火を見るより明らかでございまして、そのときに、東京マーケットが店頭デリバティブの清算機関については海外に依存しているということで、果たしてよろしいのかということです。

少なくとも日本の金融機関が相手方になるような取引は国内の清算機関に集中すべきであるということでございます。

2点目の市場デリバティブ取引における不招請勧誘の問題でございますが、現在、取引所取引と店頭取引とでは、明らかにいろいろな規制の面で違いがございます。投資家保護の観点からも相当レベルが違います。まず、取引所が取り扱う商品は、金融庁の厳格な審査を受けて、商品内容をチェックされます。さらに取引参加者への考査についても自主規制業務で頻繁に行っています。取引内容のモニタリングも行っております。

取引所取引については、投資家保護の点で相当程度レベルが高いのですから、それを十把一絡げに全部不招請勧誘禁止にいたしますと、投資家サイドからすれば、市場デリバティブ取引が優れているにもかかわらず、そのような情報が得られなくて、結果的に店頭のいろいろな商品に飛びついてしまうという事態になると思います。したがって、取引所取引の情報が投資家に行き渡るように、取引所取引については再勧誘禁止で十分ではないかと思います。

ただ、骨子案にもございますように、商品取引所法で、一定の取引所取引については不招請勧誘禁止とすべきだという改正が本年行われました。「一定」のというのは、ロスカット制度があるものについては不招請勧誘禁止の対象外とするけれども、それ以外は不招請勧誘を禁止すべきだというお考えのようでございます。そのような、元本ロスといいますか、証拠金以上の損失を被る商品については不招請勧誘を禁止すべきだというお考えであれば、それは商品取引所法の趣旨と平仄を合わせる意味で、やむを得ないかなという考えも持っております。

以上でございます。

○岳野審議官

それでは、大分時間も押してまいっておりますので、次に移らせて頂きますが、実は先ほど私のほうから、次は全国銀行協会と申し上げましたが、実は今日ご出席の東京大学の神田先生、この後ご予定がございまして、途中で中座されるということでございますので、恐縮ですが、便宜、順番を変えまして、神田先生から先にご意見を頂ければと思います。先生、よろしくお願いいたします。

○神田秀樹氏

意見を述べさせて頂きます機会を与えて頂きまして、どうもありがとうございます。また、私の都合で順序を変えさせて頂きまして、大変申しわけありません。

私の意見はお手元に資料6として配付させて頂きましたので、主としてその資料に基づいて、2点について手短に意見を申し上げます。

1点目は、物事の考え方でございまして、釈迦に説法かとは思いますけれども、申し上げます。2点目は、今回の骨子案について若干の点を申し上げます。

1点目ですけれども、資料6の冒頭に書かせて頂きました。金融危機を受けて、世界レベルでいろいろな議論が行われているわけですけれども、それらの動向を踏まえた上で、取り入れるべき制度整備というのは、我が国としても取り入れて頂くというのは当然のことかと思いますけれども、他方において、日本としては世界的な議論に必要以上に左右されることなく、日本の銀行システム及び資本市場システムを一層強化するという視点で物事に取り組んで頂ければありがたいと思います。

その際、国際社会において、将来に向けて日本の金融機関、これには金融商品取引業者を含みますし、また今お話が出ております清算機関、あるいは決済機関も含めてお考え頂きたいと思いますけれども、そういう日本の諸機関を強くするという政策的・制度的アプローチもぜひ必要であると思います。他方また、国内を見てみますと、国民経済及び国民の生活において、金融ですとか資本市場という分野が果たす役割の重要性について、いま一つ認識が不足しているように感じられます。したがいまして、その点も改善する必要があるように思います。以上のような観点から今回の骨子案を拝見いたしますと、そこに示された考え方と対応の方向というものは基本的に大変結構ではないかと思います。

以下、若干の点だけ敷衍して申し述べさせて頂きます。

まず、店頭デリバティブ取引については、時間の関係で一言だけ申し上げますと、既に幾つかご指摘が出ていますが、金融商品取引法のもとで清算機関についての監督上の枠組みを整備するということがぜひ必要であると思います。

国債取引や貸株取引につきましては、関係者において具体的な改革案を検討するということが望ましいと思います。

それから、証券会社の連結規制等ですけれども、言うまでもなく、金融グループには、銀行中心のグループだけではありませんで、証券会社がコアとなり頂点となっているグループもあるわけです。したがって、銀行グループについてだけではなく、証券会社グループにつきましても、骨子案に述べられているように、グループ単位での規制及び監督の枠組みを整備するということが必要なことであると思います。

ヘッジ・ファンドにつきましては、既に法制の枠組みは我が国はでき上がっておりますので、そういった枠組みをベースとしながら、諸外国の動向等も踏まえて、さらに対応の改善が必要かどうかを注視していくという姿勢でよろしいのではないかと思います。

投資家保護につきましては、これは世界の問題というよりは、日本国内に固有の論点だと理解しておりますけれども、地方公共団体につきましては、原則はアマとして必要に応じてプロへ移行できると、そういう位置づけに改めるという方向でよろしいのではないかと思います。

最後に、空売り規制は非常に難問ですけれども、この点については総合的な検討ということで、いろいろなご意見も出ておりますので、検討を進めていくという方向でよろしいのではないかと思います。

以上です。どうもありがとうございました。

○岳野審議官

ありがとうございました。

途中ではございますが、神田先生はこの後退席されてしまいますが、副大臣、政務官から何か神田先生にご質問などございましたら、この場でお願いいたします。

○大塚副大臣

神田先生、お忙しいところありがとうございます。

神田先生のご意見自体についての質問ではないんですが、今までの皆様方のご意見を拝聴しておりますと、特に清算機関については、これは早くきっちり整備することが必要だということについては、ほぼご異論がないわけでありますが、政府が何らかの関与をする形で法的な整備をしたほうがいいというご意見と、これは市場の創意工夫に任せたほうがいというご主張と、両方あったような印象を私は受けておるんですが、その点については、神田先生はどのようにお考えでしょうか。

○神田秀樹氏

ありがとうございます。

私は清算機関も決済機関もそうなのですけれども、一言で言うと、政府の役割は日本の清算機関とか決済機関を強くする、そのために必要な制度的な手当をして頂くというのがいいと思っております。言葉を変えて言いますと、むやみに保護するとかそういうことではなくて、世界の中で強くする。これは実は銀行とか証券会社についても同じ意見を持っているのですけれども、そういう姿勢で必要な制度整備をして頂くというのが望ましいと思っております。

○岳野審議官

ありがとうございました。

それでは、続きまして、全国銀行協会の鈴木市場国際委員長、お願いいたします。

○鈴木人司氏

鈴木でございます。このような機会をちょうだいいたしまして、ありがとうございます。

本日は、特に私どもと深くかかわりがあります店頭デリバティブ取引の決済の安定性・透明性の向上、証券会社の連結規制・監督と、デリバティブ取引一般に対する不招請勧誘規制のあり方について、3点、一言申し上げたいと思います。

まず、店頭デリバティブ取引の決済の安定性・透明性の向上に関しましては、骨子案のとおり、中央清算機関の利用促進が有効な対応策の一つであるというふうに考えております。ただし、中央清算機関の利用強化が一律強制となりますと、市場全体の取引コストの増大が懸念されます。我が国店頭デリバティブ市場の競争力を阻害しないよう十分に配慮する必要があるというふうに思います。したがいまして、清算集中を促進するにしても、システミック・リスクが懸念される主要業者や取引種別に規制対象が限定されるべきであるというふうに考えております。

また、我が国の店頭デリバティブ市場は、既に海外市場と密接な関係にございます。骨子案にお示し頂いたとおり、国内清算機関への参加は重要でございますが、国内と海外の清算機関のリンク方式の促進、また外国清算機関への直接参入方式、こちらも選択肢の一つとして認めて頂きたいというふうに考えます。そうすることが我が国のデリバティブ市場の健全な発展を促進し、安定的かつ効率的な決済・清算体制の構築につながるというふうに考えます。

次に、証券会社の連結規制・監督等に関しまして、骨子案のとおり大規模かつ複雑な業務を行う証券会社グループに対して、連結の自己資本規制を導入することは、複雑なリスクを適切に評価し、健全性を確保する観点から必要な措置であるというふうに考えております。一方で、既に銀行を含め、他業法等で適正に連結規制・監督を受けているグループ等では、重複する規制・監督を排除する仕組みが必要であると、こういったことも骨子案のとおりであるというふうに考えております。

3点目の投資家保護、取引の公正の確保に関しましては、特にデリバティブ取引一般に対する不招請勧誘規制のあり方について述べさせて頂きたいと思います。お客様の経営課題には、金利、為替、商品価格等、さまざまな市場リスクが含まれており、その潜在ニーズはお客様ごとにさまざまでございます。実際にお客様に接してみますと、みずからのバランスシート上のリスクを認識し、それに対して有効に機能するデリバティブ商品をみずから考え、対応できるお客様、こちらはまだごく少数でございます。そうしたお客様の事情に応じた経営課題に対して具体的な店頭デリバティブ等の商品をご提案することは、銀行のコンサルティング機能発揮の観点からも重要な役割であるというふうに考えております。今後、不招請勧誘が禁止されますと、こうしたご提案が柔軟に行われなくなるというふうに考えられまして、お客様の有効なリスク削減の機会を失うことになりかねないというふうに思います。

骨子案では、市場関係者、利用者と引き続き意見交換を行い、来年前半をめどに結論を得るように検討を進めるというふうにされてございます。銀行界といたしましては、個別商品ごとの特性、お客様の顧客層などに応じたきめ細かい対応を行い、これまで以上に顧客利便性向上及び金融サービスの発展とお客様への適切な勧誘の両面が確保されるように努力してまいりたいと思います。

今回お示し頂いています整備案、我が国の金融・資本市場の健全な発展にとって極めて重要というふうに認識してございますので、引き続き、よりよい制度設計に向けて議論させて頂きたいというふうに思います。どうもありがとうございました。

○岳野審議官

ありがとうございました。

それでは、次に国際スワップ・デリバティブ協会、森田東京事務所長、お願いいたします。

○森田智子氏

このたびはこのような機会を与えて頂きまして、どうもありがとうございます。

今回の骨子案の主眼としましては、我が国店頭デリバティブ市場の安定かつさらなる発展を目指すもの、非常に重要なものというふうに理解しております。そのために規制が必要だということでございますが、その規制が適切でなかったり、過度であったりする場合に、逆に市場発展の阻害要因となってしまい、グローバル市場での日本の競争力を弱めて、市場の空洞化を招いてしまうおそれがあるのではないかといった懸念がございます。この点からISDA、国際スワップ・デリバティブ協会から2点のコメントを述べさせて頂きます。

まず、1点目が清算機関の利用になります。

今回の骨子案の中では、店頭デリバティブのうち、プレーン・バニラ型の金利スワップと日本銘柄のインデックスを参照するCDSについては清算集中の対象とすべきとされております。その利用できる清算機関としまして、金利スワップについては国内清算機関の利用に加えて、国内清算機関と外国清算機関が連携して清算を行う方式、そして外国清算機関への清算集中も選択肢として与えられている一方で、CDS取引につきましては国内清算機関の清算集中を行うべきという形で提言されております。

金利スワップについて利用可能な清算機関の範囲を外国清算機関まで広げるという背景としまして、国際取引が多いということですが、CDS取引においても非常に国際取引が多く行われておりまして、国内清算機関への清算集中を義務づけるということは、こういった国際取引の障害となりかねません。国内清算機関であるべき理由としまして、CDSにおいては本邦の企業の倒産事由がスワップの清算要件となり、この判断は我が国の倒産法制に照らした判断が必要ということが挙げられておりますが、現状の枠組みでは現在、ISDAの決定委員会の日本部会というところがございますが、こちらで日本の倒産法制や我が国の実情に照らした判断を行っております。この枠組みは日本だけではなくて、欧米市場であったり、日本以外のアジア市場でも共通した枠組みとして機能してございまして、清算機関が決済の安定性確保の仕組みを十分に備えていたり、またきちんとした監督下にあるということを条件にして、必ずしも国内清算機関のみにする必要はないのではないかというふうに考えます。

また、何度かご指摘がございましたが、日本のCDS市場というのは、欧米市場に比較して非常に取引量が限定的でございます。こういった場合に、国内清算機関の取引採算性というのを確保するためには、清算会員に対して過大なコストを強いることになってしまいます。その結果、コストのかかる国内清算機関の利用というのを避ける動きというのが出てまいりますので、その結果、日本のCDS市場から離れていってしまう市場参加者が増え、その流動性が低下して、日本のCDS市場の空洞化ということにつながってしまうのではないかということが懸念されております。

したがいまして、現在発展途上でありますCDS市場については、国内清算機関を義務づけるのではなくて、市場の育成をまず図った上で、将来的に国内清算機関による経済合理性を持った清算サービスの提供を可能とするといった長期的な方向性が必要ではないかというふうに考えております。

2点目としまして、こちらも清算機関のほうと関係するんですが、CDSのクレジット・イベントの認定について述べさせて頂きます。CDSの国内清算機関への集中清算との関連ということで、日本企業を参照するCDSのクレジット・イベントに関しては、その認定を国内清算機関が行う必要があるというような記載がございました。現状、相対で行われているCDSのクレジット・イベントの認定は、先ほども申し上げたとおり、ISDAの決定委員会というものが行っておりまして、日本企業を参照するCDSについては、決定委員会の日本部会が我が国の実情と倒産法制に照らして行っております。

この枠組みは現在、全世界に共通する枠組みとして機能としておりまして、各国の清算機関が独自で行っている例というのは今のところございません。全世界の共通基準として設定されているものから離れて、日本企業のCDSのみに特例を設けるということは、既に確立されている国際市場での慣行と異質なものととらえかねられませんので、そうなってしまうと、そういったことを嫌ってしまう市場参加者が出て、日本のCDS市場から離れていってしまうということがあるかと思いますので、あえて相対市場の枠組みから離れていく必要はないのではないかというふうに考えております。

ISDAでは店頭デリバティブ市場のさらなる発展のため、適切な規制というのは必要だと考えていますし、業界としてもその対応に向けて自主的な努力というのを続けてきております。まだ解決すべき論点というのはたくさんあるかと思いますが、今後も規制策定に向けた当局と市場関係者との意見交換というのは引き続き行って頂ければと希望しております。

以上でございます。

○岳野審議官

ありがとうございました。

次に、東京大学、岩原先生からお願いいたします。

○岩原紳作氏

岩原でございます。このような機会を与えて頂きまして、ありがとうございます。

時間が限られておりますので、論点を絞って申し上げさせて頂きたいと思います。

まず、全般的に申しますと、今回の金融危機により明らかになった金融制度の問題点に対する当面の対応として、この金融・資本市場に係る制度整備についての骨子案は妥当なものと考えています。

今まで最も議論が集中しましたのは I の店頭デリバティブ取引の決済の安定性・透明性についてでございます。これは非常に難しい問題で、私みたいに実務に当たっていないものにとってはよくわからないということを留保した上で、感想だけ申し上げさせて頂きたいと思います。

今回のリーマン・ブラザーズの危機等の反省として、CDS等の店頭デリバティブの集中清算機関を設立して、取引参加者の破綻リスクの波及を限定するとともに、当局が集中清算機関からリスク把握に必要な情報を入手できるような制度を設けるということは国際的な了解になっていると考えられます。その場合、骨子案にございますように、店頭デリバティブ取引は国際的に構築されている実情を考慮すれば、とりあえず取引規模の大きいプレーン・バニラ型金利スワップについて国内清算機関に清算集中をさせるほか、一定の外国清算機関とリンク方式による清算集中等も認めることによって、当局による監視ができるような国際的な枠組みをつくることが合理的ではないかと考えております。

また、CDSにつきましても、国内集中清算機関が成立されることが望ましいと思います。CDSの参照企業となる国内企業のクレジット・イベントの認定や決済価格に関する情報の蓄積等が国内において行われることが望ましいとすれば、国内清算機関への清算集中が図られるべきということになるかと思います。しかし、それに伴う負担が大きいと実際には海外に取引を移される可能性も大きいことを考えれば、これは先ほど神田さんがおっしゃったことと同じになるかもしれませんが、実際に国内の清算機関が利用されるような仕組み、工夫を考えてやる必要があるのではないかと考えております。

もう一点申し上げさせて頂きます。それは証券会社の連結規制や監督の導入についてでございます。この問題に関する骨子案の提言にも賛成でございます。国際的に活動する証券会社グループに対し、連結ベースの規制・監督を整備する必要があることは、国際的にも認められているところであります。ただ、問題はその先にあるのではないかと考えております。

現状では、規制・監督にかかわらず、そのような証券会社グループが破綻に瀕した場合の救済や破綻処理について、銀行に関する預金保険法のような枠組みがございません。実際、破綻に至った場合の体制が整備されていないと金融危機を招きかねないということは、三洋証券、山一證券、北拓の事件等の経験の示すところであります。国際的に活動している証券会社や金融機関等のグループに対する国際的な危機対応や破綻処理の体制はさらに不十分ではないかと考えております。海外で発生したそのようなグループの危機や破綻に対し、国内の投資家、預金者、契約者等を守る制度整備等も図られる必要があると考えております。

また、銀行、証券会社、保険会社については、それぞれ異なる規制があり、財務その他の規制が異なっているわけでありまして、それらを含む金融コングロマリット全体を規制する場合には、どのような規制をすべきかといった問題、あるいはその他マクロプルデンシャル規制等、今後取り組んでいく課題は大きいと考えておりまして、現在の骨子案はまず当面できることとして賛成でございますが、その先がさらに必要ではないかと考えている次第であります。

以上でございます。どうもありがとうございました。

○岳野審議官

ありがとうございました。

それでは、冒頭申し上げましたように、ここで一旦切りまして、意見交換をさせて頂きたいと思っております。副大臣、政務官からもご質問を頂ければと思っております。また、この後ご発言される方は、恐縮ですけれども、挙手して頂ければと思います。

それでは、副大臣、政務官から、これまでのところ踏まえて。

○大塚副大臣

それぞれ大変貴重なご意見をありがとうございました。

とりあえず、私からお二人に質問させて頂きたいんですが、まず東京金融取引所の太田社長様に、これまでもいろいろ清算機関についてご検討になってこられたんですが、規制当局の姿勢が明確でないので、少しウェイティングしていらっしゃったというような趣旨のご発言があったと思うんですが、もう少しここのところをかいつまんで教えて頂きたいというのが一つ。

それから、国際スワップ・デリバティブ協会の森田所長様にも一つお伺いしたいのは、CDSのISDAの決定委員会、日本部会というのは、具体的にどういうメンバーで、どういうふうに運営されていて、これまで実際に認定をしたケース、あるいは認定を否認したケースがどのぐらいだったのかということをちょっと参考までに教えてください。

○岳野審議官

それでは、質問の順番で、まず金融取の太田社長からお願いできますか。

○太田省三氏

先ほど申し上げましたのは、要するに、金融機関にとっては店頭デリバティブ取引が取引所取引よりも大変大きく、収益源になっているわけでございます。そのような状況において清算機関に集中しろというのは、これは規制強化になるわけでございます。規制強化というのはどうしても負担増を伴うわけです。

日本も含めた世界の規制当局が、どこまで規制を強化して、システミック・リスクを避けるため断固として制度を構築するのか、それともそれぞれの実情に応じて、既存のいろいろなインフラにある程度任せるのかというところの、間合い、程度を皆様計りかねております。私の意見としましては、このような規制強化をするのであれば、もともとの規制強化の理由からして、原則として各国規制当局が監督し、断固とした規制を導入するということが基本ではないかと。

本取引所の勉強会のメンバー、特に外資メンバーは、日本に新たな清算機関を導入すれば、そのために日本の支店にマンパワーを置かなければならないとか、日本の清算機関のシステムにマッチングするようシステムを改変しなければならないとか、いろいろコストがかかるのを嫌がっておられることは明らかです。けれども、もともと清算機関を使ってエクスポージャーを把握しシステミック・リスクを避けるという規制の目的があるのであれば、そのような負担はある程度やむを得ないのではないかと。

本来、取引所にとって一番重要なのは、取引のマッチングよりも、清算機能でございます。あらゆる取引において、一番最後のところは清算でございまして、店頭デリバティブについて、日本から実質的には全部、例えば金利スワップについてロンドンのLCHに流れていくのをどうするのか。私は、中国の今までの対応振りからすれば、将来、中国が独自の規制した清算機関をつくるのは火を見るより明らかだと思っておりまして、そのような意味でも、ここで断固とした姿勢をとらないと、東京の金融マーケットはアジアにおいても、将来的には空洞化していくのではないかと心配しているということでございます。

○岳野審議官

それでは、続きまして、森田所長からお願いします。

○森田智子氏

決定委員会につきましては、まず構成メンバーは現在15社が決定権を持っておりまして、その10社というのは取引量が多いディーラーですね、業者さんから取引量順に上位10社が選ばれております。そのほかに5社、こちらは投資家サイドさん、ヘッジ・ファンドさんであったり、投資顧問会社さんがやはり5社選ばれております。決定委員会は各地域によってメンバーが違っており、日本については、日本の企業を参照したCDSに何かが起きたときに、その判断を求められるということになっております。

過去の事例を少し申し上げますと、実際にクレジット・イベントかどうかという認定を行ったのは1社のみで、今年ジョイントコーポレーションという会社がございましたが、こちらがクレジット・イベントであるというような判断を行っております。それ以降、最近話題になっておりますアイフルに対して、やはりイベントかどうかというような問い合わせがございましたが、十分な公開情報がないということで判断には至っておりません。

ただ、やはりこの事業再生ADRというのが比較的新しいものであるということと、こういった手続に入った企業というのがどういった形で、どういったタイミングでクレジット・イベントになるのかというのは、非常にマスコミを初め話題性が高いということもありまして、決定委員会のサブ・コミッティーというサブのものをつくりまして、そのあたりについては議論を行って、ガイダンス的なものをちょうど2日ほど前に公表しております。

○岳野審議官

副大臣、お願いします。

○大塚副大臣

ありがとうございます。

私も今までのお話をお伺いしていまして、清算機関の信頼性が高いということが大変重要だと思っていますので、清算機関がクレジット・イベントの認定を何かあいまいなベンチマークでやってはいけないと当然思っているんですが、そうすると、今のお話ですと、日本の特殊性とおっしゃいましたけれども、主にADRのことを指しておられると理解していいですか。ちょっと懸念の残る部分は。

つまり私の認識では、確かにその部分は昨今いろいろおっしゃる方もいるんですが、それ以外は破綻法制等々、明確なベンチマークが明らかなわけですから、別にISDAに引き続きやって頂くというアイディアもありますが、もしマーケット関係者の共通認識としての新たな清算機関ができれば、ベンチマークさえ明らかであれば、そちらでやって頂いても、選択肢はいろいろあるなと思っているんですが、ADRの部分を主に指しておられると理解してよろしいでしょうか。

○森田智子氏

特にADRのみということではないんですが、例えば、リストラクチャリングというのが一つのクレジット・イベントになっておりますが、そのリストラクチャリングの判断が複数あり得るというところはあるのではないかと思います。これは将来的にということですが。今現在経験している中ではADRが特殊ということだと思います。

○田村大臣政務官

どうもありがとうございます。

私も清算機関についてちょっとお伺いいたします。ISDAさんはペーパーにもかなり細かく書いていらっしゃいますけれども、まさに市場の空洞化、清算機関を要するに国内にすると、そもそも外資系などは逃げてしまうと。それは私も、別にISDAさんに限らず、聞いたことはあります。実際、東京金融取引所さんのご説明でも外資系の割合が多いと、CDSは特にそうだと思います。

そういう中で、東証さんも、東京金融取引所さんも理念として、まさに景気にかなうとか、重要な金融インフラという理念、理想はわかりますけれども、まさに今回この清算機関を国内のものにするといったような規制を入れることによって、もし外資系を中心に取引が低下して、空洞化が始まってしまったら、元も子もないんじゃないかなと。だからこそ、実務にお詳しくないと随分控えめに岩原先生もおっしゃっておられましたし、あるいは全銀協さんも同じような観点からおっしゃっておられたと思うんですが、ですので、私がご質問したいのは、金融取引所の太田社長ですけれども、そういう意見については、もうちょっと詳しくご持論をご説明ください。

○太田省三氏

日本の金融機関、邦銀が取引の片側になっている場合には、日本の清算機関の利用を義務づけるべきではないかと申し上げたのですが、今スワップクリアを利用されている外資の方は、先ほど申し上げましたように、システム投資が必要だとか、あるいは人員を置かなければならないということで負担が増えることは明らかなのです。ただ、そのような負担があるからといって、清算を国内機関に義務付けた場合、本当に日本で、CDS取引とか金利スワップ取引が空洞化するのだろうかと。もちろんそのような追加経費があれば、スワップ取引の料金に、当初は何らかの上乗せがあるかもしれませんが、長期的には、清算機関を利用する取引ついてはBISのいろいろなリスク評価で優遇されるとかメリットもあるわけでございまして、この規制強化については、プラス面もあるわけでございます。

短期的には、邦銀側に、清算料率としてコストがかかることもあるかもしれませんが、長期的には、日本の清算機関で清算されるべきだということが一般化しますと、それに応じて、必要があればシステム投資等も行われると思います。当初外資系に若干の負担がかかるわけでございますが、だからといって、日本で行われている金利スワップとかCDSが空洞化して、なくなってしまうということを心配するのはいかがなものか。むしろ、長期的には、日本で行われる店頭デリバティブの清算や決済が海外に流れることによって、日本の東京マーケットの空洞化が進むのではないかと、そちらのほうを心配しているということを申し上げたわけでございます。

○田村大臣政務官

私も不勉強ではありますので、大変素人的にお伺いすると、何となく日本の金融機関が伸びていけばいいという発想なのかなという気がしたのと、あと空洞化というレベルをどこに置くかで、今よりも空洞化するということはないかもしれないけれども、そもそも現時点のレベルが大変不十分で、それをさらに発展させようと、そういう観点から言った場合にどうかというのは、別に現時点より少しずつ取引量は増えても、それは他国と比べたら空洞化というのは十分あり得ることだというふうに素人ながら思いました。何か森田所長、専門家でつけ加えることがあったら一言だけおっしゃってください。

○森田智子氏

特にCDSのところで申し上げたかったところは、ISDAとしていろいろと清算機関が必要かどうかというのを議論したことがあったんですが、結論としましては、清算機関というのは必要であるというふうに考えておりまして、ただ、現時点でそれが義務になってしまうということについて、そのことが市場参加者の懸念というところはあるかと思います。最終的には、日本のものを日本で決済というのは非常に理想的な姿だと思うんですが、そのためには、鶏と卵の話なんですが、やはり市場が育っていかなければいけないというふうに考えております。

○岳野審議官

東証、斉藤社長、お願いします。

○斉藤惇氏

清算機関というのは、先ほど申しましたように、どの国も全部自分の国で管轄しているんです、現実に。一見、LCHがグローバルにコネクトしているように、組織はそうなっておりますが、例えばフランスでLCHクリアネットSAというのをつくっているわけですが、フランスの部分を見ますと、完全にフランスのルールでやらなければ、何もそれはイギリスのルールでいいなんていうことはやっていない、明らかに。

要するに、市場が閉鎖するとお客さんが逃げるという、これはこれまでよく使われたセールストークです。我々もむしろ逆にこれを使って東京キャピタルマーケットを開くべきだと私自身主張してきた人間ですけれども、今回、ワシントンの人たちといろいろ話すと、大変な後悔があるわけです。開く、開くといって、結局だれも監督してなかったと。民間ベースでやっていたと。わからないままにどんどん複雑な商品がつくられていって、それで市場が非常に有効だとか何か言っていた。結果的には今回の金融危機で世界は100兆ドル払わされた。これは20年間にわたって便利だといって得たリターンに比べると、あまりにもコストがでかいと。我々はもう一回見直そうという動きになっているわけです。

ヨーロッパはもっと極端に進んでいて、ご案内のように、ユーロは今度一本化してくるわけです、大統領も選ばれて。あのイギリスですら、ユーロはこういう問題を全部一本化してくるだろうから、今後それを見ないとわからないというようなことを言っているんです。

ですから、ちゃんとしたファシリティーがないと、逆に信用できる市場じゃないと言われるわけです。昨日、香港市場でロシアのすごい規模の会社のIPOをやると発表されました。あまりこんなことを言うといけないのですが、量はすごいんですが、これはデッドの固まりみたいな会社で、一気に香港市場の国際化という問題とレギュレーションの問題が大きな課題になってきております。果たして香港市場を拡大するために、投資家を無視してそんなものを上場させてつぶれたらどうするんだという問題になって、行政との間でもめごとになっているんです。この辺を見ながら、私は日本はもう少し自信を持って見ていいと思うんです。

というのは、今回のクライシスで、我々東京市場にはシティバンク、リーマンやベア・スターンズ、メリルリンチのような危機に陥った金融機関はなかったんです。実に健全なキャピタルマーケットを我々は持っていた世界希有な国なんです。もう少し自信を持って、どういうレギュレーションが必要で、どういう自由が与えられなければならないかということを冷静に考える必要があると思います。単なる我々、市場が閉まるとか、開くとか、これは、例えばアメリカのICEがヨーロッパに進出してCDS清算のシェアをガーッと拡大していますけれども、これはみんな、今ISDAの方がおっしゃったように、利用するメンバーが自分達が利用しやすいように全部それを構成しているから、そうなっているんです。だから、やっぱり使う人がそれでいいというような市場をぴちっとつくって、世界共通のルールにしないと、日本だけが何か特別な規制をかけてはいけないと思いますけれども、世界と同じようなしっかりした規制の中でやっていかないと、最後は国民が全部犠牲になる。ここは納税者が納得できないと私は思います。

○岳野審議官

それでは、お二人から手が挙がっていますので、先に手の挙がったほふりクリアリングの竹内社長、その次に上柳先生ということでお願いします。

○竹内克伸氏

ほふりクリアリングにおります竹内ですが、私どもの仕事と直接関係が今はありませんので、この場、あるいは後でよくわかっている人に教えてほしいなという意味で質問したいんですが、今回のこの議論の最大のテーマは、市場のプレーヤーのエクスポージャーがどういう状態になっているのか、つまりサブプライム、銀行融資から始まって、資本市場でもって、レバレッジが何回もきかされて、巨大なものになって、それを銀行が購入したということが発端となって今日へ来ているわけですから、各市場で何が起きているのかということがよくフォローできなかった。このことが私は最大の問題じゃないかと思うので、今の議論を聞いていると、少し物足りなさを感じます。

つまり規制の問題から議論が始まって、世界的にもそうなんですが、我々のパートナーのDTCともそういうことを議論したことがありますが、まず現状、何がどこでどういうことが行われているのか、個々のプレーヤーのリスク管理の問題が市場のリスクにあっという間に直結したということから、これを何とかしなくちゃいけないんじゃないかということだと思うんです。そういう点で言うとやっぱり、規制と一言で言いますけれども、ルールの問題と、それから情報をマクロ的に把握できるのかと、2つ課題があると思うんです。

後者については、現状は少なくともCDSについては、世界の90%以上の情報を瞬時にDTCがデリブサーブで取得しているということがリーマンの前から既に起きていたわけです。したがって、DTCは早く分析して、自己のリスク管理上のポジション、つまりリーマンに対する格付を以前から社内で下げるというようなことをしただけではなくて、10月1カ月かけて5,000億ドルのエクスポージャーの完全な整理ができたと。それに加えて、11月からはアメリカの当局の監督下ににきちっと入って、かつマクロデータを公表している。これが世界の90%をマッチングでもって把握しているという現状があります。今の議論で教えてほしいのは、報告義務を課す、それによってそういう世界中の、つまり日本だけではなくて、世界の取引が日本にもパートナーとして来ているというわけですから、日本の金融機関のエクスポージャーだけを見ているのでは恐らくだめだろうと思うんです。そうすると、パートナーのエクスポージャーも見たい。しかし、それらすべてはDTCが全部瞬時に把握している。これについて、監督当局や監督体制としてはどうしたらいいのか、日本のプレーヤーからのエクスポージャーの報告義務だけで十分なのかどうかということを教えて頂きたいと思います。

○岳野審議官

ただいまの点につきましては事務局のほうから考え方をご説明しますが、先に上柳先生からご質問をお伺いしておきます。

○上柳敏郎氏

質問というか、やっぱりこの議論というのは、もともといわゆる世界的な金融危機から出発したものではないかと私は認識しているんです。そういう意味から言うと多分、投資者なり、あるいは国民の多くは、デリバティブを完全に禁止するというのも一つのやり方ですけれども、それは実際上できないし、それから幾らでも抜け穴があるということで、そこは開発なり流通はオーケーにしても、せめて清算のところだけはきちんとしようよというのがコンセンサスなのではないかと思います。

そういう意味から言うと、どの国の機関であっても構わないわけですけれども、なるべく多くのデリバティブ取引が一度は清算機関を通るというふうにするのが基調だろうと思いまして、そういう意味から言うと、今回の考え方も何となく、とにかくできるところからということではあるんでしょうけれども、対象となるものを制限し過ぎているんじゃないかというふうに少し思います。

一方で、確かに東京で新しく、あるいは今までのものを充実させるためには、いろいろコストがかかると思うんですけれども、私はもしも本当にそれが必要なのであれば、ある意味では、金融における道路なり、あるいは信号機と同じようなものと考えて、公的支援も含めて、世界的な協調の中で、どういうふうに義務を果たしていくのかという点で、もう少し踏み込んで公的関与があっていいというふうに思います。

○岳野審議官

ただいまのはご意見というふうに承りまして、それでは竹内社長からのご質問に対する当局の説明を、手短にお願いします。

○寺田市場課長

手短にご説明いたします。国内の清算機関に提出された情報は、当然のことながら当局が取得する法定義務を課そうというふうに考えております。外国当局につきましては、これについては国際協力の枠組みで獲得を目指すということにいたす所存でございます。当然のことながら、リンクの場合も、相手監督当局と連携関係にあるところしかリンクは認めないという形で、相手監督当局からの情報が入手できる枠組みを考えております。

以上でございます。

○岳野審議官

それでは、恐縮でございます、時間も大分たってしまいましたので、次のセッションに移らせて頂きたいと思います。

続きまして、日本国債清算機関の宇野社長、ほふりクリアリングの竹内社長、大阪証券取引所の米田社長、信託協会、和地一般委員長、投資信託協会、稲野会長、国際銀行協会、鳥海ディレクターからのご意見を頂きたいと存じます。

それでは、まず、日本国債清算機関の宇野社長にお願い申し上げます。

お招きしておいて誠に恐縮でございますが、一応6時半ぐらいということがお忙しい皆様を拘束できる限度かなと思っておりますので、皆様、恐縮でございますが、ポイントを絞ってご発言頂き、今日ご発言しなくても、来週月曜日までに紙でしっかりご意見を頂いたものが残りますので、この場でどうしても直接副大臣、政務官にお話をしておきたい、あるいはご出席の皆様に直接思いを伝えたいというものに絞ってご発言を頂ければと存じます。よろしくお願いします。

○宇野清勝氏

日本国債清算機関の宇野でございます。よろしくお願いいたします。

II 番のテーマについて、絞ってお話し申し上げます。

当社の設立につきましては、2003年10月に国債市場の主要プレーヤーである証券、銀行、短資会社等の共同出資により設立され、2005年5月から業務を開始いたしております。現在の参加者は33社でございます。ピーク時は37社ございましたが、破綻、統合、合併というような状況を踏まえまして、現在33社に至っております。参加者には均等に出資頂いて、株主となって頂いております。現在、参加者からお預かりさせて頂いておりますクリアリング・ファンド、担保につきましては、11月末で4,173億円、ほぼ常時4,000億円強のクリアリング・ファンドをお預かりさせて頂いています。うち現金は600億円強でございます。

今回のリーマン・ブラザーズ証券の破綻処理に際しまして、破綻処理によって生じた損失は、同社から受け入れておりました担保の範囲内におさめることができました。引き受け債務の履行保証機能の発揮と破綻処理に伴う損失が担保金の範囲内でおさまったということによって、参加者のみならず市場関係者からも評価を頂いているところだと思います。

一方、資金調達の面やフェイル処理等の事務量のほうが予想以上に増え、決済進捗が遅延いたしました。決済進捗の遅延や、清算取引の決済が完了するまでの期間においてフェイルが蓄積したことが要因となって、市場参加者のフェイル回避志向が強まり、結果的に市場の流動性の低下を招いた懸念があると考えております。

決済が遅延した原因としては、破綻処理に関するシステム、マニュアル類のインフラが十分に整備されていなかった点が上げられようかと思います。また、清算取引の決済が約定から3営業日になることから、決済完了までの期間において決済未了分が積み上がったことがフェイル蓄積の原因の一つでもあるものと認識しております。現在我々は、破綻対応インフラの整備と、さらなる大型破綻の発生にも耐えうる資金調達方法の強化について、参加者と協議をしつつ取り組んでおります。

骨子案にあります国債取引の決済リスク削減につきましては、決済量を約4分の1まで圧縮する当社のネッティング機能や、当社の決済履行保証機能によって取引の安全性が確保され、二重破綻などの危機の波及を遮断することが出来る点が極めて有効であると考えております。また、清算集中の義務化による参加者拡大については、ネッティング効果の増加によって、当社が持つこれらの機能がより高まるものであり強く望まれるところでございます。

一方で、清算集中は清算機関へのリスク集中を招く懸念もあり、清算機関としては集中したリスクに的確に対応する管理体制面の更なる強化が必要であると考えております。中でも、特に、破綻発生時の安定的な流動性資金の調達手段の確立につきましては、当社が決済履行機能を発揮する上で、最も重要な要素であると考えており、この点に関しては、現在、参加者との間で大口参加者2社が破綻したケースを想定して、約7兆円を上回る規模の資金調達方法を検討しております。

しかしながら、市場混乱時に参加者から潤沢な資金供給を受けることは、追加的な担保を提供した場合においても実現が極めて難しい問題であり、公的枠組みの構築など、参加者のみならず、幅広い市場関係者によるご支援をぜひともお願いしたいと考えております。

また、骨子案にあります決済期間の短縮につきましては、非常時におけるフェイルの積み上がりを回避し、当社の資金調達額を圧縮する観点からも極めて有効であり、破綻発生時における短期金融市場全体の流動性・安定性を確保する上においても導入が強く望まれるところでございます。骨子案の我が国の清算機関の体制のあり方につきましては、当社の取扱商品が国債の店頭取引であるために、株式などの上場商品を扱う他の清算機関との間において制度的な共通点は少ないように思います。しかし、システムなど共通コストの節減による競争力の強化等の面において、検討の余地があるのではないかと考えております。

また今後、清算機関における取扱商品が拡大する中で、リスク管理手法、ロスシェア・ルール等の制度面においても他の清算機関と共同していくことも可能になるものと考えますことから、参加者の意見を踏まえつつ、対応してまいりたいと考えております。

以上でございます。

○岳野審議官

ありがとうございました。

それでは、続きまして、ほふりクリアリング、竹内社長、お願いします。

○竹内克伸氏

本日は、ほふりクリアリングの立場で来ておりますが、ご案内のように、私どもほふりはカスタマーサイドの決済を担当しております。その決済の仕組みの中のDVPの仕組みだけをほふりの100%子会社のほふりクリアリングが担当しているということでございますので、ほふり及びほふりクリアリングが全体として一体的な運営をしております。こういう売買・清算・決済の最終段階の処理の観点からも、このところの世界の動きというのを見ますと、極めて競争が激しく、どんどん変化しております。したがって、こういう流れに対して遅れることのないような対応が引き続き必要だなということを痛感しております。清算・決済の世界の合言葉は、世界的に競争を通じたコストのダウンとリスク管理の強化ということですが、リーマン破綻以後、特に新しいリスク管理の再構築というのが世界的なテーマになっております。

私ども皆さんの協力を頂いて、10年間の間の決済制度改革、一通りのプロジェクトを一応全部、順調にこなしましたが、この過程で、市場という観点から見ると、株券等の電子化とマッチングの仕組み、これは世界にかなり誇れるところまで来ているなと。しかし、まだまだ決済分野で立ち遅れているところもいろいろございます。世界の競争がさらに進んでいく、特にアジアに注目が集まっていくという過程で、いろいろな機会でもって、競争関係あるいは協調関係というような手法でもって、アジアに欧米と日本がどういうふうにコミットしていくのかということを世界中見ているわけでございますので、そういうようなケースに決済部門のインフラの仕組みが諸外国、特に欧米に比べて立ち遅れている分野が幾つかあるということは、やっぱり市場の問題として軽視できないなというのが基本的な考え方でございます。

本日、私どもに関連したテーマは2つございまして、貸株取引に係る証券決済・清算態勢の強化という点については、ご指摘のとおり、リーマンのときにリスクが顕在化したということもございますし、この貸株市場のところが今日の議論とも関連して、日本の市場全体の非常に立ち遅れた分野であるということでございますので、この貸株市場の発展の上で、決済部門で、今具体的なテーマとしては、飛山さんのところといろいろ議論しているんですが、一つはDVPになっていないんですね。したがって、貸株市場のDVP化ということを今部内で検討して勉強しておりますが、引き続き関係インフラとよく相談して、貸株市場についての体制をレベルアップするということを進めていきたいと思っております。

それから、清算機関体制のあり方のところは、今日のテーマは主としてデリバティブの清算機関に議論が集中している。これはよくかりますが、全体の清算機関、私どもは現物の世界の、さっき言いましたDVPを処理する上での清算機関というのはクリアリングがございますが、ほかにも現物の清算機関がございます。これの関係をどうしていくのか。デリバティブと現物、あるいはリスクの性格の違い、したがって参加者の違いというあたりをどう考えて、新しい協調体制というんですか、より進んだ体制をつくっていくということがテーマになっているのかなと、そういう観点からビジネスの関係者ともこれからよく相談をしていきたいと思います。

最後に一つだけ、余分なことかもしれませんが、やっぱりアジアに向かってどうしていくかということでございますけれども、一つはアジアの比較的これから資本市場を整備しようという意欲のある、小さい市場といえば小さいんですが、そういうところが日本に対する市場整備についての期待というのは極めて強いものがあります。この点については、今まで十分な対応がとれてきたなという感じが、率直に言って、いたしません。詳しいことは申し上げませんが、こういうようなアジアの幾つかの国から日本に対する市場全体の仕組みの整備についての協力依頼というのがぱらぱら来ておりますので、関係方面とよく協調体制をとって対応していくことが大事じゃないかなということはちょっと最近感じておりますので、つけ加えました。

以上です。

○岳野審議官

ありがとうございました。

それでは、大阪証券取引所、米田社長。

誠に恐縮でございますが、時間のことをちょっと頭の隅に置いて頂きたい。

○米田道生氏

今回の骨子案につきましては、我が国の実情とか国際的な整合性、そういったものに一定配慮された内容ですから、私どもとしては、全体の方向性に格別の異論はございません。特に店頭デリバティブ取引について、清算機関に取引を集中させていくこと。これは決済の安定性と取引の透明性ということですから、我が国の金融システムの安定にとって適切かつ重要であろうというふうに思っております。

これは私どもの市場の例なんですけれども、昨年のリーマン・ショックの直後から非常にちょっと変化が出てきております。これはエクイティ関連のデリバティブ取引なんですけれども、この清算集中の考え方というものをマーケットが既に先取りしているということだと思うんですけれども、いわゆるカウンターパーティー・リスクの回避のために、店頭取引から私どもの市場に、これは清算機関を持っていますので、かなり顕著に集中の動きがもう出てきているということでございます。これは既にエクイティの分野ではインフラが整備されていたということがあるんだと思います。

今回の骨子案について2点だけ、やや実務的な話になりますけれども、申し述べさせて頂きたいと思います。

一つは、我が国の清算機関の体制のあり方でございます。これは今回の店頭デリバティブに直接絡むということではないのかもしれませんけれども、我々デリバティブの清算をやって日々感じていることなんですけれども、これは市場の運営と清算業務の遂行というのは、これは両々相まっているところがありまして、両方一緒にやっていくことによって効果的なリスク管理を行えるんだと、これが分かれると効果的なリスク管理という点で問題じゃないかということを実感として感じております。

これはご承知のとおり、デリバティブは売買が成立した後も、ポジジョンが存続する限り、常に新しいリスクが発生していくということですから、場合によっては建玉制限をしていくとか、そういったことを、直接売買に絡むようなリスク管理が必要になっているということでございます。この点はやはり現物株とはちょっと違っているということじゃないかと思います。

ですから、こういったデリバティブの特性を考えますと、取引所が清算機関を一体で運営することによって、いわゆる発注段階から管理ができるということで、極めて有効なリスク管理ができるんじゃないかなという感じがしています。今後、デリバティブの清算体制のあり方というのが議論になってくると思われますので、その際に、単にコスト削減とかサービスの効率化、もちろんこれも大事なんですけれども、こうしたリスク管理の特性を踏まえた上での検討というものが必要になるんじゃないかと思います。

ちなみに、海外でもデリバティブ取引については取引所と清算機関が一体になっているCMEだとか、欧州のEUREXなんかはそうなんですけれども、そういった形での体制の例が多いようです。

それから2点目は、先ほどもちょっとご議論ありましたけれども、デリバティブ取引一般に対する不招請勧誘規制に関してでございますが、私どもエクイティの取引所取引ということをやっている立場から申し上げますと、現状では、さらに規制強化を必要とするような顧客とのトラブルというのは、起きていないこと。それから一方で、先ほども議論がありましたけれども、デリバティブのヘッジ機能の有用性、この辺のところは日本の中では、まだまだ十分な認知が進んでおりません。そういった中で、やはり顧客に適切な商品情報を提供していくということは必要だろうと、そういうふうに考えていますので、この点に関しましては不招請勧誘ではなくて、従来どおり、いわゆる適合性原則にのった営業をするということでいいのではないかというふうに考えております。

以上です。

○岳野審議官

ありがとうございました。

続きまして、信託協会、和地一般委員長、よろしくお願いします。

ペーパーに書いてあることはもう大丈夫でございますので、ポイントを絞って、よろしくお願いします。

○和地薫氏

信託協会の和地でございます。このような機会を頂きまして、ありがとうございます。

資料7でございます。私どもに関係のございます国債取引の決済リスクの削減について一言申し上げたいと思います。

1ページをちょっとご覧頂きたいと思います。信託銀行は、顧客から預かっている信託勘定におきまして、これは契約を分別管理しておりまして、そこで発生した経済効果というのは受益者である顧客に帰属すると、こういう特徴がございます。したがいまして、顧客からの預かり資産に、例えば損害などの重要な事象が発生することが見込まれる場合、あるいは制度変更に対する対応につきましては、事前に顧客である受益者のご理解、あるいは同意というのが必要になるということでございます。

2ページをご覧頂きたいと思います。これは決済形態によりますリスクが軽減されることを示してございます。下のマル1からマル3までということですが、マル1は相対の清算で、基本的なグロス決済でございまして、これをネッティングしたものがマル2ということで、最終的にマル3が今回議論になっております清算機関による清算ということでございます。信託の多くはマル2の相対でのネッティングの清算という形になっているわけでございます。信託協会としましても、決済の効率化が図られると同時に、リスクの分散等ということで、このマル3の方式はメリットがあるというふうに考えてございます。ただし、本件については、信託銀行としまして留意すべき点もあろうかと思っております。

3ページをご覧頂きたいと思います。清算機関による清算によりますと、これによりますと、直接信託銀行の取引相手でない参加者が破綻した場合、その債務保証のための費用が発生するリスクがあるということでございます。したがいまして、参加者の破綻とか、あるいはフェイルによって発生する費用等の帰属を明確化する、こういうことが問題意識としてございまして、関係法令及びルールの確認・整備、これが必要かなというふうに認識してございます。さらにそういった想定されるリスクに関しましては、事前に顧客である受益者に説明の上、ご理解を得る必要があろうかというふうに思っております。この点が信託銀行におきまして最も重要な論点かというふうに考えてございます。

4ページは、その他の留意点ということで書いてございますけれども、省略させて頂きます。今後も前向きな議論をさせて頂きたいと思っております。

以上でございます。

○岳野審議官

ありがとうございました。

続きまして、投資信託協会、稲野会長、お願いいたします。

○稲野和利氏

投資信託協会の稲野でございます。私のほうからは、ヘッジ・ファンド規制におけるリスク管理状況に係る報告事項等の拡充という項目について意見を述べさせて頂きます。

骨子案の11ページから始まるヘッジ・ファンド規制に係る記述の背景というところの中で、我が国の現在の規制の枠組みでは、ヘッジ・ファンド運用者については、その定義に国際的コンセンサスはないものの、その運用形態に着目すれば、これらは現状では、投資一任運用業者、または投資信託運用業者に該当すると整理されていて、これはそのとおりだと思います。

しかしながら、投資信託のうち現在、63兆円の残高を有して、主として小口個人投資家向けに販売されている公募投資信託につきまして、以下申し上げる点で、いわゆるヘッジ・ファンドとは性格を異にしておると考えております。

第1は、投資信託の購入者は多数の投資家であり、かつ小口の資金を運用している個人が大半であって、しかも全国の証券会社や金融機関、郵貯の窓口で購入されている。

第2、「金融商品取引法」及び「投資信託及び投資法人に関する法律」により、ディスクロージャー義務が詳細に規定されている。販売時には目論見書、運用経過は運用報告書により、運用の中身をつぶさに開示しております。そして、当局に提出した有価証券届出書や有価証券報告書はEDINETを通じて公衆縦覧に供されております。

第3、日々、組み入れ資産を時価で評価し、算出した基準価額を新聞や各社ホームページなどで公表し、かつ、その基準価額における解約設定等が基本的には毎日受け付けられているということであります。

そして第4、運用について、法律による規制のほかに、投信協会としての自主ルールが適用されております。

我が国証券市場や金融システム全体の安定のために、当局が国際的な議論も踏まえて、広く市場参加者から運用財産のリスク管理状況等について報告を求めていく。その方向性はそのとおりだと思います。投資信託協会としても、業界としても協力させて頂きたいと考えております。

しかし、その場合であっても、調査対象から今申し上げたような公募投資信託や、あるいは私募投信であっても、システミック・リスクを招く可能性が低い小規模なファンドといったものを除くなど、報告を行う業者にとって過度な負担とならないようご配慮をお願いしたいということであります。

以上であります。

○岳野審議官

ありがとうございました。

当初、ここで一旦切って質疑というふうに申し上げておりましたが、時間も押してまいっておりますので、引き続きご意見をお願いしたいと思っております。

本日は、日弁連の上柳先生、それからFoster Forum良質な金融商品を育てる会から永沢様、それから、全国消費生活相談員協会から丹野常任理事、それから川崎市財政局資金課長、三富課長に来て頂いておりますので……、大変失礼いたしました。議事進行役としてちょっと失格でございまして、お一人、大変申しわけございません、まだご発言を頂いていない方がございまして、申しわけございませんでした。

IBAの鳥海ディレクター、お願いいたします。その後に引き続き、今申し上げた方にご意見をお願いしたいと思っております。大変申しわけございません。

○鳥海厳氏

とんでもございません。繰り返しになりますので、かいつまんで申し上げます。

私どもから、まず清算集中につきましてですけれども、国内清算機関への清算集中に加えまして、国内機関と海外機関が連携するリンク方式、それから外国機関の直接参入方式、こういうことも選択肢として排除せずに認めて頂きたいというふうに考えております。そうすることによりまして、外国の機関がこれまで培ってきたリスク管理のノウハウを引き続き活用することが可能になるというふうに存じております。

万一、国内の機関のみに限定してしまいますと、決済リスクの縮減が簡単にいかないといった理由で、市場参加者が日本の店頭デリバティブ取引を避けてしまいまして、市場の空洞化を招くというおそれもあるのではないかと考えております。これはCDSのように日本企業の破綻要件と密接に関連しているものについても同様でありまして、国内清算機関への清算集中に限定すべきではないというふうに考えております。これは既に破綻要件の認定を行う機関が存在しておりまして、その認定が国内及び海外の清算機関の取引に一律に適用される仕組みがございます。万一、地域ごとにまちまちな認定が下されるということになれば、かえって市場の混乱を招くのではないかというふうに考えております。

次に、証券会社の連結規制と監督の導入についてですけれども、外資系の証券会社は外国当局によって、連結規制・監督の目的が達成されていれば適用除外になるというふうに理解しております。もっとも、日本拠点を通じて親会社とかグループ会社の情報をご提供することも検討されているというふうに伺っております。こうした情報の中には、公開情報だけではなくて、本国の当局だけに提供している未公開の情報も含まれておりますので、したがいまして、日本拠点を通じてご依頼頂くよりも、当局間で情報を交換することでご対応頂ければというふうに存じております。

次に、デリバティブ取引の不招請勧誘についてですけれども、これを禁止対象とすべきではないというふうに考えております。仮にこれが禁止対象になりますと、ヘッジをしたいとか、リスクを限定したいというお客様のニーズに応えられなくなってしまいまして、むしろリスク管理上いろいろな支障を来す、効率的な資産運用ができなくなってしまうという結果になるのではないかと思います。もしも、禁止対象にするということを考えていらっしゃるのであれば、むしろ適合性の確認ですとか説明義務を一層徹底すると、こういったご指導を頂いたほうがよろしいのではないかと考えております。

次に、空売り規制についてですけれども、価格規制を撤廃して頂くようご検討頂けないかというふうに存じております、欧米の市場では価格規制は実施されておりませんし、IOSCOにおける議論でも価格規制は大きく取り上げられておりません。価格規制は、昨年9月のリーマン・ショックのような市場混乱の際には、緊急避難的に導入して市場を安定させるという効果は期待できますものの、現在のような比較的安定している市場の中では流動性が低下するという、むしろマイナスの影響が考えられます。したがいまして、価格規制ではなくて、相場操縦行為の禁止規定によって不正行為を摘発するということで足りるのではないかというふうに考えております。

最後に、時限的措置として導入された空売り残高の報告と公表制度についてですけれども、恒久化については慎重に考えて頂きたいと存じます。既に日本の空売り規制は、先ほど申した価格規制に加えまして、残高の報告と公表制度によって、欧米だけでなくて、アジア諸国と比べても厳しいものになっております。こうした中で率先して恒久化に踏み切るということでありますと、海外投資家による日本市場への投資意欲をそいでしまうというおそれもありますので、慎重にお願いしたいと思います。

以上です。ありがとうございました。

○岳野審議官

どうもありがとうございました。

重ねて先ほどの不手際につきましてお詫びを申します。申しわけございませんでした。

それでは、日弁連の上柳先生、お願いします。

○上柳敏郎氏

恐れ入ります、横長の資料1-3でいいますと、8ページのところに図を描いて頂いております。不招請勧誘禁止について基本的に賛成です。資料9を出させて頂いておりますけれども、不招請勧誘禁止については、日弁連は10年以上、いわゆる元本欠損のおそれのある取引、つまりリスクある取引は全部対象にせよというような意見を申し上げてきたところです。今日の議論との関係でいいますと、少なくとも店頭デリバティブだけではなくて、市場デリバティブ全般に広めるべきだというふうに思っております。

ただ、もう一歩踏み込みますと、いわゆる単体のデリバティブ取引、今、金商法上デリバティブ取引と言っているものだけではなくて、デリバティブ取引を組み込んだいわゆる仕組み債であるとか、あるいは投資信託、このようなものが一般の投資者にもたくさん販売されておりまして、老後の蓄えがなくなったであるとか、あるいは大学であるとか、共同組合であるとか、あるいは財団法人も含めて、いろいろ今大変な問題になっておりますので、そのあたりも目配りが必要だというふうに思っております。

私がそのように思いますのは、顧客が安心するということが、国民の生活を保護するということに加えて、日本に住む国民が多くの金融サービスを利用するということで、お金の回りをよくすることにつながるというふうに確信しているからであります。

時々、不招請勧誘禁止をすると金融イノベーションを阻害するというような話もあるんですが、これだけが例になるわけではありませんけれども、資料9の2枚目に、いわゆる外国為替証拠金取引について規制を強化した。不招請勧誘の禁止を導入したけれども、それとはかかわらず、私の立場から言うと、だからこそ、むしろ市場規模は拡大したと、こういう実績もあるということもぜひ直視して検討して頂きたいなというふうに思います。加えて、無制限なデリバティブの蔓延というものが、先ほども言いましたけれども、金融システム全体の問題にもなりましたので、今こそ必要だというふうに思っています。

ただ、お客さんのほうから誘ってほしいと声がかかったからといって、何でもどんなものでも提供していいということではなくて、いわゆる適合性の原則、具体的な商品の状況と、それからお客様の状況等を両方ともよく見て、販売される方が不適切な商品は提供しないと。この適合性原則の遵守もあわせて重要だというふうに思っております。

この1週間、たまたまですけれども、事業会社で取引先の銀行から何かつき合ってくれと言われて、いわゆる金利スワップを買って、今それが最低の単位だということだったんですけれども、例えば8,000万だとか、マイナスが出て大変な状況になっているとか、そういう相談が本当に立て続けに来ております。ぜひこの際、ご検討をお願いしたいと思います。

以上にします。

○岳野審議官

ありがとうございました。

続きまして、永沢様からお願いいたします。

○永沢裕美子氏

本日は、このような機会をちょうだいいたしまして、ありがとうございます。

私どものスタンスにつきましては、資料10を用意いたしましたので、冒頭の部分を読んで頂きたいと思います。私どもは、事業者や行政の方々からは消費者と呼ばれる投資家であり、いわゆる普通の投資家に該当いたします。そういった立場から今回は意見を3つばかり述べさせて頂きたいと思っておりましたが、時間的な制約もございますので、1点だけ述べさせて頂きたいと思っております。

上柳先生と同様に、デリバティブ取引一般に対する不招請勧誘の規制について、これを禁止することに賛成させて頂きたいと思っております。

理由については、こちらの資料にも書かせて頂きましたけれども、そもそも投資家は自分の投資判断には責任を持たなくてはいけなくて、これは一般の消費者といっても、市場のルールの中では例外扱いはされないということは私どもも十分承知しております。しかしながら、投資商品は、買った後で返品するというわけにはいきませんので、少なくともアマと言われる投資家には、冷静な判断を阻害するような販売勧誘が行われないことがまず大前提ではないかというふうに私どもは考えております。特にデリバティブ取引につきましては少額の資金で大きな取引ができますので、大きくもうかることもありますけれども、大きな損失を被ることもあるわけで、これが個人投資家の場合は、生活そのものの破壊にもつながることが大いにありうるわけです。ですから、やはりよほど覚悟のある人でなければやるべきではない取引であり、自主性が大原則とされるべきではないかというふうに考えております。

そもそも実際に不招請勧誘を受ける人というのがどういう人なのかということをちょっと想像して頂きたいと思うんです。昼間に自宅にいることの多い方ということになりますと、それはやはり高齢の退職者、年金で生活されている方が多いのではないでしょうか。実際に被害に遭っている方にお聞きしますと、高齢の退職者というのが多いわけで、私自身も最近、現役時代には「先生」と言われていた方が、たまたま電話をとって少し話をしてしまったら、こういった取引を始めてしまって、日々の生活に困るぐらい大きな損をされたというお話を伺いました。自分にも遠くに住んでいる高齢の親がおりますので、他人ごとは思えませんでした。

先ほどより事業者の方々から、富裕層には多様な資産運用ニーズがあって、それに応えることが重要だという意見が出されております。そうした意見を否定するつもりはありませんが、普通の人が普通に暮らせなくなるようになることが起こり得る可能性があるということが予見されるならば、その可能性を回避するように手当をするということは、政治や行政の重要な役割なのではないかと思うわけです。

それから、この類の不招請勧誘を受けるたびに思うことですが、そもそも、、ヘッジニーズが私にあるということを、事業者はどうやって知るものなのでしようか。顧客に関する情報を持たないでローラー作戦のように勧誘しているとすると、それは適合性の点で問題がある営業といわざるをえませんし、そうではなく、私を選別して電話をかけてきているならば、それは、何らかの個人情報を持っていて、それを不正に利用しているということがあるのではないかと思うわけです。事業者の方には、取引に際しては、顧客カードを作成・更新する段階で、投資家のニーズを正しく酌み取り、投資家がこういう類の取引の勧誘を受けてもよいと回答している場合にのみ勧誘を行うことを徹底していただきたいと思います。

以上、このほかに地方公共団体に関することなども申し上げたかったのですが、割愛させていただきます。また、先ほど上柳先生も触れられましたけれども、仕組み債や投資信託といった金融商品の中にヘッジ・ファンドやそれに類する複雑な商品を組み込み、広く一般個人に販売するようなことも行われておりまして、それを知らずに買って、去年のリーマン・ショックのようなときに自分たちには無縁だと思っていたようなヘッジ・ファンドの影響が自分たちに及ぶということを知って驚くというようなことを私どもは経験いたしました。投資家保護については、これまで何度も議論されてきたことではありますけれども、それは一体そもそもどういうものなのだろうかということを再度議論して頂く機会があったらというふうにも思っております。おそらくこれは永遠の課題だとは思いますので、ぜひともお願いしたいと思っております。

以上です。

○岳野審議官

ありがとうございました。

続きまして、丹野様、お願いします。

○丹野美絵子氏

社団法人全国消費生活相談員協会の丹野と申します。今日はこういう機会を与えて頂きありがとうございます。

私は、地方公共団体の消費生活センターで消費者から苦情相談を受ける消費生活相談員の団体の役員をしておりまして、消費者トラブル、消費者被害の現場を知っております。その立場から消費者の金融トラブル・被害の現状と、それから未然防止の観点から意見を申し上げます。何点か申し上げるつもりでおりましたが、本当に時間がなくなってまいりましたので、端的に1点だけ申し上げます。

1点は、デリバティブ取引一般に関する不招請勧誘の禁止について、賛成でございます。ぜひやって頂きたい。理由は大変簡単でございまして、金融に関する消費者トラブルというのは98年の日本版金融ビックバン以降、どんどん増えてきて、消費生活センターでも相談に占める割合が大変に増えてきております。その時々によって金融被害、金融消費者トラブルはいろんな種類があるんですけれども、例えば近年で言いますと、金商法の施行以前の場合には、組合とか、匿名組合とか、投資事業有限責任組合のような、そういうスキームを使った当時の証取法の脱法的なトラブルというのが非常に多くて、例えば平成電電事件みたいなものがございました。それが、金商法施行後は集団投資スキームということで制度整備されたことによって、非常に被害が減少いたしました。まだ少しありますけれども、被害は減りました。

もっとはっきりしているのは、皆さん今、上柳先生もおっしゃいましたし、永沢さんもおっしゃいましたけれども、外国為替証拠金取引、いわゆるFXでございます。訪問販売、電話勧誘販売によって、被害が全国の高齢者・主婦を中心に非常に拡大いたしまして、大変な社会問題となりました。そこで04年に改正金融先物取引法によって業者の登録規制と不招請勧誘禁止ルールを入れました。不招請勧誘の禁止が導入されたことによって、それが勧誘方法に対する根本的な対策となって、訪問販売型のFXのトラブルというのが激減したんです。非常に効果が目に見えてわかりまして、ばたっと減ったと。

ところが、その事業者が今度はどこに行ったかと言いますと、今度は商品のほうへ行って、いわゆるロコ・ロンドン金取引、FXの商品版だと思って頂ければ結構なんですけれども、そういう貴金属CFD取引とか言っていますけれども、それを訪問販売でどんどん売り始めて、非常にそれも被害が増えました。それに対しては根本治療まで至らなくて、特定商取引法の対象にして、いわば対症療法的に対策を講じて、それによってある程度の結果が得られて相談は減ってきたんですけれども、今度、商品先物取引法、商品取引所法の改正ですか、それによって、海外先物、海外先物オプション、ロコ・ロンドンも含めて、商品デリバティブそのものに不招請勧誘禁止が導入されるということで、非常に明瞭に苦情・被害が減っていくものだというふうに期待をしています。

不招請勧誘の禁止という規定は、在宅の高齢者・主婦など、金融知識をあまり持たない消費者に対して強引・執拗に対面で迫ることによって、消費者を巧妙に籠絡するといいますか、そういうことでお金を巻き上げるという販売手法をとる事業者、つまり悪質事業者です。そういう事業者に対して大変有効な規制だということになります。そういう意味では、不招請勧誘の禁止というものを今回デリバティブにぜひ入れて頂きたい。

私たちの経験から申し上げれば、この手の事業者は規制が緩いところ、規制のないところに一挙にどっと流れ込みます。一挙にどっと流れ込むので、そうすると、例えばFXの相対取引は不招請勧誘の禁止が導入されています。でも、それ以外のところは空白です。しかも、さらに商品デリバティブのほうでは不招請勧誘の禁止が導入されます。そうすると、火を見るよりも明らかで、すき間のところに今度はどっと、皆さんがとても大事にしていらっしゃるデリバティブという商品に対して、そういう後ろ足で泥をかぶせるような販売方法が蔓延していくことは、火を見るよりも明らかなんです。

ですから、デリバティブ全般について、商品も金融も、デリバティブは不招請勧誘の禁止をするということをして頂いて、例外を設けない、すき間のない法整備をして頂かないといけない。またいつものようなすき間をつくってしまえば、また被害が起きるということになるのではないかと思っております。土俵の地ならしをするのは行政の責任、政治の責任と思っております。ぜひ確実な土俵の地ならしをして頂きたいということを申し上げて、さらに一言だけつけ加えさせて頂きますが、デリバティブを組み込んだ仕組み商品がもう既にリテールを対象にたくさん販売されています。例えばEB債、日経リンク債、それから満期延長定期預金、それから外貨償還特約付定期預金、それからノックイン投信、さらに中小企業向けには金利スワップもたくさん売られています。

それらはみんな合法的な金融商品なんですが、非常に問題が多くて、例えば一例を申し上げれば、リターンは制限されているのに、リスクのほうは底なしである場合があります。そういう大変賭博的な商品が、しかも非常に仕組みが難解で、とても素人にはわからないというようなものがどんどん売られている。せめてリテールに売ることに関して何らかの制限を早急に着手頂きたいということをお願い申し上げて、私の意見とさせて頂きます。

○岳野審議官

ありがとうございました。

それでは、大変恐縮でございます、頂いております時間が迫っておりますけれども、お招きしております川崎市の財政局、三富資金課長からご意見をお願いしたいと存じます。

○三富吉浩氏

今般の見直しにつきまして、川崎市の意見を述べさせて頂きますが、お断りしておきますけれども、これは川崎市としての個別の意見でございまして、地方団体すべてを代表するものではございませんので、あらかじめお断りさせて頂きたいと思います。

まずは、地方団体をアマと位置づけるということについては、基本的に私どもは賛成しております。ただし、一律にアマというふうに位置づけていいものかどうか、これについては若干工夫が必要だろうと、そのように思っております。

今般の制度の見直しに当たりましては、地方団体は、権能、規模、そういった面において多様であるということについて留意して頂ければというふうに思っております。都道府県と基礎的自治体である市町村では、その権能、適用される税財政制度が全く異なっているということ。また、基礎的自治体であっても、川崎市のように140万を超える人口を抱えているところもあれば、よく言われますが、青ヶ島村ですと人口200人足らず、そういったところもあるということです。

また、市の中にあっても、私ども川崎市のように政令指定都市であるとか、中核市、特例市など、さまざまな規模の団体がございます。加えて申し上げますと、資金調達の面では、その調達規模の大きさから、全国型の市場公募地方債を発行している団体、これは現在47団体ございますけれども、都道府県が29団体、政令指定都市で18団体ございますが、本市を含むこれらの市場公募団体は自己決定、自己責任に基づきまして、市場原理に即してマーケットから直接よりよい、かつ安定的な資金調達を自力で行っているということでございまして、こうしたことから市場公募団体については、資金調達の面に限らず、資金運用面においてもおのずと他の一般の団体と比べますと、金融ノウハウを含めた能力面においては相対的に高いものを持っているというふうに考えております。このように、自治体につきましては、その権能、規模の面においても、担当する職員の専門性、そういったところについてもさまざまであるということを念頭に置いて考えて頂ければというふうに思っております。

現在本市は、一般投資家への移行をしておりません。特定投資家の取扱いを受けているところでございますが、その特定投資家としての川崎市の金融取引における専門体制の状況を若干説明させて頂きますと、日ごろ起債運営アドバイザリー・コミッティーというものを川崎市では独自に設置しておりまして、定期的に有識者、それから市場関係者との会合を開催しているなど、実務面について、直接かつ継続的に意見ですとか助言を頂きながら行っているところです。

また、資金運用面につきましても、地方自治法、それから財政法、それから条例に基づくほか、事務的には庁内に公金保管の対策会議というものを設置しておりまして、それに加えて、基金の管理規定というものを定めて、リスク管理体制、安全性・流動性を十分に確保した上で資金運用収益の最大化というものを行っているということでございまして、こうした専門性やリスク管理体制の整備の状況も踏まえながら、一般投資家を選択するということによる事務負担も考え合わせた上で、一般投資家への移行をせずに、特定の投資家を選択しているところでございます。

なお、仕組み債でございますが、私どもは仕組み債での運用はやっていないところでございますが、長期の資金運用を行う上では、将来の資金需要を勘案しながら、より厳格なリスク管理体制、説明責任が求められるというふうに認識しているところです。今般の対応、骨子案に対する意見でございますけれども、やはり一旦一般投資家になってから改めて特定投資家に移行するに当たっては、その手続が円滑に進むよう工夫をして頂きたいというふうに考えております。

移行に際して、新たに発生する事務負担が日常の業務にどの程度支障を来すものなのかどうか、それから一般投資家での取扱いで、どの程度の煩雑さが出てくるのかというのは、本市は今、特定投資家でございますので、にわかには想像できないんですが、資金運用面で国債、地方債を購入する都度に落札業者から書面交付やリスク説明などを受けなければならないということに対しては若干違和感があるというふうに思っております。

そういったことで、具体的には手続面において、自治体については権能、規模の面において多様であるということも考慮して頂きまして、例えば市場公募団体は従来どおりプロとしての扱い、また逆にその他の団体についてはアマとして頂くとか、そういったような工夫をして頂ければというふうに考えております。

以上でございます。

○岳野審議官

ありがとうございました。

時間を超過しておりますけれども、もう少しよろしければ、副大臣、政務官からのご意見、ご質問を頂ければと思います。

○大塚副大臣

大変皆さんありがとうございました。特に後半は時間のない中、ご協力頂いてありがとうございました。

本来はいろいろ質問させて頂きたいんですが、十分に皆さんのご意見を踏まえながら、私自身は、これから金融庁の職員の皆さんと相談をして話を進めさせて頂きたいんですが、せっかくの機会でございますので、私も3分だけ頂いて、ちょっと感じたことを5点だけ申し上げさせて頂きます。本当にポイントしか申し上げません。

いろいろご意見がありましたが、第1点は、私自身は金融行政と金融産業政策は分けて考えておりますので、金融行政的対応をしなければならないことと、先ほど日本の金融マーケットの強化というようなお話もありましたが、金融産業政策的に考えなければならないこと、これを峻別して対応させて頂きたいと思います。

2点目として、先ほどどなたかが規制強化というお言葉をお使いになられたんですが、せんだっても記者クラブで記者さんが、規制強化をするとかえって日本の市場の競争力を阻害しないかというご質問があったんですが、その際も申し上げましたが、私たちは規制強化ではなくて、市場を整備することによって、かえって競争力を高める信頼の高い安全なマーケットとインフラを育てると、こういう観点でございますので、ぜひご理解を賜りたいと思います。

3点目として、既にあるLCHなどにいろいろ集中したほうがいいというような趣旨のご意見もあったような気もするんですが、しかしワールドワイドなマーケットの時差の問題とか、全体のエクスポージャー、幾ら開示させても、その情報の不十分さとか非対称性ということを考えますと、極東地域において、ある一定のネッティングをして、リスクの規模を小さくしておくということは大変重要なことではないかなというふうに感じているというのが3点目であります。

4点目として、これはやや今日の話から少し境界を越えますけれども、やはり金融産業政策という観点からも、今日幾つかお話があった中で、日本のさまざまな取引所とか清算機関のグランドデザイン、これは必ずしも金融証券市場にとどまらず、商品取引所も含めた大きなグランドデザインをこれから進めていかないと、広い意味での日本の金融産業政策は後手に回るというふうに思っておりますので、それぞれのお立場で、それぞれの利害を乗り越えてご協力頂きたいということを4点目として申し上げます。

最後に私の印象で、5点目で、先ほどどなたかがアジアに対して欧米と日本がどういうふうにコミットしていくかというようなお話があったんですが、こういうフィーリングも多分、日本が今少し後手に回りつつあるちょっと一時代前の感性のような気もいたします。アジアに対して欧米と日本がどうコミットしていくかといって、日本はアジアでございますので、かつてのように日本のコンペティターがアジアにいないときには、まさしくそういう発想が一つのアプローチであったんですが、もはやそういう発想であれば、ということはアジアの中心は中国ということで、もうこれは決まってしまいますので、日本はアジアの中にあるという前提で物事をこれから考えていかなくてはいけないというふうに思っております。

最後のほうは若干私の個人的な感想を申し述べさせて頂きましたが、本当に貴重なご意見を多数頂いたと思っておりますので、今公表しております骨子案に加えまして、皆様方のご指摘をしっかりと反映して、これからさらに金融庁の中で検討を進めさせて頂きたいと思います。

私の個人的なコメントとしては以上のとおりです。本当にありがとうございました。

○岳野審議官

それでは、本日はお忙しい中ご参集を頂きまして、誠にありがとうございました。

先ほど来申し上げておりましたけれども、本日この場で十分ご意見を言い足りなかった方、あるいはさらにこの場に出て意見を思いついた方、いろいろいらっしゃると思いますが、28日までペーパーで意見を募集しておりますので、ご遠慮なくお出し頂きたいと存じます。

本日は司会進行補佐役の不手際もございまして誠に失礼いたしましたが、ご参集頂きまして、ありがとうございました。これをもちまして意見交換会を終わらせて頂きます。

(参考)

お問い合わせ先

金融庁 Tel 03-3506-6000(代表)
総務企画局市場課(内線3618、3562)

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