平成22年12月22日
金融庁

証券決済リスク削減に向けた市場関係者の取組の進捗状況について

「金融・資本市場に係る制度整備について」(平成22年1月21日金融庁、以下「制度整備」)では、今次の金融危機において認識された重要な課題の一つとして、「国債取引・貸株取引等の証券決済・清算態勢の強化」が盛り込まれました。これを受け、市場関係者において、証券決済リスク削減に向けた各取組の実施時期・実行期限等を定めた工程表の作成や、工程表に沿った検討・対応が進められてきたところです。

金融庁としては、市場関係者による、かかる工程表の作成や、工程表に沿った取組は、我が国市場全体の決済リスク削減の進展につながるとともに、ひいては、我が国金融システムの安定に資すると考え、今後も、工程表に沿った取組の実施を支援することとします。

上記に係る本年末時点の進捗状況は以下のとおりです。

1.国債取引

(1)経緯及び進捗状況

「制度整備」による要請を踏まえ、本年6月29日、日本証券業協会(以下日証協)、(株)日本国債清算機関(以下JGBCC)及び信託協会により、「国債取引の決済リスク削減に関する工程表」(以下「国債工程表」)が作成・公表されました。その後、上記3者をはじめとする市場関係者においてさらに検討が進められ、(2)記載の通り各種の対応・合意がなされてきたところであり、これを反映して更新された「国債工程表」が、本日公表されました。

(2)進捗の概要

  • 決済期間の短縮化

    • 国債売買取引の決済期間(約定日から受渡日までの期間)に累積する未決済約定残高の縮減を目的に、当該決済期間を現行の3日(T+3)から2日(T+2)に短縮化(平成24年4月中目途。今後、詳細実務の検討を進め、具体的な実施日を来年3月末までに決定。)。
    • 決済期間1日(T+1)への短縮化については、幅広い課題があることが認識されたことから、引き続きその実現方策について検討(来年秋ごろ取りまとめ)。
  • フェイル慣行の定着・普及

    フェイルの抑制とフェイル発生時の混乱の防止を目的に、日証協及びJGBCCにおいて関係ルール等の整備を行い、フェイルチャージ等の新たなフェイル慣行を導入(本年11月1日施行)。

  • JGBCCの態勢強化

    JGBCCのガバナンス及びリスク管理態勢(人員、組織)を強化すべく、(株)日本証券クリアリング機構(JSCC)から、常勤役員1名及び1/3超の出資を受入れるとともに、組織改革を実施してリスク管理部門を新設(本年9月29日実施)。

  • 清算機関の利用拡大

    全国債取引の4割程度に止まっているJGBCC利用率の拡大を図るべく、現在JGBCCに未加入の資産管理系信託銀行等の参加に向け、信託協会とJGBCCが概要以下について合意。

    • JGBCCは、多くの受託ファンドを抱える信託銀行の特性に配慮し、サブアカウントの提供等の制度的手当て及びシステム面での所要の対応を実施。
    • 信託銀行は、JGBCC及び個別行におけるシステム対応の実情や他の市場インフラのシステム整備の状況を踏まえ、投資家等の理解・承諾を得た上で、平成26年前半を目途にJGBCCへの参加を目指す。

2.貸株取引

「制度整備」において、貸株取引に係る決済リスク削減のための工程表を、本年末を目途に作成するべきとされたことを受け、本年8月31日、(株)証券保管振替機構及び(株)ほふりクリアリングは、市場関係者(証券会社、日本証券金融、信託銀行)により構成される「貸株取引専門部会」を設置しました。議論の結果、「貸株取引に係る決済リスク削減に関する工程表」(以下「貸株工程表」)が作成され、本日公表されました。

「貸株工程表」では、株式売買や国債売買・貸借等において実現している同時履行(DVP)決済を貸株取引においても実現する手法として、以下の2方式を確認し、実施時期(目途)を示した上で、今後実現に向けたフィージビリティ等の検討を進めることとしました。

  • 同時履行方式 (実施時期(目途):平成26年1月)
  • 個別取引単位のDVP決済方式 (同:貸株市場関係者の所要の対応終了後)

※「国債工程表」及び「貸株工程表」の本体については、下記の各機関のウェブサイトに掲載されています。

お問い合わせ先

金融庁 Tel 03-3506-6000(代表)
総務企画局市場課市場業務参事官室(内線3685、2411)

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