平成23年5月31日
金融庁
SBIネットシステムズ株式会社に係る有価証券報告書等の虚偽記載 に対する課徴金納付命令の決定について
金融庁は、証券取引等監視委員会から、SBIネットシステムズ(株)に係る有価証券報告書等の虚偽記載に係る検査結果に基づく課徴金納付命令の勧告を受け、平成23年4月26日に審判手続開始の決定(平成23年度(判)第3号金融商品取引法違反審判事件)を行ったところ、被審人から課徴金に係る金融商品取引法第178条第1項第2号及び第4号に掲げる事実及び納付すべき課徴金の額を認める旨の答弁書の提出があり、これを受けた審判官から金融商品取引法第185条の6の規定に基づき、課徴金の納付を命ずる旨の決定案が提出されたことから、本日、下記のとおり
決定(PDF:126KB)を行いました。
記
1決定の内容
(1)納付すべき課徴金の額金1億1068万円
(2)納付期限平成23年8月1日
2課徴金に係る金融商品取引法第178条第1項各号に掲げる事実
(1)課徴金に係る金融商品取引法第178条第1項第4号に掲げる事実
被審人SBIネットシステムズ(株)(以下「被審人」という。)は、関東財務局長に対し、下表のとおり、「重要な事項につき虚偽の記載がある」有価証券報告書、半期報告書及び四半期報告書を提出したものである。
番号 | 開示書類 | 虚偽記載 | ||||
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提出日 | 書類 | 会計期間 | 財務計算に 関する書類 |
内容(注) | 事由 | |
1 | 平成18年6月28日 | 第9期事業年度連結会計期間に係る有価証券報告書 | 平成17年4月1日~平成18年3月31日の連結会計期間 | 連結 損益計算書 |
連結経常損益が▲404百万円であるところを38百万円と記載 連結当期純損益が▲445百万円であるところを31百万円と記載 |
・架空売上の計上 等 |
連結 貸借対照表 |
連結純資産額に相当する「資本合計」欄が1,121百万円であるところを1,598百万円と記載 | |||||
2 | 平成18年12月28日 | 第10期事業年度中間連結会計期間に係る半期報告書 | 平成18年4月1日~平成18年9月30日の中間連結会計期間 | 中間連結 貸借対照表 |
連結純資産額が541百万円であるところを947百万円と記載 | ・投資有価証券の過大計上 等 |
3 | 平成19年6月28日 | 第10期事業年度連結会計期間に係る有価証券報告書 | 平成18年4月1日~平成19年3月31日の連結会計期間 | 連結 貸借対照表 |
連結純資産額が▲566百万円であるところを▲146百万円と記載 | ・ソフトウェアの過大計上 ・投資有価証券の過大計上 等 |
4 | 平成19年12月20日 | 第11期事業年度中間連結会計期間に係る半期報告書 | 平成19年4月1日~平成19年9月30日の中間連結会計期間 | 中間連結 損益計算書 |
連結中間純損益が▲246百万円であるところを▲116百万円と記載 | ・貸倒引当金の過少計上 ・ソフトウェアの過大計上 等 |
中間連結 貸借対照表 |
連結純資産額が▲845百万円であるところを▲294百万円と記載 | |||||
5 | 平成20年6月25日 | 第11期事業年度連結会計期間に係る有価証券報告書 | 平成19年4月1日~平成20年3月31日の連結会計期間 | 連結 貸借対照表 |
連結純資産額が▲20百万円であるところを70百万円と記載 | ・ソフトウェアの過大計上 等 |
6 | 平成20年8月7日 | 第12期事業年度第1四半期連結会計期間に係る四半期報告書 | 平成20年4月1日~平成20年6月30日の第1四半期連結会計期間 | 四半期連結 貸借対照表 |
連結純資産額が▲39百万円であるところを39百万円と記載 | ・ソフトウェアの過大計上 等 |
(注)金額は百万円未満切捨てである。また、▲は損益計算書では損失であることを、貸借対照表では債務超過であることを示す。
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(2)課徴金に係る金融商品取引法第178条第1項第2号に掲げる事実
被審人は、関東財務局長に対し、
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イ平成20年2月15日、第10期事業年度連結会計期間に係る有価証券報告書(上記表の番号3)及び第11期事業年度中間連結会計期間に係る半期報告書(上記表の番号4)を組込情報とする有価証券届出書を提出し、同有価証券届出書に基づく募集により、同年3月3日、131,500株の株券を1,709,500,000円で取得させ、
ロ平成20年8月8日、第11期事業年度連結会計期間に係る有価証券報告書(上記表の番号5)及び第12期事業年度第1四半期連結会計期間に係る四半期報告書(上記表の番号6)を組込情報とする有価証券届出書を提出し、同有価証券届出書に基づく募集により、同年8月26日、227,585株の株券を3,299,982,500円で取得させ、
もって重要な事項につき虚偽の記載がある発行開示書類に基づく募集により有価証券を取得させたものである。
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3課徴金の計算の基礎
上記2の表に掲げる事実につき
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(1)平成20年法律第65号による改正前の金融商品取引法(以下「旧金商法」という。)第172条の2第1項の規定により、番号1の開示書類に係る課徴金の額は、
イ被審人が発行する算定基準有価証券の市場価額の総額に10万分の3を乗じて得た額(396,694円)
が
ロ3,000,000円
を超えないことから、3,000,000円となる。
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(2)旧金商法第172条の2第1項及び第2項の規定により、番号2及び同3の開 示書類に係る課徴金について、個別決定ごとの算出額は、
イ被審人が発行する算定基準有価証券の市場価額の総額に10万分の3を乗じて得た額(226,661円)
が
ロ3,000,000円
を超えないことから、
a 番号2の開示書類については、3,000,000円の2分の1に相当する額である1,500,000円
b 番号3の開示書類については、3,000,000円
となるが、番号2及び同3に掲げる開示書類が、いずれも同一事業年度に係るものであることから、旧金商法第185条の7第2項の規定により、3,000,000円を個別決定ごとの算出額に基づき按分することとなり、
a’番号2の開示書類に係る課徴金の額は、
3,000,000×1,500,000/(1,500,000+3,000,000)=1,000,000円
b’番号3の開示書類に係る課徴金の額は、
3,000,000×3,000,000/(1,500,000+3,000,000)=2,000,000円
となる。
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(3)旧金商法第172条の2第1項及び第2項の規定により、番号4及び同5の開示書類に係る課徴金について、個別決定ごとの算出額は、
イ被審人が発行する算定基準有価証券の市場価額の総額に10万分の3を乗じて得た額(62,123円)
が
ロ3,000,000円
を超えないことから、
a 番号4の開示書類については、3,000,000円の2分の1に相当する額である1,500,000円
b 番号5の開示書類については、3,000,000円
となるが、番号4及び同5に掲げる開示書類が、いずれも同一事業年度に係るものであることから、旧金商法第185条の7第2項の規定により、3,000,000円を個別決定ごとの算出額に基づき按分することとなり、
a’番号4の開示書類に係る課徴金の額は、
3,000,000×1,500,000/(1,500,000+3,000,000)=1,000,000円
b’番号5の開示書類に係る課徴金の額は、
3,000,000×3,000,000/(1,500,000+3,000,000)=2,000,000円
となる。
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(4)旧金商法第172条の2第2項の規定により、番号6の開示書類に係る課徴金の額は、
イ被審人が発行する算定基準有価証券の市場価額の総額に10万分の3を乗じて得た額(143,291円)
が
ロ3,000,000円
を超えないことから、3,000,000円の2分の1に相当する額である1,500,000円となる。
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(5)上記2(2)に掲げる事実について
旧金商法第172条第1項第1号の規定により、重要な事項につき虚偽の記載がある発行開示書類に基づく募集により取得させた株券等の発行価額の総額の100分の2に相当する額が課徴金の額となることから、
イ平成20年2月15日提出の有価証券届出書に係る課徴金の額は、
1,709,500,000円×2/100=34,190,000円
ロ平成20年8月8日提出の有価証券届出書に係る課徴金の額は、
3,299,982,500円×2/100=65,999,650円
について、金融商品取引法第176条第2項の規定により1万円未満を切り捨てて、65,990,000円
となる。
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(6)以上により、納付すべき課徴金の額は次のとおりとなる。
3,000,000円+1,000,000円+2,000,000円+1,000,000円+2,000,000円+1,500,000円+34,190,000円+65,990,000円
=110,680,000円
お問い合わせ先
金融庁 Tel 03-3506-6000(代表)
総務企画局総務課審判手続室(内線2398、2404)