第9回金融機能強化審査会 議事要旨

1.日 時:

平成23年8月3日(水)9時30分~12時00分

2.議 題:

  • 会長及び会長代理の選任

  • 経営強化計画(北洋銀行、福邦銀行及び南日本銀行)の審議

3.議事内容

  • 会長選任手続きが行われ、新たに松嶋英機委員を会長に、多胡秀人委員を会長代理に選任した。

  • 平成21年3月に国の資本参加を行った北洋銀行、福邦銀行及び南日本銀行から提出された新たな経営強化計画(23年4月~26年3月)の概要等について、事務局より説明が行われた。

  • 北洋銀行の横内龍三頭取より経営強化計画の概要について説明が行われた後、質疑応答が行われた。概要は以下の通り。

    • 観光業に関する自治体等との連携について具体的な取組みをお聞きしたい。北海道の観光業の厳しい現状を打開するため、当行としてどのように取り組んでいるのか。
      • 海外からのインバウンド(観光客の流入)を取り込むための基盤整備が重要であり、ホテル業界や交通関係者等の資金需要に対して積極的に取り組んでいく。また、北海道庁や観光協会等とPR活動に取り組んでいるほか、新しい観光スタイルの立案等にも取り組んでいる。

    • 人材の活性化のために長期的な取組みを評価することは重要なことであると同時に非常に難しいと思うが、具体案があれば教えていただきたい。
      • 集合研修等だけではなかなか成果が上がらないため、個々の案件を通じたOJT(オン・ザ・ジョブ・トレーニング:実地訓練)のほか、支店で行われた好事例を全店で共有することにより、ノウハウの蓄積を図ること等を推進している。

    • 計画に盛り込まれた様々な施策が、最終的に目標を達成する上で有効な施策であるか検証していくことが重要であるが、行内での取組みを教えて頂きたい。
      • 具体策のPDCAが非常に大事であると認識しており、年度ごとの計画を上期・下期に分けて検証している。また、外部環境が大きく変わりそうなときには、状況を踏まえて施策の練り直しが必要と考えている。

    • 地域のトップバンクである当行の姿勢や発想について「変革」と明快に述べているのが印象的である。地域密着型金融については、メイン先の上位1~2割を対象に、ごく一部の行員や支店のみが取り組むのではなく、取引先総数のかなりの部分を対象に、組織的な活動として浸透させていくことが重要である。今の銀行は、顧客との日常的・継続的な接触により、経営上の悩み等を率直に相談できる信頼関係を構築するための取組みが弱くなっており、そうした視点での「変革」をお願いしたい。当行全体として、そのような信頼関係が構築できれば、間違いなく短期的な収益にもつながるはずである。
      • 当行が一番悩んでいる部分でもあるが、経営再建計画の策定支援等において、少しずつ小口先にも手が入るようになってきており、当行の現場がこの方針を認識しつつある一つの表れだと思っている。しかし、まだまだ不十分と感じており、委員のご指摘も十分踏まえながら、新計画の下で人材育成等にしっかり取り組んでいきたい。

  • 福邦銀行の東條敬頭取より経営強化計画の概要について説明が行われた後、質疑応答が行われた。概要は以下の通り。

    • 営業店別に中期経営計画を立てていくに当たり、資金仲介だけでなく顧客の本業支援を継続的・組織的に行うことについて、どのように現場へ徹底しているのか。
      • 従来は顧客との人的なつながりに依存し、金利の相談だけで落ち着いてしまう面があったが、地域を活性化することが地域金融機関の一番の役割だと認識している。他行と低金利競争をすることではなく、きちんと顧客と話をして新たなニーズを掘り起こしていくことを営業現場にも徹底し、地域の活性化をサポートしていきたい。

    • 福井県における当行の強みを教えていただきたい。また、前計画では営業店に人員が十分配置できなかったため、今計画では営業店を重視するとあるが、本店をスリム化して営業店に人員を配置していくのか。
      • 当行の強みは、地元に密着していることと、意欲的で真面目な行員が多いことである。また、例えば、顧客の海外進出支援など当行の弱みの部分は、外部機関等との連携でしっかりカバーしていくことを考えている。人員については、本部と営業店のそれぞれが業務の効率化に取り組んで、時間と人員を捻出していく。

    • 今回の計画の実効性を担保するため、顧客にどういうニーズがあり、それに対する的確な解決策がタイムリーに提供されているかを検証する仕組みは考えているのか。
      • 顧客のニーズ等の情報をすべて記録・蓄積し、行内で共有できる仕組みを作り、担当者間の引継ぎ、本部・上司のチェック、他店との連携等に活用できるようにした。また、ビジネスマッチング等でも、行内LANを活用して各店で情報交換することで、お金や負担をかけず、既存の仕組みを使って効果を上げる取組みの成果は上がってきている。

    • 新計画に盛り込まれている金融仲介機能発揮のための諸施策を実行していくことが、結局は当行の営業基盤や顧客基盤を強化することになる。ぜひ着実に進めて頂きたい。
  • 南日本銀行の森俊英頭取より経営強化計画の概要について説明が行われた後、質疑応答が行われた。概要は以下の通り。

    • 新計画に掲げた「WIN-WINネット業務」を成功させるため、顧客が銀行に経営上の悩みを相談しても、手のひらを返して資金回収することがないという覚悟をどのように伝えていくのか。
      • 当行はずっと鹿児島に根を張っており、面倒見の良い銀行だと自負している。いろいろな面で当行の理念を顧客に伝えるようにしたい。

    • 「WIN-WINネット業務」の手数料は成果報酬であり、コンプライアンス面で、顧客に相場変動リスクを取らせて手数料を取るデリバティブ取引等と同様の厳格な対応を行うと、円滑な業務遂行ができなくなるのではないか。また、組織的・継続的な取組みとして現場に浸透させるため、本部と現場の連携等をどういう形で行っていくのか。
      • 試行的に数社から意見を聞いているが、本業務の実施は非常にありがたいとの話が寄せられている。顧客と真剣に色々な話をして、継続的に状況報告等を行いながら進めていきたい。本部と支店の連携については、本部の営業統括部支店支援室と審査部経営支援室に支店長経験者を含め6名ずつ配置し、支店の取組みを常にサポートしていく。

    • コンサルタント業務での成果報酬について、日本では顧客との交渉で合意に至ることが難しいのではないか。また、成長支援の取組みと事業再生支援の取組みが分かれているように思われるが、例えば、事業再生を終えてから成長戦略へ移行したいと考えている企業への対応については、どう考えるか。
      • 成果報酬については、顧客との間で色々な状況を逐一認識し合いながら進めていきたい。審査部の経営支援室は事業再生を担当する部署でもあり、成長戦略と有機的に結び付けながら進めていきたい。

    • コンサルティング業務に本格的に進出することは、地域金融機関としての新しい取組みとして評価したい。頭取のリーダーシップの下、是非とも成功させて頂きたい。
  • 3行の頭取が退室した後、3行の経営強化計画について討議が行われた。その際の主な意見は以下の通り。

    • やや具体性に欠ける面もあったが、いずれの計画もそれなりに練られており、妥当なものだと感じた。
    • 3行とも、前計画を経て、コンサルティング機能の発揮や地域密着型金融に本格的に舵を切るとの結論に至ったことは、喜ばしいことである。金融機関の中には、地域密着型金融は長期目的であり、短期的な収益とコストのバランスが取れないといった意見も多いが、こうした取組みを組織全体として愚直に進め、結果を出している金融機関もある。財務局等の監督の現場においても、こうした意見に惑わされないよう、徹底して頂きたい。
    • 地方の経済情勢が厳しい中で、目先の収益目標等が優先されないよう、計画の実効性をどう担保するかが重要である。なるべくお金をかけずに取り組むとの説明もあったが、中途半端にはできない分野もあり、むしろ行内の資源配分を大きく変えて取り組んでいくことも必要ではないかと思う。
  • 以上の討議の後、審査会として北洋銀行、福邦銀行及び南日本銀行の経営強化計画について了承することとされた。

お問い合わせ先

金融庁 Tel 03-3506-6000(代表)
監督局 総務課・銀行第二課(内線3391、3392)
本議事要旨は暫定版であるため、今後変更があり得ます。

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