第10回金融機能強化審査会 議事要旨

1.日 時:

平成23年9月12日(月)13:00~15:00

2.議 題:

  • 経営強化計画(仙台銀行及び筑波銀行)の審議

3.議事内容

  • 事務局より、仙台銀行及び筑波銀行から提出された経営強化計画の概要等について説明が行われた。

  • 仙台銀行の三井頭取より経営強化計画の概要について説明が行われた後、質疑応答が行われた。概要は以下の通り。

    • 今回の公的資金は、震災からの復旧・復興支援に向けた国民の連帯を示す資金との性格もあると思うが、銀行の経営が苦しいからではなく、国民全体の支援を受け入れるということを、地元でどのように伝えていくのか。
      • 今回の公的資金については、本年6月の株主総会で、私(頭取)から株主に直接説明したほか、取引先等にも全職員が訪問して説明したが、その際、「宮城県の復旧・復興のため、公的資金を入れても頑張って欲しい」との声が多かった。ご理解は得られると考えているが、公的資金の導入後、株主や取引先に再度説明していきたい。

    • 従来の産業の復旧・復興だけでなく、新しい産業の創出や雇用の受皿も必要かと思うが、工夫をお聞きしたい。
      • 被害が甚大なだけに、新たな仕事のニーズも今後出てくると思う。地元企業応援部を新設し、60名体制で臨むことにより、新たなニーズの芽をつかみ、早め早めに対応していきたい。

    • 地域経済全体が不透明な状況の中で、被災状況や復興へのニーズを把握した後、債権放棄も含め、どこまで踏み込んで良いのか大きな判断を要することもあると思うが、どのように臨んでいくのか。
      • 地元企業応援部というプロ集団を本部に新設し、支店職員と帯同訪問するなどして、顧客のニーズをよく把握し、きめ細やかに対応していきたい。

    • 経営強化計画の実施状況の評価や見直しの方法について、特に気をつけたいと考えていることがあれば、お聞きしたい。
      • 今回の経営強化計画を当行の業務推進計画に置き換え、取締役会や経営委員会等で管理していくほか、業務監査でも進捗状況等を検証していきたい。

    • 復興専門銀行に大きく変わるということを、全行員がきちんと認識することが非常に重要だと思うが、人員が限られる中で、職員60名を地元企業応援部に投入する一方、他の業務との間でどのようにメリハリを付けて対応するのか。
      • 顧客利便性を損わない店舗内店舗の形で業務の効率化を図り、沿岸部の被災地等へ集中的に経営資源を投入していきたいと考えている。

    • 地域金融機関として既に始めている取組みに加えて、私的整理ガイドラインのような新しい仕組みもあるが、今後それぞれどのように対応していくのか。また、経営強化計画に掲げた施策のうち、他の金融機関と異なる取組みとして、どこに重点を置いていくのか。
      • 私的整理ガイドラインについては、まだまだ一般の県民に浸透していないと思われるので、全営業店に対し、改めて周知徹底を指示している。今後、産業再生のためのファンドの立ち上げに協力する等、全体でサポートしていきたい。また、営業の現場主義を徹底し、顧客の要望に迅速に対応していきたい。

  • 筑波銀行の木村頭取より経営強化計画の概要について説明が行われた後、質疑応答が行われた。概要は以下の通り。

    • 経営が苦しいから公的資金を申請するわけではないということを含め、当行が公的資金を活用する目的を、県民にどのように伝えていくのか。
      • 合併のシナジー効果も出ており、合併初年度で黒字を確保する等、しっかりした銀行になってきているとの評価を頂いている。今後とも、各営業店を通じた株主・取引先への広報(IR)等を通じ、復興支援の重要な役割を担っていることを丁寧に説明していきたいと考えている。

    • 地域密着型金融については、合併後に本格的な取組みを開始したようだが、企業文化を大きく変えていくことは時間がかかるものであり、全先訪問や営業支援システムだけでなく、現場を動かすために業績評価の仕組みをどう変えていくのかお聞きしたい。
      • 合併前にも地域密着型金融は進めてきたが、各種の取組みを実施し、検証し、業績として評価するといった繋がりが弱かった。業績評価については、これまで営業部門で行っていたが、総合企画部が総合業績評価という形で行うこととし、現場にとっても実績が分かりやすく、やる気の出る評価に変更したところである。

    • 原発関連の被害は先が見えにくいが、どのような姿勢で臨むのか。また、どうしても支援し切れない先が出てしまうこともあると思うが、その場合にどう説明していくのか。
      • 当行では、原発の風評被害を含め全店分をデータ化しており、従来の対応よりも一歩踏み込んだ提案を行っていくことが必要と考えている。また、当行がメイン先か否か等により、対応方法には違いがあると思うが、経営者に再生の意思があれば、各金融機関の理解・協力を得ながら、最後まで一緒に考え、一件ずつ丁寧に対応していきたい。

    • 茨城県については、直接被害も大きいが、間接被害も含めて長期的に検討しなければならないということが重要になると理解しているが、そうした中、当行としての取り組みについて2点お伺いしたい。まず、震災復興「あゆみプロジェクト」を策定しているが、震災後の6ヵ月間における検討を含め、当該プロジェクトと今回の経営強化計画の関係はどのように考えればよいか。また、進捗状況のモニタリングは非常に重要だが、長期的になるので難しい部分もあると思うが、現時点でどのような対応を考えているのか。
      • 震災当日(3/11)に対策本部を設置し、営業部門の戦略とそれに関連した資金供給等を連携させた復興支援策を実施してきた。その実績を経営強化計画に反映させるとともに、「あゆみプロジェクト」として体系立て、全行的に一つのパッケージとした。計画の進捗状況については毎月の経営戦略実行委員会で検証しており、「あゆみプロジェクト」を取り込む形で施策の進捗状況等をモニタリングしていきたいと考えている。

  • 2行の頭取が退室した後、2行の経営強化計画について討議が行われた。その際の主な意見は以下の通り。

    • 地域の震災からの復興に当たり、金融機関が資金供給等の様々な支援をしていくため、公的資金が非常に重要であることが再確認できた。ただし、未曾有の災害であり、特に原発の影響がどのくらい長引くか分からない中で、被災企業等をどうやって支えていくかは、非常に難しい問題。また、良い事業を残すために行った選択・決断を、公的資金を受けた銀行として社会にどう説明していくかも重要。今後、公的資金をどうやって各地域の再生に繋げていくかは大きなチャレンジであり、各行がどのように取り組んでいくのかに注目したい。
    • 各行が自らの取組みについて情報開示をしっかりと行うとともに、当局としても、各行の自由な発想は活かしながら、監督を行っていくようお願いしたい。
    • 金融機関の競争が厳しく、震災の影響もある中で、今後、毎期着実に利益を上げて利益剰余金を蓄積していくことは大変な努力が必要だと思う。営業現場をどのように動かしていくのかを含め、今回策定した計画をどのように実行し、評価していくかが重要。息切れすることなく、地域に密着しながら取り組んでいけるよう、監督当局においては、長期的な視点で今後のモニタリングに力を入れて頂きたい。
  • 以上の討議の後、審査会として仙台銀行及び筑波銀行の経営強化計画について了承することとされた。

お問い合わせ先

金融庁 Tel 03-3506-6000(代表)
監督局 総務課・銀行第二課(内線3391、3392)
本議事要旨は暫定版であるため、今後変更があり得ます。

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