平成23年12月19日
金融庁
証券決済リスク削減に向けた市場関係者の取組の進捗状況について
「金融・資本市場に係る制度整備について」(平成22年1月21日金融庁、以下「制度整備」)では、今次の金融危機において認識された重要な課題の一つとして、「国債取引・貸株取引等の証券決済・清算態勢の強化」が盛り込まれました。これを受け、市場関係者において、証券決済リスク削減に向けた各取組の実施時期・実行期限等を定めた工程表の作成や、工程表に沿った検討・対応が進められてきたところです。
金融庁としては、市場関係者による、かかる工程表の作成や、工程表に沿った取組は、我が国市場全体の決済リスク削減の進展につながるとともに、ひいては、我が国金融システムの安定に資すると考え、今後も、工程表に沿った取組の実施を支援することとします。
工程表については、半年毎(平成22年12月、平成23年6月)にアップデートしており、本年12月末時点の進捗状況は以下のとおりです。
1.国債取引
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(1)経緯及び進捗状況
「制度整備」による要請を踏まえ、昨年6月29日、日本証券業協会、(株)日本国債清算機関(以下JGBCC)及び信託協会により、「国債取引の決済リスク削減に関する工程表」(以下「国債工程表」)が作成・公表されました。その後、上記3者をはじめとする市場関係者において検討が進められ、昨年12月、今年6月に検討結果が公表されたところです。
本年6月以降、更に検討を重ねた結果、今般、(2)の通り各種の対応・合意がなされてきたところであり、これを反映して更新された「国債工程表」が、本日公表されました。
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(2)進捗の概要
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○決済期間の短縮化
- アウトライトT+1化の実現に向けた課題の整理。
- アウトライトT+1化について、平成24年4月23日から移行するT+2化の実施状況のフォローアップを行った後、平成29年以降速やかに実現させることを目標とし、幅広い市場関係者・市場インフラとの意見調整を図りつつ、検討を進めていく。
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○フェイル慣行の定着・普及
- フェイル慣行の定着状況について、平成23年11月に、平成23年3月に引き続き2回目のフォローアップを行い、フェイル慣行の定着が進展し、現段階では追加的な見直しの必要がないことを確認。
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○JGBCCの態勢強化
- CPSS/IOSCO「金融市場インフラのための原則」の導入に備え、様々な状況を想定した資金調達態勢の拡充に向けた検討に着手。
- JGBCC清算参加者の資金供給力やJGBCCに対する与信枠設定状況の確認、各種想定ケースに基づき必要となる流動性資金調達額の把握。
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○清算機関の利用拡大
- 信託協会とJGBCCは、JGBCCの運営に対する信託銀行の関わり方(JGBCC社外取締役候補者の選任、運営委員会への参加)について、合意。
- 信託銀行等は、投資家等に対して、説明会実施等の取組みを行っている。
- 信託銀行は、今後、投資家等の理解・承諾を得た上で、JGBCC及び個別行におけるシステム対応に関する投資判断などの実情や他の市場インフラのシステム整備状況を踏まえ、平成26年前半を目途に運用有価証券信託でのJGBCCへの参加を実現する。
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2.貸株取引
お問い合わせ先
金融庁 Tel 03-3506-6000(代表)
総務企画局市場課市場業務参事官室(内線3685、3613)