平成24年3月19日
金融庁
株式会社京王ズホールディングスに係る有価証券報告書等の虚偽記載に係る課徴金納付命令の決定について
金融庁は、証券取引等監視委員会から、(株)京王ズホールディングスに係る有価証券報告書等の虚偽記載に係る検査結果に基づく課徴金納付命令の勧告を受け、平成24年1月24日に審判手続開始の決定(平成23年度(判)第24号金融商品取引法違反審判事件)を行ったところ、被審人から課徴金に係る金融商品取引法(以下、「金商法」といいます。)178条1項2号及び4号に掲げる事実及び納付すべき課徴金の額を認める旨の答弁書の提出があり、これを受けた審判官から金商法185条の6の規定に基づき、課徴金の納付を命ずる旨の決定案が提出されたことから、下記のとおり
決定(PDF:140KB)を行いました。
記
1決定の内容
被審人に対し、次のとおり課徴金を国庫に納付することを命ずる。
(1)納付すべき課徴金の額 金4373万円
(2)納付期限 平成24年5月17日
2課徴金に係る金商法178条1項各号に掲げる事実
(1)課徴金に係る金商法178条1項4号に該当
被審人(株)京王ズホールディングス(以下「被審人」という。)は、その発行する株式が東京証券取引所マザーズ市場に上場されている会社であるが、被審人は、東北財務局長に対し、下表のとおり、重要な事項につき虚偽の記載がある有価証券報告書及び四半期報告書(以下「開示書類」という。)を提出した。
(2)課徴金に係る金商法178条1項2号に該当
被審人は、以下のとおり、重要な事項につき虚偽の記載がある発行開示書類に基づく募集により有価証券を取得させた。
イ平成19年3月13日、上記表番号1の書類を組込情報とする有価証券届出書を提出し、同有価証券届出書に基づく募集により、同年3月29日、160個の新株予約権証券を9,600,000円で取得させた。
ロ平成20年1月10日、上記表番号1の書類を組込情報とする有価証券届出書を提出し、同有価証券届出書に基づく募集により、同年1月25日、6,500株の株券を195,195,000円で取得させた。
ハ平成20年4月15日、上記表番号2の書類を組込情報とする有価証券届出書を提出し、同有価証券届出書に基づく募集により、同年4月30日、6,000株の株券を120,000,000円で取得させた。
ニ平成21年10月20日、上記表番号3の書類及び上記表番号6の書類を組込情報とする有価証券届出書を提出し、同有価証券届出書に基づく募集により、同年11月4日、20個の新株予約権を360,960,000円(新株予約権の行使に際して払い込むべき金額を含む。)で取得させた。
番号 | 開示書類 | 虚偽記載 | ||||
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提出日 | 書類 | 会計期間 | 財務計算に 関する書類 |
内容(注) | 事由 | |
1 | 平成19年 1月31日 |
第14期事業年度連結会計期間に係る有価証券報告書 | 平成17年11月1日~平成18年10月31日の連結会計期間 | 連結 損益計算書 |
連結当期純損益が▲2,386百万円であるところを▲2,288百万円と記載 | ・貸倒引当金繰入額の不計上 等 |
2 | 平成20年 1月30日 |
第15期事業年度連結会計期間に係る有価証券報告書 | 平成18年11月1日~平成19年10月31日の連結会計期間 | 連結 損益計算書 |
連結経常損益が▲191百万円であるところを89百万円と記載 連結当期純損益が▲1,097百万円であるところを▲874百万円と記載 |
・売上の過大計上 等 |
連結 貸借対照表 |
連結純資産額が468百万円であるところを760百万円と記載 | |||||
3 | 平成21年 1月27日 |
第16期事業年度連結会計期間に係る有価証券報告書 | 平成19年11月1日~平成20年10月31日の連結会計期間 | 連結 損益計算書 |
連結経常損益が▲20百万円であるところを102百万円と記載 連結当期純損益が11百万円であるところを80百万円と記載 |
・貸倒引当金の過少計上 等 |
連結 貸借対照表 |
連結純資産額が824百万円であるところを1207百万円と記載 | |||||
4 | 平成21年 3月13日 |
第17期事業年度第1四半期連結会計期間に係る四半期報告書 | 平成20年11月1日~平成21年1月31日の第1四半期連結会計期間 | 四半期連結 貸借対照表 |
連結純資産額が869百万円であるところを1,263百万円と記載 | ・貸倒引当金の過少計上 等 |
5 | 平成21年 6月12日 |
第17期事業年度第2四半期連結会計期間に係る四半期報告書 | 平成20年11月1日~平成21年4月30日の第2四半期連結累計期間 | 四半期連結 損益計算書 |
連結四半期純損益が107百万円であるところを145百万円と記載 | ・貸倒引当金の過少計上 等 |
平成21年2月1日~平成21年4月30日の第2四半期連結会計期間 | 四半期連結 貸借対照表 |
連結純資産額が961百万円であるところを1,379百万円と記載 | ||||
6 | 平成21年 9月14日 |
第17期事業年度第3四半期連結会計期間に係る四半期報告書 | 平成21年5月1日~平成21年7月31日の第3四半期連結会計期間 | 四半期連結 貸借対照表 |
連結純資産額が1,204百万円であるところを1,551百万円と記載 | ・貸倒引当金の過少計上 等 |
7 | 平成22年 3月15日 |
第18期事業年度第1四半期連結会計期間に係る四半期報告書 | 平成21年11月1日~平成22年1月31日の第1四半期連結累計期間 | 四半期連結 損益計算書 |
連結四半期純損益が47百万円であるところを111百万円と記載 | ・貸倒引当金繰入額の不計上 等 |
8 | 平成22年 9月14日 |
第18期事業年度第3四半期連結会計期間に係る四半期報告書 | 平成21年11月1日~平成22年7月31日の第3四半期連結累計期間 | 四半期連結 損益計算書 |
連結四半期純損益が264百万円であるところを334百万円と記載 | ・貸倒引当金繰入額の不計上 等 |
9 | 平成23年 1月28日 |
第18期事業年度連結会計期間に係る有価証券報告書 | 平成21年11月1日~平成22年10月31日の連結会計期間 | 連結 損益計算書 |
連結当期純損益が416百万円であるところを507百万円と記載 | ・貸倒引当金繰入額の不計上 ・売上の過大計上 等 |
10 | 平成23年 6月14日 |
第19期事業年度第2四半期連結会計期間に係る四半期報告書 | 平成22年11月1日~平成23年4月30日の第2四半期連結累計期間 | 四半期連結 損益計算書 |
連結四半期純損益が281百万円であるところを346百万円と記載 | ・貸倒引当金繰入額の不計上 等 |
(注)金額は百万円未満切捨てである。また、▲は損失であることを示す。
3課徴金の計算の基礎
2(1)の表に掲げる各事実及び同2(2)に掲げる事実について、課徴金額は、それぞれ以下のとおりとなる。
-
2(1)の表の番号1
平成20年法律第65号による改正前の金融商品取引法(以下、「旧金商法」という。)172条の2第1項本文の規定により、番号1の開示書類に係る課徴金の額は、
イ被審人が発行する算定基準有価証券の市場価額の総額に10万分の3を乗じて得た額(86,042円)
が
ロ3,000,000円
を超えないことから、3,000,000円となる。
2(1)の表の番号2
旧金商法172条の2第1項本文の規定により、番号2の開示書類に係る課徴金の額は、
イ被審人が発行する算定基準有価証券の市場価額の総額に10万分の3を乗じて得た額(44,550円)
が
ロ3,000,000円
を超えないことから、3,000,000円となる。
2(1)の表の番号3
旧金商法172条の2第1項本文の規定により、番号3の開示書類に係る課徴金の額は、
イ被審人が発行する算定基準有価証券の市場価額の総額に10万分の3を乗じて得た額(27,568円)
が
ロ3,000,000円
を超えないことから、3,000,000円となる。
2(1)の表の番号4、同5及び同6
旧金商法172条の2第2項前段、1項本文の規定により、番号4、同5及び同6の開示書類に係る課徴金について、個別決定ごとの算出額は、
イ被審人が発行する算定基準有価証券の市場価額の総額に10万分の3を乗じて得た額(26,449円)
が
ロ3,000,000円
を超えないことから、
番号4については、3,000,000円の2分の1に相当する額である1,500,000円
番号5については、3,000,000円の2分の1に相当する額である1,500,000円
番号6については、3,000,000円の2分の1に相当する額である1,500,000円
となるが、番号4、同5及び同6の開示書類が、いずれも第17期事業年度に係るものであることから、旧金商法185条の7第2項及び平成20年内閣府令第79号による改正前の金融商品取引法第六章の二の規定による課徴金に関する内閣府令61条の2の規定により、3,000,000円を個別決定ごとの算出額に応じて按分することとなり、
番号4に係る課徴金の額は
3,000,000×1,500,000/(1,500,000+1,500,000+1,500,000)
=1,000,000円
番号5に係る課徴金の額は
3,000,000×1,500,000/(1,500,000+1,500,000+1,500,000)
=1,000,000円
番号6に係る課徴金の額は
3,000,000×1,500,000/(1,500,000+1,500,000+1,500,000)
=1,000,000円
となる。
2(1)の表の番号7、同8及び同9
金商法172条の4第1項本文及び2項前段の規定により、番号7、同8及び同9の開示書類に係る課徴金について、個別決定ごとの算出額は、
イ被審人が発行する算定基準有価証券の市場価額の総額に10万分の6を乗じて得た額
番号7 96,994円 番号8 102,877円 番号9 98,447円 が
ロ6,000,000円
を超えないことから、
番号7については、6,000,000円の2分の1に相当する額である3,000,000円
番号8については、6,000,000円の2分の1に相当する額である3,000,000円
番号9については、6,000,000円
となるが、番号7、同8及び同9の開示書類が、いずれも第18期事業年度に係るものであることから、金商法185条の7第6項及び金融商品取引法第六章の二の規定による課徴金に関する内閣府令61条の3の規定により、6,000,000円を個別決定ごとの算出額に応じて按分することとなり、
番号7に係る課徴金の額は
6,000,000×3,000,000/(3,000,000+3,000,000+6,000,000)
=1,500,000円
番号8に係る課徴金の額は
6,000,000×3,000,000/(3,000,000+3,000,000+6,000,000)
=1,500,000円
番号9に係る課徴金の額は
6,000,000×6,000,000/(3,000,000+3,000,000+6,000,000)
=3,000,000円
となる。
2(1)の表の番号10
金商法172条の4第2項前段、1項本文の規定により、番号10の開示書類に係る課徴金の額は、
イ被審人が発行する算定基準有価証券の市場価額の総額に10万分の6を乗じて得た額(135,449円)
が
ロ6,000,000円
を超えないことから、6,000,000円の2分の1に相当する額である3,000,000円となる。
2の(2)のイ、ロ及びハに掲げる事実につき
旧金商法172条1項1号の規定により、重要な事項につき虚偽の記載がある発行開示書類に基づく募集により取得させた株券等の発行価額の総額の100分の2に相当する額が課徴金の額となることから、
イ平成19年3月13日提出の有価証券届出書に係る課徴金の額は、
9,600,000円×2/100=192,000円
について、金商法176条2項の規定により1万円未満の端数を切り捨てて、190,000円
ロ平成20年1月10日提出の有価証券届出書に係る課徴金の額は、
195,195,000円×2/100=3,903,900円
について、金商法176条2項の規定により1万円未満の端数を切り捨てて、3,900,000円
ハ平成20年4月15日提出の有価証券届出書に係る課徴金の額は、
120,000,000円×2/100=2,400,000円
となる。
2の(2)のニに掲げる事実につき
金商法172条の2第1項1号の規定により、重要な事項につき虚偽の記載がある発行開示書類に基づく募集により取得させた株券等の発行価額の総額の100分の4.5に相当する額が課徴金の額となることから、
平成21年10月20日提出の有価証券届出書に係る課徴金の額は、
360,960,000円×4.5/100=16,243,200円
について、金商法176条2項の規定により1万円未満の端数を切り捨てて、16,240,000円
となる。
以上により、納付すべき課徴金の額は次のとおりとなる。
3,000,000円+3,000,000円+3,000,000円+1,000,000円+1,000,000円
+1,000,000円+1,500,000円+1,500,000円+3,000,000円+3,000,000円
+190,000円+3,900,000円+2,400,000円+16,240,000円
=43,730,000円