平成24年10月16日
金融庁

ソシエテジェネラル信託銀行株式会社に対する行政処分について

ソシエテジェネラル信託銀行株式会社(以下「当社」といいます。)に対して行った検査結果(平成24年9月21日通知)、及び、それを踏まえた報告内容等を踏まえ、本日、業務の健全かつ適切な運営を確保するため、当社に対して以下を内容とする行政処分を行いました。

I. 命令の内容

銀行法第26条第1項及び金融機関の信託業務の兼営等に関する法律第9条の規定に基づく命令

  • 1. 平成24年10月23日(火)から平成25年1月22日(火)までの間、法人部門における信託業にかかる業務(平成24年10月22日以前の既存の契約によりすでに受託した信託財産の運用・管理・返還に係る業務、下記業務改善命令の実施に必要な業務及び当庁が個別に承認した業務を除く。)を停止すること。

  • 2. 平成24年10月23日(火)から平成24年11月22日(木)までの間、プライベートバンキング部門における信託業にかかる業務(平成24年10月22日以前の既存の契約の信託財産の運用・管理・返還に係る業務、下記業務改善命令の実施に必要な業務及び当庁が個別に承認した業務を除く。)並びに外貨預金、仕組預金等リスク性商品の勧誘(広告、宣伝を含む)及び受入れにかかる業務を停止すること(但し、顧客から自発的意思表示があり、かつ、そのような意思表示であることが客観的に認められる場合の受入れ業務(商品説明を含む)は妨げない。)。

  • 3. 信託銀行として、健全かつ適切な業務運営を実現するため、以下を実施すること。

    • (1)経営責任の明確化

    • (2)経営管理(ガバナンス)態勢の見直し

    • (3)監査委員会、内部監査部の機能強化

    • (4)年金信託業務、プライベートバンキング業務における管理態勢の見直し及びその着実な履行を含む法令等遵守態勢、顧客保護等管理態勢の抜本的再構築

    • (5)役職員の法令・諸規則に対する理解と遵守の徹底、並びに、当社の業務に必要な人材の育成・確保と適切な配置

    • (6)上記(1)~(5)、並びに検査結果通知及び報告命令で指摘された事項にかかる業務改善計画の策定と速やかな実行

  • 4. 上記3.(6)にかかる業務改善計画(業務改善計画を着実に実行するための経営管理態勢の整備・確立及び実効性確保にかかる責任の分担の明確化を含む)を平成24年11月16日(金)までに提出し、直ちに実行すること。

  • 5. 当該業務の改善計画の実施完了までの間、平成24年12月末を第一回目とし、以後3ヶ月ごとに計画等の進捗・実施及び改善状況を取りまとめ、翌月15日までに報告すること。

II. 処分の理由

当庁の立入検査(平成24年9月21日通知)並びに銀行法第24条第1項及び金融機関の信託の兼営等に関する法律第2条第1項において準用する信託業法第42条第1項の規定に基づく当社からの報告等によると、以下のとおり、重大な法令違反等が認められ、また、経営管理態勢、法令等遵守態勢及び顧客保護等管理態勢に関して、業務の健全かつ適切な運営を実行するうえで重大な問題が認められたこと。

  • 1. 法令違反

    • (1)年金信託業務における善管注意義務違反

      当社は、指定運用の年金信託業務において、未公開株式への投資事業を目的とする投資事業有限責任組合(以下、「組合」という。)に対して出資しているが、以下のとおり、指定運用の年金信託受託者に求められる管理を行っておらず、金融機関の信託業務の兼営等に関する法律第2条第1項で準用する信託業法第28条第2項に規定する善管注意義務に違反していること。

      • a)組合への当初出資において、当社経営陣は、外部弁護士の法律意見書などにより、投資対象先である組合及びその運用者である組合の無限責任組合員(以下、「GP」という。)に対する十分なデューデリジェンスの必要性を認識していたにもかかわらず、引受審査の権限や方法について明確化しておらず、組合の投資対象範囲やGPの運用経験・能力等に係るデューデリジェンスを、運用責任者であるファンドマネージャーではなく、営業担当者のみに行わせ、かつ法務・コンプライアンス部等の内部管理部門に検証を行わせていないこと。

      • b)組合への追加出資においても、当社は、依然として指定運用の年金信託受託者に求められる管理の枠組みを構築しておらず、同組合及びGPに対するデューデリジェンスを行わないまま出資していること。

      • c)当社は、指定運用の年金信託受託者として、GPによる事業運営を継続的に監視する義務を果たすための態勢を構築していない。このため、営業部門及び業務管理部門の責任者は、組合の投資先である未公開企業に、監査法人が不適正意見を述べている企業など、投資先の選択として適切でなかった可能性がある企業が含まれていることを認識していたにもかかわらず、GPに対して事業運営の是正を求めるなどの適切な対応を取っておらず、当社は長期にわたりこれを看過していること。

    • (2)プライベートバンキング業務における法令違反

      当社は、プライベートバンキング部門に対する牽制態勢を適切に構築していないことなどから、以下のとおり、法令違反が認められること。

      • a)同一グループ内のヘッジファンドを信託財産に組み入れる取引をする場合の顧客説明に当たって、当該取引は利益相反取引に該当するにもかかわらず、利益相反取引について記載した顧客説明書面を作成し、顧客に対し交付しておらず、金融機関の信託業務の兼営等に関する法律第2条第1項で準用する信託業法第29条第3項に違反していること。

      • b)特定預金等契約を締結する際に、顧客への説明のために交付すべき契約締結前交付書面につき、執行役は、法令上、同書面の交付の必要性を認識しているにもかかわらず、自らの承認により交付を省略できることとし、交付していない事例が認められ、銀行法第13条の4で準用する金融商品取引法第37条の3に違反していること。

      • c)特定預金等契約を締結する際に、顧客への説明のために交付すべき契約締結前交付書面において、期限前償還の条件や満期償還金額、利息金額などの重要部分につき事実と異なる内容を記載して交付している事例が認められ、銀行法第13条の4で準用する金融商品取引法第37条の3に違反していること。

  • 2. 経営管理(ガバナンス)態勢の問題

    • (1)代表執行役は、自らの能力・知識・経験や各部長等の専門性を踏まえた権限の明確化及び適切な権限の移譲を行っておらず、代表執行役等による機能の発揮は不十分なものとなっている。こうした中、取締役会、代表執行役及び執行役は、本邦における信託関係法令等について十分な知識・経験を有する人員を配置することなく、年金信託業務及びプライベートバンキング業務等を実施し、法令違反等を発生させているなど、経営管理態勢に重大な問題点が認められること。

    • (2)監査委員会は、執行役に対する監査態勢を適切に構築していないことから、執行役の不適切な決定を看過していること。また、内部監査部は、業務の実態を踏まえたリスクアセスメントを行っていないことから、今回の検査で認められた法令違反等の問題点を看過していること。

  • 3. 法令等遵守(コンプライアンス)態勢及び顧客保護等管理態勢の問題

    当社は、年金信託業務について、指定運用の年金信託受託者に求められる管理態勢を整備しておらず、上記1.(1)のような法令違反が認められるほか、未公開株式投資を希望する委託者に対する適合性の確認が不十分であること。また、信託関連法令等にかかる専門性を考慮した人材を適所に配置していないこと。

    更に、プライベートバンキング業務について、顧客説明の実施状況等の確認など、営業部門の渉外活動に対する牽制態勢を構築できておらず、上記1.(2)のような法令違反が認められるほか、信託終了時に資金化できない有価証券についてリスク説明を行っていないことから、多数の苦情が発生していること。

お問い合わせ先

金融庁 Tel 03-3506-6000(代表)

監督局銀行第一課(内線2786、3388)
検査局総務課(内線2504)

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