平成25年6月6日
金融庁
沖電気工業株式会社に係る有価証券報告書等の虚偽記載に対する課徴金納付命令の決定について
金融庁は、証券取引等監視委員会から、沖電気工業(株)に係る有価証券報告書等の虚偽記載に係る検査結果に基づく課徴金納付命令の勧告を受け、平成25年4月26日に審判手続開始の決定(平成25年度(判)第3号金融商品取引法違反審判事件)を行ったところ、被審人から課徴金に係る金融商品取引法(以下、「金商法」といいます。)178条1項4号に掲げる事実及び納付すべき課徴金の額を認める旨の答弁書の提出があり、これを受けた審判官から金商法185条の6の規定に基づき、課徴金の納付を命ずる旨の決定案が提出されたことから、下記のとおり
決定(PDF:175KB)を行いました。
記
1決定の内容
被審人に対し、次のとおり課徴金を国庫に納付することを命ずる。
(1)納付すべき課徴金の額金1680万円
(2)納付期限平成25年8月6日
2課徴金に係る金商法178条1項4号に掲げる事実
被審人沖電気工業(株)(以下「被審人」という。)は、その発行する株式が東京証券取引所市場第一部及び大阪証券取引所市場第一部に上場されている会社であるが、プリンタ事業等を営む海外連結子会社において、架空売上による売掛金を過大計上し、売上債権に係る貸倒引当金を過少計上するなどした結果、関東財務局長に対し、下表のとおり、重要な事項につき虚偽の記載がある有価証券報告書及び四半期報告書(以下「開示書類」という。)を提出した。
番 号 |
開示書類 | 虚偽記載 | ||||
---|---|---|---|---|---|---|
提出日 | 書類 | 会計期間 | 財務計算に 関する書類 |
内容(注) | 事由 | |
1 | 平成21年 8月12日 |
第86期事業年度 第1四半期連結会計期間に係る四半期報告書 |
平成21年4月1日 ~平成21年6月30日の第1四半期連結会計期間 |
四半期連結 貸借対照表 |
連結純資産額が42,692百万円であるところを55,260百万円と記載 | ・架空売上による売掛金の過大計上 ・貸倒引当金の過少計上 等 |
2 | 平成21年 11月12日 |
第86期事業年度 第2四半期連結会計期間に係る四半期報告書 |
平成21年7月1日 ~平成21年9月30日の第2四半期連結会計期間 |
四半期連結 貸借対照表 |
連結純資産額が42,374百万円であるところを54,708百万円と記載 | ・架空売上による売掛金の過大計上 ・貸倒引当金の過少計上 等 |
3 | 平成22年 2月9日 |
第86期事業年度 第3四半期連結会計期間に係る四半期報告書 |
平成21年10月1日 ~平成21年12月31日の第3四半期連結会計期間 |
四半期連結 貸借対照表 |
連結純資産額が40,244百万円以下であるところを52,630百万円と記載 | ・架空売上による売掛金の過大計上 ・貸倒引当金の過少計上 等 |
4 | 平成22年 6月29日 |
第86期事業年度 連結会計期間に係る有価証券報告書 |
平成21年4月1日 ~平成22年3月31日の連結会計期間 |
連結 損益計算書 |
連結経常損益が1,875百万円であるところを8,768百万円と記載 連結当期純損益が▲3,280百万円であるところを3,619百万円と記載 |
・架空売上による売掛金の過大計上 ・貸倒引当金の過少計上 等 |
連結 貸借対照表 |
連結純資産額が47,578百万円であるところを64,810百万円と記載 | |||||
5 | 平成22年 8月12日 |
第87期事業年度 第1四半期連結会計期間に係る四半期報告書 |
平成22年4月1日 ~平成22年6月30日の第1四半期連結会計期間 |
四半期連結 貸借対照表 |
連結純資産額が37,464百万円であるところを51,336百万円と記載 | ・架空売上による売掛金の過大計上 ・貸倒引当金の過少計上 等 |
6 | 平成22年 11月12日 |
第87期事業年度 第2四半期連結会計期間に係る四半期報告書 |
平成22年7月1日 ~平成22年9月30日の第2四半期連結会計期間 |
四半期連結 貸借対照表 |
連結純資産額が33,279百万円であるところを48,380百万円と記載 | ・架空売上による売掛金の過大計上 ・貸倒引当金の過少計上 等 |
7 | 平成23年 2月10日 |
第87期事業年度 第3四半期連結会計期間に係る四半期報告書 |
平成22年10月1日 ~平成22年12月31日の第3四半期連結会計期間 |
四半期連結 貸借対照表 |
連結純資産額が57,973百万円であるところを73,193百万円と記載 | ・架空売上による売掛金の過大計上 ・貸倒引当金の過少計上 ・リベートの未処理による売掛金の過大計上 等 |
8 | 平成23年 6月29日 |
第87期事業年度 連結会計期間に係る有価証券報告書 |
平成22年4月1日 ~平成23年3月31日の連結会計期間 |
連結 損益計算書 |
連結経常損益が1,192百万円であるところを5,906百万円と記載 連結当期純損益が▲31,783百万円であるところを▲27,001百万円と記載 |
・架空売上による売掛金の過大計上 ・貸倒引当金の過少計上 ・リベートの未処理による売掛金の過大計上 等 |
連結 貸借対照表 |
連結純資産額が38,859百万円であるところを59,903百万円と記載 | |||||
9 | 平成23年 8月11日 |
第88期事業年度 第1四半期連結会計期間に係る四半期報告書 |
平成23年4月1日 ~平成23年6月30日の第1四半期連結会計期間 |
四半期連結 貸借対照表 |
連結純資産額が34,747百万円以下であるところを55,525百万円と記載 | ・架空売上による売掛金の過大計上 ・貸倒引当金の過少計上 ・リベートの未処理による売掛金の過大計上 等 |
10 | 平成23年 11月11日 |
第88期事業年度 第2四半期連結会計期間に係る四半期報告書 |
平成23年4月1日 ~平成23年9月30日の第2四半期連結累計期間 |
四半期連結 損益計算書 |
連結経常損益が▲5,222百万円であるところを▲856百万円と記載 連結四半期純損益が▲9,660百万円であるところを▲5,000百万円と記載 |
・架空売上による売掛金の過大計上 ・貸倒引当金の過少計上 ・リベートの未処理による売掛金の過大計上 等 |
平成23年7月1日 ~平成23年9月30日の第2四半期連結会計期間 |
四半期連結 貸借対照表 |
連結純資産額が30,473百万円であるところを53,609百万円と記載 | ||||
11 | 平成24年 2月10日 |
第88期事業年度 第3四半期連結会計期間に係る四半期報告書 |
平成23年4月1日 ~平成23年12月31日の第3四半期連結累計期間 |
四半期連結 損益計算書 |
連結経常損益が355百万円であるところを3,925百万円と記載 連結四半期純損益が▲10,599百万円であるところを▲6,295百万円と記載 |
・架空売上による売掛金の過大計上 ・貸倒引当金の過少計上 ・リベートの未処理による売掛金の過大計上 等 |
平成23年10月1日 ~平成23年12月31日の第3四半期連結会計期間 |
四半期連結 貸借対照表 |
連結純資産額が30,018百万円であるところを52,053百万円と記載 | ||||
12 | 平成24年 6月28日 |
第88期事業年度連結会計期間に係る有価証券報告書 | 平成23年4月1日 ~平成24年3月31日の連結会計期間 |
連結 損益計算書 |
連結経常損益が9,075百万円であるところを14,550百万円と記載 連結四半期純損益が1,555百万円であるところを8,000百万円と記載 |
・架空売上による売掛金の過大計上 ・貸倒引当金の過少計上 ・リベートの未処理による売掛金の過大計上 等 |
連結 貸借対照表 |
連結純資産額が41,251百万円であるところを67,524百万円と記載 |
(注) 金額は百万円未満切捨てである。また、▲は損失であることを示す。
3課徴金の計算の基礎
2の表に掲げる事実につき
番号1、同2、同3及び同4
金商法172条の4第1項本文及び2項前段の規定により、被審人の第86期事業年度第1四半期連結会計期間に係る四半期報告書(以下「第86期第1四半期報告書」という。)、同事業年度第2四半期連結会計期間に係る四半期報告書(以下「第86期第2四半期報告書」という。)、同事業年度第3四半期連結会計期間に係る四半期報告書(以下「第86期第3四半期報告書」という。)及び同事業年度連結会計期間に係る有価証券報告書(以下「第86期有価証券報告書」という。)に係る課徴金について、個別決定ごとの算出額は、
イ被審人が発行する算定基準有価証券の市場価額の総額に10万分の6を乗じて得た額
第86期第1四半期報告書 4,006,065円 第86期第2四半期報告書 3,961,891円 第86期第3四半期報告書 3,186,759円 第86期有価証券報告書 3,566,083円 が
ロ6,000,000円
を超えないことから、
第86期第1四半期報告書、第86期第2四半期報告書及び第86期第3四半期報告書については、それぞれ6,000,000円の2分の1に相当する額である3,000,000円
第86期有価証券報告書については、6,000,000円
となるが、第86期第1四半期報告書、第86期第2四半期報告書、第86期第3四半期報告書及び第86期有価証券報告書が、いずれも第86期事業年度に係るものであることから、金商法185条の7第6項及び金融商品取引法第六章の二の規定による課徴金に関する内閣府令(以下、「金商法の規定による課徴金府令」という。)61条の3の規定により、6,000,000円を個別決定ごとの算出額に応じて按分することとなり、
第86期第1四半期報告書、第86期第2四半期報告書及び第86期第3四半期報告書の額は、それぞれ
6,000,000×3,000,000/(3,000,000+3,000,000+3,000,000+6,000,000)
=1,200,000円
第86期有価証券報告書に係る課徴金の額は
6,000,000×6,000,000/(3,000,000+3,000,000+3,000,000+6,000,000)
=2,400,000円
となる。
- 番号5、同6、同7及び同8
金商法172条の4第1項本文及び2項前段の規定により、被審人の第87期事業年度第1四半期連結会計期間に係る四半期報告書(以下「第87期第1四半期報告書」という。)、同事業年度第2四半期連結会計期間に係る四半期報告書(以下「第87期第2四半期報告書」という。)、同事業年度第3四半期連結会計期間に係る四半期報告書(以下「第87期第3四半期報告書」という。)及び同事業年度連結会計期間に係る有価証券報告書(以下「第87期有価証券報告書」という。)に係る課徴金について、個別決定ごとの算出額は、
イ被審人が発行する算定基準有価証券の市場価額の総額に10万分の6を乗じて得た額
第87期第1四半期報告書 3,611,818円 第87期第2四半期報告書 3,074,132円 第87期第3四半期報告書 3,060,568円 第87期有価証券報告書 3,199,531円 が
ロ6,000,000円
を超えないことから、
第87期第1四半期報告書、第87期第2四半期報告書及び第87期第3四半期報告書については、それぞれ6,000,000円の2分の1に相当する額である3,000,000円
第87期有価証券報告書については、6,000,000円
となるが、第87期第1四半期報告書、第87期第2四半期報告書、第87期第3四半期報告書及び第87期有価証券報告書が、いずれも第87期事業年度に係るものであることから、金商法185条の7第6項及び金商法の規定による課徴金府令61条の3の規定により、6,000,000円を個別決定ごとの算出額に応じて按分することとなり、
第87期第1四半期報告書、第87期第2四半期報告書及び第87期第3四半期報告書に係る課徴金の額は、それぞれ
6,000,000×3,000,000/(3,000,000+3,000,000+3,000,000+6,000,000)
=1,200,000円
第87期有価証券報告書に係る課徴金の額は
6,000,000×6,000,000/(3,000,000+3,000,000+3,000,000+6,000,000)
=2,400,000円
となる。
番号9、同10、同11及び同12
金商法172条の4第1項本文及び2項前段の規定により、被審人の第88期事業年度第1四半期連結会計期間に係る四半期報告書(以下「第88期第1四半期報告書」という。)、同事業年度第2四半期連結会計期間に係る四半期報告書(以下「第88期第2四半期報告書」という。)、同事業年度第3四半期連結会計期間に係る四半期報告書(以下「第88期第3四半期報告書」という。)及び同事業年度連結会計期間に係る有価証券報告書(以下「第88期有価証券報告書」という。)に係る課徴金について、個別決定ごとの算出額は、
イ被審人が発行する算定基準有価証券の市場価額の総額に10万分の6を乗じて得た額
第88期第1四半期報告書 2,969,664円 第88期第2四半期報告書 3,298,201円 第88期第3四半期報告書 2,948,567円 第88期有価証券報告書 3,251,011円 が
ロ6,000,000円
を超えないことから、
第88期第1四半期報告書、第88期第2四半期報告書及び第88期第3四半期報告書については、それぞれ6,000,000円の2分の1に相当する額である3,000,000円
第88期有価証券報告書については、6,000,000円
となるが、第88期第1四半期報告書、第88期第2四半期報告書、第88期第3四半期報告書及び第88期有価証券報告書が、いずれも第88期事業年度に係るものであることから、金商法185条の7第6項及び金商法の規定による課徴金府令61条の3の規定により、6,000,000円を個別決定ごとの算出額に応じて按分し、さらに、第88期有価証券報告書については、金商法26条の規定による検査が行われる前に、課徴金の減額に係る報告がされていることから、金商法185条の7第12項の規定により、按分後の金額に100分の50を乗じて得た額となり、
第88期第1四半期報告書、第88期第2四半期報告書及び第88期第3四半期報告書に係る課徴金の額は、それぞれ
6,000,000×3,000,000/(3,000,000+3,000,000+3,000,000+6,000,000)
=1,200,000円
第88期有価証券報告書に係る課徴金の額は
6,000,000×6,000,000/(3,000,000+3,000,000+3,000,000+6,000,000)×50/100
=1,200,000円
となる。
-
以上により、納付すべき課徴金の額は次のとおりとなる。
1,200,000円+1,200,000円+1,200,000円+2,400,000円
+1,200,000円+1,200,000円+1,200,000円+2,400,000円
+1,200,000円+1,200,000円+1,200,000円+1,200,000円
=16,800,000円
お問い合わせ先
金融庁 Tel 03-3506-6000(代表)
総務企画局総務課審判手続室(内線2398、2404)