平成25年12月26日
金融庁

みずほ銀行及びみずほフィナンシャルグループに対する行政処分について

みずほ銀行及びみずほフィナンシャルグループに対して行った検査結果、及び、それを踏まえた両社からの報告内容等を踏まえ、本日、業務の健全かつ適切な運営を確保するため、みずほ銀行及びみずほフィナンシャルグループそれぞれに対して、以下を内容とする行政処分を行いました。

I.命令の内容

【みずほ銀行】(銀行法第26条第1項)

  • 1.平成26年1月20日(月)から平成26年2月19日(水)までの間、4者提携ローンにおける新規の与信取引を停止すること。

    なお、上記期間において、4者提携ローンに関与する全ての役職員に対する研修を実施するなど、4者提携ローンに関する改善を徹底すること。

  • 2.業務の健全かつ適切な運営を確保するため、以下を実施すること。

    • (1)本処分を踏まえた経営責任の所在の明確化

    • (2)内部管理態勢及び経営管理態勢の強化

    • (3)当行が当局に提出した業務改善計画(平成25年10月28日付) について、(株)みずほフィナンシャルグループと協同して、その後の進捗状況及び今回の業務改善命令を踏まえて修正するとともに、速やかに実行すること。

  • 3.上記2.(3)の業務改善計画を平成26年1月17日(金)までに提出すること。

  • 4.上記3.の実施状況について、平成26年1月末を初回として、同年3月までは毎月末、以降、3ヶ月毎にとりまとめ、翌月15日までに報告すること。

    なお、平成25年9月27日付命令に基づく業務改善計画の実施状況については、本報告の中において報告すること。

    また、3.及び4.については、当行及び(株)みずほフィナンシャルグループの連名で提出すること。

【みずほフィナンシャルグループ】(銀行法第52条の33第1項)

  • 1.銀行持株会社の子会社である銀行の業務の健全かつ適切な運営を確保するため、以下を実施すること。

    • (1)本処分を踏まえた経営責任の所在の明確化

    • (2)傘下の金融機関に対して適切な経営管理を行うための態勢の強化

    • (3)(株)みずほ銀行が当局に提出した業務改善計画(平成25年10月28日付)について、当社も協同して、その後の進捗状況及び今回の業務改善命令を踏まえて修正するとともに、速やかに実行するこ と。

  • 2.上記1.を踏まえた業務改善計画を平成26年1月17日(金)までに提出すること。

  • 3.上記2.の実施状況について、平成26年1月末を初回として、同年3月までは毎月末、以降、3ヶ月毎にとりまとめ、翌月15日までに報告すること。

    なお、2.及び3.については、当社及び(株)みずほ銀行の連名で提出すること。

II.処分の理由

【みずほ銀行】

当庁による立入検査(平成25年12月結果通知)及び銀行法第24条第1項の規定に基づく報告やヒアリングによると、以下のような重大な問題点が認められた

  • 1.平成22年12月にキャプティブローンに多数の反社取引があることを認識した後も、当時の頭取をはじめとする取締役は、(株)オリエントコーポレーション(以下「オリコ社」という。)の営業への配慮や、キャプティブローンに係る取引は比較的短期で解消されるとの認識などから、キャプティブローンに係る入口チェック及び反社取引解消策を含めた課題の洗出しや、課題解決に向けての時間軸の設定等、反社取引排除の態勢整備について、具体的かつ明確な方策を立てることなく、現場(コンプライアンス統括部)任せにして放置していたこと。

  • 2.キャプティブローンを担当する個人グループ担当役員は、キャプテ ィブローンに反社取引が相当数存在し得ることや、その後課題解決が 図られていないことを承知していたにもかかわらず、個人業務部及び ローン営業開発部に、コンプライアンス統括部と連携してオリコ社の 支援・指導を行わせておらず、入口チェック導入等の態勢整備に主体 的に取り組んでいなかったこと。

  • 3.旧(株)みずほコーポレート銀行の業務管理部担当役員及び業務管理部は、オリコ独自の不芳属性先データがみずほに比べ極端に少ないことや、事後チェックにより反社認定先が認められている事実を把握していたにもかかわらず、グループ会社の経営管理の観点から、オリコ社に対して、反社管理の態勢整備について適切な指導・管理を主体的に行っていなかったこと。

  • 4.平成23年7月以降、当時の頭取をはじめとする取締役は、反社会 的勢力への対応に係る社会的要請が高まる中、金融機関の信頼維持に は法令等遵守の徹底が決定的に重要であるにもかかわらず、フロント 部署に業務推進を優先させ、反社管理に当事者意識を持つようコンプ ライアンス意識を醸成していなかったほか、コンプライアンス担当役 員等に適材適所の観点から専門性のある適切な人材を配置していなかったこと。

    このような中、当時のコンプライアンス担当役員やコンプライアン ス統括部長は、キャプティブローンの内容を理解することなく、事後 チェック結果のコンプライアンス委員会等への報告や、入口チェック 導入及び反社取引解消策の検討を行っていなかったこと。

  • 5.経営陣は、前回検査における指摘以降も業務改善命令(平成25年9月27日付)を受けるまでの間、キャプティブローンに関する問題の重大性を認識することなく、組織的な課題引継ぎや縦割り組織の弊害などガバナンスを含めた根本的な問題の洗出しや、これを踏まえた抜本的な改善対応を迅速に行っていなかったこと。

  • 6.経営陣は、平成23年3月に発生したシステム障害時の「縦割り意 識(連携・コミュニケーション不足)の払拭」という教訓を活かさず、 関係する各部署・各職員が組織として問題認識を共有し連携を図る態 勢を構築できていなかったこと。

  • 7.取締役会の会議資料は総じて大部で、限られた会議時間の中で経営判断に付すべきポイントが明確になっていないこと。

    また、コンプライアンス委員会においても、会議資料は総じて大部で重要なポイントが明確でないほか、議事録の記載が簡略であり、議事内容の詳細が確認できるものとなっていないこと。

    このように、取締役会は、重要事項の審議を行う会議体として、実質的な議論をほとんど行っておらず、その機能を発揮していないほか、経営政策委員会の一つであるコンプライアンス委員会が有効に機能するような方策を講じていないこと。

  • 8.取締役会は、担当役員や所管部の不注意や恣意的な判断により経営陣が課題として認識した事項が欠落することがないよう、これら課題を組織的に引き継ぎ、PDCAによる進捗管理を行う態勢を構築できていなかったこと。このため、キャプティブローンに係る経営課題は組織として引き継がれなかったこと。

  • 9.前回検査及び銀行法第24条報告において、前提となる事実を誤って回答していること。その際、当該報告が一人の担当者の記憶のみに基いてなされ、過去の会議等資料の確認や関係者への確認が行われないなど、組織的な検査・監督対応を怠ったこと。

【みずほフィナンシャルグループ】

当庁による立入検査(平成25年12月結果通知)及び銀行法第52条の31第1項の規定に基づく報告やヒアリングによると、以下のような重大な問題点が認められた。

  • 1.取締役会は、反社取引排除というグループ一体となって取り組むべき課題に対して、平成22年5月に(株)オリエントコーポレーションの関連会社化の課題として不芳属性対応を認識していたにもかかわらず、グループ内で横展開しておらず、このような課題について子会社の各部任せにしていたこと。

    このように取締役会は、持株会社として、平成23年3月に発生し たシステム障害時の教訓等を踏まえつつ、適切なグループ経営管理機 能を発揮していなかったこと。

  • 2.取締役会は、会議資料が総じて大部で、限られた会議時間の中で経営判断に付すべきポイントが明確となっておらず、十分な議論を行う態勢が整備されていないなど、グループ経営管理に係る重要事項を審議する会議体の運営において、グループガバナンスを有効に機能させる方策を講じていないこと。

お問い合わせ先

金融庁 Tel 03-3506-6000(代表)
監督局銀行第1課
(内線3396、3328)

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