平成25年10月2日
金融庁

公認会計士の懲戒処分について

デザインエクスチェンジ株式会社(以下「デザイン社」といいます。)が作成した財務書類について、監査法人ワールドリンクスの業務を執行する社員(以下「業務執行社員」といいます。)として金融商品取引法に基づく監査証明を行った公認会計士に対し、本日、下記の懲戒処分を行いました。

1.処分対象者

  • 公認会計士A(登録番号:住所:
  • 公認会計士B(登録番号:住所:

2.処分内容

  • 公認会計士Aについて

    業務停止3月(平成25年10月4日から平成26年1月3日まで)

  • 公認会計士Bについて

    業務停止1月(平成25年10月4日から平成25年11月3日まで)

3.処分理由

A会計士及びB会計士は、デザイン社の平成21年12月期の財務書類の監査において、相当の注意を怠り、重大な虚偽のある財務書類を重大な虚偽のないものとして証明した。

なお、両名の当該監査への実質的な関与の度合い等を量定に反映している。

4.事案の概要

デザイン社は、減損損失の過少計上及び債務保証損失引当金の不計上などにより、重大な虚偽の記載のある財務書類を添付した有価証券報告書等を関東財務局長に対し提出した。

本財務書類に関し、業務執行社員の行った金融商品取引法に基づく監査証明については、以下の問題が認められた。

デザイン社は、平成20年1月、著名な映画監督の脚本に係る著作権(以下「当該著作権」という。)を約17億円(税抜)で取得して資産計上し、取得時の事業計画では当初2年間で7億5千万円の売上を計画していた。これに対し、監査当時、業務執行社員が把握していた当該2年間の売上実績は0円であったため、業務執行社員は平成21年12月期の監査計画段階から総資産の過半を占める当該著作権の評価を大きな問題としていた。

そのため業務執行社員は、平成21年12月期の監査手続において、デザイン社に対し、当該著作権に係る今後の事業計画等の提出を求めた。デザイン社が提出した事業計画の中身は、売上に結びつく具体的な契約等の裏付けのない、単なる見込額に過ぎないものであり、業務執行社員としては、全額減損も検討していた。しかしながら、デザイン社は、「海外の会社と売却交渉中である」などと、購入意思を示している会社があるため商品価値もあると主張した。これを受けた業務執行社員は、減損損失の測定における将来キャッシュ・フローの見積りの基となった事業計画の実現可能性について形式的な検討のみにとどめ、また、当該著作権取得時に策定した事業計画の達成状況と足元の事業計画との比較検討を行わないなど、将来キャッシュ・フローが、合理的で説明可能な仮定及び予測に基づいて見積られていること及び見積値から乖離するリスクについて十分な検討を行わずに、50%の減損損失額の計上を容認した。

以上のとおり、業務執行社員は、デザイン社の平成21年12月期の監査において、自己の意見を形成するに足る合理的な基礎を得るために十分かつ適切な監査証拠を入手せず、監査証明を行った。

お問い合わせ先

金融庁 Tel 03-3506-6000(代表)
総務企画局企業開示課
(内線2767、2762)

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