平成25年7月19日
金融庁

株式会社ジャパンケアサービスに係る有価証券報告書等の虚偽記載に対する課徴金納付命令の決定について

金融庁は、証券取引等監視委員会から、(株)ジャパンケアサービスに係る有価証券報告書等の虚偽記載に係る検査結果に基づく課徴金納付命令の勧告新しいウィンドウで開きますを受け、平成25年6月14日に審判手続開始の決定(平成25年度(判)第9号金融商品取引法違反審判事件)を行ったところ、被審人から課徴金に係る金融商品取引法(以下、「金商法」といいます。)178条1項4号に掲げる事実及び納付すべき課徴金の額を認める旨の答弁書の提出があり、これを受けた審判官から金商法185条の6の規定に基づき、課徴金の納付を命ずる旨の決定案が提出されたことから、下記のとおりPDF決定(PDF:182KB)を行いました。

決定の内容

被審人に対し、次のとおり課徴金を国庫に納付することを命ずる。

  • (1)納付すべき課徴金の額金2,100万円

  • (2)納付期限平成25年9月19日

課徴金に係る金商法178条1項4号に掲げる事実

被審人(株)ジャパンケアサービス(以下「被審人」という。)は、平成25年4月1日に、被審人との合併により消滅した、東京都豊島区北大塚一丁目13番15号に本店を置き、その発行する株式が大阪証券取引所ジャスダック市場に上場されていた(株)ジャパンケアサービスグループ(平成24年7月30日上場廃止)の権利義務を継承した存続会社であるが、吸収合併前の(株)ジャパンケアサービスグループは、事業承継した際に資産計上したのれんについて、平成21年3月期時点における将来キャッシュ・フローの見積りを考慮すれば、減損の兆候がある資産として減損損失の認識の判定等を行わなければならなかったにもかかわらず、減損の兆候の有無自体を判定することなく、結果として減損損失を計上しなかった。また、賃貸用不動産について、減損損失の測定に際し、使用価値の算定に用いる将来キャッシュ・フローの見積り等を誤り、結果として、減損損失を過少に計上するなどしていた。

これらの結果、被審人は、関東財務局長に対し、下表のとおり、重要な事項につき虚偽の記載がある有価証券報告書及び四半期報告書(以下「開示書類」という。)を提出したとみなされるものである。


開示書類 虚偽記載
提出日 書類 会計期間 財務計算に
関する書類
内容(注) 事由
1 平成21年6月29日 第19期事業年度連結会計期間に係る有価証券報告書 平成20年4月1日~平成21年3月31日の連結会計期間 連結
損益計算書
連結当期純損益が▲1,964百万円であるところを▲1,654百万円と記載 ・減損損失の不計上
・のれんの過大計上
連結
貸借対照表
連結純資産額が455百万円であるところを753百万円と記載
2 平成21年8月14日 第20期事業年度第1四半期連結会計期間に係る四半期報告書 平成21年4月1日~平成21年6月30日の第1四半期連結会計期間 四半期連結
貸借対照表
連結純資産額が634百万円であるところを925百万円と記載 ・のれんの過大計上
3 平成21年11月13日 第20期事業年度第2四半期連結会計期間に係る四半期報告書 平成21年7月1日~平成21年9月30日の第2四半期連結会計期間 四半期連結
貸借対照表
連結純資産額が602百万円であるところを886百万円と記載 ・のれんの過大計上
4 平成22年2月15日 第20期事業年度第3四半期連結会計期間に係る四半期報告書 平成21年10月1日~平成21年12月31日の第3四半期連結会計期間 四半期連結
貸借対照表
連結純資産額が739百万円であるところを1,016百万円と記載 ・のれんの過大計上
5 平成22年6月30日 第20期事業年度連結会計期間に係る有価証券報告書 平成21年4月1日~平成22年3月31日の連結会計期間 連結
貸借対照表
連結純資産額が864百万円であるところを1,124百万円と記載 ・のれんの過大計上
6 平成22年8月13日 第21期事業年度第1四半期連結会計期間に係る四半期報告書 平成22年4月1日~平成22年6月30日の第1四半期連結会計期間 四半期連結
貸借対照表
連結純資産額が654百万円であるところを908百万円と記載 ・のれんの過大計上
7 平成22年11月12日 第21期事業年度第2四半期連結会計期間に係る四半期報告書 平成22年7月1日~平成22年9月30日の第2四半期連結会計期間 四半期連結
貸借対照表
連結純資産額が836百万円であるところを1,086百万円と記載 ・のれんの過大計上
8 平成23年2月14日 第21期事業年度第3四半期連結会計期間に係る四半期報告書 平成22年10月1日~平成22年12月31日の第3四半期連結会計期間 四半期連結
貸借対照表
連結純資産額が1,271百万円であるところを1,516百万円と記載 ・のれんの過大計上
9 平成23年6月30日 第21期事業年度連結会計期間に係る有価証券報告書 平成22年4月1日~平成23年3月31日の連結会計期間 連結
損益計算書
連結当期純損益が321百万円であるところを584百万円と記載 ・減損損失の不計上
・のれんの過大計上
・賃貸用の土地・建物の過大計上
連結
貸借対照表
連結純資産額が1,058百万円であるところを1,580百万円と記載
10 平成23年8月15日 第22期事業年度第1四半期連結会計期間に係る四半期報告書 平成23年4月1日~平成23年6月30日の第1四半期連結会計期間 四半期連結
貸借対照表
連結純資産額が998百万円であるところを1,559百万円と記載 ・のれんの過大計上
・賃貸用の土地・建物の過大計上
11 平成23年11月14日 第22期事業年度第2四半期連結会計期間に係る四半期報告書 平成23年7月1日~平成23年9月30日の第2四半期連結会計期間 四半期連結
貸借対照表
連結純資産額が1,039百万円であるところを1,595百万円と記載 ・のれんの過大計上
・賃貸用の土地・建物の過大計上
12 平成24年2月14日 第22期事業年度第3四半期連結会計期間に係る四半期報告書 平成23年10月1日~平成23年12月31日の第3四半期連結会計期間 四半期連結
損益計算書
連結当期純損益が▲31百万円であるところを146百万円と記載 ・減損損失の過少計上
・のれんの過大計上
・賃貸用の土地・建物の過大計上
四半期連結
貸借対照表
連結純資産額が956百万円であるところを1,657百万円と記載
13 平成24年6月28日 第22期事業年度連結会計期間に係る有価証券報告書 平成23年4月1日~平成24年3月31日の連結会計期間 連結
貸借対照表
連結純資産額が▲89百万円であるところを494百万円と記載 ・のれんの過大計上
・賃貸用の土地・建物の過大計上

(注)金額は百万円未満切捨てである。また、▲は損失または債務超過であることを示す。

課徴金の計算の基礎

2の表に掲げる事実につき

  • 番号1

    平成20年法律第65号による改正前の金融商品取引法(以下「旧金商法」という。)172条の2第1項本文の規定により、被審人の第19期事業年度連結会計期間に係る有価証券報告書に係る課徴金の額は、

    被審人が発行する算定基準有価証券の市場価額の総額に10万分の3を乗じて得た額(35,794円)

    3,000,000円

    を超えないことから、3,000,000円となる。

    なお、旧金商法176条4項の規定により、発行者が合併により消滅したときは、これらの者がした行為は、合併後存続した法人がした行為とみなすことから、(株)ジャパンケアサービスグループに対する課徴金は存続会社である(株)ジャパンケアサービスに対して課されることになる。

  • 番号2、同3、同4及び同5

    金商法172条の4第1項本文及び2項前段の規定により、被審人の第20期事業年度第1四半期連結会計期間に係る四半期報告書(以下「第20期第1四半期報告書」という。)、同事業年度第2四半期連結会計期間に係る四半期報告書(以下「第20期第2四半期報告書」という。)、同事業年度第3四半期連結会計期間に係る四半期報告書(以下「第20期第3四半期報告書」という。)及び同事業年度連結会計期間に係る有価証券報告書(以下「第20期有価証券報告書」という。)に係る課徴金について、個別決定ごとの算出額は、

    被審人が発行する算定基準有価証券の市場価額の総額に10万分の6を乗じて得た額

    第20期第1四半期報告書 70,312円
    第20期第2四半期報告書 126,424円
    第20期第3四半期報告書 131,483円
    第20期有価証券報告書 120,529円

    6,000,000円

    を超えないことから、

    第20期第1四半期報告書、第20期第2四半期報告書及び第20期第3四半期報告書については、それぞれ6,000,000円の2分の1に相当する額である3,000,000円

    第20期有価証券報告書については、6,000,000円

    となるが、第20期第1四半期報告書、第20期第2四半期報告書、第20期第3四半期報告書及び第20期有価証券報告書が、いずれも第20期事業年度に係るものであることから、金商法185条の7第6項及び金融商品取引法第六章の二の規定による課徴金に関する内閣府令(以下「課徴金府令」という。)61条の3の規定により、6,000,000円を個別決定ごとの算出額に応じて按分することとなり、

    第20期第1四半期報告書、第20期第2四半期報告書及び第20期第3四半期報告書に係る課徴金の額は、それぞれ

    6,000,000×3,000,000/(3,000,000+3,000,000+3,000,000+6,000,000)

    =1,200,000円

    第20期有価証券報告書に係る課徴金の額は

    6,000,000×6,000,000/(3,000,000+3,000,000+3,000,000+6,000,000)

    =2,400,000円

    となる。

  • 番号6、同7、同8及び同9

    金商法172条の4第1項本文及び2項前段の規定により、被審人の第21期事業年度第1四半期連結会計期間に係る四半期報告書(以下「第21期第1四半期報告書」という。)、同事業年度第2四半期連結会計期間に係る四半期報告書(以下「第21期第2四半期報告書」という。)、同事業年度第3四半期連結会計期間に係る四半期報告書(以下「第21期第3四半期報告書」という。)及び同事業年度連結会計期間に係る有価証券報告書(以下「第21期有価証券報告書」という。)に係る課徴金について、個別決定ごとの算出額は、

    被審人が発行する算定基準有価証券の市場価額の総額に10万分の6を乗じて得た額

    第21期第1四半期報告書 178,252円
    第21期第2四半期報告書 166,466円
    第21期第3四半期報告書 170,279円
    第21期有価証券報告書 184,345円

    6,000,000円

    を超えないことから、

    第21期第1四半期報告書、第21期第2四半期報告書及び第21期第3四半期報告書については、それぞれ6,000,000円の2分の1に相当する額である3,000,000円

    第21期有価証券報告書については、6,000,000円

    となるが、第21期第1四半期報告書、第21期第2四半期報告書、第21期第3四半期報告書及び第21期有価証券報告書が、いずれも第21期事業年度に係るものであることから、金商法185条の7第6項及び課徴金府令61条の3の規定により、6,000,000円を個別決定ごとの算出額に応じて按分することとなり、

    第21期第1四半期報告書、第21期第2四半期報告書及び第21期第3四半期報告書に係る課徴金の額は、それぞれ

    6,000,000×3,000,000/(3,000,000+3,000,000+3,000,000+6,000,000)

    =1,200,000円

    第21期有価証券報告書に係る課徴金の額は

    6,000,000×6,000,000/(3,000,000+3,000,000+3,000,000+6,000,000)

    =2,400,000円

    となる。

  • 番号10、同11、同12及び同13

    金商法172条の4第1項本文及び2項前段の規定により、被審人の第22期事業年度第1四半期連結会計期間に係る四半期報告書(以下「第22期第1四半期報告書」という。)、同事業年度第2四半期連結会計期間に係る四半期報告書(以下「第22期第2四半期報告書」という。)、同事業年度第3四半期連結会計期間に係る四半期報告書(以下「第22期第3四半期報告書」という。)及び同事業年度連結会計期間に係る有価証券報告書(以下「第22期有価証券報告書」という。)に係る課徴金について、個別決定ごとの算出額は、

    被審人が発行する算定基準有価証券の市場価額の総額に10万分の6を乗じて得た額

    第22期第1四半期報告書 157,179円
    第22期第2四半期報告書 121,737円
    第22期第3四半期報告書 113,772円
    第22期有価証券報告書 137,634円

    6,000,000円

    を超えないことから、

    第22期第1四半期報告書、第22期第2四半期報告書及び第22期第3四半期報告書については、それぞれ6,000,000円の2分の1に相当する額である3,000,000円

    第22期有価証券報告書については、6,000,000円

    となるが、第22期第1四半期報告書、第22期第2四半期報告書、第22期第3四半期報告書及び第22期有価証券報告書が、いずれも第22期事業年度に係るものであることから、金商法185条の7第6項及び課徴金府令61条の3の規定により、6,000,000円を個別決定ごとの算出額に応じて按分することとなり、

    第22期第1四半期報告書、第22期第2四半期報告書及び第22期第3四半期報告書に係る課徴金の額は、それぞれ

    6,000,000×3,000,000/(3,000,000+3,000,000+3,000,000+6,000,000)

    =1,200,000円

    第22期有価証券報告書に係る課徴金の額は

    6,000,000×6,000,000/(3,000,000+3,000,000+3,000,000+6,000,000)

    =2,400,000円

    となる。

  • なお、番号2ないし13については、金商法176条4項の規定により、発行者が合併により消滅したときは、これらの者がした行為は、合併後存続した法人がした行為とみなすことから、(株)ジャパンケアサービスグループに対する課徴金は存続会社である(株)ジャパンケアサービスに対して課されることになる。

    以上により、納付すべき課徴金の額は次のとおりとなる。

    3,000,000円+1,200,000円+1,200,000円+1,200,000円+2,400,000円

    +1,200,000円+1,200,000円+1,200,000円+2,400,000円+1,200,000円

    +1,200,000円+1,200,000円+2,400,000円

    =21,000,000円

お問い合わせ先

金融庁 Tel 03-3506-6000(代表)
総務企画局総務課審判手続室(内線2398、2404)

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