平成27年6月10日
金融庁
ウリィ銀行東京支店に対する行政処分について
金融庁は、本日、ウリィ銀行東京支店に対し、下記のとおり行政処分を行いました。
記
I .命令の内容
銀行法第47条第2項及び第4項並びに第26条第1項に基づく命令
1.平成27年6月17日から平成27年7月16日までの間、東京支店における新規取引業務を停止すること(但し、平成27年6月16日以前の既存の契約(合意を含む)に基づく取引の執行及び既往顧客の借換え、顧客の既存預金口座からの仕向送金及び当該口座への被仕向送金、他の金融機関との資金調達・運用取引並びに当局が個別に承認した行為を除く)。
2.適切かつ健全な業務運営を確保するため、以下の観点から、現行の東京支店の信用リスク管理及び法令等遵守にかかる経営管理・内部管理態勢を見直し、再整備すること。
(1)信用リスク管理及び法令等遵守にかかる経営姿勢及び責任体制の明確化(同行本店との間の権限・責任分掌の明確化を含む)
(2)信用リスク管理機能の再構築・整備(融資審査・管理を適切に実施し、けん制機能を強化するための態勢の抜本的再構築、及び関連する規程の見直しとその着実な履行を含む)
(3)法令等遵守機能の再構築・整備(役職員の法令諸規則及び内部規程に対する理解と遵守の徹底、及び遵法意識の醸成・向上を含む)
(4)適切かつ健全な業務運営を確保するために行う東京支店の監査方法・頻度等の見直し
3.上記2.並びに、検査結果通知及び東京支店からの報告に記載された事項にかかる業務の改善計画を平成27年7月10日までに提出し、直ちに実行すること。
また、当該改善計画について、内部監査部門に加え、外部の中立的な第三者の専門家を活用するなどにより改善計画の適切性の検証・確保を図るとともに、その後の改善・定着状況についても検証すること。
4.上記3.の改善計画の実施完了までの間、平成27年8月末を第一回目とし、以後、3ヶ月毎に計画等の進捗・実施及び改善状況をとりまとめ、翌月15日までに報告すること。
II .処分の理由
当庁の立入検査(平成26年10月8日通知)、並びに、銀行法第24条第1項及び第48条の規定に基づく東京支店からの報告等によると、以下のとおり、東京支店の信用リスク管理態勢、法令等遵守態勢及び経営管理態勢などに、支店業務の運営・管理にかかる基本的な問題等が認められたこと。
1.一部の歴代東京支店長は、支店長専決権限の範囲内に抑えるために同一企業グループの複数の法人に分散した融資などの多数の不適切な融資を自ら組成・実行していたこと。
2.一部の歴代東京支店長は、融資先関係者よりリベートであるおそれのある資金を受領していたこと、融資先から個人的に受託した資金の一部を自己及び家族名義の不動産購入資金等に流用していたこと、また、自己資金で融資先に貸付けを実行等していたこと。
3.歴代東京支店長は、反社会的勢力との取引防止について、反社データベースが不十分であること、顧客との取引に係る事前・事後の反社チェックが不徹底であること、等の不十分な対応をとっていたこと。
4.上記のような問題が発生した背景として、以下のように経営管理態勢や内部管理態勢に基本的な問題が認められること。
(1)一部の歴代東京支店長が、法令等遵守意識を欠いており、実効性のある融資審査態勢や法令等遵守態勢を構築せずに業績偏重かつ独断専行の支店経営を行っていたこと。
(2)コンプライアンスオフィサーが本邦法令等に精通しておらず、また、融資審査を行う与信協議会が実質的な審議を行っておらず、審査機能が不全となっている等、ミドル部門がけん制機能を発揮していなかったこと。
(3)当行本店の管理部署が、業績に偏重した管理・評価を行い東京支店の不適切な実態を把握しておらず、東京支店長を派遣するに当たり適切な人材の選任をしていない等、実効性ある管理を行っていなかったこと。
5.本店による内部監査については、今般判明した上記一連の問題点について、的確な実態把握に基づく指摘・けん制ができておらず、内部監査の実効性が確保されていないこと。
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