平成27年12月25日
金融庁
株式会社東芝に係る有価証券報告書等の虚偽記載に対する課徴金納付命令の決定について
金融庁は、証券取引等監視委員会から、(株)東芝に係る有価証券報告書等の虚偽記載に係る検査結果に基づく課徴金納付命令の勧告を受け、平成27年12月7日に審判手続開始の決定(平成27年度(判)第22号金融商品取引法違反審判事件)を行ったところ、被審人から課徴金に係る金融商品取引法(以下「金商法」といいます。)第178条第1項第2号及び第4号に掲げる事実及び納付すべき課徴金の額を認める旨の答弁書の提出があり、これを受けた審判官から金商法第185条の6の規定に基づき、課徴金の納付を命ずる旨の決定案が提出されたことから、下記のとおり
決定(PDF:150KB)を行いました。
記
1決定の内容
被審人に対し、次のとおり課徴金を国庫に納付することを命ずる。
(1)納付すべき課徴金の額金73億7,350万円
(2)納付期限平成28年2月25日
2課徴金に係る金商法第178条第1項各号に掲げる事実
(1)課徴金に係る金商法第178条第1項第4号に該当
被審人(株)東芝(以下「被審人」という。)は、東京都港区芝浦一丁目1番1号に本店を置き、その発行する株式が東京証券取引所市場第一部及び名古屋証券取引所市場第一部に上場されている会社である。
被審人は、一部の工事進行基準適用案件において、工事損失引当金の過少計上及び売上の過大計上を行ったほか、映像事業、パソコン事業及び半導体事業等の一部において、売上原価の過少計上、費用の過少計上などを行った。
これらの結果、被審人は、関東財務局長に対し、下表のとおり、重要な事項につき虚偽の記載がある有価証券報告書(以下「開示書類」という。)を提出した。
番
号開示書類 虚偽記載 提出日 書類 会計期間 財務計算に
関する書類内容(注1) 事由 1 平成24年
6月22日第173期事業年度連結会計期間に係る有価証券報告書 平成23年4月1日~平成24年3月31日の連結会計期間 連結
損益計算書連結当期純損益が3,194百万円であるところを70,054百万円(注2)と記載 ・工事損失引当金の過少計上及び売上の過大計上
・売上原価の過少計上
・費用の過少計上
等2 平成25年
6月25日第174期事業年度連結会計期間に係る有価証券報告書 平成24年4月1日~平成25年3月31日の連結会計期間 連結
損益計算書連結当期純損益が13,425百万円であるところを77,366百万円(注3)と記載 ・工事損失引当金の過少計上及び売上の過大計上
・売上原価の過少計上
・費用の過少計上
等(注1)金額は百万円未満切捨てである。
(注2)第174期事業年度連結会計期間に係る有価証券報告書に掲載された連結損益計算書記載の遡及修正後の計数である。
(注3)第175期事業年度連結会計期間に係る有価証券報告書に掲載された連結損益計算書記載の遡及修正後の計数である。
(2)課徴金に係る金商法第178条第1項第2号に該当
被審人は、以下のとおり、重要な事項につき虚偽の記載がある発行開示書類に基づく募集により有価証券を取得させた。
イ平成22年12月9日、平成21年4月1日から平成22年3月31日までの連結会計期間につき、売上原価の過少計上等により、同期間における連結当期純損益が53,943百万円(百万円未満切捨て。以下同じ。)の損失であるところを19,743百万円の損失と記載するなどした連結損益計算書を掲載した有価証券報告書を参照書類とする発行登録追補書類を提出し、同発行登録追補書類に基づく募集により、同年12月15日、社債券を120,000,000,000円で取得させた。
ロ平成25年1月17日、第173期事業年度連結会計期間に係る有価証券報告書(以下「第173期有価証券報告書」という。)を参照書類とする発行登録追補書類を提出し、同発行登録追補書類に基づく募集により、同年1月28日、社債券を30,000,000,000円で取得させた。
ハ平成25年5月24日、第173期有価証券報告書を参照書類とする発行登録追補書類を提出し、同発行登録追補書類に基づく募集により、同年5月30日、社債券を90,000,000,000円で取得させた。
ニ平成25年7月12日、第174期事業年度連結会計期間に係る有価証券報告書(以下「第174期有価証券報告書」という。)を参照書類とする発行登録追補書類を提出し、同発行登録追補書類に基づく募集により、同年7月26日、社債券を30,000,000,000円で取得させた。
ホ平成25年12月5日、第174期有価証券報告書を参照書類とする発行登録追補書類を提出し、同発行登録追補書類に基づく募集により、同年12月11日、社債券を50,000,000,000円で取得させた。
3課徴金の計算の基礎
2の(1)の表に掲げる事実につき
番号1
金商法第172条の4第1項の規定により、当該法人の第173期有価証券報告書に係る課徴金の額は、
イ当該法人が発行する算定基準有価証券の市場価額の総額に10万分の6を乗じて得た額(92,277,727円)
が
ロ6,000,000円
を超えることから、92,277,727円について、金商法第176条第2項の規定により1万円未満の端数を切り捨てて92,270,000円となる。
番号2
金商法第172条の4第1項の規定により、当該法人の第174期有価証券報告書に係る課徴金の額は、
イ当該法人が発行する算定基準有価証券の市場価額の総額に10万分の6を乗じて得た額(81,236,859円)
が
ロ6,000,000円
を超えることから、81,236,859円について、金商法第176条第2項の規定により1万円未満の端数を切り捨てて81,230,000円となる。
2の(2)に掲げる事実につき
金商法第172条の2第1項第1号の規定により、重要な事項につき虚偽の記載がある発行開示書類に基づく募集により取得させた有価証券の発行価額の総額の100分の2.25に相当する額が課徴金の額となることから、
イ平成22年12月9日提出の発行登録追補書類に係る課徴金の額は、
120,000,000,000円×2.25/100=2,700,000,000円
ロ平成25年1月17日提出の発行登録追補書類に係る課徴金の額は、
30,000,000,000円×2.25/100=675,000,000円
ハ平成25年5月24日提出の発行登録追補書類に係る課徴金の額は、
90,000,000,000円×2.25/100=2,025,000,000円
ニ平成25年7月12日提出の発行登録追補書類に係る課徴金の額は、
30,000,000,000円×2.25/100=675,000,000円
ホ平成25年12月5日提出の発行登録追補書類に係る課徴金の額は、
50,000,000,000円×2.25/100=1,125,000,000円
となる。
以上より、課徴金の額は、
92,270,000円+81,230,000円+2,700,000,000円+675,000,000円
+2,025,000,000円+675,000,000円+1,125,000,000円
=7,373,500,000円
となる。
お問い合わせ先
金融庁 Tel 03-3506-6000(代表)
総務企画局総務課審判手続室
(内線2398、2404)