少額短期保険業者の経過措置に関する有識者会議(第1回)議事録
1.日時:平成29年9月1日(金)9時30分~12時00分
2.場所:中央合同庁舎第7号館13階 共用第一特別会議室
【廣川保険企画室長】
おはようございます。定刻よりは少し早いお時間ですけれども、皆さんおそろいいただきましたので、会議を始めさせていただきたく存じます。
本日は朝早くからお集まりいただきまして、まことにありがとうございます。私は総務企画局の企画課で保険企画室長をしております廣川と申します。どうぞよろしくお願い申し上げます。
有識者会議の開催に先立ちまして、まず、お手元の資料の確認をさせていただきたいと存じます。資料が1から12番までございまして、資料の1番がメンバーの名簿、資料の2と資料の3、これは金融庁の事務局説明資料で、A4横の資料があるかと存じます。資料の4から11までは、本日ヒアリングを実施させていただきますので、そちらで使用いただく資料になっております。最後、一番後ろ、1枚ペラの資料の12というのがありまして、論点ということで、ご議論いただくための参考を、1枚つけさせていただいております。もしお手元に資料がそろっていない方いらっしゃいましたら。よろしゅうございますか。
また、本有識者会議の座長につきましては、森下先生にお願いをさせていただき、お引き受けをいただいたところでございます。
【森下座長】
よろしくお願いいたします。
【廣川保険企画室長】
続きまして、当ワーキンググループのメンバーの方々をご紹介申し上げます。座席順にご紹介をさせていただきます。メンバーの皆様方から見て右側から、後藤元様です。
【後藤委員】
よろしくお願いいたします。
【廣川保険企画室長】
坂勇一郎様でございます。
【坂委員】
よろしくお願いします。
【廣川保険企画室長】
水口啓子様でございます。
【水口委員】
よろしくお願いいたします。
【廣川保険企画室長】
唯根妙子様でございます。
【唯根委員】
よろしくお願いいたします。
【廣川保険企画室長】
吉村雅明様でございます。
【吉村委員】
よろしくお願いします。
【廣川保険企画室長】
また、本日発表いただきますオブザーバーの皆様と事務局につきましては、メーンテーブルの皆様には座席表を配らせていただきますので、時間の関係で、それをもってかえさせていただきたく存じます。よろしくお願い申し上げます。
それでは、森下先生、よろしくお願い申し上げます。
【森下座長】
それでは、ただいまより「少額短期保険業者の経過措置に関する有識者会議」第1回会議を開催いたします。皆様ご多忙のところご参集いただきまして、まことにありがとうございます。
このたび本有識者会議の座長を務めることとなりました、上智大学の森下でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
平成17年保険業法の改正により制度が創設された少額短期保険業者については、それまで共済事業を行っていた者に関して、激変緩和のため、保険引き受けの上限額に経過措置が規定されました。この経過措置は、これまで一度延長され、来年30年3月末に、その期限が到来することとなっております。
本有識者会議は、民間有識者の知見を生かしつつ、少額短期保険業者の経過措置の取り扱い、延長する場合の経過措置の内容を議論することを目的として開催するものです。お手元の資料12が論点となります。どうぞよろしくお願いいたします。
当有識者会議は原則公開とし、議事要旨や資料も公表とさせていただければと思います。したがいまして、公表を前提としたご意見・ご発言をいただければと考えております。皆様、このような形で議論を進めることでよろしいでしょうか。
(「異議なし」の声あり)
【森下座長】
ご異議がないようですので、そのように進めさせていただきます。
また、万が一、私が会議に参加できない場合に備えまして、後藤委員に座長代理をお願いしたいと考えておりますが、よろしいでしょうか。
(「異議なし」の声あり)
【森下座長】
よろしくお願いいたします。ご異議がないようですので、そのように進めさせていただきます。
本日は、事務局より少短業者の経過措置の経緯等についてご説明をいただいた後、議論の参考とするため、業界の方々からご見解等についてご説明を伺いたいと考えております。
それでは、まず、総務企画局保険企画室よりご説明をお願いいたします。
【廣川保険企画室長】
ありがとうございます。それでは、私から、資料2に沿って、金融庁総務企画局と書かれた資料ですけれども、少額短期保険業につきまして、その制度導入の経緯、規制の概要、そして今回ご議論いただきます経過措置の概要、こちらをご説明させていただきたく存じます。
お手元の資料2、1枚おめくりいただきまして、1ページをご覧いただけたらと思います。平成17年に改正をされる前の保険業法におきましては、保険業というのは不特定の者を相手方として保険の引き受けを行う事業と定義されておりまして、特定の者に対して保険類似の事業を行う任意団体等については、保険業法上の保険業には該当せず、保険業法の適用がございませんでした。
これは、これらの任意団体等というのが、相互扶助を基礎として、共同して社会生活を営む者が、将来のリスクに対して共同して生活の安定を図ろうとすることから、規制は不要と考えられてきたためでございます。これらの事業につきましては、「根拠法のない共済」と一般に言われてきておりました。
これ以外にも、JA共済ですとか、それから生協の共済であるコープ共済ですとか、こういったものにつきましては、保険業法とは別途の規制が適用される、制度共済というもので、以前から存在していたということでございます。
今申し上げました「根拠法のない共済」というものにつきましては、平成10年代に入りまして、規模、それから形態の多様化が進んでまいりまして、伝統的な共済とは異なるものが増加してきた結果、契約者保護等の観点から問題があるという指摘がなされるようになりました。
このような状況を受けまして、平成17年の保険業法改正におきましては、「根拠法のない共済」の受け皿として少額短期保険制度を創設することになりました。具体的には、保険業法の適用範囲をまず見直し、特定の者を相手方として保険の引き受けを行う事業に原則として保険業法を適用することにいたしまして、その際に、事業規模が小さく、引き受ける保険金額が少額かつ短期の事業者については、新たな規制の枠組みとして少額短期保険業という区分を創設いたしました。
次のページ、2ページをご覧いただけたらと思います。これは少額短期保険業者に対する規制の概要を、免許制の保険会社との比較で示したものでございます。少額短期保険業制度創設当時の考え方といたしましては、当時の「根拠法のない共済」には、顧客層が比較的限られていたりとか、特殊なリスクであったりするために保険会社が必ずしも提供しないような保険商品を提供すると。こういった特定のニーズに対応する保険商品を提供する担い手としての役割を担っているものがあったという認識に鑑みまして、事業規模が小さい者でも参入可能な制度設計が望ましいという考え方でございました。
具体的にそれを見てまいりますと、参入要件としては免許制ではなく登録制、最低資本金も1,000万円ということで、保険会社の10億円から軽減されております。また、生保・損保の両分野の、1つの会社内での経営が認められているということです。商品審査につきましては、少額短期保険業者も事前審査はございますけれども、認可制ではなく事前届け出制となってございます。保険計理人につきましては必置ですけれども、保険数理業務に5年以上従事するアクチュアリー会の準会員も認められてございます。外部監査につきましては、資本金3億円以上の会社に限り必置ということです。最後に、セーフティーネットは対象外になっております。
このように財産・経理面での規制が軽減されており、セーフティーネットの対象外になる少額短期保険業者の具体的な事業規模といたしましては、その下、保険料収入50億円以下ということで制限が課されることになってございます。また、事業規模が小さい場合には、保険収入が安定しないことや、適正に扱える保険収入におのずと制約があるということを踏まえまして、保険金額・保険期間にも少額短期となるような上限が定められてございますほか、運用資産の範囲につきましても、財務の健全性の確保に配意する必要があることを踏まえまして、預金、国債等に限定をされてございます。
また、一番下の注がございますけれども、セーフティーネットがない中で、契約者保護に資するように、供託の制度、具体的には1,000万円プラス年間収受保険料の5%を供託するという義務づけがございます。さらに、普通約款の中で、自然災害により巨額の損失を被った場合等における保険料の増額または保険金の削減、こちらに関します事項を定める必要があるという規定がございます。
逆から申し上げますと、制度創設時の考え方としては、免許制の保険会社が従来必ずしも提供してこなかったような特定のニーズに対応する保険商品を提供する担い手が、一定の事業規模以下で少額短期の保険商品に限って提供を行う場合には、一定の規制に服することを要件に財産・経理面での規制を軽減し、セーフティーネットの対象外とすると、こういう整理を創設当時はしていたということでございます。
3ページをご覧いただけたらと思います。こちら、少額短期保険制度創設が議論されていた際の、平成16年当時の金融審議会二部会の報告書の抜粋でございます。今ご説明申し上げました少額短期保険制度は、それまで根拠法がなかった共済にとって、規制の枠組みを大きく変更するものとなりました。新しく規制が適用されることになったことから、激変緩和措置を設けて新制度への円滑な移行に配慮するという考え方が、示されてございます。
具体的には、激変緩和措置ということで、4ページをご覧いただけたらと存じます。経過措置の具体的中身ですけれども、概要表でお示ししております。これまで規制を受けてこなかった「根拠法のない共済」の中には、大きな金額で保険の引き受けをおこなっていた者もあったことに鑑みまして、引き受けることができる保険の上限金額について、激変緩和措置が設けられることになってございます。
経過措置の説明の前に、まず、全ての少額短期保険業者について被保険者1人当たりの引き受け可能な保険金額の上限、こちら、表では本則と記載しておりますけれども、これについて、ご説明させていただきます。
まず、法律で1,000万円以下との定めがありまして、具体的には総額限度が1,000万円以下の中で、そこの表にありますような保険の種類の区分ごと、死亡、傷害死亡、医療、損害保険、それから低発生率保険とございますけれども、区分ごとに、ここに記載のとおりの上限が、それぞれ定められているということでございます。
注がございますけれども、低発生率保険、これは個人の日常生活に伴う損害賠償責任を対象とする保険のことですが、こちらは1,000万円以下で、別枠で認められているというものでございます。
次に経過措置の説明を申し上げますと、具体的には、制度導入当時、平成18年4月1日時点に共済事業を行っていた少額保険業者、または同時点に共済事業を行っていた者から保険契約の移転等を受けた少額短期保険業者を対象ということで、具体的には、制度導入当時は平成25年3月31日までの7年間の時限措置として、総額限度及び各保険の種類のそれぞれについて被保険者1人当たり本則の5倍、ただし医療保険につきましては3倍までの保険金額が認められることになりました。
経過措置適用業者におきましては、保険契約者等への参考となる情報提供義務の一環ということで、顧客に対して、自らが少額短期の保険のみを引き受けるものであること、ただ、経過措置の期間中においては、経営措置の本則の上限金額を超えて、こちらの表にありますような上限金額の保険の引き受けをすることができることを、書面を交付して説明するという形での規定が設けられたということでございます。
続きまして、この半分よりも下のところですけれども、平成24年の保険業法改正におきましては、ここにありますように、経過措置の5年間の延長がなされております。これは仮に本則がこの時点で適用になりますと、引き受け可能な保険金額が経過措置の5分の1、医療保険については3分の1になることも考慮しまして、さらなる激変緩和措置ということで、今申し上げましたように、平成30年、来年の3月31日までの経過措置期間の延長がなされております。
ここで、その具体的な内容ですけれども、平成25年4月1日時点で存在していた保険契約につきましては、それを更新する際の金額として、引き続き被保険者1人当たり本則の5倍、ただし医療保険は3倍まで、平成25年4月1日以降に新たに締結されている保険契約につきましては、少し金額が下がりまして、被保険者1人当たり本則の3倍、ただし医療保険は2倍までの経過措置が認められることになってございます。
後ほどまた説明がございますけれども、経過措置を実際に適用している業者数でいきますと、本年3月末時点で、少額短期保険業者全体89社中15社になってございます。
【森下座長】
ありがとうございました。
続きまして、監督局保険課より少額短期業者の現状等について説明をお願いいたします。
【籠損害保険・少額短期保険監督室長】
監督局保険課損害保険・少額短期保険監督室の籠でございます。よろしくお願いします。お手元にございます資料3をご覧ください。
まず、1ページ目をお願いいたします。直近4年間の少額短期保険業者数と保有契約件数につきまして、推移をまとめたものでございます。上の折れ線グラフが保有契約件数、それから、下の棒グラフが業者数でございます。毎年、業者数、それから保有契約件数、ともに増加しておりまして、平成29年3月末時点におきましては、業者数は89業者、それから、保有契約件数は868万件となっております。
ちなみに業者数でございますが、表では3月末現在を書いてございますが、本日9月1日現在の登録業者数でございますと、3月末時点から6業者追加になりまして、現在は95業者となっております。なお、本日ご議論いただく経過措置を適用している業者の数は、下にございますが、現在15業者となっております。
それでは、2ページ目をご覧ください。平成29年3月末時点におけます少額短期保険業者、それから生命保険会社、損害保険会社の比較した表でございます。それぞれ業者・会社数、総資産額、保険料収入について書いたものでございます。
続きまして、3ページをご覧ください。平成29年3月期の少額短期保険業者の収入保険料につきまして、保障分野別にまとめた表でございます。生命保障、損害保障、医療保障と3分野ある中、損害保障の分野が88%を占めているところでございます。また、その損害保障分野の内訳に関しましては、括弧内に記載ございますが、家財保険が大きい割合となっているところでございます。
続きまして、4ページをご覧ください。少額短期保険業者の保障分野別の収入保険料に関しまして、直近3年間の推移をまとめたものでございます。左から生命保障、真ん中が医療保障、それから、右側が損害保障でございます。なお、一番右の損害保障分野の表におきましては、参考でございますが、一番上に折れ線グラフとして、3分野の合計金額につきましても表示しているところでございます。また、各分野の棒グラフにおきましては、収入保険料に占める経過措置適用業者とそれ以外の業者につきましても、それぞれ割合がわかるように表示しているところでございます。1ページでお示ししましたように、少額短期保険業者数、それから保有契約件数と同様に、収入保険料についても損害保障分野を中心に増加している状況でございます。
続きまして、5ページから6ページをご覧ください。経過措置適用業者における被保険者数の保険金額分布の推移をまとめたものでございます。保障分野ごとに、前回延長時である平成25年3月末と、足元の平成29年3月末を比較したものでございます。なお、先ほどまでの4ページまでの資料につきましては、経過措置を適用していない業者を含めた少額短期保険業者全体の数字でございましたが、ここからは経過措置適用業者15業者のみを対象とした数値でございます。
それでは、まず5ページ、左側のグラフでございます。生命保障分野のうち、本則の限度額が300万円となっております疾病死亡保障、それから重度障害保障について、まとめたものでございます。棒グラフの下でございますが、保険金額が本則金額300万円でございますが、300万円以下の被保険者の割合が、左側、25年3月末では63.3%、2.1万人でございますが、これが、右側、29年3月末では80.6%、5.1万人と増加しているところでございます。逆に、棒グラフ、上でございますが、それぞれ300万円から600万円、600万円から1,000万円、また1,000万円超の保険金額につきまして表示がございますが、この3つを合算しました、つまり本則300万円を超過している被保険者の割合につきましては、25年9月から29年3月にかけて下がってきているところであり、また、被保険者数も減少しているところでございます。
続きまして、5ページ右側のグラフでございます。こちらは、生命保障分野のうち、本則の限度額が600万円となっている傷害死亡保障と特定重度障害保障について、まとめたものでございます。先ほどと同様に、棒グラフの下、本則、こちら600万円でございますが、この本則600万円以下の被保険者の割合は、25年3月末では70.2%、これが29年3月末では90.3%と増加しています。逆に、本則600万円を超過している被保険者の割合、また被保険者の人数は、減少しているところでございます。
続きまして、6ページに移らせていただきまして、また左側のグラフをご覧ください。こちらは医療保障の分野についてまとめたものでございます。棒グラフの一番下でございますけれども、本則80万円以下の被保険者の割合は、25年3月末では14.0%、人数は0.5万人でございます。これが29年3月末では、割合は17.9%、0.7万人という形で増加しております。他方、本則80万円を超過している保険金額の被保険者の割合は、25年3月末では86%、3.4万人であったものが、29年3月末では、割合は82%、3.2万人に減少しているところでございます。
続きまして、今度は6ページ右側でございます。損害保障の分野について、まとめたものでございます。同様に、棒グラフの下、本則でございますが、本則1,000万円以下の被保険者の割合は、25年3月末では63.2%、548万人であったものが、29年3月末では、割合は81.4%、被保険者数は730万人と増加しております。逆に、本則1,000万円を超過している被保険者の割合、それから人数は、減少してきているところでございます。
以上をもちまして、監督局からの説明を終わりたいと思います。
【森下座長】
ありがとうございました。それでは、続きまして、業界の方々からのご説明に移りたいと思います。
それでは、SBIいきいき少額短期保険株式会社からお願いいたします。
【高崎社長】
まず、本日はこのような機会をいただきまして、どうもありがとうございます。SBIいきいき少額短期保険の高崎と申します。資料の数が多いのですけれども、ポイントに絞って短く説明させていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。
まず、1枚目でございます。当社の成り立ちをお話ししたいと思います。当社は平成14年に、雑誌「いきいき」、今、「ハルメク」という雑誌ですけれども、その読者の相互扶助を目的とする医療共済会として設立しております。保険業法改正を受けて平成19年に少額短期保険業者の登録を受けまして、保険業法等のもとで営業を開始いたしました。平成25年にはSBIグループの一員となって現在に至っているという会社でございます。
当社の特徴でございますけれども、当社はシニア世代向けの雑誌読者のための共済会としてスタートした経緯がございまして、シニア層を主な顧客基盤としている点に特色がございます。下のグラフのとおりでございますけれども、医療保険と死亡保険。この2つそれぞれの規制緩和型を合わせた4種類を売っているのですけれども、70代が最も多く、60代以上が8割以上を占めております。また、女性が7割以上を占めているという状況になっています。
ここで申し上げたいのは、当社はシニア層が加入する少額短期保険という、ある部分、シニアのマーケットを補塡しているという状況でございます。多くの財産を持っている方がおられると思うのですけれども、そんなにないけれども、終活等を考えると最期に子供や孫に迷惑かけたくないと考える、ほんとうに最後にこの保険に入りたいという優しい気持ちを持っている方を支えている少額短期保険と私は思っております。
次のページに行きます。まず、医療保険についての経過措置終了の影響ということで、思いをお話ししたいと思います。まず、既存契約でございますけれども、今、雑誌からスタートしたということで、約5割、1.3万人の方が、これが本則に戻ることになりますと、説明はしておりますけれども、後からできた制度で大きな不利益ということで不満を抱えるとアンケートでも言っております。また、80万円を超える支払いは、累計232件、もう既に発生しています。こういった支払いへの期待に応えられない。多くの契約者が、他の保険への再加入、病気であったり、いろいろな問題で困難となって、保障を失う可能性もございます。
ということで、表に書いておりますけれども、再加入困難な契約数は約8,278件、当社で試算しておりますが、まだ見えない再加入できない方もおられると想像しております。総合的に当社を信頼してこれまで契約してくれたお客様の期待を裏切ることになる、ご案内はしていますけれども、そのように考えております。契約者保護のために、今の経過措置の水準の維持がぜひ必要だなと考えています。
新契約ですけれども、先ほど統計にもございましたように、当社として件数が伸びているわけではないというのは、並行しているという意味ではなくて、やめられる方とかの補塡をするので、今、精いっぱいということでございます。新契約と既存契約との違いですが、お客様の気持ちは同じでございまして、ちゃんとした医療保険に入りたい、医療保障が欲しいという消費者の気持ちは同じだと思います。というところで、同じ基準、お客様ニーズを損なわない現状の基準、160万円が必要だと私どもは考えております。
次のページに行きます。同じ医療保険の話、第3分野のことと社会的意義でございますけれども、社会保障の補完ということで、少子高齢化の進展の中、国民の自助努力、私的保障を促進する取り組みが進んでいるということで、この詳細なところは読みませんけれども、そういうところが社会的に必要だなと思っております。
1入院当たりの入院日数は短期化傾向ではございますけれども、1日当たりの医療費は増大傾向にございます。また、我々の会社としましては、シニア層が多いもので、1回の入院費の話ではなくて、1年間で数回入院する方々もおられます。2つ目ですけれども、先進医療の利用は過去10年程度で大きく拡大し、そういう部分の費用も加算しております。あと、従来主流であった医療保障やがん保障に加えて、介護保障ニーズも高まりつつあるというのも事実であり、ニッチな分野に機動的に商品を提供する少短の意義は大きいと考えております。
2つ目の商品の死亡保障における影響でございます。既存契約への影響としましては、今、300万円超の2,273件のうち、150件がなかなか再加入が困難であろうと、他の会社へ移ることが難しいであろうということを想定できます。ということで、加入する保障を失う可能性があると考えておりますので、既契約保護のため、現状の経過措置水準900万円の維持が欲しいなと思っております。
新契約でございます。ここも先ほどの医療と同じですけれども、お客様が新規か既存かということで、お客様のニーズとしては同じであろうと思っています。下に書いておりますけれども、一番下のところでございますけれども、過去の金融審議会においても、未成年者の死亡保険に係るモラルリスク防止を目的に生損保業界の自主ガイドラインが議論された際には、葬儀費用については、愛知等の高額なところもございまして、地域格差が幅があって、幾らが適切かを定めることは難しいという意見や、ニーズを損ないかねない範囲でという意見が出され、両業界とも、葬祭費等をもとに1,000万円を限度とするという案を出しているということもございます。というところで、お客様のニーズを損ねかねない最小限の水準として、600万円程度の保険金額が必要と私どもは考えております。
5番目でございます。最後に、ほんとうに補足としまして、お客様ニーズという視点ではなくて、我々の気持ちでございますけれども、共済は特定の者を対象として、まずスタートしました。少短として不特定多数も対象として、こういう中で非常に頑張っているというつもりではおりますけれども、実際、高コストとか高リスクの引き受けをやっていることも事実でございます。
という中で、大きい字で書いておりますけれども、生命・医療系の少短会社が、過去4年、あまり増えないのは、競争激化もある中で、契約者保護イコール今後も確実な保険金・給付金の支払いというのは当然必要だと思うのですけれども、ここの経営を努力、今、しておりますけれども、さらに努力するためにも、この規制緩和をぜひ検討いただきたい、ぜひお願いしたいと思いまして、あとは資料でございますので、割愛させていただきたいと思います。
どうもありがとうございます。
【森下座長】
ありがとうございました。
続きまして、株式会社宅建ファミリー共済からお願いいたします。
【鶴田取締役】
皆さん、おはようございます。宅建ファミリー共済の鶴田と申します。どうぞよろしくお願いいたします。本日は、弊社が経過措置延長を希望する理由などについてご説明をさせていただきます。お手元の資料5に従ってご説明をいたします。
まず初めに、弊社とその設立の経緯についてご説明をさせていただきます。弊社は、賃貸物件に入居する方の家財の補償と水漏れ事故などの賠償責任を補償する商品を提供する少額短期保険業者でございます。宅建協会、この協会は全国の不動産業者の約80%が所属する業界団体でございますが、その宅建協会会員が行う良質な賃貸住宅の提供の一助となるべく、日々の業務に励んでおります。
弊社は平成13年に、根拠法のない共済である「宅建ファミリー共済会」としてスタートしております。消費者が賃貸物件の賃貸借契約をする際に、多くの賃貸物件で、物件オーナーの求めによりまして、自身の失火による居室の損害や水漏れなどによる階下居室などへの損害を補償する保険に入る必要がございます。そのため、多くの宅建協会会員店は損害保険会社の代理店を兼業しておりました。ところが、平成10年ごろから、損害保険会社では年間保険料収入の少ない小規模な代理店の整理・統合の動きが顕著になりました。これによりまして、宅建協会会員店は、その多くが小規模な代理店であったために、整理・統合の対象になりました。これを受けまして、宅建協会は、会員店が行う適正な不動産取引業務の品質の維持並びに消費者の利便性向上の観点から、会員店が安定的に取り扱える共済制度などの必要性を痛感いたしまして、宅建ファミリー共済会が発足いたしました。
続きまして、弊社の役割についてご説明をさせていただきます。弊社では、規模による代理店の選別は行っておりません。宅建協会会員であれば、規模の大小にかかわらず代理店になることができます。したがいまして、弊社の代理店の大多数が、損害保険会社の保険商品を扱うのが困難な小規模代理店でございます。年間取り扱い保険料が500万円に満たない代理店が、弊社全体の99.2%を占めてございます。また、そのような小規模代理店で契約されるお客様の数は、年間で25万件程度ございます。
消費者の皆さんが賃貸物件を選ぶ際に、物件が希望にかなうかどうかが重要でありまして、仲介する不動産業者の規模を考慮するケースはほとんどないと思われます。弊社が小規模不動産業者に代理店を委託して、その不動産業者が保険募集を行うことで、消費者は賃貸借契約と保険契約をワンストップで完結できております。仮に仲介する不動産業者で保険契約を行えない場合には、消費者自らが保険会社などを探すなどして保険に入った後に、改めて不動産業者に出向いて賃貸借契約を締結する必要があります。その際は利便性が著しく低下することは否めません。加えて言うならば、例えば高齢者の方々が保険会社などを探すこと自体が困難かもしれません。弊社は小規模不動産業者を通しまして、賃貸物件に入居される消費者の保険加入機会を確保していると考えております。
最後に、弊社が経過措置の延長を希望する理由についてご説明をさせていただきます。まず、保険金額が1,000万円を超える商品のニーズがございます。資料の2枚目の表にありますとおり、年間契約件数が急増している状況にあります。平成28年度の年間契約件数が、平成25年度に対して倍増しております。また、損害額が1,000万円を超える事故が、直近の数年度でも20件程度発生しております。事故事例としては自転車運転中の事故が最も多く、続きまして、火災事故、漏水事故となっております。
先ほどもご説明いたしましたが、弊社の代理店は損害保険会社の保険商品を扱うのが困難な小規模代理店でございます。小規模代理店におきましても消費者ニーズや事故実態に鑑みた商品の販売が継続できることを強く望んでおります。経過措置が終了することは、小規模不動産業者を介して賃貸物件に入居する多くの消費者に多大な影響を及ぼすことにつながりかねません。そのことから、今般、経過措置の延長を強く要望するところでございます。
【森下座長】
ありがとうございました。
続きまして、日本共済株式会社からお願いいたします。
【志田取締役】
日本共済の志田でございます。よろしくお願いいたします。
弊社は現在、約2,000の不動産会社さんを代理店に、そこから約32万件の家財保険を取り扱っている業者でございます。業界の中では一定規模の業者の地位にありますが、その代理店網の実情としましては、7割が年間取り扱い保険料が100万円以下で、損害保険の代理店さんになれないような小規模な代理店さんが私どもを支えていただいているという実情があります。むろんそこからも多くのお客様が契約をしていただいているということがありますので、これらのことから、当社の事業が、同じ家財保険であっても、損害保険会社とは違うマーケットで家財保険を提供する役割を果たしていると、このように考えております。
そんな中、今般本則の2倍という要望をさせていただいていますが、その一つの理由としては、1,000万円以上の損害事故が起きているという実例がございます。また、1,000万円を超えずとも、それに近い金額、500万円以上の事故が起きているような状態の中、我々は、契約者様、あるいは代理店、または大家さん、いろいろなところからのヒアリングによると、1,000万円では不安だと、最大でも2,000万円以上の補償が欲しいと、このような現場のニーズをくみ取り、現在2,000万円の補償を提供している実情がございます。また、家財分野では、火災や漏水といった大型事故のみならず、昨今では自転車の衝突事故による賠償事件も多発しており、全体的な損害事故の高額化が進んでいる実情があり、この点からも、1,000万円以上の本則2倍というものを要望するものでございます。
一方で、少額短期保険の特徴として、新しい発想でマーケットのニーズをくみ取り迅速に商品化していくという特徴を少短は持っていると考え、その代表的な商品の一つとして孤独死の補償というものがございます。これは賃貸居室内で孤独死をした場合の残存物の処理あるいは原状回復費用を補償するものですが、この補償がなかったときには賃貸の大家さんは単身者あるいは高齢者の入居を避けてきたという実情があり、この補償の開発により、今申し上げた高齢者の方あるいは単身者の方の入居の促進の一助になってきていることも実情として挙げられると思います。
また、資料にはございませんが、孤独死補償以外にも、寒冷地区での凍結解凍費用、あるいはガラスのひび割れ事故といった、従来にはなかったような商品の開発を少短発で次々と出しているという中では、小さい補償ですけれども契約者のためになるような補償をどんどんつくっているということと反面、先ほど申し上げたような高額事故にも対応できる補償の範囲という中では、我々としては本則の2倍化というものを切に要望する次第でございます。
本則の要望につきましては、継続のお客様だけではなく、新規の契約についても我々は要望をさせていただいています。弊社においては契約の約6割が新規契約という形式になっておりますが、その新規契約もわずか平均30カ月で契約がなくなるという中では、新規契約を取り続けることが経営上非常に大事な課題となっており、ここで新規契約が本則化してしまうことにより、我々の経営に対するインパクトというものは非常に大きなものがあると考えております。
日本共済は少短登録して9年、任意共済から少額短期への移行、単年度黒字、累積赤字の解消というものを経て、ようやく経営が安定基調に入ってきた中、この足をとめることなく契約者様のためにいい補償をつくるためには、今までどおりの補償あるいは今までどおりの保険金額というものが扱えるように切に願っております。
【森下座長】
ありがとうございました。
続きまして、株式会社ビバビーダメディカルライフからお願いいたします。
【野口社長】
おはようございます。ビバビーダメディカルライフの野口でございます。本日はこうした貴重な機会にお招きいただきまして、まことにありがとうございます。また、この会議が少額短期保険業界の将来の発展に大きく寄与することを希望しております。
まず、資料をお手元にご覧いただきたいと思います。まず、1枚めくっていただきまして、当社は、平成10年より、主に出稼ぎの日系ブラジル人を対象としまして医療・生命保障の任意共済として事業を始めておりましたが、保険業法の改定に伴いまして、平成21年3月に少額短期保険会社として登録されております。以後、日本にいらっしゃる外国人を対象に、医療・生命保険を中心として取り扱っております。
ビバビーダとはあまりなじみのない言葉だとは思うのですけれども、これは当初日系ブラジル人とのおつき合いが多かったものですから、ポルトガル語・スペイン語で「ビバ」というのは、ご存じだと思いますけれども、「すばらしい」とか「いい」とかいう意味がございます。「ビーダ」というのは英語で申しますと「ライフ」に相当しますので、「すばらしい生活、人生」といったような意味になりまして、お客様の生活をよりすばらしいものにしたいという思いを社名に込めさせていただいたものでございます。
現在、当社の主な取り扱い保険商品としては、観光、親族訪問、企業研修などの短期滞在を含めまして、いろいろなご事情で日本で暮らしていらっしゃる外国人を対象にした保険でございます。そのほか、外国人技能実習生向け保険、外国人留学生向け保険といったものが大きな割合を占めております。経済協力開発機構OECDによりますと、現在、我が国の人口における外国人の割合は1.6%、それでも世界第22位に相当する、実質的にかなり立派な移民国家になってきていると言えるということでございます。そうした中で、現在、我が国の制度としても現実的な労働力とされておりますのが、外国人技能実習生もしくは外国人留学生ということになっております。今回の論議は、保険商品の保険金額についてのご論議になりますけれども、当社としましては、外国人技能実習生向け保険を例に取りまして意見を述べさせていただきたいと思っております。
次の3ページをご覧ください。現在、この保険の死亡保険金額は、800万円、500万円、300万円と、3種類、3パターンを設定しております。この3月までの取り扱い、昨年度の取り扱い件数は全体で3,389件ですが、その中で300万円を超える件数はどのぐらいあるかといいますと、2,201件で65%に達しております。ちなみに、この技能実習生制度では、当初約1カ月間が講習期間となりまして、労働者に相当しないため社会保険に未加入になりますので、医療保険が求められております。当社の保険としましては、この保険金額は160万円で設定しております。
さて、死亡保険金額に対する顧客からの要望につきましては、いらっしゃる国サイドからいろいろなご要望がございまして、それによって異なってまいります。次の4ページをご覧ください。必要な外国人技能実習生の保障額はどうかというところを簡単にまとめたものでございますけれども、特に中国側の送り出し機関からは、600万円を超える保険金額を用意してくださいと言われることが結構多くなっております。また、今後、実習生につきましては、建設、医療、介護等、いろいろな分野に範囲が広がってきておりますので、また、国や地域も今後ますます広がってまいりますので、多様なニーズとか、求められる保険金額の高額化というものは、想定されるところでございます。
ちなみに、ほかでどのような保険をやっているかというと、JITCOさん、公益法人国際研修協力機構というところがございまして、そこの関連企業の国際研修サービスさんでは、死亡保険金額は最低でも700万円から1,500万円の範囲で保険を取り扱っておりますので、この保険は、日本人が海外旅行に行くときの保険を、日本のそういった方々に向けて医療保険・生命保険として活用しているものでございますが、当社の保険は独自に開発したものでございます。そうした場合、本則の300万円ということになりますと、商品として求められている内容とは大きくかけ離れて、商品としても見劣りがする内容になってしまうのかなということでございます。そうなりますと、6割、7割が300万円を大きく超える契約でございますので、そこの取り扱いができなくなった場合には、経営上も当社とすれば深刻な事態となり得ると思っております。ちなみに、私どもとすれば、死亡保険金額につきましては、最低でも600万円、できれば現状の900万円は必要と考えております。また、外国人は、在留期間にもよりますけれども、公的医療保険に未加入な場合も結構ございます。それを考えますと、現在、医療保障の保険金額は160万円までとなっておりますけれども、過去の私どもの保障事例から見ますと、少なくとも300万円までの範囲での設定が必要だろうと現実的なところで認識はしております。
今後の日本につきましては、現状ではこうした外国の方の労働力を活用していかなければなりません。また、それを支える保険としても、顧客ニーズに対応した多様性が必要でしょうし、今後、さらに保障の高額化というものが見込まれてまいります。また、こうした外国の方々というのは、それだけで一定の範囲、特定の範囲ということになりますので、しかも実習生でも最長5年、日本語学校の留学生で見ますと、数カ月もあるのですが、1年から3年以内といった程度の在留期間でございますので、当社から見ますと、お客様の構成内容は常に入れかわっているということで、ほとんど継続といっても新規の寄せ集めみたいな感覚で我々は対応しておりますので、既契約・新契約といった考え方は、当社の場合、あまり当てはまらないのかなと考えております。
当社の保障範囲は、日本国内で考えましても人口比で1.6%程度のニッチなマーケットでありまして、ほかの保険会社さんではなかなかお取り扱いのない対象を主に取り扱っております。そうした中でも、一人一人のお客様から見ますと、一定程度の保険金額・保障を確保したいというニーズは必ずありまして、今後ますます増えてくるだろうと把握しております。当社としましては、そうしたニーズにお応えして、我が国の経済発展のほんの一部でしょうか、下支えができるような働きが今後もやっていければいいのかなと、やっていければありがたいなと考えているところでございます。
こうしたことから、今後の保険金額に関する経過措置につきましては、できるだけ充実した内容で延長をされますことを強く希望するものであります。また、将来的には、経過措置のいろいろな諸問題もあろうかと思いますけれども、今後につきましては、施行令の保険金額の上限規定や本則などの、時代に合った見直しといったものが求められてくるのだろうと考えております。
最後に、私どものような、取り扱い件数約1万件、売り上げも約1億円、生損保さんの代理店さんで言うそこそこの代理店規模程度の小さな零細企業ではございますけれども、こうした我々の外国の方向けのいろいろな保障ということで、責任を感じて、日々、社員一同、汗をかいてやっております。こうしたところでも、今後も安心して内容のいい仕事ができますように、ぜひ今回、皆様、よろしくご論議のほどお願いしたいと思います。
【森下座長】
ありがとうございました。
それでは、続きまして、日本少額短期保険協会からお願いいたします。
【杉本会長】
おはようございます。日本少額短期保険協会会長の杉本と申します。よろしくお願いいたします。事務局の説明及び少短業者4社の説明と重なる部分があるかと思いますが、ポイントを絞ってご説明をいたします。資料8をご覧ください。
まず1ページ目、経過措置の会社の現状と問題点というところで、1番で15社の位置づけという表がございます。こちらは先ほど事務局のご説明もございましたので、詳しくはご説明を割愛いたしますが、保有契約のところが688万件ということで、事務局の説明の数字と異なっている理由のみご説明いたしますと、共同保険契約についてでございますけれども、我々、1枚の保険の申込書で2社で引き受けるということがございまして、それを共同保険というのですけれども、それを1とカウントするか2とカウントするかによって、若干、差がついているということでございます。この15社が、右にグラフがございますけれども、今、89分の15という数ではございますけれども、実際に保有契約では約6割、収入保険料でも約4割を占めるということで、少短業界全体で見ると看過できない規模になっているという状況でございます。
その15社の、今回論点となっています経過措置のお客様につきましては、166万人でございます。この166万人の内訳が、右下に一番下にございますけれども、低発生率保険というもの、これも事務局からご説明ありましたが、こちらは賠償責任のことでございます。具体的に言いますと、賃貸住宅に入居する方の借家人賠償、これはオーナー様への賠償でございます。あと個人賠償という、この2つが賠償責任の構成要素になっているわけですけれども、こちらが156万2,000人で、大宗を占めている状況でございます。
この個人賠償といいますのは、一般的には自動車保険の特約や火災保険の特約だったりというものについている商品でございますけれども、賃貸住宅に入居する方は、なかなか自動車も持っていない、また、持ち家ではないので火災保険も入っていないということで、この家財保険に加入することで、例えば自分の自転車の事故だったり、あとは、借家人賠償ですから、貸し主への事故だったり、下の人への賠償責任だったりということで、非常に意義のある保険だと考えております。
そうした中、資料1枚目の左側の2番目、経過措置が来年3月でこの法律が消えるわけですけれども、本則の3倍のところが1倍になったときの影響ということで、幾つか影響を書きました。お客様の視点に立って、ご説明を申し上げたいと思います。
影響1というところが既契約顧客への不利益変更ということでございます。お客様にとって、例えば医療ですと、先ほどSBIいきいきさんのご説明もございましたけれども、今、もう既に病気になっている有病者、病気になっていらっしゃる方々が、仮に80万円に減額されてしまうと、その差分について民間の生保に入ろうとしても、多くの場合は告知や診査がございますので、入れないという場合が非常に容易に想像できます。そうしたお客様については、再加入困難性とここに書いたのですけれども、一定程度いらっしゃるというのが先ほどのデータにもございました。また、既契約の中でも家財保険の賠償責任が大宗を占めているわけですけれども、その方々のニーズも、先ほど家財の業者2社がご説明したとおりでございまして、1,000万円を超えるような事故は、現実的にはしばしば発生するという状況でございます。
続きまして、影響2、新規契約への利便性の低下ということで2つほど書きました。この2つの内容は両方とも家財保険の話でございますけれども、我が国で家財保険にお客様が加入する機会はどういうところかというと、不動産会社でございます。自分が賃貸住宅の部屋をこの部屋に住みたいと見つけたときに、部屋に入る賃貸借契約のタイミングで家財保険にも入るというのが今の現実でございます。その中で全体の約半分が、今、少額短期保険業者の少短損保がこの契約を担っているということでございます。半分が損保、半分が少短という形でございます。
なぜこんなことが起きているかというと、先ほどのご説明にもあるように、非常に我々、ふだん生活すると、町の中で小さい不動産会社がたくさんございますけれども、そちらが少額短期の代理店をやっているということでございます。損保には年間の挙積のバーがございますので、それに満たない場合は少額短期の代理店になっていると。
あと、少額短期と損保は、募集人の資格というのが別物でございまして、別の試験を受けて、別の資格を取って販売することになっていますので、少短だけを売っている不動産会社、損保だけを売っている不動産会社というのが現実の世界では大宗を占めているという状況でございますので、お客様から見てこの部屋に住みたいと思ったときに、その不動産会社が少額短期の保険だけを販売していることが現実的には多いわけですね。
そういった中で、損保の代理店だと1億円という賠償がついていて、少額短期だと本則だと1,000万円になってしまうわけですけれども、そこでお客様から見たときにも、ほんとうは事故というのが発生する可能性があるのに、低い保険金額で加入せざるを得ないという状況が起きているということでございます。
また、2つ目に孤独死と書いてあるわけですけれども、これも少額短期の特徴ですけれども、この孤独死とは何かといいますと、ご高齢の方、または若い方でも実際には時々起きるのですけれども、ひとり暮らしをされていらっしゃる方で、お部屋の中でお亡くなりになって、しばらく経過しますと、においだったり、あとは相当抜本的にリフォームしなければいけないということで、部屋の修理費用だったり、また、そこに残置物、遺品が残りますので、遺品の整理費用だったりということを、この保険金で賄えると。これが孤独死の保険というものでございます。
これが家財保険会社が販売している保険についているというのが今の実情ですけれども、これは少短が販売している家財保険にはほとんどついていて、損保はあまりついていないという状況でございますので、不動産会社から見ると、高齢の方々だったり、外国人の方も含めて、賃貸住宅に入居するときに、やや嫌う傾向にあるわけですけれども、そういうことが、こういう保険があることによって、高齢者や外国人の入居促進が実際に行われているのが現状でございます。ですので、少短の新契約も含めて、非常に顧客ニーズに沿った商品だとお考えいただければありがたいです。
最後、影響3というところがございますけれども、こちらで、契約者間の不平等性の発生ということで、特定の団体向け商品と書いていますけれども、これは、今、4社のご説明にはなかった新たな着眼点でございますけれども、我々少額短期というのは、団体契約は著しく規制はされています。もとの総保険金額100倍までということで、例えば死亡保険300万円だと、100人でしか本則の場合は加入できないという、1契約者に対する総保険金額というのがございます。
こちらに書いているのが実際に起きている事例ですけれども、会社様で、既存の社員の方々は経過措置の保険金額で加入できるのに、新入社員だったり中途入社の方々というのは、もし経過措置が切れてしまうと、同じ会社なのに低い保険金額で加入しないといけないという、1つの会社の中でも不平等が生じるということが、もし来年3月末に切れてしまうと実際に発生する事象として捉えております。
こうした中で、二重囲いに書いていますけれども、保険契約者の保護の観点からの問題というのも、今申し上げたとおり、いろいろ生じるということ。または、少短業界、ひいては保険業界全体への批判や保険不信が発生するのではないかと考えています。当然、我々、重要事項説明書には、このような経過措置が切れるよということは経過措置適用会社は書いているわけですけれども、書いているから苦情が起きないというメカニズムなんてございませんので、実際にもし切れてしまった場合には、こういうことが実際に起きるだろうなと想定をしております。
では、2枚目をご覧ください。そうした中で、経過措置延長要望を、これまで業界内で意見集約をしてまいりました。まず資料の右側をご説明いたしますと、1年半ほど前、平成28年4月に特別検討のプロジェクトチームというのを立ち上げまして、業界内外で意見の拾い上げを行っております。我々業界だけの理屈ではなくて、お客様にとって経過措置をどうすべきかと、規制緩和をどうすべきかを議論しておりました。
そんな中、どういう論点があったかといいますと、ここに2つほど書いてございますけれども、我々経過措置会社と非経過措置適用会社で、2つに分かれるわけですね。数的には経過措置を使っていない会社のほうが多いということでございますので、業界内の格差が現に今でも存在するわけですけれども、それについての論点が一つございました。また、現行、本則水準での事業の困難性と。これは経過措置会社にとってみると、今ご説明したとおり、いろいろな問題が今後生じる可能性があると。こういう大きな2つの論点がございまして、業界の意見としましては、現行経過措置水準での本則化が大勢を占めると。
これはどういうことを書いているかといいますと、本則というのは、事務局の説明にありました今の法令の原則のところでございますけれども、経過措置水準に全体が上がっていくということは、少短業界の中での意見としては大勢を占めていたわけではございますけれども、ですが、それって実質は相当大きなハードルがございますし、来年3月末という短い期間では、なかなか議論を尽くすのが時間的にも難しいことがございまして、当局といろいろ相談して、結果として、最終的に8月に、この経過措置要望の内容、要望書を提出したという経緯がございます。その内容が左側にある表でございまして、契約区分で新規と既契約、2つに分かれております。適用期間は5年を希望いたします。
まず、新規の部分、上をご覧いただきますと、現在3倍となっている損害保険低発生率保険について、死亡保険・傷害死亡については2倍、具体的には3,000万から2,000万円、900万円から600万円、1,800万円を1,200万円と下げるという形の延長の希望がございます。医療保険については、もともと2倍でございますので、こちらはそのままということを希望しております。
既契約につきましては、事務局の説明にあったとおり、2つのもともとの経過措置と、あと、1回延長したときの経過措置ということがございまして、それぞれについては現行の経過措置と同水準の金額を希望いたします。※で「ただし、既契約者は現行契約金額以下の更新とする。」と書いていますけれども、これは、お客様が経過措置の内枠の中でさらに増額するというのは、それはさすがに趣旨とは違うのだろうなということなので、それはなしと考えてございます。
次のページに、少短業界と生損保業界の方向性の違いという表を幾つか書いています。総じて申し上げれば、生損保と大きな違いとしては、我々は特定のマーケット、マーケットが小さくても、または代理店が小さいとか、そもそも商品が生損保には存在しない、例えばペット保険などは少短のほうが多い、損保にも存在しますけれども、日本初という商品も少短業界にはたくさんあるということでございます。これは我々は、お客様が保険に加入する機会、チャンスをつくるという意味で、大きな保険業界という中でも存在意義があるのかなと。お客様の一番近い存在になりたいというのが、我々の業者の総意でございます。
具体的に生損保の、今、主なターゲットというのが左側に書いてございます。これは皆さんよくご存じの内容かと思いますが、右側に少短の主なターゲットと書いていますけれども、商品では、少短生保では、葬儀費用保険、葬儀に絞ったシンプルな商品ですとか、または糖尿病の患者でも入れる保険とか、または国の介護保険の制度を超える部分の上乗せ保障など、そのような特定のニーズに包括をした商品を販売しています。また、家財保険につきましては、これは損保も少短も販売していますけれども、我々は非常に低コストで会社を運営していますので、そういう意味で、安い保険料で皆さんに入っていただくことが可能になってございます。また、ペット保険も少短の特徴でございます。
下にはユニークな保険と書きましたけれども、少短というのはアイデンティティーとして2つございまして、日本初のような新しい分野に挑戦するという1つの分野と、今日の話題でもございますけれども、伝統的な共済からやっていた経過措置の適用するような商材がございまして、日本初という意味では、ここに書いているようないろいろなたくさんの保険を販売して、お客様のニーズに応えているという業界でございます。
資料が幾つかついてございますけれども、今まで4社と私がご説明した内容をより深めて書いたものでございますので、後ほど質疑応答の際に使う場合はございますけれども、今のご説明は割愛いたします。
【森下座長】
ありがとうございました。
続きまして、三井住友海上火災保険株式会社からお願いいたします。
【杉本経営企画部部長】
日本損害保険協会の企画部会長を務めさせていただいております、三井住友海上の杉本と申します。よろしくお願いいたします。本日はテーマとして少額短期保険業者の経過措置ということでお聞きしておりますので、当協会としての現状認識、意見につきまして、資料に沿ってお話しさせていただければと思っております。
それでは、お手元の資料をめくっていただきまして、1番をご覧ください。ご承知のとおり、少額短期保険制度というのは、平成16年に、当時問題視されました「根拠法のない共済」への対応ということで金融審議会で整理された考え方をもとに、平成18年に導入されております。
こちらの下の表につきましては事務局の説明とも重複するので、一々説明いたしませんが、私どもで認識している主なポイントといたしましては、1つは小さな保険金額で事業が始められること、それと生損保兼営が可能であること、あわせまして、引き受ける保険金額・保険期間が少額かつ短期に限られるという点が、保険会社に対する規制とは異なる点でございます。
また、一番下にございます保険契約者保護制度につきましては、保険会社はあり、少額短期保険業者にはないと、こういう仕組みになっております。これは少額かつ短期の引き受けでございますので、万一破綻したとしても影響が軽微であるという考え方から、基本的にはお客様に自己責任を負っていただくことが当初から前提とされていたと理解をしておるところでございます。
それでは、続きまして、2ページ目をご覧ください。2ページ目には、少額短期保険制度ができた経緯につきまして、もう少しかみ砕いてご説明させていただきたいと思っております。まず、上に書いてございます現状のとおり、当時の金融審議会では、根拠法のない共済の多様化が進んで、伝統的な共済とは異なる形態のものが混在していることが確認され、契約者保護などの観点から問題があるなどの指摘を受けております。
ただ、この議論の中でも、まず1つは、構成員が真に限定されるもの、例えば労働組合や企業が行う従業員向けの保障、こういった類のものについては専ら構成員の自治で足りるだろうとされた一方で、これらの範囲を超える根拠法のない共済については、なかなか自治のみを理由として契約者の自己責任を負うことが適当でないという領域であって、契約者の保護の観点から一定の規制が必要であるとされたところでございます。
そういった考え方のもとに、新たな規制の基本的な枠組みを検討する中で、指摘されたのがこの3点でございまして、契約者などの保護、保険会社との公正な競争条件、特定ニーズへの対応と、こういった観点を総合的に勘案した結果、何らかの規制を導入することが必要となったと承知しています。
この議論の中で、基本的には保険会社と同じ商品を販売する場合には保険業法の規制が適用されるべきだという意見があった一方で、特定のニーズに対応した商品の担い手としての役割や、規模・態様の多様性を考えると、保険会社と全く同じ規制にするというのは好ましくないのではないかと、こういった議論の中で、最終的には、取り扱う商品といたしまして、保険期間が短期であって、保険金の支払いにつきましても、見舞金、葬祭費用、個人の通常の活動で生じる物損等の塡補程度にとどまる少額かつ短期の保険のみであれば、多少、事業特性を踏まえた一定の特例措置を設けることが適当である、とされたと認識をしております。
その理由といたしまして、そこの下に書いてございますけれども、1つは、短期でございますので長期にわたる信用リスクがないことが1点。さらには、少額であるということから、巨大リスクの引き受けを行うものではないという理由が1つ。さらには、そもそも少額短期ゆえに、万一事業者が破綻したとしても、契約者が被る損失が限定されるので、あくまでも契約者が自己責任を一定負えるのではないかという観点から、このような規制になったと承知をしているところでございます。
次の経過措置をご覧ください。あくまでも既存の契約者についての対応ということで、先ほど来話が出ていますように、平成16年当時以前から行われている既存の事業者につきましては、保険会社になるのか、もしくは少額短期保険業者になるのか、択一を迫られたわけでございますけれども、いきなり保険会社になりなさい、少額短期保険業者になりなさいといっても、当然準備が必要ですということで、移行期間というのが設けられたと承知しています。
さらに、それらに加えまして、激変緩和措置というのが設けられております。これは、円滑な移行に配慮するという観点から、既存事業者の特例として、一定の期間、例えば5年程度の期間であれば、本来少額である給付金額の範囲を超える保障についても、少額短期保険業者として同様の規制の枠組みで業務を行う。言いかえれば、一定の期間は、保険会社にならずとも、少額短期保険業者のままで大きな保険金額を引き受けすることができるといった、時限措置であると理解をしているところでございます。
この激変緩和措置というのは、法改正によりまして、平成25年までの7年間の時限措置として設けられました。さらに、その後、再度の改正があって、プラス5年間、通算して12年間に延長されて、来年の3月末でいよいよ日切れを迎えると、こういうステージになるわけでございます。
その際にも議論になったと承知しておりますけれども、当然、実際に今まで過去に引き受けてきたお客様などもいる中で、今後どうしていくのだということで、平成16年の報告書にも記載されているとおり、本来であれば、時限措置終了後というのは本則が適用される少額短期保険業者となることが本筋であろうと考えておりますが、ただ、一方で、激変緩和措置期間と同じような保険金額でお客様に提供したいのであれば、例えば2番、3番に書かせていただいているように、1つは、保険会社の商品と少額短期保険業者の商品を組み合わせて提供するというやり方や、さらに3つ目に書かせていただいているとおり、幅広くやりたいのであれば、保険会社としての免許を受け、少額短期保障に限られることなく事業を行うと、こういった選択肢も示されたと理解をしております。
このような考え方を踏まえると、もう既に10年以上経過しておるわけですけれども、既存の事業者のためのいわば指針としては、まさに今なお妥当なものだと理解をしているところでございます。
ここまでは制度の話でございましたが、次のページ、4ページ目をご覧ください。こちらにつきましては、現在の少額短期保険業者の状況につきまして、私どもの理解をご説明させていただきたいと思っております。左のグラフにあるとおり、少額短期保険業者の数は増え続けていると。先ほど来お話にもありました、直近では95社だとも承知しています。ただ、一方で、この中には、少額短期保険業者から免許を受けて保険会社に移行するといったことを選ばれた事業者もいらっしゃいます。
こちらのグラフの横にございますけれども、既に、新しい特定のニーズにマッチした商品ということで、非常にユニークな商品を出している少額短期保険業者も存在します。例えばこちらに書かせていただいているチケットガードの保険であるとかレスキュー費用保険、こういったユニークな商品も、一方で発売しているということでございます。私どもといたしましては、保険会社がなかなか提供できていない、もしくは提供していない商品を提供することに関して、少額でかつ短期という枠組みの中で、特定のニーズに対応した商品の提供の担い手として今後も少額短期保険業者が活躍していくことは、一定評価をしたいと考えております。
私どもとしても、少額短期保険制度が創設された趣旨を踏まえると、まさに狙いどおりここまで来たのかなとは言えるのではないかと思っております。
最後でございますけれども、今まで申し上げたものを最後にまとめさせていただきまして、当協会の意見として述べさせていただきたいと思っております。まず、左側の箱、こちらは制度論の話で、繰り返しになりますけれども、少額短期保険制度というのは、契約者などの保護、保険会社との公正な競争条件、特定ニーズへの対応といった観点を踏まえて、あくまでも取り扱い商品を少額かつ短期に限定した上で、事業者の破綻の場合でも生じる損失を限定すると。契約者が自己責任を負うことを前提とした、保険会社と異なる緩やかな規制が導入されたと承知しています。これが10年たち、新規参入者については基本的には経過措置がないわけですけれども、先ほど申しましたとおり、新規参入者が増え、ユニークな保険も販売されていることを踏まえますと、少額短期保険制度のまさに当時の趣旨というのが、一定狙いどおり実現できているのではないかと評価するところではあります。
ただ、一方で、こちらに書かせていただいています経過措置につきましては、当時の経過措置の考え方に照らして、契約者などの保護の観点や移行の円滑化という観点から、制度が導入された当時、既に共済事業を行っていた既存の事業者だけを対象とした激変緩和措置として設けられた時限措置であると認識しております。
信用リスクも含めた契約者などの保護の観点、さらには、経過措置の適用を受けない少額短期保険業者が活躍している現状を踏まえますと、当協会といたしましては、こちら、一番下に書かせていただいているとおり、経過措置の目的を達成するための期間というのは、12年間でございますので、既に十分に確保されたと評価させていただきたいと考えているところでございます。
私からの説明は、以上でございます。
【森下座長】
ありがとうございました。
続きまして、外国損害保険協会からお願いいたします。
【小野専務理事】
外国損害保険協会、小野と申します。後に申し上げますが、私どものご説明の背景をよりご理解いただけるために、恐縮ではございますけれども、私どもの協会の説明をごく簡単にさせていただきたく思っております。
私どもは、歴史的にはもう68年ほど前になるのですけれども、昭和24年に、当時の外国保険事業者に関する法律というものが制定されたのを機会に、今の私どもの前身となります外国保険協会が同じ年に設立されておりまして、爾来、幾つかの変遷がございますけれども、現時点では一般社団法人外国損害保険協会という設立に至っております。
会員といたしましては、保険業法第3条等で規定する損害保険業免許を有する者で、国のオリジンといたしましては米国、欧州、アジア諸国でございまして、グローバルに事業展開しております20の保険会社が会員となっております。保険商品といたしましては火災保険、傷害医療保険、賠償保険、自動車保険と、私どもで言うところの元受損害引き受け業務に加えまして、再保険専門会社も会員の中にはおります。
まず、以上を申し上げた上で、本題に入らせていただきたいと思います。今回は少額短期制度に係る経過措置についての議論と承っておりますものですから、その点に絞りまして、私どもの考えなり意見を、簡単に要点だけお話しさせていただきたいと思っています。
私どもといたしましては、本件を考えるに当たりまして、保険という商品をお求めになります消費者、顧客、契約者のお立場、利益のためにはどうあるべきかを、最重要かつ最優先の視点として考察をいたしました。その結果、まず結論を申し上げますと、同経過措置は、平成24年改正法が時限措置として定めたとおりの扱い、すなわち、平成30年3月末をもって終了すると理解するのが妥当であると考えております。理由としては、以下のように考えております。
まず、制度論・立法論からの考え方でありますけれども、平成18年に、それまでの根拠法のない共済に関しまして、当該契約者などの保護の観点から、保険期間が短期のものでありまして、保険金額が少額であるものにつきましては、保険者としての規制・監督が、保険業法が本来求めるそれに比べますと簡素化され、新たにこのとき少額短期保険業者として制度化されたことは周知のとおりでありまして、今朝ほど、あるいは今日も、るるご説明、お話があったとおりでございます。
この制度改変に伴う激変緩和措置として、本則の定める保険金額の上限を大きく超える特例を認める時限措置も法制化されまして、まず、平成24年改正法による追加延長も踏まえますと、来年平成30年3月末まで、結果として通算12年間にわたり、経過措置期間もしくは激変緩和期間があったことになります。この期間によりまして、契約者などの保護及び制度移行の円滑化、時限措置終了後の事業のあり方等の論議に基づく各少額短期保険業者さんによります個別施策の実施等につきましても、相応の時間が十分に確保されたと判断できるのではないかと考えます。
また、次は視点として一番私どもとしては重要視したところでございますけれども、一般に保険商品をお求めになります消費者、お客様、ご契約者の視点・利益が最優先されると考えておりますので、その立場で申し上げますと、本則での保険金額を大きく超える経過措置が長期にわたって適用されるにつれまして、現実には、少額短期業者さんがご提供する保険商品と保険会社が提供する保険商品の違い、あるいは境界が、総じて見えにくくなってきているのではないか。また、契約者保護を目的とします数々の制度や規制、法に基づく監督体制につきましても、それぞれが異なる成り立ちや保険業法上の扱いを持っていることにつきまして、実際のところ個々の顧客には必ずしも周知・理解されていないのではないかと。
以上を考えますと、平成18年法が保険業法による保険会社規制を簡素化しました少額短期保険業者を新たに制度化したことの、このときの本来意味をもう一度ここで確認・議論し、真の顧客本位のあり方を考えるちょうど今のときにおいて、一層の意義があるとも思われています。また、本件に当たりましては、行政の一貫制あるいは透明性という観点からのご議論も必要かなと考えております。
あわせまして、平成18年法により各種規制が簡素化されました少額短期業者さんの多くは、現行規制の枠内で、その特殊性を生かした商品開発、あるいは顧客層の浸透を図ってきたと思っておりまして、特定の顧客のニーズを踏まえた機動的な事業展開が可能となることも、世の中一般に認知され始めていると認識しております。このような事象は、これは今回の議論ではなく、将来の議論のためで申し上げますけれども、少額短期保険業者あるいは保険会社を問わず、顧客目線あるいは顧客本位で考えるときの保険者のあり方について、一つの示唆なり方向性を与えているのではないかとも考えております。
【森下座長】
ありがとうございました。
それでは、続きまして、住友生命保険相互会社からお願いいたします。
【高橋調査広報部長】
住友生命で調査広報部長を務めております高橋でございます。本日は、このような意見表明の機会をいただきまして、まことにありがとうございます。
平成18年に始まりました少額短期保険業制度につきましては、さまざまな特色のある商品を提供されておりまして、お客様の細やかなニーズに応える大変意義のある制度だと我々としても認識してございます。本日のテーマは、その経過措置についてでございますので、早速ですが、生命保険会社の立場から意見を述べさせていただきたいと思います。
資料11をおめくりいただきまして、2ページ目をご覧ください。先ほどの説明とも重複する部分はありますけれども、簡単にご説明をさせていただきます。まず、少短制度の創設時の経緯でございますけれども、まず基本的な考え方ですが、契約者等の保護や公正な競争条件の観点から、少額短期保険業者におかれましても、原則として保険会社と同様の規制がなされるということにされております。しかしながら、引き受ける保険が少額かつ短期に限定されるという事業特定を踏まえた上で、例えば参入規制ですとかセーフティネットなどにつきましては、保険会社との比較では緩やかな規制とされたという経緯があるものと認識してございます。
一方で、下半分、bのところでございます。こちらにつきましては先ほどから繰り返しになりますので説明を省略いたしますが、経過措置が設けられまして、少額短期保険制度が創設された当時、少額の範囲を超える保険契約を行っている事業者があったことを踏まえ、激変緩和措置ということで経過措置が設けられたと認識しているものでございます。
また、経過措置の内容は資料に記載のとおりでございますけれども、来年3月末で12年という期間が経過することになります。この12年という期間は、激変緩和措置として考えた場合には、異例な長期にわたる期間ではないかとも考えられるのではないかと思っております。
また、この経過措置に関しましては、あくまでも激変緩和の観点から設けられたものでありまして、将来的には収束が前提の制度と認識されております。枠外に記載しておりますとおり、経過措置適用事業者におかれましては、お客様に対して時限的な措置である旨の説明義務が課されておりまして、それにご対応されていると認識しているものでございます。
こういった点を踏まえまして、3ページをご覧ください。これらにつきましての考え方の、生命保険会社の立場から説明をさせていただきます。まず、経過措置につきましては、新契約部分と既契約部分がございますので、それぞれについて考え方を記載してございます。結論といたしましては、いずれもこれ以上の延長をすべき必要性はないのではないかと考えておりますが、理由は以下のとおりでございます。
まず、上の新契約部分でございます。1点目は、制度創設当時、規制のあり方等を審議いたしました金融審議会の第二部会の報告書では、経過措置については一定の期間、例えば5年程度に限り時限措置を設けることが適当という見解が示されているものでございます。また、2点目といたしましては、経過措置適用事業者は少額短期保険業者89社のうちの15社となっておりますけれども、経過措置適用事業者のみに限って本則を超える新契約の募集を認めるべき事情というのがなかなか見いだしがたいのではないかなとも考えているところでございます。
続きまして、下半分、既契約部分のところでございます。理由の1点目は、新契約部分同様、経過措置は5年程度に限るという前提で導入されたものと認識しているところでございます。また、2点目といたしましては、先ほども申し上げたとおり、経過措置事業者におかれましては、経過措置は時限的な措置である旨をお客様に説明する義務が課されているものでありますので、お客様におかれましても、この経過措置が収束することにつきましては、ご認識・ご理解というのが一定得られているのではないかと考えているものでございます。
このような考え方のもと、4ページが意見のまとめになります。経過措置につきましては、これまで申し上げた点を踏まえますと、制度創設時の趣旨及び既に12年が経過しているという事実を考えますと、この平成30年3月末をもって収束すべきではないかと考えてございます。その上で、仮に経過措置を延長する場合、その前提といたしましては、次の2点につきまして、特に慎重なご検討が必要なのではないかなと考えてございます。
まず1点目につきましては、この経過措置を今回延長する必要性でございます。既契約部分につきましては、既契約者保護というのを中心として、その理由を先ほどご説明いただいているかと思いますが、その理由から延長を求める必要があるのかどうかという点と、とりわけ新契約部分につきましては、ニーズがあるという理由も挙げられていらっしゃいましたけれども、創設当時の趣旨に照らせば、それが少額短期という枠組みの中で対応すべきものなのかどうかということについて、いろいろとご検討いただければと考えているものでございます。
2点目につきましては、今回、仮に経過措置を延長するにいたしましても、我々といたしましては、これはあくまでも時限措置と考えてございますので、経過措置適用事業者をはじめとされました関係者が、どのような対応を収束に向けて講じていくべきなのかという点についても、慎重にご検討いただきたいと思ってございます。ここでは例えばということで、説明義務のところだけを書いてございますけれども、それ以外の理由ということがあるのであれば、そういうことも含めて、対応の要否をご検討いただけないかと考えるものでございます。
以上、生命保険会社の立場からの意見を申し上げさせていただきました。繰り返しとなりますけれども、こちらの制度創設時の趣旨や、経過措置が既に12年という長期間にわたっている事実も踏まえた上で、ご検討いただければと思います。
なお、5ページ目以降につきましては参考でございますが、5ページ目、6ページ目だけ、簡単に何が書いてあるかだけご説明をさせていただきたいと思います。
まず、5ページ目につきましては、死亡保障の本則金額につきましては、当時、葬儀費用相当額を参考に設定されたという経緯があったと聞いておりますので、葬儀費用の推移を示したものでございます。平成15年当時約236万円だったものが、直近の平成28年では195万円と、減少傾向になっているということでございます。ですので、当時、葬儀費用相当額を参考に設定された300万円という本則金額につきまして、現在につきましてもある程度妥当なのではないかと考えるものでございます。
もう1点、6ページのところは医療保障関係でございまして、医療保障の中心となります入院につきましてのデータをお示ししてございます。左側が自己負担費用で、右側が平均在院日数の年次推移でございまして、いずれも創設当時と比べますと、自己負担費用、在院日数につきましても減少傾向が見られることから、死亡保障、医療保障ともに、制度創設当時と現在で保険金額を引き上げる必要性が見いだせるような変化はないのではないかと考えているところでございます。
7ページは、ご覧のとおりでございますので、説明は省略させていただきます。
【森下座長】
ありがとうございました。それでは、これまでの事務局説明や業界の方々からのご説明などに関しまして、委員の方々からのご質問、ご意見などをお願いできればと思います。
水口委員。
【水口委員】
ありがとうございます。皆様のご説明を伺いまして、少額短期保険業者はユニークなニーズを機動的に消費者に提供してきた実態を確認させていただきました。また、経過措置適用者の、本則にのっとった業務の構成比も高まってはきているということで、何らかの対応は進めていらっしゃったのではないかと推測いたします。
いろいろご説明いただいた内容に加え、もともと少額短期保険業者については、契約者の保護や公正な競争条件、特定ニーズへの対応といった観点から、本則で定めるような金額とか期間の上限を設けているという過去の議論を確認させていただきましたが、改めてこうした議論は妥当であろうと感じております。
少額短期保険業者の経過措置を設けられた以降も、当該措置の適用範囲外である新規参入者も多く、こうした新規事業者は、本則の範囲内で新たな特定ニーズに対応してきていることも認識させていただきました。
規制上の制約がなかりせば、少額短期保険業者の業務運営にはリスク管理の観点等から課題があることも想定されるのではないかと思います。例えば複数の少額短期保険業者は、伝統的な保険会社が必ずしも提供しない、ほんとうに新たなユニークなニーズをタイムリーに捕捉されていると。そういった背景に、商品開発の際に、もしかしたら蓄積データがあまりない中で、基礎率の裏づけを事前に整備することは限界がある場合も想定されるのではないかと思いました。そうすると、事業分野が少額短期であるからこそ、万が一、基礎率よりも支払いが上回ったときにも、その影響が一定程度限定的になり得るといったことが、特記に値するのではないかと考えます。
ですから、こういった少額短期という制約があるからこそ、こうした機動的なユニークな商品の提供も可能になるような側面も、もしかしたらあるのかもしれないなという感想を持ちました。
それから、先ほど来、これが経過措置であることなどについての周知徹底のお話もありましたが、それに加えて、こういった少額短期保険業者に係る緩やかな規制の意味合いを踏まえることが肝要であると思います。つまり、少額短期保険業者のリスク管理や募集体制などの体制整備の充実度合いは保険会社とは異なると思います。少額短期保険業者はリスク管理等の体制整備の充実度合いと上限制限も含めたリスクテークのバランスをとった上で、消費者ニーズに応えつつ、セーフティーネットがない消費者の自己責任などについても周知徹底することが、消費者保護に資するという考え方が成り立つのではないかと、今のところ考えております。
【森下座長】
ありがとうございました。
それでは、後藤委員、お願いします。
【後藤委員】
おはようございます。ご説明をどうもありがとうございました。恥ずかしながら、少額短期保険業者の経過措置がこんなに長く続いていることを、私は存じ上げなかったのですが、経過措置が12年続いているというのは確かに長いという気がするところですし、また、激変緩和措置として導入されたという位置付けにも合致しないのではないかという理論的な懸念もあると思います。
ただ、他方で、今日の各少短業者様のお話を伺っておりますと、少額短期保険の「少額」をどう定義するのかというところが結局一番の問題であるように思います。生保協会様、損保協会様のお話では、「少額」とは本則の金額であり、これで十分なのではないかということですが、実際に少額短期保険をやっておられる業者様からは、本則の金額では結局ニーズに応えることができないのであるということでした。
平成16年の審議会の際に、見舞金、葬儀費用、個人の通常の活動で生じる物損等の塡補程度にとどまる等、少額短期保障のみの取り扱いを行う事業者というフレーズがあったわけですけれども、ここの「等」に何が入ってくるのかという問題でして、例えば死亡保障の300万円というのは、葬儀費用が大体それぐらいが平均値であるからだというところがあったわけですが、先ほどの、外国人向けの保険をやっておられる会社様からは、外国人向けという限られたマーケットに向けて、葬儀費用ではなくて、本国にいる家族の保障を考えているのだということでした。そういう新しいニーズを見出されてやっておられるわけですが、これをおそらくフルラインの保険会社としてやった場合には、コスト的にもたないということであるのかと思います。このような新しいニッチなマーケットを見出していく、これが少短業者の存在意義であることは、生命保険協会様も損害保険協会様も認めておられるようにお伺いいたしました。
そうしますと、この改正をした当初に念頭にあったのは根拠法のない共済であって、どちらかというと伝統的な、ただ限られた領域でやっているものというところがあったのですけれども、その後十何年を経て新たな商品がいろいろ生み出されてきた中で、今回は経過措置の議論をするのだと認識はしておりますけれども、おそらく本質的な問題としては、本則の金額がこれでいいのだろうかということも含んでいるように考えております。
ただ、平成16年の際に、ここの金額だからこそ契約者、被保険者に与える影響が少ないので、軽い規制でよろしいということになったことでもありますので、仮に本則の金額が上がるということがあるのであれば、そこまで上げるのであれば、例えば、セーフティーネットを整備しなくてよいのかという問題が出てくるのかと思っております。
今回は経過措置をどうするかという議論をするよいうことですので、今申し上げたことを直接取り上げることは難しいのでしょうが、仮に今回、経過措置を何らかの形で継続するということなのであれば、将来的には、少額短期保険制度全体のあり方、本則の金額、さらには、少短業者に、ひょっとしたら少短業者の中を2つに分けることがあり得るのかもしれませんけれども、契約者の保護という平成16年改正の理念を実現するために、どのように規制をかけていくのがいいのかということも、一定の時間をかけて検討することが望ましいのではないかなと感じております。
【森下座長】
ありがとうございました。
吉村委員。
【吉村委員】
ありがとうございます。私から質問をさせていただきたいのは、まず、基本的に今回は経過措置の検討会ですので、もし延長するということであれば、何の経過を待つのかをはっきりさせる必要があるのかなと思っています。その判断の材料としまして、少額短期保険協会様でも、業界内で議論をされた際に、既契約の経過措置の適用会社とそれ以外の会社で議論したというお話がありましたけれども、そこで、経過措置が適用されていない会社様は、この措置をどのように思っているのかという点が1点。
もう1つは、今日ご説明された少額短期の皆さんの多くは、結構規模の大きな会社様だったように思います。この制度は総額として保険料が50億円という制限が、これはかなりの議論をした上で設定された基準だとは思うのですけれども、それに結構もう近づいておられるということと、業績としてはかなり進展されているということですので、何年かで上限に達する可能性が非常に高いのではないかなと思うのですけれども、そこはどう考えておられるのか。もし保険会社になられるということであれば、あまり経過措置は関係ないということになりますので、そこをお伺いさせていただければと思いました。
【森下座長】
ありがとうございます。
杉本さん、お願いします。
【杉本会長】
ただいま大きく2つの質問がございました。1つは、経過措置を使っていない会社も業界の中にはたくさんいる中で、業界内ではどういう議論がなされてきたかと。経過措置を使っていない会社は主にどういうことを考えていらっしゃるかということが1つ。2つ目は、規模の大きなところも中に含まれていて、我々はご存じのとおり、収入保険料50億円を超えると少短ではなくなってしまうという規制がございますので、そちらについてどう対応していくかという2つの質問だということで認識しておりまして、まず1つ目のお話の回答でございます。
先ほど私の資料でもございましたとおり、業界内で特別のPTというものを設けました。そのプロジェクトチームの中には、経過措置を使っている会社、使っていない会社がまざって議論していますし、PTに参加していなかった業者に対しても、適時情報連携をしていたということでございます。
先ほども申し上げましたとおり、総意という意味で言うと、使っていない会社、使っている会社、お互いにハッピーになる形での本則化を希望するというのはございました。ですが、相当それは、いろいろな保険の枠組みだったり、業際問題だったり、または、権利をもらうためには義務が必要になりますから、いろいろなことを考えると、なかなかそういうことで議論を進めることは、今日的には、時間もございましたので、まだハードルが高いということで、結果的に業界の総意でございます。これは適用していない会社も含めて、総意として経過措置の延長を望んでいるわけでございますので、そのあたりはそういう趣旨で、今日、私がここで発言したということでございます。
2つ目につきましては、ここは個社の経営戦略にかなり依存してくるところでございます。制度がそうなっていると。実際に我々も民間企業ですので、事業を拡大していくことによって、結果的に50億円のバーに近くなってくるというのはあるかもしれません。その場合は、個社のことは、私はこの場で具体的な発言は全くできないのですけれども、損保や生保を選択される会社、または、今、実際の事例としては、同じグループ内に2社、少短会社を持っていらっしゃる方々もいらっしゃいますので、それで1枚の申込書で2つの引き受けを行うことによって、共同保険ですけれども、その形で法令上、上限に達していないという形でございますので、そのあたりは各社の経営戦略になってくるかと思います。
【森下座長】
ありがとうございました。よろしいですか。
坂委員、お願いします。
【坂委員】
いろいろご説明ありがとうございます。今回、この経過措置をどうするかということで議論になっておりますけれども、本来の議論の筋から言うと、経過期間が終わるということであれば、終わるというのが本来の筋だろうとは思うのですが、ただ、出ておりますように、必要があれば必要な範囲で継続することは、これは必要なことかと思います。問題は、必要があれば必要な範囲というのがどこなのかと思うのですけれども、実際は、いろいろお話をお聞きしますと、3つの異なる局面といいますか、やや性格の違う局面があるのではないかという印象を受けております。
1つは、保障対象の特殊性から、生損保の会社さんで商品供給が難しいといいますか、なかなかできにくい分野、ニッチな市場と言うのかもしれませんけれども、こういったものについては生損保での商品供給が難しいので、その保障をどのように確保していくのかという観点からの議論が必要かなと感じております。
2つ目が、生損保も商品供給はしているけれども、額の少ない部分について供給がされていないというもので、これについては、先ほど説明がなかったのですけれども、少短協会で出されている資料の中で、資料8の中の資料②がついているのですけれども、生損保業界とのすみ分けという資料を出していただいています。ここでは、生保の商品と、それから損保の商品とについて、それぞれ最高額が太枠で囲ってあるのですが、気になりますのはどちらかというと最低金額で、最低額が生損保とも高い数字にあるのであれば、なかなか低い水準の商品供給は必ずしも十分でないといいますか、そういった点が少し心配になるところで、そういった観点からの検討も必要かと思います。
それから、もう1つ、3つ目の局面ですけれども、これは生損保の商品供給が全く競合するような性格のものもあるだろうと思います。ここについてどう考えるのかはいろいろ考え方があり得ると思うのですけれども、これはきちんとしっかりと規制が入っている生損保で扱ってほしいという考え方もあるでしょうし、他方で、そうではなくて、少額短期という枠組みなのであれば、それに対応した規制枠組みの会社がきちんと供給していくことに意義を見いだすという考え方。フル装備の生損保と、それから少額短期の会社の間の競争といいますか、そういったところに意義を見いだすことも、議論としてはあり得るかなと感じております。
そういった観点からいろいろ見ていきますと、今回出てきている各個別の分野においてほんとうに議論していくと、いろいろな細かいことを検討しなければならないだろうなと感じてはおるのですけれども、全体としては、今回協会さんで出されている要望の水準というのは、少なくとも現状を踏まえて、全体として当面の間、経過をするという観点からすると、一つの水準を提示されているのかなという印象を受けております。
【森下座長】
ありがとうございました。いかがでしょうか。
では、唯根委員、お願いします。
【唯根委員】
ありがとうございます。意見というより感想になってしまいますけれども、少額短期保険がこれだけ種類があって、消費者に近いニーズのものが多いということでは、私、ほんとうに消費者側として知識が足りなかったなと反省しつつ伺ったところです。ただ、金額や保障につきましては、一番シェアが大きい賃貸借契約に伴う家財保険や何かにつきましては、賃貸側というのでしょうか、家主さん側からすれば高額にしてほしいというニーズはあると思うのですが、借りる側からすれば、逆に賃貸借契約とセットになっていて、保険会社を選べない、それから、強制的に契約しなければその物件を借りられないという現状の不満もあったりするわけです。それについては、家財保険の限度というのが、先ほどのご説明の中で高額になってきているというのですけれども、それは近年は当然、賃貸物件で何千万、それこそ億ションの賃貸物件もございますから、そういう物件にかかるような保険なのかなと思いました。それらは通常の一般的な消費者の賃貸借の契約とは、部類が違う話ではないかという感想を持ちました。
それと、葬儀費用に関しましても、12年前の当時と、生保協会さんの出された資料なんかでもそうですけれども、今の時代、葬儀をやらないで、家族葬という言葉とか密葬という言葉が随分最近ははやっているぐらいで、金額や規模を抑えたいとか、自分の持っている現金でやれればいいというような、消費者側のニーズが随分変わってきているところも多いです。なので、そういう分野では、もう少し商品開発、商品設計の部分で検討していただけないかというところを感じております。
私たち消費者側が心配するのは、少額短期の保険で高額になると、それこそ先ほど水口委員がおっしゃられたように、セーフティーネットの部分で不安が出てきてしまいます。経過措置につきましては、ほんとうに事実を知ってびっくりして、これで12年、これって経過になるのかなという疑問を少々感じた次第です。経過措置というのなら、この間、短期少額保険では2年か1年の契約なのに、繰り返し、更新のときに消費者にどれだけの説明を十分にしてきたのか、消費者がどれだけ理解ができていたのだろうかというところを、業界の方々には伺ってみたいなと思いました。
【森下座長】
それでは、杉本さん、お願いします。
【杉本会長】
ありがとうございます。今、幾つか論点があったかと思いますので、順にご説明を申し上げます。まず、賃貸住宅での経過措置の契約が多い中で、私が先ほど説明しなかった資料①というのをご覧いただきながら、低発生率と賠償責任の具体的なケースについて、若干補足をさせていただきたいなと思います。
この資料のやや下あたりに表がございまして、これは具体的なケースでございますけれども、億ションだから1,000万円を超えるというわけではなく、それはそういうことは当然ありますけれども、一般的に住んでいらっしゃる普通のアパートやマンションでも、実際に1回の事故が起きて1,000万円を超えるというケースというのはございます。こちらに2つほど事由が発生して、上が水漏れで、下がガス爆発の事故と書きましたけれども、借家人、オーナー様への賠償と、あと個人賠償というのは、これは隣人への賠償でございますけれども、例えば水漏れ事故が起きたという場合ですと、自分が上のフロアに住んでいますと、ずっと下に水が流れていくわけですね。そうした結果、たくさんの部屋の持ち物だったり壁・床だったりというのに損害を与えてしまうと、トータルで1,000万円を超えてしまうというケースが起きます。また、ガス爆発でも同じように、周辺の方々の財産に損害を与えてしまうというケースがございますので、必ずしもめったに起きないのではないかということではなくて、このようなケースが普通の家庭にも起き得るということでございます。
次に、葬儀費用のところも言及がございましたけれども、葬儀費用も、先ほどSBIいきいきさんの説明にもございましたけれども、平均的には確かに300万円以下でございますけれども、平均というのは平均でございますので、分散をするわけでございますので、300万円を超える地域だったり、また、具体的に愛知県という話もございましたけれども、そのような一定の特定のニーズはあると我々は捉えていますので、平均だけではなくて、分散も見るべきだと思ってございます。
また、セーフティーネットへの不安という話もございましたけれども、まず事実として申し上げることとしましては、少短発足平成18年から約12年経つ中で、ご契約者様にご迷惑をおかけする形での破綻というのがゼロ社でございます。今、もう95社ございますけれども、ランオフといいまして、保有契約をゼロにしてから事業をたたむという形のは2社ございましたけれども、実際に破綻というのはゼロでございます。それも事実としてございますのと、あと、制度としましては、今回、経過措置で本則を超える部分といいますのは、これは、出再、再保険に出して、万が一不測の事態が起きたとき、つまり、何か大きなことが起きて急激に保険金を支払うという場合については出再されていることも制度としてございまして、実際にその制度にのっとって運営をしております。また、供託制度もございますけれども、いろいろな形でセーフティーネットがないところをカバーするような制度運営がなされているということでございます。
【森下座長】
ありがとうございました。
後藤委員、その後、水口委員、お願いします。
【後藤委員】
ありがとうございます。今の点についてお伺いをしたいことがあるのですけれども、経過措置によって本則を超える金額でやっている場合に、仮に破綻した場合に契約者が被害を受けることがあるのかどうか。今まで破綻はゼロ件であるというのは非常にすばらしいことではあるかと思うのですが、今までゼロ件であることは、今後もゼロ件であることを何ら保証しないかと思いますので、そのときにどうするかが問題だと思います。
今、供託金があるということですけれども、供託金は1,000万円プラス前年度の年間収入保険料の5%です。これが十分なのかどうなのかを判断する能力を持ち合わせておりませんけれども、契約者保護機構に入ることに比べれば、おそらくカバレッジは低いだろうということが想定されるわけですし、出再をされているというお話もありましたが、100%出再したら利益が出ないでしょうから、100%ではないのかなとも素人考えで思うところですけれども、そのあたりはどうなのかということを少額短期保険業者協会様にお伺いできればと思います。また、監督局では、少額短期保険業者の経営状態をどの程度把握されているのでしょうか。破綻はゼロということですが、ランオフが2件あったということは、おそらく事業をたたまれるという判断をしたということですので、経営状態が思わしくない会社もあるということを意味しているように思います。契約者に迷惑をかけないようにされたことは非常に結構なことかと思うのですけれども、ただ、全ての会社がいい業績なわけではないのかもしれないという懸念もあるところですので、その点を、非常にざくっとした質問で恐縮ですけれども、お聞かせいただければ幸いです。
【森下座長】
それでは、杉本さん、お願いします。
【杉本会長】
私からお答えいたします。制度があることは先ほど申し上げた内容でございまして、その制度があったとしても実際に万一のことが起きるのではないかというお話でございますが、そのことを否定するつもりは全くございませんが、実際に起きないようにどういうことをしているかということの補足説明をさせていただきますと、個社マター、経営というのは個社がやるわけですので、協会が能動的に何かをやるというわけではないのですけれども、監督官庁が財務局になってございます。関東財務局が一番多く業者を抱えていらっしゃるのでございますけれども、その中で非常に綿密な業者と行政の間で連携がされていると聞いておりまして、契約者にご迷惑をおかけするような経営状態にならないように、仮になっていた場合についての綿密なフォローというのが、現実として、今、なされていると聞いています。その結果として、今、事象としては、破綻がゼロとなっていると認識しております。
【森下座長】
ありがとうございます。事務局からどうでしょうか。
【籠損害保険・少額短期保険監督室長】
監督局でございます。個別会社の経営状況についてお尋ねかということでございますが、まことに申しわけないのでございますが、個別会社様の経営内容に関しまして、私ども当局からお話しすることは難しいかと思いますので、ここでは避けたいと思っておりますが、ただ、当局といたしまして、先ほど会長からもございましたが、我々金融庁あるいは財務局におきまして各少短業者様の監督をさせていただいておりまして、各業者が健全性の確保に向けていろいろ取り組みをされているかと思いますが、自主的な取り組みを期待するとともに、あわせまして当局といたしましても、例えば決算期等にモニタリング等を行いまして、必要に応じまして決算の状況ですとか経営戦略等をヒアリングを行いまして、引き続き各業者様の健全性確保に向けた取り組みを注視してまいりたいと思っているところでございます。恐縮ですが、そういうことでご理解お願いいたします。
【森下座長】
それでは、水口委員、お願いします。
【水口委員】
ありがとうございます。今、現状、破綻があったかとか、契約者に負担をかけたことがあったかということの事実確認も重要だと思います。その一方で、ここで本則の金額をどうするかという話もある中で協会から、さらに、それからユニークな新しい先駆的な商品をもっと提供していきたいということもあったと思います。もしかしたら、なるべく長く、もう少し大きい額の金額の保障も提供してほしいというニーズがあるんだと、お客様に寄り添いたいというお気持ちもあるようにも聞こえました。仮にそういうことができるようになると、少額短期保険業者の抱えるリスクプロファイルが変わってくることになると思います。
その場合に、通常の保険会社であれば、商品を世に出すときに、相当いろいろな角度から精査をして、いろいろな形でリスクシナリオを考えながら商品を開発していらっしゃると思うのですけれども、少額短期保険業者は、どこまでのプロセスを踏み得るのでしょうか。そういった観点からいいますと、ニーズがあるということで、それに応えたいというお気持ちもわかるのですけれども、少額短期保険業者は、そういった多面的なリスク、もっと複雑なリスク・プロフィール、もっと高額なものまで保障することについて、今までの経験のあまりない形でどういった支払いが発生するかを視野に入れ得る十分な体制を持っていらっしゃるのですかということについても非常に気になるところでございます。高額カバーの提供等と体制整備の充実度合いとはセットで考えるべきではないかと思います。
ですから、先ほど吉村委員から保険会社になられるお気持ちはある少短業者はいらっしゃるのですかというご質問もありましたけれども、もっと高額なものとか、いろいろな商品にさらにチャレンジされていくことになりますと、より充実した管理体制を持たれる義務を課される形で、そういったことをお考えになるというのも意味があるのかなと、今のところ考えております。
【森下座長】
ありがとうございました。
吉村委員、お願いします。
【吉村委員】
先ほど坂委員から商品供給の話が少し出ました。その点で、今回、こうやって検討会に参加させていただくということになりましたが、保険会社が傘下に少額短期をお持ちのケースもあるということですが、保険会社でいろいろ提供できるのに、なぜ少額短期を持つのかというところがよくわからなくて、そこが万が一、規制のアービトラージみたいな形になると、それは制度としてどうかなというのが1つ考えたところです。
もう1点は、先ほど杉本さんからも、本則以上のところは出再しているよという話がありました。それはリスクマネジメントとして望ましいことだと思うのですけれども、これは正しいかどうかわからないのですが、パラパラとディスクロ資料等を見ると、本則の部分を含めて結構再保険に出している会社が、ここは事務局でまた確認していただけたらと思うのですけれども、かなりの部分を再保険に頼って商品供給をされているところがあるのではないかと。もし仮にそうだとすると、そこは少額でユニークな保険ということで、再保険会社の価格交渉力というのは多分強いのでしょうし、そもそも少額短期の制度が代理店みたいな形で手数料収入をベースにしたものとなると、若干制度としては課題があるのかなと思いました。
【森下座長】
坂委員、お願いします。
【坂委員】
今ご指摘の出再について、同様の少し疑問といいますか、検討すべきところがあるのかなという印象を持っております。
それとは違う点ですけれども、先ほど来出ている商品性のチェックといった点について、もし将来的に本則を見直すことがあれば、そこも含めて検討しなければならないだろうとは思っておるのですが、現状の中でどこまでそれがされているのかということをおうかがいしたいと思います。平成16年の報告書を拝見しますと、当初は届け出でやると。ただ、そのときに保険計理人でチェックして意見書を出しますということになっていて、それだけではなくて、その後も事後チェックをしますということが言われている。そういった保険計理人の関与を前提として、実際の決算報告時に保険事故の発生状況等を踏まえて事後チェックをすることが、平成16年当時の報告書で言われているのですけれども、ここらあたりのところが、実際どの程度どういった形で行われていて、あるいは、これが行政との関係で、例えば財務局への情報提供ですとか、あるいは監督がどの程度実効的にされているのか。
もう1つ、こういった点について、一般への情報公開時についてはどういった程度でされているのか、教えていただければと思います。
【森下座長】
杉本さん、お願いします。
【杉本会長】
ありがとうございます。私が回答いたします。
まず、私が先ほど、少額短期保険業のアイデンティティーとして、日本初のような新しい部分と伝統的な部分と申し上げたと思いますけれども、新しい分野、新商品をつくることや、日本初のものをつくるというのは、このアイデンティティーで言うと、1つ目、新しい分野にチャレンジするというところだと思います。
一方で、本日のテーマは経過措置の内容でございまして、これはどちらかというと伝統的な部分が今日の論点になってございます。少額短期保険業をご理解いただくために、いろいろ我々のプレゼンテーションの資料の中で、少短の特徴としていろいろ書いたわけです。今までのご質問がいろいろございますけれども、新しい商品をつくるというのは、本則でやっているケースがまず前提としてあるとお考えいただければありがたいです。
そうした中で、例えば再保険の話もいたしましたので、そのあたりについての現状をお話をさせていただきますけれども、ご指摘のとおり、再保険については、本則を超える部分のみならず、本則の範囲の部分についても出再している会社があるということでございます。これはどういう戦略を持って出再しているかというのは、これもまた個社マターでございますので、一般論として協会として申し上げたいなと思いますけれども、業界では、再保険とは主に2つの意味合いがあると捉えております。
1つは、まさに再保険、リスク転嫁でございます。こちらは、不測の大量の保険金を支払うときのリスクヘッジでございます。もう1つは、責任準備金という負債勘定が、保険を売れば売るほどたまっていく構造になっていて、その責任準備金は出再する分は控除されますので、そのあたりの会計上の主だった対処という部分がございまして、これは専門的な話になり過ぎるので、あまり詳しくはここではご説明申し上げませんが、そういう2つの理由がございまして再保険を出している会社というのがございますので、出再率が極めて高くて、元請ではなくて代理店のようになってくるのではないかというご指摘があったわけですけれども、必ずしも全てリスク転嫁だけを目的としたわけではないことをご理解いただければと思います。
次に、新しい商品というのは、確かに既存の損害率が乏しい分野でつくりますので、そのあたり、どのようにやっているのか、または、1つの商品をつくった後の事後チェックをどうしているのかという話でございますけれども、まず、経過措置なので、元請の本則の部分でつくることを前提にお話をいたします。そういった中でも、新しい商品をつくる際には、可能な限り妥当な客観的なデータをもとにつくりますし、実際に法令では届け出となっているものの、新商品については綿密に行政当局と事前に相談しながら、行政当局でも専門家の方がいらっしゃいますので、その方々と協議しながら、契約者にご迷惑をおかけしない形の保険料の妥当性というのを十分チェックした上で、商品化をして世の中に出していくことをやっております。
ですので、実際に大きな問題は今起きていないという状況でございますし、事後チェックにつきましては、当然我々、決算として決算状況も出しますし、あとは計理人の意見書を毎年決算書にはつけて出すことが法令で義務になっていますし、実際にやっている次第でございます。また、ディスクロージャーという形で、これも義務としてございまして、公衆の縦覧に供するということで各社やってございます。そのディスクロージャーとして出すべき項目も非常に多岐にわたっておりますので、ご契約者様に経営の実態を見ていただくことも実際にはやってございまして、特に今のところ、12年事業をやっている中で、問題が生じたケースは非常に少ないと認識しております。
【森下座長】
水口委員、お願いします。
【水口委員】
お伺いしたいのですけれども、そうしますと、機動的に新しいニーズに対応されるときには、基本的に本則内の少額のものにしていらっしゃるという理解でよろしいのですか。万々が一、基礎率を安全に見た上でも、結果として、基礎率以上の支払いが出たとしても、保障している額があまり大きくなければそのインパクトが比較的小さいとは考えるのですけれども、ユニークな先進的なニーズについては、本則内の商品を提供されているというご説明だったと理解すればよろしいでしょうか。
【森下座長】
お願いします。
【杉本会長】
私がご説明した資料の3ページをご覧いただきまして、下にユニークな商品群ということで幾つか書いてございます。健康年齢保険と書いていますし、LGBT対応保険、障害者と、こう書いていますけれども、当時、共済のときからやっていらっしゃる方々については、一部経過措置を使っていらっしゃる方もいらっしゃいますけれども、世の中で今、先ほどの損保さんの資料でしたか、チケットガードとか、いろいろ書いていますよね。あのような新しい商品をつくっている会社というのは、経過措置適用会社以外の会社が非常に多いという状況でございまして、新規マーケットをにらんで新規参入していらっしゃる会社が、実際に少短業界の一つのアイデンティティーをつくっていただいているという状況になってございます。
【水口委員】
ということは、本則にのっとってということになっているのですね。
【杉本会長】
はい。
【水口委員】
わかりました。
【森下座長】
よろしいですか。
少短業者の現状ですとか、ビジネスが今どうなのかについて、いろいろご意見、ご質疑が多々あったかと思うのですけれども、経過措置に関してどういう考え方で臨んでいったらいいのかについてはいかがですか。先ほど坂委員から、一つの水準ではないかというお話があったのかなと思います。委員の皆さん、いかがでしょうか。
どうぞ、水口委員。
【水口委員】
坂委員のおっしゃったように、全ての商品が同じような位置づけではないということはあると思います。新たに追加的に次の課題として考えるべきこともあるかもしれませんけれども、現在においても、現行制度の背景にある議論は妥当だと考えております。
セーフティーネットがないことに加え、激変緩和措置としての、契約については本則に定める上限よりも高額のものを売っている場合もあることを、どういった形で、今、周知徹底されているのか、掌握はさせていただけていないところではありますが、募集人等のさらなる働きかけなども、一つの施策としてあるかと思います。前述した事項が周知徹底されていくことで、全少額短期保険業者による本則にのっとった事業展開に向けて収束するような道を考えるのが妥当だと思います。
【森下座長】
ありがとうございました。吉村委員。
【吉村委員】
何か非常にセンシティブなところなのであれですけれども、1つ思ったのは、医療を扱っておられる少短で、今日もプレゼンされたところがあったと思いますけれども、結構高齢者の方が多いということで、逆にこれから発生率がすごく高くなっていくのではないかと思いますので、むしろ経営的にはエクスポージャーを下げるという考え方もあるのではないかなと1点思ったのと、もう1つ、監督局から出していただきました経過措置適用会社の被保険者の分布の推移で、これで経過措置を提供されている被保険者の数だとか、保険種類別に見させていただきますと、医療保険なんかでは2倍ぐらいみたいなところのニードが非常に大きいということがよくわかります。ただ、これをほんとうに少短がやらないといけないのかというところはよくわからないのですけれども、そこはニードがあるんだろうと。
もう1点、損害保障については、賠償責任のところですか、今日もお話がありましたように、1,000万円を超えるところも結構ニードがあるような感じがしますし、あとはディストリビューションということで、損保とはダブっていないというご説明なんかありましたので、そういうところについては一定の消費者にも利益もあるという部分なのかなと思いました。
【森下座長】
ありがとうございました。
後藤委員、お願いします。
【後藤委員】
ありがとうございます。今日伺ったお話からしますと、まだまだ本則以上のニーズを担当されている会社がいっぱいあるということで、今から半年後に経過措置を全部スパッと切るというのはためらわれるところではございます。
先ほど申し上げましたように、永遠に続けるわけにもいかないだろうということで、将来どうランディングさせるかを今後検討していく必要があるとは思いますが、今回は何らかの延長は少なくともしなければいけないのかなとも思われるところでございます。そうしますと、問題はどの程度の経過措置を何年認めるのかというところで、必ずしも数字が私から出るわけではないのですが、当事者である少額短期保険協会様から、新規契約は、今3倍であるのを2倍にしましょうというご提案がありますので、数字としてはそれしかないだろうなと思います。ただ、既契約をどうするのかというところが理論的には気になるところでございまして、既契約のところでは、生保・医療系の再加入困難性という話が出てくるのですけれども、そうしますと、少なくとも死亡と医療に限ればいいお話なのではないかなという気もいたします。傷害死亡保険をどう見るかというのは難しいところではありますが、損害保険のところで平成25年末日までにやっていたものを5,000万円というのは、本則との開きがあり過ぎるような気がいたしますし、再加入困難性というところでは説明がおよそつかないのではないかという気もいたしております。
また、死亡保険・医療保険につきましても、今現在あるものは仕方ないのかもしれませんが、そのままでいいのかどうかというと、経過措置の延長の是非がどの程度影響を与えるのかを考える必要があると思います。生命保険、死亡保険自体の表というのはありませんでしたが、経過措置によるものの割合がかなり少なくなっているようなことがあるのであれば、今後も経過措置を永遠に続けるわけではないことを示すためには、これはもっと詳しいデータを見た上でなければ言えないことではありますけれども、既契約分もずっとそのまま続くことは、少し考え直したほうがいいのではないかという気がしているところでございます。
【森下座長】
ありがとうございました。
杉本さん、お願いします。
【杉本会長】
今、第2分野、損害保険の低発生率のところで、既契約についての経過措置についてご意見を頂戴いたしましたが、そこで若干こちらから事実を述べたいと思いますが、事務局でつくっていただいた資料3の6ページの右側に「損害補償(低発生率保険含む)」というグラフがございまして、これの一番右上に「2倍以下は98.4%」という記載がございます。経過措置、平成25年までのものは5,000万円という、制度としては存在はするにせよ、実際に賃貸住宅に入居される方というのは、永久にずっとその物件にいるわけではなくて、先ほど日本共済さんの資料にもございましたけれども、平均すると30カ月で退去され、通常、保険は解約されて出ていかれます。
ですので、第1分野、第3分野との大きな違いは、そのようなお客様自身の契約が更新を含めて短期であるということで、その結果、事実として、今、2倍以下が98.4%となってございますので、制度としては要望はこのとおりですけれども、実態としては、あまりそこに含まれる顧客数は少ないということでございます。
【森下座長】
ありがとうございました。よろしいですか。
坂委員、お願いします。
【坂委員】
具体的な個別の分野の話で言いますと、今ご指摘いただいた事務局資料の6ページに出てくる2つの分野が、非常にいろいろ考えなければいけないのかなという印象を持っています。経過措置との関係で言いますと、これを見ますと、医療保障が経過措置を今回要望のとおりとったとしても、それを超えるものが2.0万人、約半分になりますので、ここらあたりについては、先ほど高い金額が必要だというお話もありましたけれども、基本的には少なくとも今回の経過措置の金額に収まっているような方向で推移させていくことが必要なのではないかなという印象を受けております。
それとの関係では、生保協会で出されている資料の6ページに、入院時の自己負担費用という表があります。これを見ますと、90%近くの人たちのかかっている費用が50万円という数字もありますので、そういった観点からの方向づけが必要なのかなという気がしております。そうはいっても、ごく少ない率で100万円以上の方もいるので、この方々の保障をどうするのかという問題はあるのですけれども、そういった観点からの検討が必要かと考えております。
それから、損害補償の低発生率保険につきましては、これは損害賠償ということで、確かに賃貸借等で高額の賠償ですとか、自転車事故等の高額の賠償等はあるのですけれども、これは今後議論していくのであれば、具体的にどの程度の保険支給がされているのかということについて、きちんと統計的な検討をするとか、あるいは、きちんとそういったものを情報公開していただいて、広く議論をすることが今後必要になっていくのではないかなと感じております。
いずれにしろ、そういったことを今後の課題として持ちつつも、今回、現行の経過措置が平成30年の3月までにということであれば、ご提案のような形で当面の継続を図るというのが一つの落ち着き先なのではないかなと感じております。
【森下座長】
ありがとうございます。
水口委員。
【水口委員】
私も坂委員からお話がありましたように、商品とかさまざまな事業分野によって、何をどうするべきかというのはまだ検討する余地があるとは思っております。しかし、そういったことは認識しつつも、まず、時限措置の経過措置のさらなる延長という、ご提案いただいたことへの対応することで、よろしいのではないかと思います。
経過措置の収束に向けて、少額短期保険業界で、どういった方向で収束していくのですということの周知徹底をしっかりしていただけるような仕組みなど、実効性のある施策を考察することに意味があると思います。
【森下座長】
ありがとうございます。
唯根委員、お願いします。
【唯根委員】
最後になりましたので。私も同感です。ただ、適用業者さん、この間、ずっと15社変わらないでということでは、もう少し消費者、契約者にしっかり、経過措置だよということも含めてご説明されていたというご説明はあったのですが、それが、ですから私たち消費者側が理解できる説明だったのかどうか、その辺を今後きちっと本則というものがあるんだということをしっかり情報提供していただいて、それを逆に言うと条件にして、今回の経過措置の採用ということで賛成はしたいと思っております。
【森下座長】
ありがとうございます。いかがでしょうか。
後藤委員、お願いします。
【後藤委員】
ありがとうございます。たびたび申しわけありません。今の消費者への情報提供というところですが、消費者にとって、これが経過措置であって本則とは違うということは確かに重要なのかもしれないのですけれども、一番重要なのは、普通の保険会社ではなくて少額短期保険会社であって、セーフティーネットのあり方が違うということだと思います。普通の保険会社と同じように見えるかもしれないけれども、例えば供託とかはしていますし、出再もしていますが、ただ、保護機構に入っているわけではありませんということです。少額短期保険制度の制度趣旨は、保険金額が低ければ、それは自己責任に委ねても良いということにあるわけですが、そこからは、自己責任であることを消費者がちゃんと理解しているということを確保することが非常に重要だと思います。そこさえ確保されれば、逆にもっと自由でもいいのかもしれないという気もしなくもないのですけれども、ともあれ、消費者への周知という意味では、本則か経過というところだけではなくて、今の点も、おそらく現在もされているのかと思いますが、より積極的に取り組んでいただいたほうがいいのではないかという気がいたしております。
【森下座長】
水口委員、お願いします。
【水口委員】
私も、もっと早い段階でも発言させていただいたとも思いますけれども、消費者ニーズに応えつつも、しっかりと消費者の自己責任だということについて周知徹底することが消費者保護に資すると考えております。ややもすると、消費者のニーズに応えていれば消費者保護だとお考えになるケースもあるかもしれませんけれども、それは消費者利便にかなうことではあるかと思いますけれども、少額短期保険業者の場合は、消費者の自己責任であることについて、しっかり周知徹底していただくことが消費者保護に資すると思いますので、そこのところはお願いしたいと思います。
【森下座長】
ありがとうございます。
坂委員、お願いします。
【坂委員】
申しわけありません、時間が迫っている中で申しわけないのですが、手短に3点ほど。
1点は今の情報提供の点ですけれども、提供されるべき情報という点で言いますと、少額であり短期であり掛け捨てであるという商品性の説明が一番重要なところかと思います。これは少短が扱っている保険商品は、普通の保険会社で売られるものもありますが、例えばペット保険であればペットショップで売られるでしょうし、あと、先ほどのお話ですと、不動産業者さんが扱われることもあるので、そういった説明の部分をきちんと徹底していくことが大事なところかと思います。それが1点。
それから、2点目ですけれども、この少額短期保険の制度の特性といいますか、非常に大事にしなければならないなと思っている点が1つありまして、それは話の途中にも出てきましたけれども、要するにシンプルな商品提供をしているという点です。これはすごく生かしていかなければいけないところかなと思っております。一般の保険会社が提供している商品が、ともすると複雑である、あるいはなかなかわかりにくいという声もある中で、シンプルな商品を供給していくという主体として、少額短期保険業者の皆さんが担っている役割は大事なのではないかなと考えております。
それから、あともう1点だけ。今日はあまり出ませんでしたけれども、苦情相談が出たときにどういう対応をしていくかということは、非常に大事なところかと思います。少額短期業者さんは小さい業者さんであるがゆえに、なかなか業者さんだけで対応することが難しいことも場合によってはあり得るかもしれない。そういった場合に大事なのが、業界としてADR等できちんと対応していくことで、この間、少額短期のADRでは大分ご努力いただいているかと思いますけれども、そういうところできちんと解決をしていくことと、それから、契約者にこういうところがあるよと、これもまた情報提供ですけれども、きちんと知らせていくと。これを知らせることを徹底することも、非常に大事なことかと考えています。そういった全体のシステムがうまく回っていく中で、初めてきちんとした業務といいますか、また適切な商品提供もされることになると思いますので、ぜひ一つよろしくお願いしたいと思います。
【森下座長】
ありがとうございました。あとはいかがでしょうか。経過措置に対するお考えもお伺いすることもできたと思いますし、ぜひこうしてほしいというご要望もいろいろお伺いすることができたのかと思いますけれども、よろしいでしょうか。
それでは、本日は活発なご議論をいただきまして、また、進行にもご協力をいただきまして、大変ありがとうございました。本日いただきましたご意見を踏まえまして、次回は取りまとめに向けた議論を行いたいと思いますが、それでよろしいでしょうか。
(「異議なし」の声あり)
【森下座長】
それでは、以上をもちまして、本日の会議を終了させていただきます。ありがとうございました。
以上
- お問い合わせ先
-
金融庁 Tel 03-3506-6000(代表)
総務企画局企画課信用制度参事官室(内線3578、3573)