平成30年6月15日
金融庁

ザ・ニュー・インディア・アシュアランス・カンパニー・リミテッドに対する行政処分について

1.ザ・ニュー・インディア・アシュアランス・カンパニー・リミテッド(以下、「当社」という。)については、当庁検査の結果(平成30年5月14日通知)及び保険業法第200条第1項に基づく当社からの報告において、以下のような事実が認められた。

(1) 保険金等支払管理態勢の機能不全
 日本における代表者(以下、「代表者」という。)は、主要経営目標の達成を過度に重視していることに加え、日本における保険関連規制等の実務に関する理解が不足していることから、以下のような日本の保険金支払実務に沿わない取扱いが行われているなど、当社の保険金等支払管理態勢は機能不全の状態であることが認められた。

ア.不適切な支払判断
 代表者が独断で合理的な根拠のない保険金の支払判断(不払い:2件、減額:2件、留保:10件)を行っている事案が認められた。
 このような不適切な支払判断が行われた要因としては、代表者が収支改善を志向するあまり、損害調査担当者、弁護士及び損害保険鑑定人等の意見を踏まえた適切な支払判断を行っていなかったことによるものと認められる。

イ.支払備金の過少計上
 以下のとおり、支払備金の計上が適切に行われていない事案が認められた(26件、計上不足額140,364千円)。

・ 代表者は、合理的な根拠のない支払備金の過少計上を行っていた。

・ 損害調査部長は、代表者が支払備金増額引当に否定的な意向を持っていると認識していたことから、支払備金の増額計上を行わないように損害調査担当者に指示していた。

・ 代表者は、監査法人の指摘事項(支払備金の不適切計上を防止するため等の仕組みを検討する必要がある)への対応・改善について、損害調査部長等に指示していなかった。

・ 損害調査部は、支払備金の計上が適切に行われているかなどといった支払備金計上額の適切性について検証していなかった。

・ 経理部長は、支払備金計上の適切性に疑義が認められる端緒を把握したにもかかわらず、損害調査部に対して、何ら対応を行っていなかった。

このような不適切な支払備金の計上処理等が行われた要因としては、代表者が過度に収支改善を志向していたことや、それに伴い損害調査部に専門性や業務量を考慮した人員配置を行っていなかったことによるものと認められる。

ウ.保険金支払いの不適切な履行期管理、遅延損害金の不払い
 保険金支払いの履行期管理が適切に行われておらず、遅延損害金が支払われていない事案が認められた(16件、遅延損害金2,304千円)。
 このような保険金支払いの不適切な履行期管理が行われた要因としては、代表者が収支改善を志向するあまり、「請求完了日ではなく、代表者自身への支払稟議の開始をもって履行期が開始する」旨を担当者に発言するなど、履行期管理を適切に行うことを指示していなかったこと、及び損害調査部に専門性や業務量を考慮した人員配置を行っていなかったことから、同部が履行期管理を適切に行っていなかったことによるものと認められる。

(2) 経営管理態勢及び業務運営態勢の機能不全
 代表者は、経営会議等の主要会議を抑制する意向をもっていたことから、主要会議等を規程どおり開催しておらず、業務執行に関する重要事項や内部管理態勢の強化に向けた議論が行われていないなど、当社の経営管理態勢は機能不全の状態であることが認められた。

 このような状況から、代表者は、主要経営目標を達成するため、収益を生まない管理部門等に対して、実務に精通した適切な人材配置、多種目の商品を提供する保険会社の業務量に応じた人材確保、予算措置を講じておらず、以下のような業務運営態勢上の問題が認められた。

ア.他部門長がコンプライアンス部門長を兼務しているなど、代表者は業務量に応じた適切な人材配置を行っていないため、他の業務が多忙であるとして、不祥事件疑義事案の調査を十分に行わず放置しており、また、前回検査指摘事項への改善状況管理を行っておらず、改善未対応となっている事案が認められた。また、内部監査指摘事項についても、改善策を実施することなく放置している事案が認められた。

イ.内部監査室長は、損害調査業務の一部に関与しており、内部監査室長の独立性が侵害されている状態が認められた。また、内部監査室長は、内部監査計画を策定していないほか、過年度の内部監査結果に関しても、改善フォローを実施せず、未改善のまま放置している事案が認められた。

ウ.経営企画部長は、要員不足のため、保険契約管理に関する事務マニュアルの策定に着手していない状態が認められた。IT部長は、火災保険の契約管理システムの操作マニュアルを作成していないほか、自動車保険の操作マニュアルについて、必要な改定を行っていない状態が認められた。また、業務に精通した者が不足していることから、システム・エラー対応に時間を要し、事務処理に支障が生じた状態が認められた。

2.以上の事実を踏まえ、本日、当社に対し、保険業法第204条第1項の規定に基づき、以下の内容の業務改善命令を発出した。

(1) 経営管理態勢及び業務運営態勢の抜本的な見直し

ア.業務改善命令に至るようになった問題等の原因となった役職員の責任を明確化すること。

イ.業務執行にあたる代表者等の独断専行を牽制・抑止し、監督するための経営管理態勢を構築すること。

ウ.業務運営の状況を的確に把握し、適切な対応・指示を行うことができる経営管理態勢・業務運営態勢を構築すること。

(2) 内部監査態勢の改善及び強化

ア.監査要員及び監査方法の改善及び強化、監査後のフォローアップの実施・改善を図ること。

イ.保険金の不適切な支払判断等に係る再発防止策等の実施状況やその実効性を自ら検証するための内部監査態勢の改善及び強化を図ること。

(3) 法令等遵守態勢の改善及び強化
 法令等諸規則に抵触するおそれのある事案の網羅的な把握、調査、原因分析及び改善策の策定を適切に実施するための態勢(不祥事件及び内部監査指摘事項への対応を含む。)の改善及び強化を図ること。

(4) 保険金等支払管理態勢の抜本的な見直し

ア.判明した保険金の不適切な支払判断等について、迅速かつ適切な顧客対応を行うこと。

イ.適時・適切な保険金等の支払管理を確実に行うことができる態勢(適切な人材配置、システム整備、規程等の支払事務に係る手続きの整備等を含む。)を構築すること。

ウ.保険金の不適切な支払判断等の再発防止策等を確実に実施するとともに、その実効性を自ら検証し、必要な見直し及び改善を図ること。

(5) 契約管理態勢の改善及び強化
 契約管理に係る業務について検証を行った上で、適切な業務運営を行うための態勢(検査指摘事項の改善対応を含む。)の改善及び強化を図ること。

(6) 改善計画の提出、改善状況の報告
 上記(1)から(5)について、具体的な改善策及び実施時期を明記した業務改善計画を平成30年7月13日(金)までに提出し、以降、業務改善計画の実施完了までの間、計画の進捗及び実施並びに改善状況を取りまとめ、3ヵ月毎に報告すること。

お問い合わせ先

金融庁監督局保険課

Tel 03-3506-6000(代表)(内線 3375、3772)

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