令和元年5月28日
金融庁
 

野村證券株式会社及び野村ホールディングス株式会社に対する行政処分について 


第1.野村ホールディングス株式会社(本店:東京都中央区、法人番号7010001034881)(以下「野村HD」という。)に対する金融商品取引法第57条の23の規定に基づく報告徴求に対する報告内容及び野村HD監査委員会傘下の外部有識者による特別調査チームの調査結果(以下「内部調査結果」という。)等を踏まえ検証した結果、以下のとおり、野村HDと野村證券株式会社(本店:東京都中央区、法人番号6010001074037)(以下「野村證券」という。)において、重大な問題が認められた。
 
1.野村證券
 
(1)情報管理に係る経営管理態勢が十分ではないと認められる状況
 平成31年3月5日、野村證券市場戦略リサーチ部所属のチーフストラテジストは、株式会社東京証券取引所(以下「東証」という。)の「市場構造の在り方等に関する懇談会」の委員を務める野村HD関連会社等の研究員から、東証で議論されている市場区分の見直しについて、上位市場の指定基準及び退出基準が時価総額250億円以上とされる可能性が高くなっていると推測される旨の情報(以下「市場構造に関する東証における検討状況に係る情報」という。)を入手した。同ストラテジストは、同日及び翌6日に、野村證券社内及び野村HDの海外現地法人であるノムラ・インターナショナル(ホンコン)LIMITED(以下「NIHK」という。)の営業員2名並びに外部のファンドマネージャー1名に対し、市場構造に関する東証における検討状況に係る情報を伝達した。当該情報伝達を受けた営業員のうち、7名の営業員(うち1名はNIHKの営業員)が少なくとも外部機関投資家延べ33機関に対し、市場構造に関する東証における検討状況に係る情報を提供して勧誘する行為が認められた。
 また、当該ストラテジストは、「閾値250億円という目線が急浮上」という文言を含んだ情報提供メールを多数の外部機関投資家に向けて送信している(以下、当該ストラテジスト及び当該7名の営業員が行った一連の行為を「本件行為」という。)。
 本件行為は、法令等諸規則に違反する行為ではないものの、一部特定の顧客のみに市場構造に関する東証における検討状況に係る情報を提供して勧誘する行為であり、資本市場の公正性・公平性に対する信頼性を著しく損ないかねない行為であると認められる。
 本件行為は、(ア)本件行為を適切に規律する規程が存在しなかったこと、(イ)本件行為に関与した社員がコンプライアンスの本質を理解しておらず、より有益な情報源を有していると示すことにより自らの評価を高めたいとの動機を優先し、市場の公正性・公平性の確保という証券会社にとって重要な役割に対する意識が不十分であるなど、証券会社の社員として求められる水準のコンプライアンス意識が欠如していたこと、(ウ)外部機関投資家に対する不適切な情報提供について、これを未然に防止すべき審査・監督体制が適切に整備されていなかったこと等を原因として発生したものと認められる。
 こうした実態を把握していなかったことに鑑みれば、野村證券経営陣は情報管理態勢に関する実効的な管理・監督を十分に行っておらず、経営管理態勢は十分なものではなかったと認められる。
 
(2)過去の行政処分を踏まえた業務運営の改善が不十分な状況
 本件行為は、いわゆる早耳情報を利用した営業行為であり、その発生原因がコンプライアンスの本質を理解していないという点において、野村證券が行政処分を受けた平成24年の増資インサイダー事案と類似性が認められる。当該行政処分を踏まえ、野村證券は、情報管理を含む内部管理態勢の見直しや、社員の職業倫理の強化・徹底等を図ってきたとしているものの、(ア)本件行為が発生し、本件行為に気付き得た社員がいたにもかかわらず、疑問や是正の声が挙がることなく、結果的にそれが看過されていたこと、(イ)野村HDが実施した社員に対する意識調査において、コンプライアンスを法令遵守に限定して捉え、本件行為について問題ないと評価する意見も一部ではあるものの確認されていることに鑑みれば、コンプライアンス意識の全社員への徹底が不十分であり、業務運営の改善が不十分な状況にあるものと認められる。
 
 上記のとおり、野村證券の経営管理態勢・内部管理態勢は十分ではないことから、金融商品取引法第51条の規定による業務の運営の状況の改善に必要な措置をとることを命ずることができる場合の要件となる「業務の運営の状況に関し、公益又は投資者保護のため必要かつ適当であると認めるとき」に該当するものと認められる。
 
2.野村HD
 野村HDの取締役会は、情報管理態勢の見直しや社員の職業倫理の強化・徹底というグループ一体となって取り組むべき課題に対して、平成24年の増資インサイダー事案の教訓等も踏まえ、適切なグループ経営管理機能を発揮させるべきところ、その取組みが十分ではなかったこと。
 
 上記のとおり、野村HDのグループ経営管理は十分ではないことから、金融商品取引法第57条の19第1項の規定による対象特別金融商品取引業者の業務の運営の状況の改善に必要な措置をとることを命ずることができる場合の要件となる「指定親会社の業務の運営の状況に照らして公益又は投資者保護のため必要かつ適当であると認めるとき」に該当するものと認められる。

 
第2.以上のことから、本日、野村證券及び野村HDに対し、以下の行政処分を行った。
 
1.野村證券に対する金融商品取引法第51条に基づく業務改善命令
 
 業務の健全かつ適切な運営を確保するため、以下を実施すること。

 (1)今般の行政処分を踏まえた経営陣を含む責任の所在の明確化を図ること。

 (2)内部調査結果の報告書における提言を受けて野村證券及び野村HDが策定した再発防止策について、詳細な改善計画を策定のうえ提出すること。また、当該改善計画に基づき、再発防止策を確実に実施・定着させること。

 (3)再発防止策の実施状況を定期的に報告すること。

 (4)再発防止策の実効性を定期的に検証し、検証結果を報告すること。なお、検証の結果、不十分な項目があった場合には、その理由及びそれに対する改善方針について報告すること。

 (5)上記(1)~(4)について、初回報告期限を令和元年6月4日(火)とし、野村HDと連名で提出すること。以降は、四半期末経過後15日以内を期限とする。なお、上記期限にかかわらず、必要に応じて随時報告を行うこと。
 
2.野村HDに対する金融商品取引法第57条の19第1項に基づく業務改善命令
 

 野村證券の業務の健全かつ適切な運営を確保するため、以下を実施すること。

 (1)今般の行政処分を踏まえた経営陣を含む責任の所在の明確化を図ること。

 (2)内部調査結果の報告書における提言を受けて野村HD及び野村證券が策定した再発防止策について、詳細な改善計画を策定のうえ提出すること。また、当該改善計画に基づき、再発防止策を確実に実施・定着させること。

 (3)再発防止策の実施状況を定期的に報告すること。

 (4)再発防止策の実効性を定期的に検証し、検証結果を報告すること。なお、検証の結果、不十分な項目があった場合には、その理由及びそれに対する改善方針について報告すること。

 (5)上記(1)~(4)について、初回報告期限を令和元年6月4日(火)とし、野村證券と連名で提出すること。以降は、四半期末経過後15日以内を期限とする。なお、上記期限にかかわらず、必要に応じて随時報告を行うこと。
 

お問い合わせ先

金融庁監督局証券課証券モニタリング室

03-3506-6000(代表)(内線2291、2295)

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