「仮想通貨交換業等に関する研究会」(第2回)議事録

平成30年4月27日(金)


【神田座長】
 それでは、定刻になりましたので始めさせていただきます。

 ただいまから仮想通貨交換業等に関する研究会の第2回目の会合を開催させていただきます。

 皆様方には大変お忙しいところをお集まりいただきましてありがとうございます。

 前回の会合でございますが、仮想通貨交換業等についての現在の制度、それから仮想通貨取引、あるいはICO(イニシャル・コイン・オファリング)の状況等について説明をしていただいた後、メンバーの皆様方からご質問あるいは幅広い観点からのご意見を頂戴したところであります。

 本日ですが、まず事務局から第一として仮想通貨交換業者に対するこれまでの対応等、そして第二として仮想通貨等を巡る国際的な議論の状況や各国の対応の状況等についてご説明をしていただきます。続きまして消費者庁のほうから、仮想通貨等を巡る利用者からの相談の状況についてご説明をしていただきまして、その上でメンバーの皆様方からご質問やご意見をいただければと思います。

 それでは、早速ですが、まず事務局から、仮想通貨交換業者に対するこれまでの対応等についてのご説明をお願いします。よろしくお願いいたします。

【春原金融会社室長】
 監督局金融会社室長の春原です。よろしくお願いします。

 お手元の、「仮想通貨交換業者に対するこれまでの対応等」と書かれました資料をご覧ください。

 一枚お捲りいただきまして目次ですが、まず1としまして、仮想通貨を取り巻く環境をご説明いたしまして、2で金融庁がこれまで行ってきた対応等、それから最後に、これまでの行政処分の主な内容、この三点をご説明いたします。

 3ページをご覧ください。前回の奥山会長のご説明と重複する部分もございますが、まず仮想通貨のマーケットの概要をご説明させていただきます。左上のグラフにありますように、昨年の秋、仮想通貨の価格が急騰しておりまして、ビットコインだけでなく他の仮想通貨の価格も大きく上昇しております。また、左下のグラフにありますように、時価総額も秋以降急拡大しているところでございます。右上は、現在1,500種類以上あると言われています仮想通貨の主なものを記載しておりますが、ビットコインのマーケットシェアが42%、ビットコイン以外の仮想通貨のシェアが58%という状況になっております。右下の、ビットコインの法定通貨別の取引割合のグラフでございますが、中国の交換業者のデータについては信憑性の問題はございますが、民間サイトの統計を見ますと緑色の中国元の取引が2017年1月の中国人民銀行による交換業者への検査通告の後に激減しておりまして、代わって日本円の取引割合が増加しています。約50%になっているという状況が見て取れます。

 4ページ以降になりますが、これは金融庁がこれまでどのような対応をしてきたかというところをまとめております。

 5ページですが、ここも前回の説明と若干重複いたしますが、昨年4月、改正資金決済法が施行されまして、仮想通貨交換業者に対して登録制が導入されました。注釈にありますように、法施行前から交換業を行っている業者は、昨年9月末までに登録申請をすれば、登録の可否の判断が行われるまで、登録されていなくても営業ができるという「みなし仮想通貨交換業者」の経過措置が設けられているところでございます。後で詳しくご説明いたしますが、現時点までに16社が登録されておりまして、コインチェック事案が起きるまで、登録審査中のみなし業者は16社ございました。その後、申請の取下げなどがございまして、現在のみなし業者は8社ということになっております。

 仮想通貨交換業に対する規制につきましては、大きく分けて二つあります。一つはマネロン・テロ資金供与規制でありまして、顧客の本人確認、取引記録の保存、これらの規制を適切に遂行するための体制整備義務がございます。もう一つの規制は、利用者保護のための規制となっております。具体的には経営管理、システム管理などの内部管理体制の整備義務、利用者への情報提供義務、顧客財産と会社の財産の分別管理義務などがございます。

 6ページをご覧ください。事務ガイドラインに記載された主な着眼点を幾つか抜粋しております。事務ガイドラインは、行政部内の職員向けの手引書でございまして、金融庁のホームページに公表されているものです。書かれております内容は、法令では一般的・抽象的に記載されているものにつきまして、具体的な着眼点やポイントをまとめているものです。例えば、経営管理等にございますように、経営陣は業務推進や利益拡大といった業績面のみならず、内部管理体制の確立・整備に関する事項を経営上の最重要課題の一つとして位置付けているかとか、一番下のシステムリスク管理には、システム管理部門は定期的又は適時にリスクを認識・評価しているか、洗い出したリスクに対し十分な対応策を講じているかといった着眼点が書かれているところでございます。この後ご説明いたします、検査で把握された問題点につきましても、多くは事務ガイドラインの着眼点に記載されているところでございます。

 7ページをご覧ください。実際に法律に基づく行政事務を行う組織でございますが、法律上の権限は、全国10名の財務(支)局長に委任されているところです。しかしながら、高度で複雑なシステムを使い全国展開をする仮想通貨交換業のビジネス特性を踏まえまして、金融庁内にシステムセキュリティやマネロン対策などの専門家に加えまして、弁護士、会計士なども参加した仮想通貨モニタリングチームを昨年8月に設置しているところでございます。設置当初は約30名程度でしたが、今は各社にいろいろ検査も行っている都合上、人員は倍以上になっている状況です。

 二つ目のレ点にありますように、登録審査では実地訪問を行っておりまして、運用状況を確認するなど、実質的な有効性を重視した審査を行っているところでございます。その結果、これまで登録拒否要件に該当しなかった16社を登録しております。登録された業者は、審査の中で業者ごとに、登録拒否要件までには至らなかったわけですが、いろいろな課題を把握しているところでございます。そのような課題につきましては、登録後のモニタリングにおいて活用しているところでございます。

 また、モニタリングチームでは、みなし業者や新規申請者の登録審査を行っているほか、仮想通貨に関する一般の情報を集めまして、収集・分析をしているところでございます。

 次に、下の囲みにあります利用者への注意喚起でございますが、前回も若干ご説明いたしましたが、仮想通貨のリスクなどにつきまして、金融庁では消費者庁・警察庁と連携いたしまして、ホームページや政府広報などを使って、これまで15回の注意喚起をしてきているところでございます。

 8ページをご覧ください。今までご説明したような対応をしている中で、本年1月26日に、登録審査中のみなし業者でありますコインチェック社におきまして、外部からの不正アクセスにより仮想通貨NEMが流出するという事案が発生しております。

 金融庁では、コインチェック社の各種内部管理体制等に問題があったということで、登録まで至っていなかったわけですが、本件の問題につきまして、コインチェック社の調査結果が四角の中に書かれておりますが、当社の調査では、当社の従業員の端末に不正操作を行う悪意あるマルウェアを感染させて、遠隔操作ツールによりNEMの秘密鍵を窃取して不正送金したものであり、ホットウォレットで管理をしていたことから防止できなかったという説明をしているところでございます。

 金融庁では、本事案の発生を受けまして、真ん中のレ点で書いてありますように、当社に対して、これまで2回の業務改善命令を出しておりますし、現在も続いているわけですが立入検査を実施しているところでございます。また、金融庁、消費者庁とともに、局長級の連絡会議を開催しておりまして、会議の中では利用者保護等に関した意見交換等を実施しているところでございます。

 9ページをご覧ください。コインチェック社以外の15ありますみなし業者や、登録された16社に対する対応をまとめているところでございます。金融庁では、事案発生日に各社に対しまして注意喚起を行っております。その中では自己点検を要請しておりまして、報告された点検結果を分析し、その後全てのみなし業者、複数の登録業者に順次、現在も立入検査を実施しているところでございます。今週の水曜日にも1社の行政処分がありましたが、これまでに検査において問題が判明したみなし業者9社、登録業者2社に対して、業務停止命令や業務改善命令を発出してきております。また、検査を通じまして、これまでに8社のみなし業者が、いろいろ会社によって事情はございますが、登録申請の取下げ意思などを表明しているところでございます。

 続きまして、無登録業者への対応でございますが、モニタリングチームでは常時、無登録営業の情報を収集しているところでございます。無登録業者の疑いがあった場合は、順次照会書を発出しておりまして、その結果、無登録営業であると確認された場合は、警告書を出しております。これまでに2社の海外事業者に対して警告書を発出しているところでございます。無登録業者の対応に当たりましては、ここも警察庁・消費者庁と連携するとともに、必ずしも海外当局があるわけではございませんが、関係機関と連携をしながら対処しているところでございます。

 続きまして10ページでございますが、これは登録審査のポンチ絵でございますが、赤字で書いてありますように、モニタリングチームでは専門官による現場ヒアリングなどの実質面の重視をした審査を行っているという点と、下の箱にありますように、株主やグループ会社など、関連する情報を収集・分析しまして、実効性あるモニタリングに活用するという枠組みになってございます。

 11ページでございますが、これは、これまでの主な金融庁の対応等を時系列的に整理したものでございます。

 12ページでございますが、これは業界の状況につきまして簡単にまとめております。右上の箱にありますように、16社ありましたみなし業者は、申請の取下げなどがございまして、今現在8社になっているという状況でございまして、左の箱にあります登録業者16社でございますが、一番左に書いてありますように、この登録業者16社が集まりまして、3月29日に日本仮想通貨交換業協会を立ち上げております。今週の月曜日の23日に社員総会、理事会を開催しておりまして、会長、副会長の役員人事を決定しているところでございます。また、左下にありますように、現在審査中の新規申請業者も含めまして、約100社程度が新規参入の意向を示しているという状況でございます。

 続きまして13ページ以降ですが、これは、この前の行政処分の公表分から主なものを記載させていただいております。

 14ページをご覧ください。上の箱の、注釈にございますが、ここでこれからご紹介する問題は、全ての業者に一様に指摘されたものではありませんが、一方で複数の業者が同様の内容の指摘を受けているものもあるところでございます。

 まず、第一線のビジネス部門、取扱い仮想通貨の選定ですが、業者の中には十種類以上の仮想通貨を取り扱うという業者も何社かあるところでございますが、多くの業者に見受けられた点としまして、例えば匿名性の高い仮想通貨であればマネロンに利用されやすいなどのリスクがあるわけですが、そういった取扱い仮想通貨が内包する各種リスクを適切に評価しない実態がございました。その結果、マネロン対策を強化していないなど、適切な内部管理体制が構築されていないという実態が把握されております。下の、不適切な仮想通貨の販売ですが、この事例は、自社発行の仮想通貨を、社長が会社との間で売買を繰り返して、あたかも価格が上がっているように買い上がっておりまして、その結果、価格が上がっているのですが、その事実を利用者に説明しないで勧誘をしているという、不適切な仮想通貨の販売が認められたところでございます。

 続きまして15ページでございますが、これは第二線でありますリスク管理・コンプライアンス部門の検査で見受けられた点でございます。まず、多くの業者で指摘されていますが、マネロン・テロ資金供与対策です。一点目のケースでございますが、これは複数回、高額の仮想通貨売買をしているわけですが、本人確認などの取引時の確認を行っておらず、その結果、当然、届出が必要となる疑わしい取引に該当するかどうかの判断をしていないというケースでございます。四つ目の黒丸のケースでございますが、これは、社内規則にはマネロン対策の手続などが記載されていることは確認されているのですが、規定通りにちゃんと社員が実施しているかチェックされていない、社員に対する研修もやっていないというものでございます。五つ目の黒丸のケースでございますが、これは業務改善命令において疑わしい取引の届出の判断をしていない顧客に対して、改めて要否を判断するよう業務改善命令で指示したわけですが、その実施状況を確認したところ、マネロン対策制度の理解が不足していたため、依然として高額取引について届出の要否の判断をしていないという状況が確認されたものです。

 下の箱の利用者保護のところでございますが、上の黒丸は、システム障害や不正出金など多くの問題が発生しておりまして、ネット情報とかでいろいろ書かれているわけですが、その結果、利用者から問合せが多く発生しているという状況にもかかわらず、適切にお客さんに対して情報提供をしていないというものでございます。それから、下の黒丸につきましては、個人情報に誰でもアクセスできるという状況が確認されておりまして、その結果、個人情報管理に問題が認められているという命令を受けているものでございます。

 続きまして16ページでございますが、これもリスク管理・コンプライアンス部門の続きでございますが、顧客財産と会社の財産の分別管理のところです。上三点は顧客財産を流用したという極めて問題のあるケースでございます。これは、利用者から預かった財産を保管しているという意識が低いということや、社内の牽制機能が働いていないという状況から出てきた問題だと思っております。四つ目の黒丸ですが、帳簿を一部作成していない、必要となる分別管理ということもしていないというケースでございます。

 次にシステムリスク管理ですが、二点とも、昨年秋以降の業容が拡大する中、システム障害や不正出金など、多くのシステム問題が発生しているわけですが、根本原因を分析していない。その結果、例えばシステムのキャパシティを改善するとかいう対策や、再発防止策を講じていないというものでございます。

 一番下の箱にあります、外部委託先の管理でございますが、このケースは、自社発行の仮想通貨の勧誘を外部の業者に委託していたわけですが、その委託先が仮想通貨のリスクについて十分理解しているのかどうか確認しないまま委託しておりまして、また実際に、その委託している業者がセミナーでどのような勧誘をしているかということも把握していないという状況が把握されております。

 それから、最後のページでございますが17ページ、これは第三線の内部監査でございます。多くの業者で内部監査が実施されていませんでした。

 最後に、一線、二線、三線の三つのディフェンスラインを支える経営管理体制でございますが、最初の黒丸にありますように、多くの会社では昨年秋以降の業容拡大に対しまして、取締役会や経営陣の人員増強とか、システム改善などの内部管理体制の強化を行っておりませんでした。三つ目の黒丸ですが、取締役会が顧客保護とリスク管理を経営上の最重要課題と位置付けておらず、経営陣の顧客保護意識が不十分なまま、積極的に広告を行うなど、業容拡大を優先していた業者も確認されているところでございます。四つ目の黒丸でございますが、特定の大口利用者からの手数料収入に依存した収入構造になっている会社でございましたが、そういう状況につきまして、経営陣は問題意識を持たず、対応策を検討していないというケースでございます。最後に、このような取締役会や経営陣の機能不全に対しまして、監査役も機能を発揮していないという状況が見受けられたところでございます。

 私からは以上でございます。

【神田座長】
 どうもありがとうございました。

 それでは続きまして、仮想通貨等を巡る国際的な議論の状況や、各国の対応の状況についてのご説明をお願いいたします。

【廣川信用制度企画室長】
 総務企画局信用制度企画室長、廣川でございます。

 お手元にあります資料3でございますが、こちらの資料を使いまして、国際的な議論の状況、それから各国の対応状況についてご説明をさせていただきます。

 一枚お捲りいただきまして1ページをご覧ください。こちらは、前回の会合でもご紹介したものと同じものを改めて付けさせていただいておりますが、2015年6月のG7エルマウ・サミット首脳宣言と、金融活動作業部会のガイダンスでございます。前回の繰返しになりますが、当時は仮想通貨を新たな支払い手段の一つと捉えて、マネーロンダリング・テロ資金供与対策等の観点から、仮想通貨交換業者に対して規制を課すという考え方が示されておりました。

 2ページをご覧ください。直近の国際的な議論でございますが、仮想通貨等のその後の動向を踏まえまして、3、4にありますような二つの国際的な議論のご紹介をさせていただきます。

 3のほうですが、本年1月18日の証券監督者国際機構IOSCOの代表理事会表明でございます。ICOについて触れたものでございますが、こちらの一段落目におきましては、ICOについては標準化をされておらず、法律・規制上の位置付けについても個々のICOの状況により異なることを指摘しているというものでございます。なお、この点につきましては、我が国におきましても、前回説明申し上げましたように、ICOのトークンの性質や仕組みによって、資金決済法や金融商品取引法の適用対象になる場合があるということになってございます。同じくこのIOSCOの表明の二段落目でございますが、ICOに関しては明確なリスクが存在しているということで注意喚起をしております。すなわち、ICOsへの投資は非常に投機的なものであり、投資家は投資資金の全てをリスクにさらすことになる。また、下から三行目あたりですが、ICOsは規制の枠外のものである場合や、現在の法令に照らし違法に活動しているものがあり、投資家保護上の懸念を惹起している。さらに、詐欺の事例も見られるため、投資家はICOsへの投資判断を行うに当たり、大変慎重に行動すべきであることを心に留めておく必要があるとされてございます。

 次に、下の4でございますが、本年3月19日・20日のG20財務大臣・中央銀行総裁会議の宣言でございます。ここでは、暗号資産の基礎となる技術を含む技術革新につきましては、金融システムの効率性と包摂性、及びより広く経済を改善する可能性を有していることを認識するとされている一方で、「しかしながら」以降でございますが、暗号資産は消費者及び投資家保護、市場の健全性、脱税、マネロン・テロ資金供与等に関する問題を提起するとされてございます。また、暗号資産はある時点で金融安定に影響を与える可能性があることが指摘されてございます。特にマネロン・テロ資金対策につきましては、FATF基準の内容を暗号資産に適用することにコミットするとともに、FATFに対して同基準のレビューを期待し、世界各国による実施を推進するよう要請する、とされてございます。最後に、国際的な基準設定主体に対してということで暗号資産のリスクの監視を続け、多国間での必要な対応について評価することを要請する、とされたところでございます。

 次に3ページをご覧ください。ここからは各国の対応状況ということで、国別に仮想通貨の交換とICO、この二つのカテゴリーでどのような対応がなされているかということを順に紹介させていただきたく存じます。

 3ページはアジアの三カ国の対応状況でございます。

 まず(1)シンガポールでございますが、シンガポールの仮想通貨の交換等につきましては、同国の金融当局である金融管理局が支払サービスの一種と位置付けまして、マネロン・テロ資金供与規制の対象とする方向で、その内容の法案を2017年11月に市中協議にかけたという状況でございます。次にICOにつきましては、同じ金融管理局が、トークンが有価証券または集団投資スキーム持分の性質を有する場合には、目論見書の作成義務等の証券規制が適用される旨などを、2017年11月に公表してございます。

 続きまして(2)韓国でございますが、仮想通貨の交換等につきましては、同国の金融規制当局であります金融委員会等が、マネロン・テロ資金供与対策、投資者保護、取引の透明性確保等の観点からの制度整備を、今後早急に行う旨を2017年12月に公表してございます。ICOにつきましては、同じ金融委員会が禁止する意向を2017年9月に表明しているということでございます。

 その下の中国でございますが、仮想通貨の交換とICOにつきまして、人民銀行等の金融当局が、コインオファリング/仮想通貨を通じた資金調達のための口座開設、取引等に、金融機関等が直接的又は間接的に関与することを幅広く禁止する旨などを2017年9月に公表しているという状況でございます。

 4ページをご覧ください。こちらは北米二カ国の状況でございます。

 まずアメリカにつきましては、仮想通貨の交換等については、同国の財務省が、仮想通貨の交換等を行う者は資金移動業者に該当し、マネロン・テロ資金供与規制の対象である旨の解釈を、2013年3月に公表してございます。また、利用者保護のための規制に関しましては、州単位での対応が一部見られるところでございまして、確認できるものといたしましてはニューヨーク州が2015年6月に規制を新設しているもののほか、ワシントン州などでは業規制を適用する旨の公表などが行われているというような状況でございます。ICOについてですが、証券取引委員会が、本研究会の第一回のヒアリングでも言及があった「The DAO」というプロジェクトに係るトークンにつきまして、有価証券に該当し証券規制が適用される旨を2017年7月に公表してございます。その後も、同委員会が一般投資家、市場の専門家それぞれに対して、暗号通貨・ICO市場は伝統的な証券市場と比較して投資家保護が非常に脆弱で注意すべき旨や、トークンに証券規制が適用される可能性がある旨などを、2017年12月に公表し、さらに同月以降、個別のICO事案について停止命令を4件出しているというような状況でございます。

 次にカナダにまいりますが、仮想通貨の交換等につきましては、同国の財務省が、仮想通貨の取扱いはマネロン・テロ資金供与規制の対象とする旨の内容の法改正を2014年6月に行っておりまして、現在、関連規則を整備中という状況でございます。ICOにつきましては、同国では州・地域ごとに証券当局があるのですが、その各州等の証券当局から構成される団体であります証券管理局のほうが、ICOに証券規制が適用される可能性がある旨を2017年8月に公表してございます。州当局レベルでは、その下ですが、いわゆるサンドボックス制度の下で、個別のICO事案の実行を認可している事例があるということもございます。

 次に5ページをご覧ください。ここから欧州でございます。

 まずEU全体ですが、仮想通貨の交換等につきましては、欧州理事会と欧州議会は仮想通貨の交換等をマネロン・テロ資金供与規制の対象に追加する旨の指令改正案について、2017年12月に合意しております。またICOにつきましては、証券分野でEU全体に適用される規制・細則を制定する等の役割を担っております欧州証券市場監督機構というのがあるのですが、そちらが投資家及び事業者に対して、ICOのリスクや、トークン等の内容次第では目論見書規制等の金融規制の適用になる旨の警告文を、2017年11月に公表しているというところでございます。

 次にイギリスですが、仮想通貨の交換等については、同国の財務省が、マネロン・テロ資金供与規制の対象に追加する方針を2015年3月に公表してございます。また、その下ですが、財務省と金融行為規制機構等が、仮想通貨に関するタスクフォースを本年3月に設置し、仮想通貨のリスク、分散台帳技術の可能性、将来の当局対応等について検討していくこととされてございます。ICOにつきましては、同じ金融行為規制機構が、そのリスクや規制対象となり得ることなどを内容とする注意喚起文書を2017年9月に、またICOについて調査を進めていく旨を同年12月に公表しているところでございます。

 一番下のスイスでございますが、仮想通貨の交換等につきましては、連邦金融市場監督機構が、顧客から金銭や仮想通貨を受け入れ、将来の取引のためにそれらを管理することは預金の受入れに該当し、同国銀行法の規制が適用される旨の解釈を、2014年6月に公表してございます。また、本年1月には、財務省と連邦金融市場監督機構が、ブロックチェーン技術・ICOに関するワーキンググループを設置しております。これに加えまして、ICOにつきましては、連邦金融市場監督機構が、トークンを3カテゴリに分類した上で、マネーロンダリング規制や証券規制など、適用され得る規制について本年2月に整理をして公表しているというところでございます。

 最後に6ページをご覧ください。ドイツとフランスでございます。

 まずドイツにつきましては、仮想通貨の交換等については、連邦の金融監督庁が、仮想通貨は金融商品の一類型である計算単位に該当し、銀行法の規制が適用される旨の解釈を2014年2月に公表いたしております。またICOにつきましては、連邦金融監督庁が、投資リスクに関する注意喚起文書を2017年11月に公表しているほか、トークンの法律的地位は一律に定まらず個別に決定されるものであり、有価証券などの金融商品に該当し得るという旨の考え方を本年2月に公表してございます。

 最後にフランスですが、仮想通貨の交換等につきましては、プルーデンス規制・破綻処理庁が、仮想通貨売買は支払サービスに該当し、同国通貨金融法典の規制が適用される旨の解釈を2014年2月に公表してございます。またICOにつきましては、金融市場庁が、ICOに特化した法制度について今後検討していく旨を本年1月に公表しているところでございます。

 説明は以上でございます。

【神田座長】
 どうもありがとうございました。

 それでは続きまして消費者庁のほうから、仮想通貨等を巡る利用者からの相談の状況についてご説明をいただきます。よろしくお願いいたします。

【河内消費者政策課長】
 消費者庁消費者政策課長の河内でございます。それでは、仮想通貨に関連すると思われる消費生活相談の状況について、資料4に沿ってご説明いたします。

 まず表紙を捲っていただきまして1ページ目でございます。まず年度別の仮想通貨に関する相談件数の推移でございます。左側の表でございますが、2014年度の186件から、直近2017年度で2,769件ということで、非常に大きく伸びている状況でございます。右側は相談件数の男女比でございますが、おおむね半々ということで、男女間の偏りはないという状況でございます。

 2ページ目でございます。年度別の推移の②ということでございますが、それぞれの年代別の偏りがどれだけあるのかということで、2014年度は70歳代以上の相談が全体の半数以上ございましたが、2017年度では17%ということで、このグラフを見ていただければ分かると思いますが、10歳代と80歳代以降が極端に少ないのを除けば、大体20歳代から70歳代まで大きな偏りはなく、それぞれの年代に満遍なく苦情相談があるという状況でございます。

 次に3ページ目でございますが、相談件数の都道府県別の偏りはどうかということでございます。2014年度から2017年度にかけまして、やはり東京・神奈川・埼玉・愛知・大阪・千葉等の大都市を抱える都府県で相談件数は多いのですが、それ以外のその他の部分が、2014年度の38%から2017年度は51%に増えている。一方で、例えば東京都などは2014年度の28%から2017年度は16%ということで、都道府県間の偏りというのは年々減ってきている傾向にあるのかなと思います。上の四角の二番目に書いてありますが、2016年度と2017年度については、47都道府県の全てで相談を受け付けているということで、地域ごとの偏りというのはほぼないという状況でございます。

 4ページ目以降が具体的な相談事例でございます。
 
 簡単に分類してございますが、一つ目の分類でございます。これはシステムあるいはセキュリティについての相談ということで、下に三つほど例を挙げていますが、ハッキング被害に遭ったとか、あるいは不正アクセスされて勝手に送金された、あるいはシステムエラーを理由に取引がトレード前のものに巻き戻されたといったような内容でございます。

 二つ目のカテゴリーが事業者の対応についての相談ということで、例えば一つ目にありますように、19歳の息子が口座開設して仮想通貨を取引している、当該取引所は規約上19歳であれば親の同意が不要だということで、そういう取扱いについて不満を表明しているといったもの。あるいは、下の三つなどは、何かトラブルが起こったときの業者の対応が非常に遅いだとか、不十分だといったような苦情が出てございます。

 次に三つ目、トラブルの有無等についての相談。特定の事業者について、これは信用できる事業者かどうかといったようなお尋ねは、実は結構多くあります。もちろん、なかなかお答えできないのですが、仮想通貨事業者から手紙が届いたが、不当な請求だったらどうしたらいいか、要するに信用できるかどうかといった相談内容でございます。
最後のページでございますが、一つ目はICOに関連する相談ということで、ICOのプロジェクトに参加したがトークンが発行されないといったような相談や、あるいは、ICOで儲かるという話をSNSで8人に紹介して、その紹介した8人にお金を振り込ませたのだが、その後上場もないと。紹介した8人の人たちから返金を迫られているということで、いわば詐欺の片棒を担がされたような事例も相談事例として挙がっております。

 最後は、仮想通貨交換業者関連とは見込まれない相談ということで、いわば仮想通貨の話題性に便乗した詐欺商法、悪質商法みたいなものについての相談でございます。そういった意味では、仮想通貨交換業者そのものについての相談ではございませんので、あるいはこの研究会の検討対象の埒外の相談ということになるのかもしれませんが、実は、正確な数字ではございませんので、ここの資料には載せてございませんが、大体ざっくりしたつかみの数字としましては、先程の相談件数全体のうちの7割ぐらいがこのカテゴリーに入るものという状況になっております。そういった意味では、実際の仮想通貨交換業者についての相談というのは、1ページ目でご紹介しました相談件数のうちのおおむね3割ぐらいという状況かなと思っております。

 私からの報告は以上でございます。

【神田座長】
 どうもありがとうございました。

 それでは、ただいまの三つのご説明を踏まえ、メンバーの皆様方からご質問、ご意見をお出しいただければと思います。どなたからでも、どの点についてでも結構でございますので、ご発言をお願いいたします。いかがでしょうか。

 岩下メンバー、どうぞ。

【岩下メンバー】
 今回の資料も大変充実し、かつ非常に我々が知りたかった仮想通貨交換業者の実態を、大変詳しく検査等で内部から調べていただいた結果を、こうして公開していただいたことに、まず感謝を申し上げたいと思います。また、国際的な取組み、あるいは消費者庁さんへの様々な問合せや、寄せられた情報も、大変貴重な情報と思われます。

 私はこれらの中から、資料2に関連して、仮想通貨交換業者に対する規制というのを、これからどのように考えていくべきなのかという話について、特にセキュリティや安全性、あるいは業者のガバナンスといった点から意見を申し述べたいと思います。

 資料3のほうで国際的な比較を見たときに、仮想通貨交換業者に当たる主体を直接規制の対象にしているような国は、どうもあまり見当たらないようでございます。唯一スイスが、銀行業に該当するということをかなり以前に発表しているという情報があるのみであって、仮想通貨の世界自体、仮想通貨そのものについては様々な議論があるものの、仮想通貨交換業者というものに対する議論というのは、実はあまり国際的にもされていないようであります。ただ、実は今の仮想通貨における非常に大きな問題というのは、この仮想通貨交換業者にあるのではないかと私は考えておりまして、この点について、やや立ち入って述べたいと思います。

 もともと仮想通貨と申しますものは、ビットコインに代表されるようなブロックチェーンのような技術を使って利用されるものというのが、種類の中でほとんどを占めているかと思います。大変多種の仮想通貨がございますが、それらの多くはビットコインに代表されるようなブロックチェーン技術を利用しているので、一定の安全性があるということがこれまで主張されてきておりました。実際、ビットコインは2009年にスタートしてから九年間、一応、一回もその価値そのものを減ずることなくというか、システムが完全にダウンしてしまうことなく継続してきたということで、一種の信用のようなものを勝ち得ていたような面があるかと思います。その一方で、仮想通貨交換業者というのは、こうしたブロックチェーンを利用した形での信用の補完と申しますか、インターネットを利用したときの安全性の担保といったようなものをあまりしていないという事業者であると考えられるわけです。ブロックチェーンを利用することによって多くのネットワークでも安全に、資金に当たるようなものが送金できるようになったのだというビットコインに関する主張と、今回例えばNEMの事件に見られるような、仮想通貨交換業者がたった一つのアカウントで26万人分の仮想通貨を管理しているという実態というのが、これがあまり説明として一致しないように思うわけであります。

 そこはどういうことかと申しますと、結局、従来のビットコインの世界、ビットコインが当初想定されていた、サトシ・ナカモトが2009年に創ってから、2012年、13年ぐらいまでの間の世界というのは、基本的に仮想通貨というものを利用するのは一種のパソコンオタクのような人たちであって、その人たちが仮想通貨を取り扱うことについて、自分なりにそれなりの能力があったのでしょう。鍵を生成し、鍵を管理し、サイバーセキュリティをそれなりに自分のシステムについて持って、きちんと自分の身を守る、もし仮に守れなければ自己責任であるといったような前提がある中での、それぞれの主体が責任を持つという形での存在であったというふうに思います。ところが、この仮想通貨交換業者が顧客の仮想通貨を預かる、自分自身のアカウントに、いわば通常の銀行預金を預かるかのように一緒くたにして預かってしまい、それにかかる権利を自らが管理している唯一のデータベースによって管理する。ブロックチェーンのようなものが一切関与しないというような扱い方をするに至り、この業者の扱っているものというのは、まさに通常の銀行の支店、システムが持っているようなセキュリティの構造と技術的には同じ構造になってしまったと考えられるわけです。

 そのような、技術的に事実上銀行と同じような構造になってしまったものが、ごく少ない金額を預かっている間はまだよかったと思うのですが、今回のコインチェック事件の580億円に見られるように、多分、日本の仮想通貨交換業者は、現在登録を受けている16社を合わせて、数兆円単位の金額を扱っているように見受けられます。それぞれの扱っている金額は、多分千億円単位のお金であるように思われますので、これが例えば現在同じように資金を預かっている銀行と比べた場合に、銀行が極めて重い規制に服し、かつシステムのセキュリティに多くのコストをかけ、安全なシステムを築いているのと比べて、実際に仮想通貨交換業者が行っている事業というのは、安全性について十分な配慮が行われていないものであるということが、非常に大きな問題であるように思います。

 実際、過去にMTGOX事件、あるいはビットスタンプ事件、ビットフィネックス事件、そして今回のコインチェック事件など、極めて多額の資金が失われてしまった交換業者を巡る事件というのが多発しているにも関わらず、この交換業者が、国際的に見ても日本国内ではそういう努力をかなりしているほうだと思いますが、十分に管理されていないということは大きな問題であると考えられます。

 その意味では、この仮想通貨交換業者が、あたかもこれまではビットコインのようなブロックチェーンによって安全性が担保されているので、その窓口となって単に交換をするだけの業者であるから、それほど干渉する必要はないのであるかのような議論、あるいはさらにいうと、この仮想通貨そのものが必ずしも、例えば重要な資金決済を担うような、銀行預金、フィアットカレンシーのようなものとは違うのであるから、それについてはある意味で投資家の自己責任に応じて対応させるべきであるといったような議論が多かったように感じるところであるのですが、多分それは、今の技術的な、あるいは経済的な実態を考えると、なかなかそういうわけにはいかないのではないかと思います。もちろん将来、仮想通貨の相場がどうなるか、今後どのように決済の手段として使われるかどうかということについては全く不透明なわけでありますが、少なくとも日本国内で350万人が、合わせて多分兆円単位の資金を運用しているという実態があるのであれば、それにふさわしい、きちんとしたルールを設けていく必要があるのであろうというのが、まさに今回の資料2の調査の結果から、自ずと出てくる結論ではないかと考える次第でございます。

 私からは以上でございます。

【神田座長】
 どうもありがとうございました。

 他にいかがでしょうか。

 それでは坂メンバー、どうぞ。

【坂メンバー】
 ありがとうございました。それでは私のほうからは、どちらかというと規制をどう考えるかという観点からということになろうかと思いますが、行政処分を見てどういったことを考えるべきかという点と、それから規制枠組みの叩き台みたいなものについて、必ずしも私自身も意見が固まり切っているわけではないのですが、意見を述べさせていただければと思います。

 まず行政処分については、資料2の14ページ以下のほうに詳細に記載していただいておりますが、課題を確認して、今後の規律のあり方を検討する必要があるのだろうと思います。処分例を見ますと、状況が深刻であるなと思っておりまして、新しい分野ではありますが、やはり適切な規制がなければ問題は様々な形で起こり得るということが改めて確認されたのではないかと思います。処分例の多くがみなし業者に留まっていることに鑑みますと、登録審査が一定のスクリーニングの役割を果たしているとも思われますが、他方で、登録業者の中にも処分例があることに鑑みますと、現状の登録審査の十分性については慎重な検討が必要ではないかと思っております。ちなみに、どれとどれが登録業者の事案なのか、もしできれば教えていただければと思います。それから、現在も立入検査を実施中ということですが、十分な実態把握については改めてお願いしたいと思います。

 個別の処分例との関係で四点述べたいと思います。一つは、14ページの不適切な通貨の販売事案、会社の自己勘定と社長個人の売買を対当させて価格形成を行っていたという事案についてですが、この事案は、利用者に対する説明の問題でもありますが、より根本的には価格形成の公正の問題だろうと思います。また、利益相反関係の管理の問題でもあろうと思います。規制対応を検討するとすれば、開示制度による市場監視や、あるいは価格操縦の禁止のような規制、あるいは利益相反管理の適正を求める規律、あるいはそれらの組合せ等が具体的に検討される必要があるのではないかと思います。

 それから、15ページのマネロン・テロ資金対策については、業者の対応とともに、当該業者のもとで実際にマネーロンダリング等が行われていないかどうかということ、これがきちんと調査されるべきではないかと思います。

 それから、15ページの利用者保護の一つ目の事例ですが、これも情報開示の問題でもありますが、より根本的にはシステム障害や不正出金事案、あるいは不正取引事案の抑止が課題だと思います。登録に際して適切な審査をお願いするとともに、こうした事態を早期に監督官庁や業界団体が察知できる仕組みが必要であり、現行の法の仕組みで十分かどうかは検討する必要があるのではないかと思います。

 それから16ページの分別管理についてですが、金銭の流用が複数見られるということに鑑みますと、外国為替証拠金取引のように信託による保全を原則とするということを検討すべきなのではないかと思います。

 それから、仮想通貨の分別管理については技術的な課題があると思いますが、適切な管理のあり方について検討、情報共有を進めるとともに、必要に応じて規定整備等が行われるべきではないかと思います。なお、少々気になりますのが、撤退した業者さんということになるのかとも思いますが、どの程度の利益を上げていたのかということです。行政処分の事案の中には、質の悪いものが結構あると見受けられます。こうした事案に鑑みますと、撤退した事業者さんが上げていた利益の中に不公正なものが含まれていないかどうかという点については、少し問題意識を持つ必要があるのではないかと思います。

 こういったところを踏まえまして、規律のあり方の方向性ですが、前提として規律を考えるに当たっては、決済手段としての規制と、投機取引としての規制と、マネロン対策としての規制と、三つの観点から考える必要があるのだろうと思います。

 まず、決済手段ないし投機取引としての規制に関しては、仮想通貨はいろいろなものがあると思いますので、一定の適切性が認められ得るものと、そうでない仮想通貨というものについて、取扱いを異にすることを検討する必要があるのではないかという印象を持っております。例えば匿名性が高いものや、あるいは民事執行等の執行手続が困難なもの、あるいは、そういったものがあるかどうかは分かりませんが、仮想通貨のプログラムとしての適切性に疑義があるもの、あるいは継続的に適切な管理の確保が見込まれないもの、こういったものについては、一般の利用者に広がることが相当でないと思われます。こういった点に鑑みますと、適切性を認めがたいものについて、例えば参入規制で業者登録を認めないとか、あるいは行為規制の中で一般の投資者への販売を許容しないといった対応も考えられてもいいのではないかと思います。

 次に、投機取引の観点からの規制枠組みについては、三つの局面があると思いますので、それぞれの局面に応じた検討が必要かと思います。一つは、仮想通貨自体を投機の対象とする場合ですが、こういった取引形態については、現行法上の規制は必ずしも十分ではないと思っております。基本的に現行法との関係では、金融商品取引法の規制をどれだけ取り込むかというのが一つの叩き台になるのではないかと思います。方向性としては、金融商品取引法の有価証券の定義に仮想通貨を加えるということが一つ叩き台として考えられると思いますし、あるいは資金決済法において金融商品取引法の一定の規定を準用するということも、あり方としてはありうるのではないかと思います。なお、仮想通貨については、金融商品販売法の適用対象になっていないと思いますので、これを適用対象にすることも必須かと思います。それから、証拠金取引については、金融商品取引法のデリバティブ規制の対象にするということが一応考えられますが、こういった仮想通貨の証拠金取引に社会的相当性を認める根拠がどの程度あるのかというのは、非常に疑問がもたれるところと思います。それからICOについては、少なくとも一般の投資家への販売は禁止すべきだと思います。プロ同士の取引については、金融商品取引法の集団投資スキームの規制を及ぼすということが一案だと思いますが、プロ同士の取引を許容するかどうかについては、適切な取引がどの程度あり得るのかということを見た上で検討すべきと思います。また、その規制のあり方も、取引を認めるプロの範囲との相関関係のもとで検討していくべきものと思います。それから、資料の9ページの無登録業者への対応も、一応検討しておく必要があろうかと思います。これは基本的にはアウトローの世界ですので、規制の整備・実行を確保していくということが基本的な方向かと思います。無登録業者への対応としては、過去には、無登録業者による未公開株詐欺事案が多発した際に、規制の整備等を行った経緯がありますので、こうした規制を念頭に置いて整備を行うというのが一つかと思います。例えば、無登録業者による売買を原則無効とする規定や、あるいは裁判所による禁止・停止命令や罰則の強化といったことが検討課題かと思います。

 それから最後に、マネロン対策との関係ですが、この点については、規制対象が現行法で十分かどうかということが少し気になっております。マネロン対策の観点からは、できるだけ広く規制の網をかけるということが必要かと思いますが、現行の資金決済法上の仮想通貨の定義の中では、不特定の者に対して使用することができるなどの要件が課されていて、必ずしもこうした要件に該当しない暗号通貨というものがあり得るのだろうと思います。こうしたものについて、犯罪収益移転防止法の規制対象にしなくてよいのかどうかということが気になるところです。また、仮想通貨交換業でなくても、預託だけを受けるとか、あるいは仮想通貨の送金だけを引き受ける業態について、規制対象にしなくてよいかどうかというのは検討を要するのではないかと思います。

 以上です。

【神田座長】
 どうもありがとうございました。

 他にいかがでしょうか。加藤メンバー、どうぞ。

【加藤メンバー】
 ありがとうございます。三点、質問及び意見を述べさせていただきます。

 一点目は、事務局の説明資料2に関連するもので、分別管理についてです。分別管理についても、16ページにあります通り、行政処分の対象になったということをご紹介いただきました。ただ、既に別のメンバーの方からもご指摘がありましたが、仮想通貨の分別管理については技術的な限界というものがあることは私も重々承知しております。私の質問というのは、現在の監督の実務で、どういう状況が達成されていれば分別管理がされていたと評価されているのかということです。例えば帳簿上で業者分と顧客分が管理されているだけで足りているのか、それとも、ウォレットを分けていることも要求しているか。仮想通貨の分別管理のあり方を見直すべきか否かを検討する際には、今現在、分別管理と評価されている状況は一体どういうものなのかについて認識を共有しておくことが必要であると思います。

 二点目は、消費者庁に作成していただいた資料の4ページで、システム、セキュリティなどについての相談事例として紹介されていたことに関連します。意見というか質問なのですが、ここではハッキング被害と不正アクセスに関する相談がご紹介されていたのですが、これは顧客側のPCがハッキング又は不正アクセスされた事案という理解でいいのか、それとも業者側のシステムの話なのか、ということです。
顧客側の問題なのか業者側の問題なのかにより、かなり状況が異なると思います。つまり、仮に業者側が鉄壁のセキュリティを設けていたとしても、顧客側もそれなりの防衛ができないと、仮想通貨の取引のシステムとかセキュリティは完璧になりません。このことは、インターネットバンキングなどの経験から明らかだと思います。この点について、もしご存知であれば情報を提供していただければと思います。

 三点目は、仮想通貨の種類についてです。ビットコインやイーサリアムのように著名なものについては、その仕組みについて認識が共有されているような気がするのですが、最近では仮想通貨の種類が著しく増えているような気がします。このような新しい仮想通貨について、ビットコインと同じ程度のイミュータビリティ、改竄が不可能という性質が確保されているのかよく分かりません。
たとえば、新しい仮想通貨について、ビットコインなど著名な仮想通貨に類似した性質を有するかのように宣伝される可能性も出てくると思います。仮想通貨のバラエティが増えてきたことを前提にして、要点を絞った情報開示の仕方等というものを考えていく必要があると思いました。

 以上です。

【神田座長】
 どうもありがとうございました。

 一点目と二点目はご質問でもあるかと思うのですが、何を以て分別管理としているかという点は、いかがでしょうか。

【春原金融会社室長】
 ご質問ありがとうございました。分別管理につきましては、資料に入れておりませんで申し訳ございません。本来であれば事務ガイドラインの6ページのところに入れるべきだったわけですが、簡単に事務ガイドラインをご紹介させていただきます。

 事務ガイドラインには、分別管理の方法と言われるものがいくつか書いてございまして、内容は、ブロックチェーンの有高と、お客さんとの取引の帳簿をつくってください。そして、両方がバランスしているか直ちに判別できるようにしておいてください、という規定がございますし、そのバランスがきちんとできているかどうかは、毎営業日に照合してくださいとガイドラインも書いてございますし、仮に不足が生じた場合には、5営業日以内に解消することが望ましいとか、あとは、コールドウォレットで管理してくださいなど、幾つか分別管理の方法について記載されているところでございます。

【神田座長】
 今の点はそれで共有されたと考えてよろしいですか。

 二点目ですが、消費者庁さんですか、システムというのは。

【河内消費者政策課長】
 より詳しい相談内容が手元にあるのですが、これを読み返してみましても、不正アクセスされたPCが業者側なのか顧客側なのか、明確ではございません。申し訳ございません。

【神田座長】
 それでは次へ行きたいと思います。

 永沢メンバー、どうぞ。

【永沢メンバー】
 ありがとうございます。先ほど金融庁から行政処分の概要について紹介いただきましたが、3年前に仮想通貨交換業への登録制の導入を中心とした制度整備を行った際に、交換業の方々にお約束いただいたことがお約束通りには実行されていなかったということが分かったということ、そして、前回も申し上げましたが、当時はイノベーションが重要だということでイノベーションを優先させ、そのためにかなり緩めの登録制になったと私なりに認識しているのですが、登録の基準について不十分、見直しが必要ではないかということを、今日のお話を聞きながら改めて思いました。資料によりますと、コインチェック事件が起きた後の現時点においても100社も登録をしたいと控えているということですが、金融庁の今の監督の陣容で、果たして監督できるのでしょうか。取引量が少額であるならば見過ごして放置するということもありうるのでしょうけれど、仮想通貨の取引量の規模は相当に大きくなっており、金融庁の監督については、監督に携わる職員数にも限りがありますので、その点、足りるのだろうかということ等も思います。

 一つ質問ですが、金融庁にモニタリングチームを設置されたということでしたが、このような新しい分野の監督・モニタリングができる方をリクルートできているのだろうかということも、素人としては関心があるところではございます。それも、何人いるということではなく、かなりITに卓越した経験とかスキルを備えた特別な人でなければこの種のモニタリングはできないのではないだろうかと思います。差障りのない範囲でお伺いしたいと思います。

 二点目ですが、消費者庁の資料は、前回、どのような苦情や相談があるのかという点をお聞きしたので、ご用意いただいたと理解しておりますが、この資料中で紹介されている相談というのはPIO-NETからの情報ということですので、相談を受け付けているのは消費生活センターの相談員ということになります。となると、相談員は仮想通貨の分野に詳しい者ではありませんから、何が起きているのかは結局のところ分からないわけです。確かにこのような苦情・相談の数字が何件あるということは重要な情報ですし、それからこのような相談があるという事例の紹介を世の中に出すことは注意喚起の意味では大変意味があることなのですが、今重要なのは、何が起きているのかという事実確認と原因の解明、それから解決策を見つけていくことなのではないでしょうか。もちろん、引き続き国民生活センター等で苦情や相談を集めていただくことは積極的に行っていただくことが必要なのですが、急がなくてはいけないのは、業界団体のほうできちんと苦情相談を受け付ける窓口を設置され、何が起きているのかを分析し原因を解明するようなチーム・組織をきちんとお金をかけて設置いただくことが必要であるということを、私は申し上げたいと思います。自主規制団体をつくられるということですが、苦情窓口及びその分析、そして対応策というのをぜひ急いでいただきたいと思います。

 それから、金融庁の行政処分の説明の中に「業容拡大のあまり」という文言がありました。業容拡大を急いだあまりに体制整備が間に合わなかったという説明があったわけですが、前回もご指摘がありましたように、仮想通貨の交換業者の中にはテレビコマーシャルを大々的に行っているところもあったわけで、広告のあり方とか一般人への勧誘のあり方についても規制を入れる方向で、考え直す必要があるのではないかと思っています。

 最後になります。坂メンバーから「不公正な利益」というお言葉が出てきました。「不公正な」という言葉を使っていいのかどうか確信はありませんが、素人目に大変驚いたのは、コインチェックの事件のときに600億円近いお金が流出したのに、それが簡単に補填できるということに驚いたわけです。それだけの巨額なお金がポンと出せるというのは、一般人には大きな驚きでした。このビジネスはそんなに儲かっているのかと。不公正な利益というものはないのかと。そういった意味でも、仮想通貨の交換業というビジネスの利益の状況について監視というのはそう難しいことでもないと思いますのでしていただきたいと思いますし、交換業の業者の方々にはどれぐらいの利益状況にあるのかというのを開示していただきたいと思います。既にされているかもしれませんが、一般人の目にも見え、分かるように開示をいただくことで、「不公正な利益」というものはないと一般人が思えるようになるのではないかと思います。利益状況も含め情報開示というところは特に急ぐべきではないかと思います。

 以上です。

【神田座長】
 どうもありがとうございました。

 金融庁へのご質問を受けましたが。

【佐々木総括審議官】
 金融庁の総括審議官の佐々木でございます。組織・人事を担当している立場から、今、永沢メンバーのご質問で、人材の採用についてお答えしたいと思います。

 仮想通貨業者についてのモニタリングの上で必要な分野、これは先程の行政処分でも説明させていただいた通り、システムの専門家といいましても色々な分野がございますが、とりわけサイバーセキュリティの専門家、これは金融庁にも別途、金融機関のサイバーセキュリティの検証・モニタリングの上で人材はおりますが、今回のモニタリングチームの発足に当たりまして、さらに民間サイドから人材を採用しております。それからもう一つ大きなリスクとしてマネーロンダリングの分野がございますので、これも金融機関全般のマネーロンダリングの専門家、専門チームが金融庁内にございますが、こうした分野につきましても外部、民間金融機関などからの採用をしているところでございます。

 いずれにしましても、システムも含めて、かなり最先端の分野でございますので、そうした最先端の知見を持った専門家を金融庁の中で育成するのはもちろんですが、それでは間に合わない部分もございますので、外部の機関から採用させていただいているところです。

【神田座長】
 どうもありがとうございました。

 それでは森下メンバー、どうぞ。

【森下メンバー】
 ありがとうございます。五点ほどございます。まず一点目ですが、幾つかのお話をお伺いしておりますと、現在既にルールがあるにも関わらず、それが守られていないことによって問題が生じている場合と、現在十分なルールがないことによって問題の発生を防げていないという場合を峻別して考える必要があるように思います。

 金融庁のほうでご用意いただいた、これまでの行政処分に関する事例、これは大変お粗末な事案が多いという印象でございますが、これらにつきましては既に資金決済法をつくり、それに基づき事務ガイドラインが整備されている中で、当然守ってほしいというようなことが業者の方々に対して示されていたにも関わらず、それが全く守られていなかったというようなことなのかなと。そこに原因があるのではないのかなと思います。そういたしますと、そのような状況を改善するに当たっては、新しくルールをつくるというようなことよりも、どれだけルールをつくっても守られないということでは話にならないということですので、要は、まずは既存のルールをしっかりと守っていただく、守っていただくような体制を整えていただくというようなことが非常に大事なのではないかと思います。既存のルールをしっかり守れるかどうかとなりますと、各事業者の実態が大事ですので、今のところ、金融庁のほうで実態に立ち入って、例えばガバナンスですとか、実際にそのようなことがなされているかというようなことに立ち入って登録審査などをされている、あるいは継続的なモニタリングをされているというお話がありましたが、それは非常に重要なことかなと思います。登録というものの中にも、比較的簡易に参入を認めるものから、実質的な審査を非常に重視するものまであると思いますが、今のような実態に鑑みますと、実態に立ち入った登録審査と慎重なモニタリングというものを継続していただく必要があるのではないかという気がいたします。このような、要は既存の最低限のルールが十分守れていないというような事情が、例えば今度自主規制団体ができれば、そのようなことによって官民の役割分担のあり方や、状況が改善されていけば大変好ましいなと思います。

 既存のルールでは、交換業者が介在することによるリスクというものもある程度見込んでいます。先程分別管理というお話もありましたが、分別管理やシステムをしっかりやるとか、中間に入るプレーヤーがリスク要因にならないような、ある程度の既存のルールというものもあるわけですから、そういった部分をまずしっかりと守っていただけるような環境を高めていく必要があるのではないかと思います。

 分別管理に関しましては、ルールをつくった段階で既に私法上やや不明確ではないかというようなお話があったかと思います。これは、監督当局の責任というよりも、法学者の責任なのかもしれず、そういう部分は我々もスピード感を持って、検討をしっかりと深めてまいりたいという気がしております。

 二点目は、無登録という事業者についてお話がありました。過去の例は二件とも海外の事業者であるというお話があったと思います。その、海外の事業者に照会書をお出しになられたということなのですが、私の関心は、照会書に対して誠実な返事があったのかというところでして、やはり国際的な広がり、インターネットで繋がっていますと、外国からの業者が登録を経ないまま日本の顧客にアクセスするというような事態にどう対処するかというのは、非常に重要な課題としてあると思うのですが、まずは今まで経験されている中で、そこはどうなのかということを教えていただければと思います。

 あとは、加藤メンバーからお話があった点ですが、不正アクセスやハッキングというようなことについて、利用者の方のご照会があったというようなお話がございました。これは私も大変気になっていることでして、やはりインターネットという手段を用いている以上、あるいはそういったシステムを使っている以上、不正アクセスやハッキングのリスクというものをゼロに削減することは難しいかと思います。こういったようなものは、事業者の方が、お客さんが負担するリスクファクターであるとされ、したがって、基本的にはお客さんからの相談には応じないとされており、その結果として、お客さんのほうから消費者庁などに対して何とかしてほしいというような申出があるのか、そうでなく、業界の中でこのようなリスクのシェアのあり方、対処の仕方、あるいは約款での整備の仕方、どういったものが望ましいのかということについて議論を深めているのかという点は、非常に重要かと思います。この部分については、適切なリスク分担のあり方について、業界も含めて検討していただきたいと考えております。

 ICOについてです。ICOは本当に多様なのではないかと思います。株式とか金融商品、社債などに近いものもあれば、普通のビジネス上の投資に近いようなものもあるのかなと、本当にいろいろなものが入っているのではないかなと思います。最近、海外で少し調査をした際にも、諸外国ではICOで出てきているホワイトペーパーの内容などを精査して、それこそもう膨大に出ていると思うのですが、いろいろ精査して、どのようなことが規定されているのか、実態はどういうものなのかというようなことを分析するということもされているようでございます。これもどちらかというと研究者の仕事なのかもしれませんが、まずはそういったICOの実態の把握、分析というものをしっかりと我が国としても進めていく必要があると思います。既にもうなされているのであれば、例えばこの研究会などでそういった成果がシェアされるといいのではないかと思いますが、まだであれば、そういったものが進められることが望ましいのではないかと考えております。

 その上で、ICOなどに関する規制との関係では、ICOにおいてトークンを使うというのは、ある意味、手段、ツールのような部分がございまして、どちらかというとそういった道具を使ってどういったリスクに投資をしているか、どういったような経済的な機能を達成しようとする取引がなされているか、それに伴ってどういったリスクがあるのかというような点を見極めることが大事なのではないかと思っております。今、機能やリスクに応じた金融法制のあり方に関する議論が別途なされているかと思いますが、そういった点では、トークンというものを手段として使おうが、あるいは金銭や証券というものを手段として使おうが、経済的な機能やリスクが同じなのであれば、同じような規制を適用していくというのが基本的にあるべき姿のような気がいたしますので、新しい法制のあり方を考える際にも、ICOであるからといって過度に過剰反応するというのではなく、機能とリスクをしっかりと見極めていくということが重要なのではないかと思います。

 以上でございます。

【神田座長】
 どうもありがとうございました。

 金融庁に、無登録業者に照会書を出した後どうなるのかというご質問がありましたが、いかがでしょうか。

【水口審議官】
 監督局の水口でございます。ご質問ありがとうございます。

 海外の無登録業者への対応ですが、我々はその実態を見ていまして、例えば日本の居住者に対する勧誘があると疑われるときには、まず、どのような実態で業務を行っているのかというのを照会する。これが照会書という文書なのですが、今回のこの二件は、照会書を出したわけですが、警告書に至っているということからお察しいただけますように、当然、内容が不十分であり、では業務を止めるかというと止めていないというような実態があったということから、警告書を出させていただいておりますので、そういう意味では、照会書を発出した結果は決して誠実なものではなかったということがいえるかと思います。これは海外の無登録業者でございますので、なかなか我々ができることは限られておりますが、このような公表、もしくは海外当局とも極力、今回の二つの事案はアジアなのですが、連携しながら、グローバルにいろいろ対応していきたいと思います。

【森下メンバー】
 ありがとうございました。

【神田座長】
 どうもありがとうございました。

 それでは楠メンバー、福田メンバー、三宅メンバーの順でお願いします。

【楠メンバー】
 ありがとうございます。今の意見とも通じるところもあるのですが、まさに昨年、改正資金決済法が施行されたばかりでありまして、まだ認定自主規制団体も出来ていないという状況ですし、また、何をどこまで守ればよいのかという点でいいますと、安全対策基準等も出来上がっていないと。こうしたものが、まずきちんと整備して回り始めないことには、今の改正資金決済法の枠組みというのは正しく機能するのかしないのかというのは判断しがたいところだと思いますし、これから今、新たな制度をつくったとしても、それを軌道に乗せるためにやはり何年もかかってしまうわけですから、昨年施行した法律をきっちりと運用していくということが、まず一番重要なことではないかと思います。

 もう一点、やはり、準備ができているところとそうでないところも含めて、無登録業者やみなし業者が起こしているいろいろな杜撰な問題と、登録業者が起こしている問題というのはしっかりと分けて考えていく必要があるように思います。消費者庁さんからざっくりと、7割近くは交換業者ではなくてそのほかのいろいろな、仮想通貨に係る詐欺行為も含めた問合せが多いというようなところからも明らかなように、まずは、いわゆる口コミでよく分からない人と売買するというのではなくて、しっかりと正規の登録業者で取引をしていくというだけで、今、消費者庁に来ている問合せの7割近くというのは、本来無くてもおかしくないものかもしれないというところで、そこはまず、きちんと登録された業者を国民に使ってもらうというところをしっかりとしていく必要があるように思います。

 ただ一方で、今でもこれだけの問題、セキュリティも含めて多くの問題が起こっている中で、100社以上の事業者が今、登録の申請をしているという話ですが、恐らくセキュリティの問題も含めて、エンジニアが足りていない、セキュリティの専門家が足りていないという実態が非常に大きいように思っております。恐らくモニタリングの分野だけではなくて、取引所のほうにも十分な数のセキュリティエンジニアが必要で、私の周りでも、誰か良いCISOみたいなことができる人はいませんか、みたいな問合せがあるわけですが、なかなかやはり見つかっていないという現実があります。恐らく、これを短期的に、何百人、何千人という単位で育成するということはそれほど現実的ではないような気がしていまして、そこのところはやはり産業構造のほうを変えていく必要があるように思います。

 どうも今の仮想通貨交換業者という業態というのは、恐らく証券や銀行と比べても非常にセキュリティリスクが高い状態にあると。例えば証券でいえば、いわゆる東証がやっているマッチングの部分と、それ以外のいわゆる証券管理のカストディの部分と、その後の決済のセトルメントの部分、これが分離しているだけでも、やはり非常にリスクが軽減できていると思うわけですが、こうした機能が今、取引所の中では一体になってしまっているので、例えばこうしたものを分離していく中で、先程坂メンバーからも、いわゆる預託だけを受ける業態を規制の対象とするか、みたいな議論がありましたが、まさに取引所のセキュリティの一番面倒な部分というのは、秘密鍵の管理をどうしていくかというところでありまして、預託の業務というものを交換業者から引っぺがしてしまうだけでも、相当、百社ばらばらに安全性を守っていくということではなくて、機能分離の中で安全性を高めていける部分というのがあるのではないかと思います。

 あと一方で、改正資金決済法でカバーできていない様々な問題が出てきているということも明らかになっていると感じております。例えばICOやコインの新規上場を巡っては、インサイダー情報の取扱いをどういうふうにしていくかということは、これまで議論されていないと。また、特にICOに関しては会計基準でもって、特に自家発行コインに関してどうしていくかというようなことが決まっていないので、これで何か大儲けができるのではないかというような誤解もあるように思います。なので、きちんとインサイダー情報の取扱い等を、金融商品取引法等も参考にしながら、どういったことができるのか、恐らく適時開示の考え方などもない中で、本当にそのまま金融商品取引法の規定を準用できるのかというのはかなり疑問もあるのですが、ただ、インサイダー情報を持っているから儲けることができるのだよというような状況を放置するわけにはいかないだろうと。そこも実効的な規制を考えていく必要があると思います。

 最後に、仮想通貨の特徴について、特に匿名性の点についてお話をさせていただきたいのですが、一昔前であれば、いわゆるランサムウェアという、ファイルを暗号化して身代金を取るような犯行に関しまして、ビットコインを要求するケースが多かったわけですが、最近だとモネロとかZキャッシュといった匿名通貨で以て身代金を取るような手口が増えているというような実態がございます。匿名通貨が値上がりすることによって犯罪者が手にする金額自体が増えてしまうので、そこに資金が流入するということは防いでいかなければいけない。一方で、では国内でランサムウェアに感染した人が、果たしてモネロを買えないことによって身代金を払えないという状況をどのように考えるのか。例えば高リスク取引なりで、警察との捜査協力を条件に、かなり限定した形で売ることにしたほうがよいのか、それとも、身代金が払えるという理由があるからモネロで身代金を要求する人がいるだけであって、もしこれを禁止してしまえば、そもそも身代金を払えない手段で要求する人というのはいなくなるのだから、やはり全面的に規制すべきであるか、こういったところはしっかりと議論をしていく必要があるように思います。

 最後に、仮に、そういった匿名通貨の取引を禁止したとしても、国内での取引を全面的に止めることができるかというと、かなり難しいと考えております。と申しますのは、どんどん交換業の業態としても、海外ではディストリビューテッド・エクスチェンジみたいな形で、いわゆる法的なエンティティも持たずスマートコントラクトで動くような取引形態も増えていますので、恐らく現物としてのビットコインの引出しを認めてしまうと、ビットコインとそういった他の仮想通貨の海外での交換を止めるというのはかなりハードルが高いので、そういったことも含めて、どのように実効的な規制の形というものをつくっていくかということを考える必要があるように思います。

【神田座長】
 どうもありがとうございました。

 それでは福田メンバー、どうぞ。

【福田メンバー】
 ありがとうございます。大変よくまとまった資料を読ませていただいて、勉強になりました。

 二点だけ、私からは意見表明をさせていただきたいと思います。まず第一点は、どういう問題を規制するかという問題と、どういう主体を規制するかという問題は、少し違う次元の話だということなのだろうと思います。

 まず、もちろん交換業者自体に非常に大きな問題があったというのは、今日ご指摘があったいろいろな点もありますので、まず交換業者自体の固有の問題というものがあって、交換業者等をいろいろな形で指導しなければいけないという問題は、一つはあると思います。ただ、それ以外で、交換業者固有の問題でもないけれども、いろいろな問題が発生するのだけれど、では規制の有効性という問題を考えたときに、やはり交換業者に規制が集中するという面はあるのだと思います。もちろん、他の関係者はいろいろいるのだけれど、やはりお金の入り口と出口で押さえるのが一番易しいという面は当然あるわけです。そういう意味では規制の必要性と規制の有効性というのは、少し分けて議論をすることがあって、必要であればもちろん、交換業者を厳しく規制するということはあるのだけれど、有効性という観点から規制するという観点では、また少し違う次元の話というのは必要なのではないかなと思います。本来、規制というのは、幅広い主体に少しずつ規制するというほうが、公平性という観点からは望ましく、特定の業者にそういう規制が集中するというのは、望ましくないわけです。しかし、仮想通貨の宿命みたいなものとして、やはり特定の業者、規制しやすいところを規制しなければならない傾向があるわけなので、その点で固有の問題以外は過度の規制の集中が起こらないような工夫というのはいろいろ大事だと思います。

 その一つの試みとして資料2の7ページにもありますように、金融庁がやられている、利用者への注意喚起というのは、それを軽減する一つの有力な方法です。問題が起こったから全部誰かの責任だと訴えるのではなくて、利用者にもやはり細心の注意を払って利用してもらうとか、問題があるということに関して、いろいろな関係者がいろいろな形で認識を深め、同時に金融庁はそれを認識してもらうよう最善の努力をするということは極めて大事だと思います。それが固有の問題以外で特定の業者だけに規制がかからないための一つのあり方で、その意味で、利用者への注意喚起、様々な形での注意喚起も引き続きやっていただきたいと思います。

 二番目のポイントは、こういう問題をプリンシプルベースで処理するのか、ルールベースで処理するのかという論点だと思います。

 恐らくルールベースが分かりやすいということはあるのだけれど、新しい技術がどんどん起こっている分野で、そうはいってもなかなかルールで対応できないという問題があるだろうということだと思います。ただ、完全にプリンシプルベースで任せておいたら、やはり大変なことが起こっているという事実もあると思います。このため、これはゼロイチではなくて、ある程度ルールで設けるところはルールで設けて、しかしながらやはり対応できない部分もあるので、そこら辺はプリンシプルベースで業界団体にも極力頑張ってもらうというような両睨みの方法というのが必要なのだろうなとは思います。

 特に金融庁の側に関してもやはり発想の転換は必要です。金融業というのは長い間、最もイノベーションの少ない産業だったので、世の中の変化は遅かったという面があったとは思うのですが、この分野に関しては非常に急速な変化があり、今までのような体制ではなかなか対応できないと思います。このため、新しい体制にすぐに対応できるというような発想を持って対応していただきたいというのが第一点です。

 それから、人材は非常に優れた人材を採用しているということで、これは非常に歓迎すべきことです。ただ、民間の金融機関でもよく起こるのですが、良い人材を採用するのだけれど、それを管理する上司がその言っていることを理解してくれないと、なかなかその人材が活用されないということもございます。そういう意味では、もちろん理系出身ではなくて文系出身であったとしても、そういうことに関する理解を上の方も深めていただいて、採用した優れた人材を生かせるような仕組みというのを極力つくっていただくということをぜひとも要望させていただきたいと思います。

【神田座長】
 どうもありがとうございました。

 ではお隣の三宅メンバー、どうぞ。

【三宅メンバー】
 どうもありがとうございました。仮想通貨の法規制に加え、交換業者あるいは取引の実態について、大変よく理解できました。今日は資料が三つございますので、それぞれに沿って一つずつ、ご意見を申し上げさせていただければと思います。

 少し順番は前後しますが、資料4として消費者庁さんからのご説明があり、最後の4ページ、5ページに相談事例が幾つか分類されておりました。まず一つ目の類型である4ページの相談事例①についてですが、これは完全に仮想通貨交換業の事業者に関する問題ということで、そういった意味では、まさに本研究会における検討の対象になるだろうと思われます。すなわち、このような検討の場を通じて、新たな制度的な枠組みを構築するとともに、例えば民間側における自主規制であるとか、当局による実効的な監督といったことによって、業者に対する信認を向上させていくことが必要なのだろうと思っています。

 続きまして5ページでは二つの類型が示されてございます。一つ目の、ICOにつきましては、既にご意見にもありましたように、現行の法制ではカバーされていない部分ということになるかと思われます。一方、資料3のIOSCOの代表理事会の表明にも書かれておりましたが、今現在、ICOについては、良い案件と悪い案件の玉石混合となっております。恐らく悪い案件のほうが多いとは思いますが、良い案件も混ざっているということでございます。ICOは既に世界的に広がっているということですので、早急な検討が必要であろうと思っています。それから二つ目の、仮想通貨交換業者関連とは見込まれない相談というのは、まさに書かれている通りだと私は思っておりまして、内容を拝見しますと詐欺あるいはそれに近い類いのものが多いということでございます。端的に言いますと、儲け話の餌として仮想通貨というものを使っているに過ぎないと思っておりますので、基本的には先程申し上げました通り、交換業者に対する信認を向上させていくということとは別に、これは現在も行われていると思いますが、相談窓口を充実させて、具体的な相談内容を広く注意喚起ということで周知させる。また悪質な事例については厳正な対処を行うといったアプローチをとっていくしかないのではないかと思っているところであります。

 次に、資料2でございますが、コインチェック社の事例であるとか、そのほかにもいろいろな悪い事例が書かれており、改めて拝見して、かなり酷い状態であると思っています。
一方で、先程事務ガイドラインのご説明がございましたが、事務ガイドラインがしっかり遵守されていれば、こういった問題の相当程度は発生しなかっただろうとも思われ、これから規制を検討していく上では、中身も当然重要なのですが、それをいかに守らせるか、遵守させていくかといった観点が必要なのだろうと思っています。なぜ今、守られていないケースが多いのかということですが、やはりスタートアップ企業が多いということもございますので、お客様から大切な資産をお預かりしているという意識や、法令遵守に対する意識といったものが希薄であり、ややもすれば業容の拡大のほうが優先してしまうということがあるかと思います。今後、業界全体のカルチャーとして定着させていく上では、これは過渡的な形なのかもしれませんが、当面は、厳格な検査を定期的、あるいは必要に応じて都度行うといった形で、最低基準の遵守に向けたルールベースのアプローチに重点を置かなければならないのではないかと。そういった検査の中で、悪質な事案については厳しい処分を科すということによって、業者側の抑止力を高める、あるいは世間に対する注意喚起を促すといったアプローチがおそらく必要なのだろうということでございます。

 一方で、先程100社ぐらい新規参入の意向があるという話がございましたが、さすがに金融庁さんのほうで、何から何まで全て対応するというのは現実的に無理でしょうから、やはり民間側の協力、協働して取り組んでいくことが必要かと思います。自主規制団体がまさに今、作られているということかと思いますが、今後、自主規制を策定していく上で、これも前回ご意見があったと思いますが、ある意味でお手盛りにならないような形で、外部の目線などもしっかり取り入れながら、透明性を担保した形で規制を策定する。あるいは、策定するだけではなくて、それを業者、業界全体に行き渡らせる。さらには、技術の発展であるとか、そういったものを踏まえて不断に見直すといったことを、民間側もしっかりやって、官民協働で実効性を高めていくことが必要なのだろうということであります。すなわち、当局の登録を受けた。それに加えて自主規制も遵守している。こういう交換業者が世間からきちんと信認されるという状態を、早く作っていかなければならないと思っています。

 最後に、資料3の国際的な議論に関係するところなのですが、仮想通貨につきましては、インターネットで繋がっているということもございますので、相対的に規制の緩い法域において潜脱が行われるリスクが高いというのは、改めて認識する必要があると思います。従いまして、国際的に足並みをそろえた形で対応していくことは不可欠ですし、交換業者に対する規制の枠組みを他国に先駆けて制定した我が国における教訓や問題意識といったものを、積極的に対外発信していくというのは非常に有意義なことだと思います。一方で、先程もFATFの取組みに関するお話がございましたが、やはり対象国が限られるという問題はあると思います。FATFの加盟国は三十数カ国、しかもOECD諸国が中心ということもあり、FATFが旗を振ったからといって、必ずしもグローバルに規制が完全に統一されるわけでもないということですので、やはり、日本サイドにおけるモニタリングをしっかり行う必要があるのではないかと思います。従いまして、例えばですが、海外との取引や二号仮想通貨が絡むような取引といったように、一定の取引類型を定め、それに該当するものを抽出し、モニタリングの精度や粒度を上げていくといったようなことで、より実効的なマネロン対策になる可能性があるのではないかと思います。

 三つ申し上げましたが、以上です。

【神田座長】
 どうもありがとうございました。

 それでは、中島メンバー、神作メンバーの順で、中島メンバー、どうぞ。

【中島メンバー】
 規制面の対応のご説明、どうもありがとうございました。私のほうからは総論一つと各論一つ、コメントをさせていただきたいと思います。

 まず総論のほうですが、仮想通貨への規制を考える上で、まずやはり仮想通貨が良いものなのか悪いものなのかということを少し考えないといけないと思っておりまして、もし、良いものだとすると、それはやはり育成していくべきだということで、そういうスタンスで臨まないといけないと思います。我が国のこれまでのマスコミや出版業界の論調は、どちらかというとこちらの良いものということで、夢の通貨とか未来の通貨とか、通貨の革命であるというようなことで、非常にバラ色の世界が喧伝されておりまして、それを受けて日本の取引シェアが53%というような世界になっているわけです。一方で、海外の論調であるとか、私が出ている国際会議の雰囲気、あとは最近のグローバルな規制、G20とかFATFとか、そういったところでは、悪しきものというと少し強いかもしれませんが、少なくとも注意を要すべきものというふうに捉えられておりまして、その背景にはやはり犯罪に使われるとか、マネロンに使われるとか、規制逃れに使われるというようなことで、必ずしも良い面ばかりではないということが広く認識されるようになってきておりまして、そうすると当然、やはりグローバルに規制すべきだという論点になってくるということだと思いますので、その辺のスタンスをまず固めるべきだというのが一点でございます。

 それから二点目の各論としては、先程から話に出ております、100社が新規参入を申し込んでいるというのが、これは極めて、私は異常な事態だと思っております。既に24社あるわけですよね。そこに加えて100社ということになりますと、昨年末で世界のこういう仮想通貨の取引所は130社ぐらいだと思いますので、それに匹敵するようなものが一国でできてしまうということになりますので、これは少し異常な事態ではないかなと考えております。これを考えるに、やはり参入規制が少し緩いのではないかということが考えられて、バーが低過ぎるのではないかなという問題意識があります。例えばですが、自己資本もかなり低い額になっていると思いますが、今回の事故のように一旦流出事故みたいなことが起きれば、数十億とか数百億単位で喪失が出るということもあり得るわけで、そういった点から、自己資本に限りませんが、もう少し参入規制についてもう一回考えてもいいのかなという気がしております。

 以上です。

【神田座長】
 どうもありがとうございました。

 それでは神作メンバー、どうぞ。

【神作メンバー】
 ありがとうございます。仮想通貨とICOの規制について考える場合には、森下メンバーからもご指摘がありましたように、リスクに応じて規制の必要性があるかどうか、また、規制の必要性があるとしてどのような規制を設ければ適切・有効な規制ができるかという観点から検討していくことになると思います。

 特に、仮想通貨やICOは、例えば仮想通貨を例にとりますと、支払いの手段なのか、あるいは投資の対象なのか、どのような機能を営んでいるのかによって、リスクの所在や性質も違ってくると思いますし、ICOもまた様々な機能を営んでおり多様であるということだといたしますと、それぞれの機能や類型に応じてリスクを抽出していく必要があるように思われます。

 現在、実際に大きな問題になっていると思われる投資対象としての仮想通貨に関するリスクという観点から眺めてみますと、例えば利用者が預託している金銭や預託者の口座に存在しているはずの仮想通貨が喪失するというリスクにどのように対処するか。また、秘密鍵の管理のリスク、それから投資対象としては価格変動のリスク、こういったものがリスクとして検討の対象になり得ると思います。さらに、仮想通貨が投資の対象であるといたしますと、その仕組みがどのようになっているのか、仕組みに対する理解や説明の問題なども生じると思います。特に、取引所ないしは交換業者と謳っている場合に、実際に利用者同士の取引を付け合わせているのか、あるいは業者自身が取引の相手方になっているのか。また、具体的に価格の決定や取引の執行においてどのような利益相反が生じているのか。また、業者のリスク管理がどうなっているのか、このような問題もあると思います。利益相反やリスク管理は、業者が一体どのようなビジネスモデルに則って仮想通貨交換業を営んでいるかということにも非常に大きく依存すると思われます。

 そこで一つ質問なのですが、金融庁のプレゼンテーションに関連してお尋ねしたいと思うのですが、いろいろ調査、検査をしていただいた仮想通貨交換業者のビジネスモデルと申しますか、ビジネスの仕方というのは大体同じようなものなのか、それともいろいろなビジネスモデルがあるのか。この辺りについて、何かご感触、類型化のようなものが可能かどうかということがありましたら、差支えのない範囲で教えていただければと思います。

 今申し上げたのは利用者に関連するリスクですが、それ以外にもマネーロンダリングのリスクや、金融システムへの影響等々、様々なリスクがあろうかと思いますが、そういったリスクに応じて規制の必要性、かつ実際に規制をするとすれば、実効的な規制が可能か、自主規制との役割分担等々の観点から検討していくことになると考えらえます。仮想通貨、ICOの果たしている機能に応じたリスクという観点から規制のあり方を検討していく必要があると思います。

 なお、仮想通貨自身に内在するリスクもあるかと思います。そもそも、この仕組み自体が非常に不透明であったり、仕組み自体が変わっていったりするという問題点があります。また、仮想通貨自体も開発者との間に利益相反が生じているということが指摘されています。バグの問題等々、仮想通貨自身に内在するリスクというのもあると思われますので、仮想通貨あるいはICOについて規制するときにも、そういった仮想通貨の特性と申しますか、性質を踏まえた議論をしていく必要があるように思われます。

 一点、ご質問がございましたが、私からのコメントは以上でございます。

【神田座長】
 どうもありがとうございました。

 いかがでしょうか。

【水口審議官】
 ご質問ありがとうございます。仮想通貨交換業者のビジネスモデルなのですが、我々も検査・モニタリングの中で常々把握しようといろいろ努めているわけですが、恐らくいろいろなパターンがあるのかなと思っておりまして、例えば、証拠金取引をやっている業者、もしくはそうでない業者もあるでしょうし、預り資産がある業者とそうでないところもあるでしょうし、また、取引通貨の種類にしましても、ビットコインを中心に扱っているところから、今回のコインチェックのような十幾つもというような業者もあるでしょうし、あとは、業者には大きく分けて販売所と取引所という機能があるのかと思いますが、その中でどの程度スプレッドを設けて、販売所のほうで稼ぐのか、取引所のほうの手数料的なものはどの程度にするのか、恐らくそこは業者によっていろいろかと思っています。

 いずれにしても、それぞれのビジネスモデルを前提として、きちんとした内部管理体制というのが当然ながら必要であると思いますし、そこがうまくいきませんと、今回のコインチェック事案のような話にもなりかねないということで、今、我々、検査・モニタリングの中で把握しているいろいろなビジネスモデルに応じて、きちんとした体制が組まれているか、しっかり検証しながら、またモニタリングをしていきたいと考えております。

【神田座長】
 よろしいでしょうか。

【神作メンバー】
 どうもありがとうございました。

【神田座長】
 どうもありがとうございました。

 本日ご出席の10名のメンバーの方々から、一通りはご意見をいただきましたが、オブザーバーの方々、何かご発言はございますでしょうか。

 先程から、メンバーの方から自主規制という言葉が出ていますが、将来自主規制を担うことになりそうな雰囲気に前回のお話でもなっていますが、奥山さん、いかがでしょうか。

【奥山オブザーバー】
 日本仮想通貨交換業協会の奥山でございます。先程岩下先生からのご指摘があったところでございますが、まず、前回の資料で提出させていただきましたように、国内の入出金金額自体は既に明示しているところでございまして、取引金額ということで売買されている量につきましては、数十兆円という形で、顧客からの流入資産ということでいうと、全国内業者における今までの累計でおおよそ2兆円までは達していない状況でございます。国内最大規模と言われておりましたコインチェック様が6,000億から7,000億と言われているところでございますので、若干寡占化されているようなところもございます。各業者においての預り資産というのは、兆単位というようなお話も今ございましたが、最大でも数千億規模に留まるものだと思っていただければ結構でございますし、現在登録を受けております登録仮想通貨交換業者の預り資産につきましては、金融庁様のほうで把握されている通り、まさにピンキリでございまして、本当に数十億円、数億円という会社もございますので、全てに、いわゆる銀行と同等の規制を適用していくというところまでいくのは、いささか過度ではないかなと思っているところでございます。

 まさに、16社に関しまして、私は全ての業者様、社長様も存じさせていただいておりますが、基本、三分の二とか四分の三はスタートアップ企業でございます。ほとんどの会社様が、ベンチャー企業から頑張って仮想通貨の未来をつくるというふうに言っているような皆様ですので、実際の業者の実態はそういうところであるというところもご認識いただければと思う次第でございます。

 また、100社超の申請があるという話も途中で出ておりましたが、それにつきましても、海外の業者様が多く流入されている、申請されようとしているところもかなり多いところでございます。つまり、日本が先行して仮想通貨の法律をつくられているので、日本で正規ライセンスを取って国際的に認めてもらうのだと、こういう動きもやはりあるわけでございまして、100社というもの自体が異常な数字とは、私自身は感じていない状況でございます。むしろ、日本証券業協会様ですとか金融先物取引業協会様ですとか、そういったところの数を申しますと、認定自主規制団体がきちんと機能するためにはということでいいますと、十社二十社で認定自主規制をコスト的に回せというのは土台難しい話でございまして、もちろん相応の金額を、それぞれ取引量があるところからいただく必要はあるかとは思いますが、やはり数十社、少なくともそういったところが団結して認定自主規制としての民間での自主規制が動くということが望ましいのではないかなと考えているところでございます。

 また、監督・検査によりまして、多大なる業者の皆様が指摘、改善命令、停止処分を受けているということ自体は、前回も申しましたが、業界として非常に恥じることでございまして、こちらのほうの信頼回復には引き続き努めてまいりたいと考えているところでございますが、逆に言えば、世界的にはあまりないです。交換業者に対して先行した法律があるからこそ、指摘の中で浮かび上がってきた状況でございまして、かつこれを改善する義務が我々登録業者それぞれにはあるわけでございます。逆に、改善しなければ登録が取消しになっていく、業を営めなくなるということで申しますと、改正資金決済法に基づく仮想通貨の取引という部分に関しては、まず一回目の検査の中で杜撰な実態等が出てきたということ自体は、我々業界としては恥じるべきものだと思いますが、それがどのように改善されていくのかというところは、少し見守っていただきたいというふうにお願いしたいところもございます。

 インターネット証券が出てきたとき、また外国為替証拠金取引が出てきたときと同様に、やはり黎明期のものの中からどれだけ誠実かつ忠実に運用できるような業者になるのかというところに関しましては、いささかのご猶予というか、時間のほうをいただければと思うところでございます。

 すみません、言いたいことは幾つかあるのですが、もう一点だけに限らせていただきます。顧客からの苦情・クレーム等についてというところで、顧客保護の観点からいうと最も大事かと思うのですが、現在、ご当局からのご指導も含めまして、各業者にはインターネットでの問合せ窓口以外に、ちゃんと電話でどこに連絡すればいいのかというのも、ホームページ等でも記載することという変更が、コインチェック事件以降ということでございますが、明示されているような状況でございます。また、改正資金決済法の中におきましては、ADR、いわゆる裁判外紛争処理団体、処理機関、こういったところを明示することというところもございます。金融商品取引法認定ではございませんのでFINMACとの連携までは参っておりませんが、一応、弁護士会等を通じて、こちらのほうに、業者のほうで納得がいかなかった場合はご連絡ください、というようなご案内を申し上げているようなところもございます。また、日本ブロックチェーン協会様もそうでございますし、日本仮想通貨事業者協会のほうでもそうでございますが、認定自主規制団体を目指すべく、当協会などはまだ体制整備がされておりませんので、苦情受付窓口まではできておりませんが、両協会におきましては、利用者様からのクレーム等もしっかり受け付けるような状態になっておりまして、それを金融庁のほうや、また各業者のほうにも、君のところに対してのクレームがこれだけ来たよ、何とか改善してくれというようなところを促すような取組みも、手が回り切っていないところももちろんあるわけでございますが、できる限りのことは、あるべき体制の中では精いっぱいやらせてはいただいているところでございます。

 引き続き、業界の信頼回復を早急にすべくという中で、様々な課題も論点もあるわけでございますが、最善を尽くしながら進めてまいりたいと考えているところでございます。

【神田座長】
 どうもありがとうございました。

 本日は皆様方からも大変多様なご指摘をいただきました。私も一点だけ感想なのですが、次回以降また、本日もご指摘がありましたような、何が問題なのかということを、やはりよく議論したほうがよいような感じを持ちました。

 目の前で起きていることにどうしても焦点が当たるので、分別管理が問題なのか、秘密鍵の管理が問題で、そこを解決すればほとんどの問題は解消するのか、それとも、あまりうまく言えませんが、いろいろな面で安全でない取引がこれだけ巨大な金額行われているという辺りに問題があるのか、あるいは交換業というビジネスがすごく儲かっているのか、儲かりそうに見えて各社が手を挙げているという、そういう辺りに問題があるのか。やはり問題によって議論すべき対象というか、あるべきあり方というのはまた違ってくるように思います。本日も非常に、そういう観点からのご意見を多数いただきましたが、引き続きまたご議論いただければと思います。

 もしメンバーの方々から追加でご発言があれば、伺います。若干まだ時間があります。二、三分ですけれども。大体本日はこんなところでよろしゅうございますか。

 坂メンバー、どうぞ。

【坂メンバー】
 自主規制について先程お話があって、私も自主規制は非常に大事だと思っておりますので、ぜひ、ご検討をお願いしたいと思っているのですが、ただ、時間的猶予というお話が少し気になりました。私は、現段階は、もうそういうことをあまり仰る段階ではないのかという印象を持っております。

 この場の議論としては、行政規制といいますか、そういうことをきちんと頭において、我々はそれを議論すべきではないかと思っておりますが、その辺の議論が自主規制の議論と相乗効果でうまく進むのが一番良いかなと思っておりますので、ぜひ一つよろしくお願いいたします。

【奥山オブザーバー】
 ありがとうございます。少し言葉の言回しがおかしければ、すみません、お詫び申し上げます。

 時間的という部分を申し上げましたのは、いわゆる改善サイクルでございます。先程来、有識者の皆様がご発言いただきましたように、指摘をすることは、ルールができている以上できるわけでございますが、それを遵守させていくということでいいますと、牽制、処分といったことを、しっかり民間としてもかけていく流れをつくり出さなければいけないわけでございます。発見できなければもちろん処分も牽制もできないわけでございますが、処分・牽制をした上で、次はどうなのかということの中で、サイクルを重ねる中で市場の自浄作用が働いていく、そういう状況をつくり出していくということでいいますと、発覚した時点の事態だけ指摘してどうこうという話でもないのかなというようなところを意図して申し上げた次第でございます。我々としては当然、自主規制もそうでございますし、業者それぞれに対しての自主規制団体としての牽制、ないしは処分、そういったところも急ぎ進めてまいりたいと思っておりますし、課題は非常に多うございますが、急ぎ整備していくという意識は当然持ち合わせておりますので、その点、業界を改善していくというサイクルの話と、我々がどういうスピードで自主規制を進めていくかというところとは、少し分けてご認識いただければ幸いでございます。

【神田座長】
 ありがとうございました。

 それでは、大体時間が来ておりますので、本日も皆様方から大変活発なご議論をいただきましてありがとうございました。それで、本日いただきましたご説明、ご意見を踏まえ、今後更に議論を深めていきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

 最後に事務局から連絡事項等をお願いいたします。

【廣川信用制度企画室長】
 次回の研究会の日時につきましては、皆様のご都合を踏まえさせていただいた上で、後日事務局より改めてご案内をさせていただきます。よろしくお願い申し上げます。

【神田座長】
 ありがとうございました。

 それでは、以上で本日の研究会を終了させていただきます。どうもありがとうございました。
 
―― 了 ――

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