平成14年6月19日
金融庁
みずほフィナンシャル・グループに対する行政処分について
1. みずほフィナンシャル・グループ(以下みずほ)におけるシステムトラブルについて、金融庁は、障害発生以来、速やかに報告書の提出を求めるとともに、5月8日に立入りを開始した検査等を通じて、事実関係の把握に努めてきたところであり、これにより、別紙1のような事実関係が把握された。
2. 金融庁は、6月11日にみずほに対し検査結果通知を行うとともに、6月18日を期限に、これに対する改善・対応策及び経営責任の明確化等について報告書を提出するよう求めた。これを受け、みずほより6月18日に別紙2のような改善・対応策等が提出された。
3. これらを踏まえ、本日(6月19日)、銀行の業務の健全かつ適切な運営を確保するため、みずほに対し、銀行法第26条等の規定に基づき、下記の業務改善命令を発出した。
記
1. 銀行法第24条第1項等に基づく報告に記載されている改善・対応策及び責任の明確化のための措置を確実に実行すること
2. 上記1.の改善・対応策のうち、実施のためさらに詳細な計画を必要とするものについては、速やかに計画を策定し提出すること
3. 以上の実施状況について3ヶ月毎に報告すること
問い合わせ先
金融庁 Tel:03-3506-6000(代表)
監督局銀行第一課中村(修)(内線3321)、長楽(内線3396)、大沢(内線3368)
事実関係
1. みずほ銀行においては、4月1日及び4月8日、対外接続用コンピュータであるグローバルプロセッサーに不具合があったことから、ATM障害が発生した。また、4月1日以降、システムの不具合やデータ受付事務の混乱等があったことから、口座振替の引落遅延や口座振替委託企業への引落結果通知の遅延、振込遅延、二重引落などの障害が発生した。
2. 一方、みずほコーポレート銀行(CB)においては、4月1日以降、システムの不具合等から、振込遅延、口座振替遅延や取立手形関係の遅延等が発生した。また、5月20日には、部店登録情報の更新漏れから、一部営業店において振込遅延が発生した。
3. 今回のシステム障害が発生した原因は、(1) システムの機能を確認するシステムテストや運用テストが適切に実施されていなかったなど、最低限必要な準備ができていなかったこと、(2) テストが不十分であった等の重要な情報が、一部の開発責任行のシステム開発部門内にとどまっていたことなど、グループ内での報告・連絡態勢に重大な問題があり、十分なチェックが働かなかったこと、(3)CBにおいて大量の事務処理を支える事務インフラが不十分であったこと、等にある。
なお、(2)の問題があったことから、結果として正確な報告が当局に対してもなされず、当局による監督面での度重なるチェックも有効に機能しなかった。
4. このような最低限の準備ができなかった根本原因は、旧経営陣がシステム統合に係るリスクを十分認識していなかったことから、統合に伴うシステム開発等の前提となる基本的事項の意思決定が遅れ、システム開発・テスト、事務の訓練に必要な期間が十分に確保できなかったことにある。
5. また、顧客の求めるテストに応ずることができなかった等事前準備段階の不適切な対応はもとより、障害発生以後、顧客対応に適切性を欠き情報開示に迅速性・正確性を欠くなど緊急時対応においても不適切な対応が認められた。
6. 今回の障害に関わるシステムの復旧作業は概ね終了しているが、当日中に修復可能な小規模な障害や内部事務の混乱など、なお解決を要する課題が残されており、早急に抜本的な再発防止策の策定・実施が必要である。
みずほの改善・対応策のポイント
1. 再発防止策
(1)システム、業務運営の更なる安定化
- 原因分析、システムリスクの総点検、改善策の立案と実行、人員の再配置、システムの追加開発
(2)プロジェクト管理体制、システム開発・運用体制の強化
- オペレーショナルリスク管理体制の強化
- IT戦略委員会の強化
- コンティンジェンシープランの充実
- システム関連子会社の共同開発体制を構築、合併・統合の推進
- システム監査機能の整備
(3)プロジェクト統括管理機能の強化
- ホールディングスの統括機能、コントロールの強化
(4)今後のシステム開発プロジェクト管理の強化
2. 顧客の信頼回復
(1)経営の革新
- 役員数の更なる削減
- 外部の有識者によるアドバイザリーボードの創設
(2)顧客第一の意識と行動の徹底
(3)グループの一体感の醸成、人事の完全統合
3. 責任の明確化
(1)役員報酬減額
(2)旧CEO等責任者の辞任