平成15年4月25日
金融庁
特別検査等の実施結果について
金融庁は、金融再生プログラムに基づき、特別検査の再実施、再建計画検証チームの設置、DCF法等の適用に係る検査マニュアルの改訂など、主要行の資産査定の厳格化に係る措置を講じてきた。今般、特別検査が終了したことから、その結果とともに、DCF法等の適用の見通し等について取りまとめたところ、概要は以下のとおり。
1. 特別検査の概要
平成15年3月期において、以下の要領により、特別検査を再実施した。
(1) 対象行 | : | 主要行11行(三井住友、住友信託、中央三井信託、みずほ、みずほコーポレート、みずほ信託、東京三菱、三菱信託、UFJ、UFJ信託、りそな) |
(2) 日程 | : | 平成15年1月27日着手、同年4月24日検査結果連絡 |
(3) 検査内容 | : | 株価や外部格付などに著しい変化が生じている等の大口債務者について、メイン行において、検証を行い、適正な債務者区分を確保する。検査は、外部監査人との共同作業により実施。 |
(4) 対象債務者 | : | 167先、与信額 14.4兆円 |
(内訳)
(注)14年3月期の特別検査における対象債務者は149先(与信額12.9兆円)。会社分割により、現在計151先。
○新規対象者:25先、与信額 1.3兆円
14年3月期の特別検査と同様の基準(時点修正)により選定。
○既往対象者:142先、与信額 13.1兆円
14年3月期の特別検査及び9月期のリアルタイム検証の対象者計188先から、破綻先、合併消滅先など明らかに検証の必要がないと考えられる46先を除外。
(5)再建計画の重点的検証
上記167先のうち、再建計画を有する債務者127先については、再建計画検証チームと特別検査班が連携して対象債務者に係る再建計画の検証を行い、その結果が債務者区分の判定等に反映されている。
(注)再建計画検証チームは、企業再建に精通した外部の専門家及び商法学者の他、弁護士、公認会計士又は不動産鑑定士の資格を有する検査官を含め、総計11名で構成された(14年12月設置)。
2. 債務者区分の遷移状況
(注)( )内は4業種(建設業、不動産業、卸小売業、その他金融業)。
3. 特別検査対象者に係る引当金等の状況
DCF法については、日本公認会計士協会の会計実務指針のガイドラインが策定され、金融検査マニュアルが改訂されることにより枠組が整えられた。また、当庁から主要行に対して、15年3月期決算からの、大口要管理先等についての適用を要請。
主要行において、15年3月期の償却・引当額の算定作業が進められているが、このうち特別検査対象者について、主要行からヒアリングした現時点での暫定的な償却・引当額の見通しを、当庁において集計・試算したところ、概要は以下のとおり。
(1) 対象債務者に係る不良債権処分損
(2) 要管理先に係る引当状況
(注)「引当率」は、債権額のうち担保によりカバーされていない非保全部分に対する引当金額の割合。
本件についての問合せ先:
金融庁 Tel:03-3506-6000(代表)
検査局審査課